(27.12.8) 金星の気象衛星「あかつき」が軌道に乗ったようだ。実に喜ばしい!!
金星版気象衛星といわれていた「あかつき」がようやく金星の周りをまわる軌道に入ったようだ。ようやくというのは2010年12月に金星の衛星軌道に入る予定だったが、メインエンジンのトラブルで失敗し、金星でなく太陽を回る軌道に入っていたからだ。
これでは金星の探査ではなく太陽の探査衛星になってしまい、私などは完全に失敗していたと思っていた。
しかし日本の科学者は実に粘り強い。前回の「はやぶさ」の時もそうだったが、メインエンジンがだめなら姿勢制御の補助エンジンを使用して金星の軌道に突入する計画を立て、どうやらそれに成功したらしい。
どうやらというのはまだ確証がえられないからで、JAXA(宇宙航空開発機構)によると9日に正確な結果報告をするという。
「あかつき」は数年に1回の割合で金星に近づくのだが、その機会を逃さずに「あかつき」のスピードを緩めると金星の重力に引かれて金星の衛星になることができるのだという。
今回補助エンジンを20分噴かしてスピードを緩めて金星軌道に突入させた。
もともと「あかつき」の目的は金星の気象観測、とくにスーパーローテイションと呼ばれる風速100m/Sの風がなぜ存在するかを探査することなのだという。
スーパーローテイションといわれても私にはピンとこないが、金星は地球の双子星と言われるくらい構造が似ているのだそうだが、金星には信じられないような風や、地表温度約460度の灼熱の大地が広がっている。
地表温度が460度になったのは二酸化炭素が厚い大気を形成し温室効果ガスとなって温度を上げているからだが、何か地球の将来を暗示させるような星だ。
もし今回の措置が成功すれば日本は初めて惑星の周りをまわる人工衛星の実験に成功したことになる。アメリカなどは年がら年中惑星探査をしているので、日本がようやく惑星探査ができるようになったと喜んでいてはいけないのだが、それでも喜ばしいことは確かだ。
今回の補助エンジンの逆噴射にあたってはJAXAが「すでに設計寿命はすぎており、部品の劣化が進んでいるので金星の軌道に入れるか否かは非常に厳しいミッションだ」などといっていたので、私などは期待をしないで見ることにしていた。
しかし本当は日本の科学者は「これは成功しそうだ」と自信を持っていたのではなかろうか。メインエンジンがだめになっても補助的なエンジンで姿勢制御するのは「はやぶさ」の時からのお家芸のようなものだから、失敗したときのことを考えて大げさにアナウンスメントしていたのだろう。
日本のロケットは設計寿命が過ぎてもまだタフに動くことは、日本の工業製品を見ていれば分かる。今回も「はやぶさ」と同様、神業に近い方法で金星軌道に乗せることに成功したようだが「はやぶさ」の時のように は驚かなかった。
「日本の科学者ならそのくらいはするだろう」という信頼感がある。
惑星探査ではインドが2013年に火星探査機の打ち上げに成功しておりアジアでは一歩先んじていたが、日本もこれでようやく惑星探査機の打ち上げに成功したことになる(日本は以前に火星の惑星探査機の打ち上げに失敗している)。
中国はもっぱら宇宙ステーションの建設に熱心で惑星探査の方は熱心とはいえない。
国際比較をするのは難しいが宇宙探査で最も貢献しているのはアメリカとロシアでその次がヨーロッパ、そしてその後に日本、中国、インドが懸命に頑張っているという構図だ。
これからもますます宇宙開発の分野で日本が相応の実力をつけてもらいたいものだと思う。
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