評論 日本の経済 金融機関

(30.11.7) 地方銀行淘汰の時代 金融庁の必死の地方銀行援護索 独禁法改正  

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 とうとう政府が独占禁止法の適用除外を検討し始めた。銀行業とバス事業である。
この二つは地方にあっては基幹産業の一つと思われてきたが、その疲弊がはなはだしい。

 私がサラリーマンになったのは今から50年も昔のことだが、当時は特に金融業はどこでも花型産業だった。
私の初めての任地は長野市だったが、そこには八十二銀行という長野県を代表する金融機関があって、長野市内に他を圧倒するような立派で瀟洒な本社があった。
これならだれでも八十二銀行に入社したがるだろう・・・・・・」その建物を仰ぎ見ながらそう思ったものだ。

 だがあれから50年、地方の疲弊に伴い地方銀行も見る影もなく疲弊し赤字体質になっている。
最大の理由は貸し出しをすればするほど赤字になり金融業が成り立たないからだ。
日銀のゼロ金利政策によって貸出金利は低く抑えられ、せいぜい1から2%程度の金利設定になっている。
地方銀行の経費率は平均して1.5%程度だから、地方銀行約100行の半分が赤字にあえいでいる。

 金融庁は地方銀行の倒産は避けたいから統合をすすめようとするが、一方で公正取引委員会の独占禁止法の壁が立ちはだかる。
たとえば長崎県の十八銀行と福岡県のふくおかフィナンシャル・グループの統合は、統合を決めてから公取委がしぶしぶ審査を終わらすまで2年以上かかった。
この時代に2年以上も審査をされていてはつぶれてしまう」両行から悲鳴が聞こえた。

 日本の地方では金融業が成り立たない理由がある。金融業は基本的に利ザヤで収益を上げるのだが、地方の企業が利ザヤ以上の収益を稼げなくなっているからだ。簡単に言えば金があっても投資先がないから借りる必要はないということになる。

 経済学的に言えば金利はGDPの伸び率の範囲内に抑えられる。たとえば日本のGDPの伸び率が1%だとすると、それを事業者が0.5%、貸し出しをした金融業者が0.5%ずつ分け合うというような形だ。
現在の日本のGDPの伸び率は1%前後だから、金融機関の営業利益は0.5%程度で、一方経費率は1.5%だから、貸し出しをすれば1%の赤字になるという計算になる。
だから最後の手段は統合をして最低限の利幅を確保することになる。

 経済成長がストップした世界では金融業は成り立たない。ヨーロッパの中世がそうした世界で毎年のように経済が縮小していった。ここでは利息そのものが存在しないから(ただし現在と同じマイナスの利息は存在する)人々はただ神のかごを祈って自給自足の生活をしているだけだった。
日本やヨーロッパのような成熟した資本主義国ではもはや経済成長はないから資金需要もなく、したがって金融機関は存在できない。
21世紀は歴史的に金融業が衰退する世紀と思っていい。
金融庁は何とかして地方に金融機関を残そうとしているが、日本経済の衰亡に合わせて金融機関の淘汰が進むのはやむ負えない。

注)こうした状況下で金融機関を成立させるには実需ではなく仮需を発生させる以外に方法がない。日銀黒田が行った金融緩和とはそうしたもので、資金は株式やビットコインや都市部の不動産や希少資源に向かったが、そうした仮需(本来は不必要なもの)以外に金の使い道はない。

 
 
 
 

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(29.11.16) 金融機関受難の時代  利鞘が消えていく!!

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 私が高校時代に世界史を学んだ時、最も不思議なことの一つが中世キリスト教世界では金を貸しても利息をとることが禁じられ、またイスラム社会では今でも利息をとることが表面的には禁じられていることだった。
それじゃ金融業が成り立たないではないか・・・・・・
どっぷり先進資本主義文明の渦中にあった高校生の私はずいぶん当惑したものだ。

 しかしその先進資本主義文明に黄昏がおとづれ経済成長の時代が終了すると,先進資本主義文明の日本で利息がなくなってきた。正確に言えば1%程度の利息は科せられるのだが、この数値が加速度的にゼロに近づいていて、金融機関では利ザヤが取れなくなっている。
貸し出しが主業務の地方銀行の収益が特に悪化しており日銀の調査で約半数の地方銀行が本業で赤字に陥っている。

 このためメガバンクは自主的に、地方銀行は日銀の指導でリストラや合併が進んでおり、金融機関に従事する人員が激減し始めた。
メガバンク3行のリストラ計画は約3万人の人員削減と支店の廃止や縮小であり、地方銀行の場合は合併による人員と店舗の統廃合になっている。
私が金融機関に就職した約50年前は高度成長の真っ盛りであり、企業の資金需要は貸出余力をはるかに超えていたから、金融機関にとってわが世の春のような時代だった。
オタクの業界はあまり成長が見込めませんので融資はできません」偉そうに言っていたことを思い出す。

 あれから50年、世の中は様変わりで人口は減少しその結果経済成長はアベノミクスという劇薬を投与しても1%程度に低下してしまった。企業には内部留保が十分にあるから金融機関からの融資は必要なく、仕方なく金融機関は集めた資金を海外投資まだ経済成長をしている国の国債や投資信託)に投資し収益を上げているのが実態だ。
しかし海外の実態はアメリカのかつてのサブプライムローンや中国がそうであるように魑魅魍魎の世界であり、いつ大損失が発生するかはわからない。

 国内では赤字で金融業が成り立たなくなりつつあり、一方海外ではリスクが大きすぎていつ大損するかわからず存立基盤が揺らいでいる。成長が止まった世界では企業の成長資金の需要がなくなり、個人の消費金融ばかりになるから本来は利息をとることができない。
例えば企業が毎年20%の成長をしていれば5%程度の利息の支払いは確実にできる。
一方個人の場合は生活費に投入されて利益を生まないから、元本を返済するのがやっとでとても利息の支払いなどできない。
先進資本主義国はいづれも同様ですっかり金貸し業が寂れ、アメリカのようなばくち金融以外はすっかり上がったりになってしまった。

 かつて中世キリスト教社会に金融業が成り立たなかった理由は、成長がない社会だったから貸し出しは主として生活費に回りその結果利息の徴求が不可能だったことに気が付いた。
今日本で金融業の崩壊が始まったのは日本が成長なき社会中世)に突入したからだ。
そうか、産業革命から約400年、ついに資本主義文明も活力がなくなり、成長なき時代に入ったため中世と同様に金融業が成り立たなくなったのか・・・・・・・・」
かつて金融業に従事していたものとして感無量だ。

 

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(29.10.27) 時代に取り残された金融機関「商工中金」 危機対応融資に最後の夢をかけたが・・・

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 存在理由がなくなってもまだ存続し続けるとどのような結果になるかの見本のようだ。商工中金のことである。
商工中金は中小企業をターゲットにして融資を行なうのが主要任務の金融機関だったが、バブル崩壊後日本の中小企業は低成長下に陥り、まったくと言っていいほど資金需要がなくなってしまった。

 かつてといっても私が金融機関に入社した50年ほど前の高度成長期のことだが、中小企業の経営者にとって商工中金と取引するのがステータスシンボルで「我が社もようやく商工中金さんに認めてもらえる企業になりました」などと自慢していたものだ。
しかしバブル崩壊後この状況は一転し、好業績の中小企業は都銀が囲い込み、商工中金に残ったのはババばかりの業績不良先ばかりになってしまった。

 さらに2008年のリーマンショックで、日本国中不況の波が押し寄せたが、この時に政府は半官半民の商工中金に対し危機対応融資制度による積極的な融資を行わせて不況を乗り越えようとした。
危機対応融資制度とは政府が利子補給を行いさらに取引先が倒産した場合はその金額を政府が補てんする制度である。
業績悪化先ではあるがリスクゼロの融資制度が転がり込んできたのだ。

 取引先の減少に悩み業績が低迷していた商工中金はこの制度に社運を賭けることになった。
政府の利子補給があるからレートは都銀より低位に設定できる。しかも取引先が倒産してもそれはすべて政府が補てんしてくれる。これこそ天の恵みといわずして何と言おう

 その後商工中金は危機対応融資制度による融資にのめりこみ、全融資金額の3割から4割はこの制度による融資になった。
すべての融資がこの制度によらないのは、「危機対応」という条件があって、明らかに業績が悪化していなければ融資対象にならないからである。

上司なら、すべての中小企業の業績を悪化させればいいではないか
部下「そのように言われても好業績の中小企業はいくらでもあって融資対象に限界があります」
上司「君は中国の国家統計局の仕事ぶりを知らないのかね。上が7%の成長だといえば必ず7%の成長を達成する有能な連中だ
部下「でも、どうすればいいのですか
上司「お前は馬鹿か。決まっているだろう。決算書を改ざんすればいいに決まっている
部下「はあーー


 商工中金の内部調査によると、危機対応融資での不正は4802件、不正を行った職員は444人、処分対象は上司を含めて813人、全支店で不正が行われていたという。こうした調査はどうしても甘くなるから実際はこの数倍の不正があったと思わなくてはならない。
商工中金にとってこの危機対応融資は安全確実に収益を計上できる金の卵だったことがわかる。

 さらに商工中金はこの不正がばれないように経済産業省に報告する「中小企業月次景況観測」では、どこもかしこも業績が悪いように統計を改ざんして、日本の中小企業はリーマンショックから立ち直れずさらに東日本大震災からも全く立ち直れないことになっていた。
経済産業省はこの報告を総務省に渡してGDP基礎資料の一つにしていたが、日本の中小企業の業績回復がままならなかったのは商工中金が意図的に報告書を改ざんしていたからだ。

 商工中金の社長は経済産業省の元次官だが、社長がこうした不正に気が付かなかったのは経営判断がすべてプロパーの副社長以下で決定されて社長はおみこしだったからだそうだが、そのまま信じることは難しい。
商工中金が危機対応融資以外の経営資源がないことは経済産業省もとっくに認識していたから、これは他の省庁や政府にばれるまでは互いに内緒にしようという暗黙の了解だったと思う。
何しろ次官経験者にとって商工中金の社長になることは夢の様の好待遇が約束されていたので、天下り先を失いたくなかったのが本音だろう。

 商工中金という高度成長期にディペンドした金融機関はその後の低成長期に存在意義を問われたたが、危機対応融資という千載一遇のチャンスに恵まれ、社内一丸経済産業省の黙認の下でこの融資にまい進したというのが実態だろう。
すべて虚偽なのは中国方式というんだ。東芝がこの中国方式を採用していたろう。嘘はニッサンも神戸製鋼もしている。わが社もこの方式で中国人に倣って何が悪いんだ

 

 

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(29.4.28) 時代から見捨てられた商工中金の運命 改ざん融資しか生き残る道はないのか!!

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 制度的にもはや不必要になった組織が存続し続けるとこのような状況になるという典型的な例と言っていい。
商工中金が国の制度融資を決算書を改ざんすることで約200億円規模で不正に貸し出しを実施し、国からは利子補給金として約2億円を不法に得ていた

 商工中金は中小企業を対象にした融資機関で特に高度成長期には都市銀行や地方銀行がもっぱら大企業向けの融資に偏っていたため、中小企業に対する融資のパイプ役として重要な使命を帯びていた。
私が就職した1970年代は商工中金の中小企業に対するプレステージは非常に高く、「我が社は商工中金さん取引しています」というのが中小企業経営者の自慢だった。

 しかし1990年のバブル崩壊後は融資先が狭められた都銀が優良な中小企業融資を拡大した結果、商工中金の地位は低下の一途をたどった。中小企業にとって都銀との取引のほうがプレステージが高くなったからだ。
そしてリーマンショック後は日銀がゼロ金利政策をとって市中に資金をばらまいたため資金の値打ちがなくなり、中小企業にとってもいつでもどこからも借入ができる状態になってしまった。中小企業融資をうたい文句にしていた商工中金の存在意義がとわれはじめたのである

 こうした状況下で商工中金の生き残り策は政府の利子補給がある政策融資だけは死守するという追い詰められた対応になってきた。
今回問題になったのは災害や為替変動で被害をこうむった中小企業を支援するための特別融資で、政府の利子補給があるため際立って低利で融資が可能になる資金である。
お前ら、これは商工中金の使命だ。特別融資を都銀や地銀にとられるようでは存亡の危機になる
しかし支店長、決算書を見ても特に影響のない取引先ばかりです。これでは特別融資の対象になりません
お前の頭は何のためについているんだ。いいか、中小企業には決算書が3種類ある。税務署向けと金融機関向けと役所向けだ。そんな状態なのだから適当に決算書を融資対象になるように改ざんしておけ

 こうして改ざんされた案件は816件、約200億円だそうだ。そして国からの利子補給金として約2億円を不当に国から得ていた。
所管の経済産業省は商工中金に対して業務改善命令を出すそうだが、本質的な問題はもはや役割を終えてしまった商工中金をこのまま存続させるか否かだろう。
職員数4000人。融資と有価証券運用を合わせて約10兆円の運用をしているが、実際は中小企業が商工中金の取引を必要としなくなり、先細りの状態になっている。

 すでに都銀は何回も合併をしてメガバンク3行体制になり、また地銀も生き残りをかけて合併を繰り返している。
商工中金は「昔の名前で出ています」と頑張ってはいるが、もはや見捨てられた金融機関になってしまった。
他の政策金融機関と合併してリストラをしながら生き残るしか残された道はない。

(別件)

「カンパの依頼 」

 市民の財産は市民が守る運動の一環として昨年に引き続き一人当たり3000円のカンパをお願いできないでしょうか。カンパは塗料、ベンチ補修用資材に使用いたします。

  29年度のカンパ目標を10万円とし、ベンチの補修目標を10基にいたします。

mんb 賛同していただける方は以下の口座に送金いただければ幸いです。なお送金していただいた場合は同時にこのブログのメール機能を使ってその旨連絡いただけると幸いです(お礼のメールを出したいため)。

注)カンパ募集の趣旨等は以下参照してください。
http://yamazakijirounew.cocolog-nifty.com/blog/2017/03/29330-ddee.html


・千葉銀行 鎌取支店(092) ・おゆみ野クリーンクラブ 普通預金口座(3743511)
・郵貯銀行 店名 058 (ゼロゴハチ)・おゆみ野クリーンクラブ 普通預金口座(3695852)

なお、おゆみ野クリーンクラブの活動状況については以下にまとめてあります。 http://yamazakijirounew.cocolog-

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(28.1.6) カントリーリスクの時代 中国やインドネシアから融資を引き上げろ!!

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 ここにきて邦銀の中国向け融資にストップがかかってきた。邦銀はリーマンショック後欧米系の銀行が中国や東南アジア諸国の融資を引き上げた間隙をぬって融資を拡大してきた。
邦銀の一人勝ちといっていいような状況で収益も拡大していたが、ここにきて中国企業に対する融資にストップがかかり残高が急減している。

 BIS(国際決済銀行)がまとめた集計でみると、15年9月の融資残は約7兆円で、前年同月に比較すると▲14%減少している。
中国企業への融資の約半分は日本の中国進出企業に対する融資だが、日本企業が設備投資を手控えているため融資残は今後とも加速度的に減少しそうだ。

 BISの統計数字は邦銀の対外投融資残3兆ドル(360兆円)からみて数字が小さすぎるように見えるが、問題の本質はBISの統計でも日本の金融機関の対中国融資が減少をはじめたということで、中国が主要の取引相手だった時代が終わっている。
今中国の製造業に融資すれば、不良債権を積み上げるだけだから邦銀の残高が急激に減少していることは当然の措置だといえる。

注)邦銀の対外戦略の実態については以下参照
http://yamazakijirounew.cocolog-nifty.com/blog/2012/10/post-e1ef.html

 邦銀の収支構造は最近は国外での融資国内での国債のディーリングに負うていて、海外戦略は最も重要な邦銀の戦略になっていたが、ここに来て息切れが見えだした。
一番大きな理由は新興国といわれる中国や東南アジアで資金需要がなくなってきたことだ。
中国あっての経済成長を遂げていた資源国のインドネシアなどは最もひどい影響を受けており、三井住友BKは提携先の年金貯蓄バンクの株価急落を受けて550億の減損処理に追い込まれた。
いけいけドンドンの時代が終わり、国ごとにリスクを管理しなければならない時代に入っている。

 金融機関の用語でカントリーリスクというのだが、製造業でひどいリスクが存在するのが中国で、間違っても製造業の設備資金を融資したら返済はおぼつかない。
また資源関連の融資ではインドネシアとマレーシアが中国経済の急減速に伴ってここもひどい不況産業になっている。この2国の資源融資はアウトだ。
またタイは軍事政権になってから経済運営がさっぱりで、ここは経済成長の時代が終わってしまったといっていい。

 メガバンクの収支もここ数年は破竹の勢いで急伸していたが、16年3期は現状維持か減収が見込まれる。減収要因は提携先の金融機関の株価急落等が理由で、かつては増収要因だったのが嘘のようだ。
日本の金融機関の中で三菱UFJが最も高収益企業で年間営業収益で1兆円を稼いできており、これはトヨタに次いで2番目の高収益企業になっていた。
その三菱UFJも今年はその水準を維持できるか否かのぎりぎりの段階になっている。

注)三菱UFJの最近までの躍進については以下参照
http://yamazakijirounew.cocolog-nifty.com/blog/2015/05/post-3b5b.html

 世界経済が急速に変化しており国ごとにリスク管理をして融資金をシフトしていかなければいつ不良債権になるか分からない。
中国やインドネシアの融資はさっさと引き上げてインドやミャンマーにシフトさせなければ邦銀の収支が急激に悪化してしまう。
カントリーリスク管理が最も重要な時代になってきて日本のメガバンクにとって正念場になっている。



 

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(27.5.2) 日本のメガバンクも利益1兆円企業になってきた。 三菱UFJの躍進

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 日本の金融機関、わけても三菱UFJの躍進が素晴らしい。
15年3期の連結純利益が1兆円を越えるとのアナウンスメントがあったが、これはトヨタに次いで日本で二番目の高収益企業ということになる。
三井住友も過去最高益になりそうで、メガバンクの中ではみずほだけがトラブル続きでもたついているが日本の金融機関の収益も順調に拡大している。

 もっとも世界的規模から見ると1兆円という数字は必ずしも高くない。アップルなどは四半期でゆうに1兆円を越しており、韓国のサムスンも年間で3兆円規模の純利益を上げている。
日本の企業は長い間売上高至上主義で利益を度外視する傾向があったが、しかしそれでは世界企業としては二流だ。
売上も利益もというのが世界企業の条件といえる。日本経済復活の条件は連結純利益で1兆円を超す企業がどの程度現れるかによると言っていい。

 そうした意味で日本のメガバンクが1兆円レベルに達し始めたことは誠に喜ばしい。
メガバンクの中で特に三菱UFJが先頭を切っているのは海外戦略がここに来て効を奏し始めたからだ。
リーマンショック時にモルガンスタンレー持ち分適用会社(22.5%の持ち株で収益は投資有価証券として計上にしたし、アメリカのユニオンバンクを買収し、そしてアジアではタイのアユタヤ銀行を買収し連結子会社にしている。アメリカとアジアに拠点を築いたのが効を奏して国外での収益が順調に伸びている

注)メガバンクが復活してきたありさまについては前に記載した。
http://yamazakijirounew.cocolog-nifty.com/blog/2012/10/post-e1ef.html

 一方で日本での国内融資は全く振るわない。大企業は十分すぎるほどの自己資金を持っており、また中小企業はここ数年設備投資を手控えてきた。国内の需要が頭打ちで国内投資をしても全く利益を上げることができないからだ。
その結果貸出金利は極端なまでに低下し融資の利ザヤはほとんどなくなってしまったので、融資をするなら利ザヤの稼げる海外で行うというのが一般的だ。
日本国内の収益事業は国債保有とそのディーリングくらいになっており、利回りが低下するたびに債券価格が上昇するのでそれで食っていた。
金融機関の収益構造は海外での融資と国債のディーリングという構造になっていたといえる。

 ところが先日バーゼル委員会が金融機関の国債保有に自己資本の縛りを設けるべきだと提言を始めた。
国債の利回りが上昇すれば手持ちの国債価格が低下する。日本の金融機関は平均で25%相当の国債を保有しているが、もし金利が上昇局面に入り国際価格が暴落したら日本の金融機関の収支は持たないではないか」というのが提言の理由だ。

注)提言そのものは日本の金融機関を対象にしたものでなく国債保有が多い金融機関を対象にしたものだが、実際は日本の金融機関は際立って日本国債の保有が多い。
なお、バーゼル委員会の提言の詳細は以下参照。

http://yamazakijirounew.cocolog-nifty.com/blog/2015/04/post-e0e3.html

 この規制が実際に導入されると日本国債の販売に関して従来の金融機関引き受けができなくなる可能性が高い。金融機関が自己資本不足で特に危険な国債と認定されている日本国債を保有することができなくなるからだ。
今まで財務省も日銀もS&P等のレーティングを無視して国債発行ができたのは、日本の金融機関に押し付け販売ができたからだ。
国民の預金のほとんどを国が国債として吸い上げているといったら正確だろう。

注)国民の個人金融資産は約1600兆円だが、一方国債残高は1000兆円になっている。約6割の資産が国債に化けている。

 金融機関引き受けという構造が崩れるといったいどのような対応がされるのだろうか。
金融機関がもてなければ日銀が持つことになり、日銀はほぼ無制限に国債を保有するだろうから日銀のバランスシートは悪化の一途をたどることになる。日銀のバランスシートの悪化とは日銀券の価値の低下だからひどいインフレが起こる可能性が高い。
現在の金融機関引き受けの方が預金の範囲内という縛りがあるからまだ健全なのだが、バーゼルの勧告の如何によってはハイパーインフレに火が付く可能性がある。

 なお先日バーゼル委員会の勧告について記事を書いたところkantokuさんから以下の質問を頂いた。
いつも拝読しております。世界経済の勉強になり大変感謝しております。先生に教えて頂きたくコメント欄に書きました。BIS 規制の際には融資規制が起こり不動産業やゴルフ場、中小企業が倒産しました。国債引き受け規制となれば今回も同じ事が起きるのでしょうか?」
kantokuさんは1990年代のいわゆる貸し渋りのことを懸念しているのだが、今回はそうしたことは起こらない。
当時は不動産投資資金を中心に旺盛な資金需要があったのだが、現在は上記に記載した通り大企業も中小企業もほとんど資金需要がないし、あっても大企業の場合は債券を発行して自己調達できる。

 今回の規制では金融機関は国債を購入することができなくなった分、どこかでその資金を使用しなくてはならず、反対に運用先で困るぐらいだ。
ことの本質は日本政府が国債を日本の金融機関に押し付けることができなくなることで国債消化のあり方が変わるということだろう。
また金融機関だけに限って言えば国債のディーリングでようやく国内での収益を上げていたのにそれに大幅な縛りがかかるということになる。


 

 

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(27.4.27) 再びバーゼル委員会が動きだした。「日本の金融機関の活動を制限しろ!!」

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 再びバーゼル委員会が動き出した。今回は国債保有に網をかけるという。
従来バーゼル委員会が動くと日本の金融機関の活動が大幅に制限されてきた。バーゼル委員会の規制とは即日本に対する規制と思われるほどだ。
少なくとも1988年に制定されたバーゼル委員会の規制BIS規制という)は日本の金融機関の活動を世界的規模で網をかけるための規制だったと言っていい。

 当時日本の金融機関は破竹の勢いで世界市場を席巻していたし、融資額や預金量では日本のトップテンが即世界のトップテンのようなありさまだった。
あまりの日本の金融機関の巨大化に恐れを持ったアメリカとヨーロッパ(特にイギリス)が手を携えて日本の金融機関つぶしの手段としたのがBIS規制で、具体的には海外で営業活動を展開する金融機関の自己資本比率を8%にする規定だった。

注)当時日本の金融機関はニューヨーク、ロンドン、チューリッヒに支店を開設して世界の融資をリードしていた。収益額を無視した薄利多売で欧米の金融機関から白眼視されていた。

 なぜこれが日本の金融機関つぶしだったかというと当時の都銀地銀も含めて)はオーバーローンばかりで自己資本は1%から2%程度しかなかったからである。
日本の銀行経営は危険すぎる。最低でも自己資本が8%なければニューヨークやロンドンでの取引は止めていただく
その後日本の金融機関は自己資本比率を高めるために融資を大幅に引き上げ海外での活動を自粛する行動に出ざる得なかった(自己資本を高められなかったためその分融資を止めた)。
やれやれ、ようやくこれで日本の金融機関の怒涛のような動きを止めることができた。金融業務はアングロサクソンのもので黄色いサルなどに出しゃばらせてなるものか!!
もう少しのところで日本の金融機関が世界の金融機関になるチャンスをアメリカとヨーロッパにつぶされた。世界を金融支配しようとしたジャパン・アズ・NO1が潰えた瞬間だった。

 あれから30年、今度はリーマンショックでアメリカやイギリスの金融機関が深い痛手を負ったが、日本の金融機関はバブル崩壊後の金融危機対応で非常に慎重な融資やディリバティブ対応をしていたため(一部金融機関を除き)、大きく傷つくことはなかった。
このため現在日本の金融機関は再び世界の金融機関として飛躍するチャンスが巡ってきて、特にアジアではヨーロッパ系の金融機関が撤退した後の融資を日本の銀行が引き受けている。
よっしゃチャンスだ、ヨーロッパが抜けた穴を日本がすべて奪えるぞ!!」
だが日本の金融復権をアメリカもイギリスものぞまない。
日本は製造業だけ復活すればいい。金融業はアメリカとイギリスのものにしておかなければならない

 再び日本の金融機関の弱点を狙った日本つぶしが始まっている。
日本の金融機関の最大の弱点は国債保有が多いことで、従来日本国債の約8割を民間銀行・保険、年金・その他金融機関が保有してきた。金融機関だけに限っても約6割だ。
最も現在は日銀が金融機関等から未曾有の国債買い上げ(金融緩和)を実施しており、日銀の保有比率が25%になって,その分民間の金融機関の比率は下がっている。

 現在バーゼル委員会で議論されている新たな枠組みの趣旨は金融機関の国債保有に規制を設けるというもので、国債の急激な金利上昇価格は低下)に堪えられるだけの自己資本の更なる充実を求めようというものだ。
もしこれが実施されるとメガバンク農林中金などは国債保有を減らすか自己資本の充実を図るかどちらかにしなければならない。

注)日本国債の格付は先進国では最低のランクで、最も危険な国債の一つということになっており金融機関の日本国債保有は大幅に制限される。
なお日本のメガバンクの復調については以下参照
http://yamazakijirounew.cocolog-nifty.com/blog/2012/10/post-e1ef.html


 実際は国債保有を減らす方に傾くだろうから、従来の日本政府の国債依存体質の変革を迫るものだ。
黒田日銀が大幅な金融緩和をすることができたのは民間金融機関が多量の国債を持っていたからで、それを日銀が買い取る形で市場に資金供給を行ってきた。
そのシステムが崩れるとなると、残された手段は日銀が直接国債を引き受けることしかない。しかしそれはかつての戦時国債とおなじで猛烈なインフレーションの可能性が高い。

アメリカやイギリスの意図は特にメガバンクがアジアで席巻するのを抑えることだが、アングロサクソンの戦略は常に崇高な建前金融秩序の維持)を前面に押し出してくるので本当に手ごわい。

注)地球温暖化対策もヨーロッパの復権の手段であることはよく知られている日本が温暖化対策で鴨葱になった経緯は以下参照
http://yamazakijirounew.cocolog-nifty.com/blog/2014/12/post-dcb6.html


 



 

 

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(27.3.26) みずほ銀行をめぐる魔訶不可思議な詐欺事件 果たしてみずほは逃げ切れるか?

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 とても魔訶不可思議な金融詐欺事件みずほ銀行で発生している。
みずほ銀行の元幹部職員審査役)が24日、高配当と元本保証を約束して医師から1億1千万円を詐取したとの件で警視庁に逮捕された。
余罪があり詐取した金額の総額は数十億円になるという。

 詐取の手口は金融ブローカーがターゲット医師等)をみずほ銀行の審査役だった及川幹雄氏に紹介し、及川氏が本店応接室で面会して「大口顧客にだけ紹介する金融商品で元本保証で月利3%で解約は自由」と途方もない好条件で勧誘するという手口だった。
月利3%なら単純計算で年利36%になるから「いったいどこにそんな商品があるの?」と不思議なくらいの高利回りだ。しかも元本保証で解約自由などという条件まで付いている。

 通常の常識を働かせれば、日本のような低金利の環境でそのような高利回りを確保できる商品などないのは分かるし、もし本当にあったならばみずほ銀行自己ディールで取り扱うから顧客に紹介するはずがない。
医師は本店応接室でみずほ銀行の審査役から説明を受けたので信用したと述べているが、審査役とは融資の審査を行う役職だから、金融商品販売の担当ではない。
少しでも金融常識を持っていれば「あやしい?」と思ったはずだが、この医師はそう思わなかったようだし、他に多くの被害者がいるところを見るとみんなこの及川氏を信用したのだろう。

 だがこの事件の本質はそうした手口にあるのではない。この事件が起こったのは2011年5月から12年6月までの間だというから、今から4年から3年前の話だ。
及川氏自身はこうした架空取引がばれて(投書があったようだ)、すでに12年9月にはみずほ銀行を解雇されている。
それがなぜ今頃になって逮捕されたのだろうか。あまりに期間が立ちすぎている。

 私は知らなかったが及川幹雄氏についてはアングラ情報が駆け巡っていて裏の世界では知らない人はいなかったようだ。
及川氏と今回同時に逮捕された金融ブローカー2名が結託して詐欺事件を働いたのだが、これを暴力団関係者にかぎつけられ、及川氏は常にそうした筋から脅迫を受けていたという。
そのため詐欺の手口をエスカレートせざるを得ず、詐取した金額のかなりの部分が暴力団に流れていたようだ。

 真相はこれから警視庁の取り調べで明らかになるだろうが、及川氏は最初は詐欺を働いたのだが、その後はそれをゆすりのネタにされ、詐欺をエスカレートして暴力団に金をむしり取られていた構図が見て取れる。加害者であるとともに被害者なのだ
金融機関の実情に詳しくない人はなぜ幹部職員がそうした詐欺を働くようになったのか不思議だろうが、審査役という地位は低くはないが幹部ではない
通常幹部とは部門の部長や副部長以上を言うが、審査役とはそれになれなかった人が付くことが多い役職で、いいところまでは行ったが最後に落ちこぼれてしまった人が付く役職だ。
くそ、本来なら俺はもっと出世してもいいはずなのに会社は人を見る目がない・・・・

 こうした人は過信をしているから会社を見返すために個人で金融取引を始め大金を得ようとするが、ほとんどの場合は予測が外れ反対に多額の借金を抱えてしまうことが多い。こうした時会社に対して敵意を持っているとしばしば詐欺を行う誘惑にかられる。そしてたまたま運悪く金融ブローカーなどに知り合いがいると誘われて悪の道に落ち込んでいく。及川氏も金融取引を盛んに行っていたそうだからそうした人の一人だろう。

 今問題になっているのは及川氏がみずほ銀行本店の看板を目いっぱい使って詐欺を働いていたことで、応接間に通して接待係の女性が上質のお茶まで出していた。
接待係の女性はそれが仕事だからルーチンワークとしてしただけだが顧客の医師はそうとらず「みずほ銀行から最上の顧客として厚遇されている」ととらえたのだろう。

注)応接室の使用は予約制だから審査役であれば理由を適当につけていくらでも利用できる。

 現在及川氏に対する民事裁判がいくつも行われているが、及川氏はすでに暴力団に金をむしりとられていて一文無しの状況だから、当然損害賠償はみずほ銀行に向けられる。
しかしみずほ銀行はこれまで「知らぬ存ぜぬ」で逃げてきた。すべて及川氏と及川氏の顧客の問題としてきたわけだ。
みずほ銀行としては元行員が勝手にやったことで銀行は関知していないと逃げたいだろうが及川氏が刑事事件で逮捕されたとなると逃げきれるか怪しくなってきた。

 それにしてもみずほ銀行は行員の不祥事が多い。私はこれには構造的な問題もあるのではないかと疑がっている。前に記載した以下のブログ記事を参照してもらいたい。

http://yamazakijirounew.cocolog-nifty.com/blog/2013/10/post-df09.html









 

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(27.3.24) 金融庁の金融検査が変わる。 資産査定時代の終わり!!

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 一般に金融庁の金融検査といえば受ける銀行が恐れおののいていることになっているが、誤解を恐れずに言えば実際の金融検査はそれほど恐ろしいものではない。
それは金融検査の手法が常に時代から遅れてしまって、対象となっている検査が金融機関にとって主要な業務でなくなっている場合が多いからだ。

 現在の金融庁の検査は1990年代の後半にアメリカから導入されたチェックポイント方式とかつて大蔵検査と言われていた時代から継続されてきた資産査定方式の併用である。
アメリカのチェックポイント方式を導入したのは、当時日本の金融機関は魑魅魍魎の世界と言われ、これはアメリカ式の厳しいチェックがなされておらず大蔵省と銀行がなれ合っているからだとアメリカから非難されていたからだ。
長銀日債銀拓銀が不動産融資にのめりこみ、土地バブル崩壊によって非常な痛でを被っていたころのことである。

 当時大蔵省はアメリカにひれ伏し、金融検査を新たな金融庁という組織に移管し、手法もアメリカ式に変えたのだが、かつての大蔵検査の方式の資産査定も残した。いわば折衷案をとったわけだ。
その後の金融庁の検査はこのチェックポイント方式は適当に流しながら(アメリカに一応の顔をたてながら)、相も変わらず資産査定方式にのめりこんでいった。

注)チェックポイントはあまりに項目が多すぎて「だから何なの」という感じで日本人にはなじめなかった。個別企業に対する貸し出しの査定である資産査定方式の方がやはり日本にはあっていた。

 通常査定は4段階に分かれており、貸出債権を正常先、要管理先、破綻懸念先、破綻先に分ける。
金融庁と金融機関との攻防は金融機関が要管理先に分類したものを金融検査官がなんとかして破綻懸念先に分類するかの攻防だった。
そしてここがポイントだったのだが金融庁の検査官の評価はどれだけ破綻懸念先を増やせたかであったためやたらと破たん懸念先が増えてしまった。
あんたこの取引先が要注意先のはずがないだろう
検査官、そうは言いますがここは業績が回復しつつありますのでこれでいいかと・・・
うるさい、俺が破綻懸念先といったら破綻懸念先だ」こわもてだったのだ。

注)リーマンショックまでは金融庁はアメリカから常に査定を厳しくするように圧力を受けていて金融庁の検査官はアメリカの手先のような状況だった。
その後リーマンショックでアメリカの金融機関にぼろが出たためアメリカ方式の金融検査の方式は崩壊した。
「なんだ、アメリカの検査も日本と同じレベルだったのか」ということだ。同時に金融庁の権威も失墜した。


 要管理先と破綻懸念先の相違は破綻懸念先になると倒産に備えて引当金を計上しなければならず、それだけ金融機関の収益を圧迫するからである。
赤字にでもなってしまえば金融庁から業務改善命令を出されるし、収益性が低ければアメリカの格付会社から低い評価を受けてニューヨーク外為市場での取引に参加できない。
したがってその攻防は非常に激しいものだった。

注)大手金融機関がアメリカの外為市場に参加できないということはグローバル金融機関になれないということになる。

 しかし日本の失われた20年の間に日本から企業はどんどん消えて海外に進出するし、業績のいい企業は資金を自己調達するので金融機関の貸し出しは年を追って少なくなっていった。査定の対象の企業融資のシェアが毎年毎年低下していったのである。
それに反比例するように金融機関は国債や社債の投資やディリバティブに傾斜していったので、いくら企業融資の資産査定を行っても銀行経営の一部を見ているだけになってしまった。

注)大手金融機関の資産に占める貸し出しの割合は約50%、有価証券が約30%。それ以外に簿外のディリバティブが多額を占めていてどの程度経営に影響が出るか評価ができないほどだ。

 今年の7月からの金融検査では資産査定は基本的に銀行に任せて金融庁は金利変動に伴う銀行への影響を見ることにした
国債や社債は金利リスクにさらされる割合が高く、またディリバティブも金利スワップなどはもろに影響が出る。
企業の貸出債権の査定はもういい。それは金融機関に任せて金融庁は金利リスクに注目しよう」との変革だ。
金融庁の検査官はもっぱら貸出債権の査定に傾斜していたので大改革だ。だが本当は金利リスクを正確に評価するのは並大抵のことではない。
時代に合わせて金融検査を変えようということは評価できるが、実際の現場はてんてこ舞いになるだろう。

注)特に国債の場合は金利上昇に伴って手持ちの国債の評価が大幅に下がってしまう。日本国債の金利が上昇局面になれば日本国も金融機関も同時に倒産しかねないとの危機意識がある。




 

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(25.10.10) トラブル続きのみずほ銀行 経営者不在体質が続いている!!

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(パリ ベルサイユ宮殿)

 ふたたびみずほ銀行が火を噴き始めた。2002年3行第一勧銀、富士、興銀)のシステムのつなぎシステムを稼働させようとして大規模システム障害を発生させ、こっぴどく金融庁からお叱りを被ったが、東日本大震災時に再びシステムトラブルを発生させた。
そして今度は暴力団員への融資を放置し金融庁には「そうした融資はない」と報告していたのだから、経営トップの責任は逃れられない。
事実と異なる報告を行っていたことは極めて遺憾」と金融庁に言われてしまえばあとはない。
再び業務改善命令が出され、これで合併後7件目だから業務改善命令のオンパレードだ。

注)過去のシステムトラブルがなぜ発生したのかの分析は以下参照
http://yamazakijirounew.cocolog-nifty.com/blog/2011/05/23522fg-17e1.html

 今回の暴力団員への融資の内容は、信販会社オリエント・コーポレーションで行っていた自動車関連の提携融資で、審査と保障をオリコが行いみずほBKが融資をするという仕組みである。
みずほBKはオリコが保証してくれているので安全確実な融資という位置づけであり、一方オリコは顧客から保証料を徴収できる。
信販会社は業績向上が第一だから審査はあまく、はっきり言えば返済さえ可能ならば誰にでも融資審査をパスさせてしまう。

 オリコがみずほBKと全く資本関係がなければ問題はなかったが、オリコが10年7月にみずほグループの傘下に入った為、シラを着ることができなくなってしまった。
少なくともみずほFGファイナンシャルグループ)の社長が知らないということは言えず、現在の佐藤社長は同時にみずほBKの頭取でもあるから、みずほ銀行も知らないと逃げることができない。

注)正確に言うと当時はまだみずほ銀行とみずほコーポレート銀行に分かれていて、オリコの検討をしたのはみずほコーポレート銀行。現在は合併してみずほ銀行になっている。

 当初はコンプライアンス担当役員までのミスとして逃げようとしたが、10年7月のオリコの子会社化の時点で、問題融資があることが分かり、みずほ銀行はこれを引き継ぐかどうかを役員会で検討している(議事録がある)。
君、暴力団関連の融資はやはりまずいよ、何とか解消できないかね・・・
頭取、そうしたいのはやまやまですが○○組の説得はかなり危険で難しいです。関西の地銀では担当役員が刺殺された例もありますので、へたに行うと死傷者がでます

 結局総額2億、230件余りの案件を長期的に減額させるということで(新規貸し出しをしないということ)で何とか収めることにしたようだ。
君、これは金融庁には厳秘ということにしよう。担当者にかん口令を引いておくように
しかし、こうした超内密な案件は内密なほど情報価値が高い。
出世や処遇に不満を持った担当者や役員は、「俺は頭にきた」時は情報をリークする。

 今回の案件は金融庁の検査で発覚したことになっているが、通常はそんなことはあり得ない。金融機関は隠すときは徹底的に隠すので検査で漏れるようなへまはしない。
事前にリークされた情報があり、かつ証拠書類のコピー(役員会の議事録等)などが入手できた場合にのみ、こうした問題案件が発覚するのだ。

 みずほ銀行がとくに問題含みなのは、第一勧銀、富士、興銀と言った日本が高度成長期には日本をリードしていた金融機関同士の合併だったからだ。
これが強者が弱者を飲み込む吸収合併だったら、システムも人事制度も経営方針もすべて押し付けることができる。
しかしみずほのように三行がイーブンな場合は3行の立場をそれぞれ立てなければならない。
2002年のシステム障害は各行の勘定系をそのまま残してつなぎシステムを作るという、何とも合併らしからぬ措置のために発生したトラブルであり、2011年の東日本大震災時のトラブルは取扱量の最大値の見込みを誤ったためだ。

注)つなぎシステム失敗後、一勧の勘定系システムをみずほのシステムにしたが、一勧のもつシステムの脆弱性を一勧のシステム担当者以外は把握していなかった。

 そして今回の暴力団への融資をしていたのが旧第一勧銀でオリコも旧第一勧銀の傘下にあったためみずほ全体での問題でなく、旧第一勧銀の問題に矮小化されてしまった。
この案件は一勧さん、あんたの所でなんとか裁いてほしいね。これはあんたの所で発生した問題だよ
2000年の大合併から早13年たったが、相も変わらない3行による確執がみずほ銀行全体の問題としてとらえる姿勢を弱めている。
経営者はいてもその威令は自分の出身母体の金融機関にしか及ばない。みずほ銀行と言っても内部は3行体制なのだ。

 力が拮抗している同士の合併は、なかなか合併効果が出ず、かえってトラブル続きなのは互いに人事で足の引っ張り合いをしているからだ。
このままではみずほ銀行は業務改善命令ばかりだされて、メガバンクの地位から滑り落ちそうだ。

注)東日本大震災時のシステムトラブルについては以下に詳細に記載しておいた。
http://yamazakijirounew.cocolog-nifty.com/blog/2011/03/23321.html

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