(23.12.19) 八ツ場ダム栄えて日本国滅ぶ その2
やはり日本は一旦は崩壊せざる得ないのだと痛感してしまった。
このたび政府民主党が八ツ場ダムの建設を容認する方向で調整し始めたからだ。
藤村官房長官は「この問題は担当閣僚に判断してもらう」と言ったが、この意味はダム建設に(唯一)反対している前原政調会長を抑えるための布石である。
前田国交省は国交省の関東地方整備局が出した「 八ツ場ダム建設が最もコスト的にパフォーマンスが高い」と言う結論を容認するつもりだから、これでは 八ツ場ダム建設の続行が容認されたと同じだ。
しかしこれほど国民を欺いた民主党の政策はない。09年の衆議院選挙で民主党はなんと言っていたか。
「日本には公共工事の無駄が多すぎて赤字国債を増やし続けている。その最たるものが 八ツ場ダムですでに当初の目的が喪失したのに関わらず建設を続行している。民主党は政権をとったら直ちにこの 八ツ場ダムの建設を中止させる」
私などはこの民主党の政策に共鳴して民主党に投票したのにすっかりだまされてしまった。
何度もブログに記載してきたので再び書くのは気が引けるが、 八ツ場ダム建設の目的だった利水も治水もすでに目標を達成してしまっている。
利水については関東各県の水道水の確保が急務だった戦後間もない1949年の時点(このときに計画が策定された)とは異なり、今では水道水は有余ってしまいこれ以上水があってもどうしようもない状況だ。
なぜ水が不必要になったかと言うと、予想に反して人口が停滞し家庭用水道水が有余り、さらに工場が日本から逃げ出して工場用水も不必要になったことと、漏水対策が世界一の水準に達しているからだ。
治水についても利根川や江戸川の堤防は実によくできており、さらに最近ではスーパー堤防と言う国交省自慢の大型堤防まで完成して、これ以上の治水が必要なくなっている。
八ツ場ダム建設はまったく目的を喪失したまま、ただ途中まで作ったという理由だけでさらに800億円の建設費を投入しようとしている。
注)日本国民の心を感動させた観測衛星「はやぶさ」の後継機予算73億円を事業仕分けで削って、一方で何の意味もない 八ツ場ダムの建設を行おうとしている。
しかし考えてみてほしい。日本の国家予算の半分は国債発行と言う借金でまかなわれており、これは悪いなんてものではなく世界最悪の財政状況だ。
これがどんなにひどいことかは自分の生活を考えてみればよく分かる。
年収が500万円しかないのに1000万円の生活をするために毎年500万円の借金をし、しかも借金の約半分は利息の支払だ。
これで生活ができると考えたら大王製紙の会長並みのセンスだ。
なぜこのようなことが可能かと言うとこれも何回も書いているので恐縮だが、政府・日銀が金融機関を奴隷のように支配して強制的に国債を購入させているからだ。
特に郵貯や簡保などは完全に国債購入だけを目的にした機関だと言って良い。
「それでも売れるならいいじゃないか」と言う判断もあるが、このために日本の金融機関はたった1%の利ざやしか稼ぐことができない斜陽産業になっている(こうして成長産業を日本に作らない政策をとっている)。
日本がどうしても衰亡し崩壊せざる得ないのは、いくら無駄な公共工事でも資金手当てが可能な間はその工事を継続するという体質にある。
株や投資信託で言う損切りができない体質で、ずるずると深みにはまっていき最後は国家が倒産するので、結果として不要な公共工事が中止になるという構図だ。
ほとんど勝算なくして戦争を継続した第二次世界大戦と同じで、今の民主党は当時の軍部と同じ精神構造だ。
現在の日本は破産国家である。この認識が絶対に必要で資金繰りだけでどうにか運営している赤字会社と同じだ。
現在はヨーロッパが危機の最中で世界の目が西欧に集中しているが、ここの問題が収まった後は必ず日本問題になる。
市場が日本国債や株式を売り浴びせて狼の牙を向けてくるのは確実で、これほど脆弱な基盤の上に国家運営をしている国はなく、ほとんど赤頭巾ちゃんのようだ。
民主党には失望した。日本は民主党の元での再生プログラムはまったく望めない。
なお「 八ツ場ダム栄えて日本国滅ぶ その1」は以下の通り。
http://yamazakijirounew.cocolog-nifty.com/blog/2011/09/23915-b5b8.html
また 八ツ場ダム関連の過去の記事はいかに纏めてあります。
http://yamazakijirou.cocolog-nifty.com/blog/cat45800757/index.html
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