評論 中東・アフリカ アラブの春

(29.6.6) 「カタールよ、イランになびくことは許さん」サウジの最後通告

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中東の地政学は日本人にとっては今一つ訳が分からないところがある。基本的にはスンニ派とシーア派との宗教対立があり、かつてはヨーロッパにもあったプロテスタントとカソリックの対立とよく似ていて互いに敵視し殺し合いをいとわない。
スンニ派の盟主はサウジアラビアで一方シーア派の盟主はイランだ
したがってサウジとイランの宗教対立抗争を中心に中東情勢を見ていけばたいていは当たるのだが、今回のカタールに対するサウジ等スンニ派連合の国交断絶には驚いた。

 カタールはサウジとイランに挟まれてペルシャ湾のサウジ側に存在する国土が秋田県ほどの小国である。人口も200万人を少し超える程度だから日本でいえば中規模の県のイメージだが、一方天然ガスと石油で潤っており世界でも屈指の金持ち国といっていい。
特にLNGの輸出では世界最大でそのうなるカネで2022年のワールドカップの招致に成功した。宗教はスンニ派でサウジと同じであり、従来はサウジ派と思われていた。

 そのサウジ派と思われていたカタールとサウジが国交断絶にまで及んだのはイランとの関係である。本来はスンニ派のカタールとシーア派のイランは犬猿の仲になるはずだが、ペルシャ湾の海底にはイランとカタールにまたがる油田や天然ガス田があってこれの開発はイランとの共同開発が必要になる。
一方的に行うと戦争状態になるから話し合いが必要で、カタールは宗教の対立を越えて経済的利益でイランと結びつき始めた。金持ち国は宗教よりぜぜこだ。

 カタールのイランへの急接近に危機感を持ったサウジがその他スンニ派のエジプト、UAE,バーレーン、イエメン等を糾合して今回の国交断絶を主導した。
サウジと並ぶ大国のエジプトなどは地政学的にはカタールと離れておりこの断行に参加するのは不思議だが、エジプトの軍事政権はスンニ派原理組織ムスリム同胞団と戦闘状態があり、その同胞団にカタールが裏で資金提供しているために断行に参加した。

 アラブの金持ち国はどこも同じだが自国の安全を金をばらまいて守っている。暴力団にみかじめ料を支払っているようなものだが、スンニ派の過激派組織ISにはサウジから資金が流れ、ムスリム同胞団にはカタールから資金が流れている。エジプトのような貧乏国はみかじめ料の支払いがないからいいように国内でテロを決行されるという構図になっている。
なぜ中東でこうした過激派組織が棟梁跋扈するかの原因は金持ち国が資金提供をして「わが国ではテロをしないでくれ」とテロ集団に依頼しているからで、テロが起こるのはイラクやアフガニスタンやパキスタンやエジプトといった貧乏国ばかりなのはそのせいだ

 今回のカタールに対する国交断絶はサウジはイランとの対立でカタールをけん制し、エジプトはムスリム同胞団への資金提供に対抗して断絶に参加したものだ。
何とも中東の地政学は分かりずらい。

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(27.9.5) アラブ民族大移動 EUはローマ帝国になるか?

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 ヨーロッパにアラブ民族が押し寄せている。ほとんどアラブ民族大移動といったような状況だ。テレビを見ていたらハンガリーの首都ブタペストの駅に数千人規模のアラブ難民がいて、ドイツ行きの列車がくるとそれこそ終戦直後の日本の買い出し列車のような蝉噪を繰り広げていた。
入口からはいれない人は窓から強引に入っていたが、この光景はかつて日本にもあったものだ。

 アラブ難民がヨーロッパに押し寄せるようになったのにはアメリカとヨーロッパに責任がある。アメリカはイラクのフセイン大統領を、そしてヨーロッパはリビアのカダフィ大佐を殺害しアラブに民主主義の根を根付かせたと自信満々だったが、実際は更なる混乱と内戦が勃発しただけだった。
そして生活基盤を失ったアラブの人々は希望の土地ヨーロッパ、わけてもドイツを目指して殺到している。
あなた方が教えてくれた民主主義を味あわせてほしい!!!」

 現在陸路と海路からヨーロッパに難民が押し寄せているが陸路の中継地点のハンガリーが大混乱に陥った。
セルビアから毎日数千人規模の難民が国境を越えている。ハンガリーはEU加盟国だからここに入りこめばもはや国境はない。ハンガリー政府は国境に有刺鉄線を張って侵入を押しとどめようとしていたが簡単に突破されていた。警備兵がいないのだからペンチさえあればだれでも国境を越えることができる。

 ドイツのメルケル首相は人道的立場から受け入れに前向きだが、イギリスのキャメロン首相などは「難民は追い返せ」と主張している。
通常難民は政治難民と経済難民に区別され、前者は本国送還などすると生命の危険性があるので難民として受け入れ、経済難民はその国で解決する問題なので強制送還するのが原則だ。

 しかしここには二つの実務的問題があって、一つは政治難民と経済難民の区別がそれほど明確ではなく判定が難しいこと、それにもう一つは判定結果が出るまでは難民の送還ができないことだ。
通常でも判定までに1年近くかかるのは普通だから、その間難民はキャンプ地に保護しておかなければならない。さらに現在のように難民が加速度的に増えると難民判定事務など全くできなくなるのが普通だ。
だから実際は難民を追い返すことなどできず、結果的に全員をうけいれざる得なくなる。

 メルケル首相によると本年度の難民申請者数は約80万人になるというが実際はさらにその数は増加するだろう。当然のことに経済難民はドイツでも認めないが、だからといって追い返すこともできず結果的にはほとんどのアラブ人がドイツ人として生活することになる。
大変だ、ヨーロッパがイスラムに侵入される!!!」ヨーロッパ人の本音でオスマントルコのウィーン攻防戦以来の危機に陥った。

 さかのぼると西ローマ帝国は辺境から押し寄せるゲルマン人を押し返すことができず、結果的にゲルマン人の国になってしまったが、そのアラブ版が現在起こっているアラブ民族大移動だ。
陸路はバルカン半島を経由するもので、ギリシャに上陸した後はひたすらバルカン半島を北上してハンガリーにたどり着き、ここで列車に乗ってドイツを目指す。もう一つは地中海を船で渡って主としてイタリアの海岸にたどり着くルートである。
前者はシリア、イラク、アフガニスタンの難民で、後者は主としてリビアからの難民だ

 現在EUの最も差し迫った課題はこの難民問題で、ギリシャの財政危機などどうでもいいような状況になってきた。
メルケル首相とオランド大統領は受け入れのルール作りと、各国が平等に難民を負担する制度の設計に取り掛かったが、ハンガリーやバルト三国はこの措置を拒否しているし、イギリスも本音では反対でドーバー海峡を実質的に封鎖している。

 おそらく10年から20年の単位でEUはアラブとの融合国家に変貌せざる得なくなるだろう。イスラム教徒とキリスト教徒の共存だが実際は酷い混乱が予想されそうだ。
アラブに春をもたらすということの本当の意味がこの難民受け入れだったのだが、今EUはかつてのローマ帝国の末期のような混沌とした社会に陥り始めた。






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(27.3.23) テロの時代と自己責任による旅行の時代 

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 長い間日本人は海外で日本人が殺害されると本人の問題より日本政府を責めていたが、そうした時代がようやく終わりつつあり、自己責任の時代が到来した。
イスラム国で二名の日本人が処刑と称して殺害されたが、安倍首相に批判的な新聞や週刊誌は「これは安倍首相がイスラム諸国を訪問して社会インフラの支援を表明したからだ」と責めていた。

 すべては政府の責任でそうした危険地帯にあえて出かけて行った本人の責任はないかのような報道だったが、これにはあきれ返った。
イスラム国の支配地域の安全の責任が安倍首相にあるのですか?本人は安倍首相の了承のもとにイスラム国に入国したのですか?」と聞きたくなった。
しかしこうした愚かな報道もようやく終わったようだ。

 今月18日には比較的安全と言われていたチュニジアで博物館を見学していた観光客がイスラム過激派の二名のテロリストの銃弾を浴びて約20名が死亡したがそのうち3名は日本人だった。地中海クルーズに参加しており、この博物館の見学はオプションツアだったという。
今回安倍首相に批判的なメディアもこれを安倍首相のせいにするわけにはいかず沈黙している。

 現在イスラム諸国周辺ではほとんど安全と言っていい場所がなくなり、いつ過激派によるテロが発生してもおかしくない状況になっている。
だからこうした諸国への旅行は命がけであり、すべては自己責任による旅行でありテロに巻き込まれても日本政府に責任を擦り付けるわけにはいかない。
チュニジアの安全はチュニジア政府の責任で日本政府の責任ではないからだ

 なぜこのようなテロが頻繁に発生するようになったかは理由がある。
現在はローマ帝国崩壊後の地中海世界や蒙古帝国崩壊の後のユーラシア大陸の状況に似ている。
それまで世界の警察官としてアメリカがどこにでも出張っていたが、オバマ政権は明確に世界の警察官であることを辞めた。
そのため世界中でならず者が跳梁跋扈するようになり、日本でいえば平安末期の芥川龍之介が描いた羅生門の世界になってしまった。
世界帝国が衰退すると治安は一気に悪化する。

 日本周辺では最後の帝国主義国家中国が周辺の島を略奪しようとしているし、ウクライナではプーチン大統領がクリミヤとドネツク周辺を奪い取ろうとしている。そしてシリア北部からイラク西部にかけてはイスラム国が台頭してイスラム教徒以外は人間でないと宣言しては異教徒の首をはねている。
またイスラム国に呼応してフランスやベルギーでもテロが発生し、イエメンやイラクでは毎日のように自爆テロでまるで戦争状態だ。
世界帝国が崩壊した後の情景はどこも同じで混沌と暴力とテロが殷賑を極める。

 こうした時代にはリスク管理は自己責任でしなければならない。いくら安倍首相を非難してもフランスやベルギーの治安は安倍首相の責任でなく、イラクもシリアも同様だ。
かつてはこうした時代になると人々は旅行をしなくなって安全と思われ場所に引きこもってしまった。ローマ帝国亡き後の中世の時代はそのような時代だった。
しかしさすがに21世紀の今日はヨーロッパ中世とは違う。全く外国に出かけないというようなことはできないが、一方外国の安全状況は千差万別だ。
だから安全は自分で守って各国の安全を自分で評価し、結果については自己責任に徹しなければいけない時代になっている。決して人のせいにしてはいけない。

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(27.1.11) フランスの9.11 アルカイダの同時多発テロが再び発生した

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 アメリカの9.11に続くイスラム過激派の大規模テロがフランスで発生した。
アルジェリア系フランス人の二人の兄弟がパリ中心部にある週刊誌シャルリー・エブドを襲撃し編集者や風刺画家12人を殺害し、他の1名がユダヤ系食料品店で4名を殺害した事件である。他に警察官も射殺されているから被害者は17名に及んだ。
犯人3名はフランス特殊部隊によって射殺されたがまだ1名の犯人が逃げているという。
アメリカに続きフランスが標的にされたわけだが、イギリスやドイツでも同じような事件が起こる可能性が高く、こうした国家は警戒レベルを最高度に上げている。

 今回のテロはアラビア半島のイエメンに根拠地を置くテロ組織の指令で行われており、オサマ・ビンラディンの後継組織と思われる。
宗教組織が武力闘争を行い殉教と称して異教徒を殺害することに日本人はびっくりするが、日本でもオウム真理教という過激派集団が異教徒(普通の日本人)の無差別殺人を行ったのはつい最近だから驚くに当たらない。

 宗教とはその最も過激な側面として異教徒殺害を正当化する思想を常に内包しており、個人レベルで行うテロは殉教になり、集団や国家レベルで行うテロは聖戦となる。
異教徒は悪魔に精神を売り払った輩で、当然人畜にも劣るので殺害することが正義になるからだ。イメージとしては農夫が雑草を駆除しているような感じだから良心の呵責など起こるはずがない。

 異教徒が武力を持って殺し合いをしてきた歴史はどこにでもある。日本が宗教上の殺し合いに終止符を打ったのは織田信長石山本願寺を制圧して最も過激な武力集団だった一向宗の息の根を止めてからである。
信長は1570年から80年まで実に10年間かけて石山本願寺を責めたてついに降伏させたのだが、以来日本では仏教勢力が武力闘争を行うことがなくなった。
信長との敗戦で宗教は人間の精神の面だけにかかわるようになったからだ。

注)上記は基本として武力闘争がなくなったということで、時に思いだしたようにオウム真理教のような邪宗は発生する。

 ヨーロッパでも宗教戦争が終わったのは1648年で、30年間もドイツを中心に相手を殺しまくっていたカソリックとプロテスタントが和解し、ウェストファリア条約を締結してからである。
あまりに殺害が激しく集落そのものが消え失せてしまって戦闘員がいなくなってしまったからだが、そこまで戦わないと妥協する気にはならないものらしい。

 日本もヨーロッパも宗教の違いを理由とする戦闘はこうして収束したのだが、まだそれを行っているのがイスラム教徒の過激派で、特にイスラエルの土地ににユダヤ教徒が建国してからはトラブルが絶えなくなった。
熱狂的なユダヤ教徒もイスラム原理主義者も原理を重んじるので互いに妥協することがない。
このユダヤ教徒をアメリカが支援し、それに西欧諸国が追随しているためイスラム原理主義者の怒りはアメリカと西欧諸国に向かっている。
アメリカと西欧に鉄槌を加えない限りユダヤを追いだすことはできない」という心境だ。

 日本や西欧が今から400年まえに終結させた宗教戦争をイスラムはいつまで続けるつもりだろうか。心を封じ込めることはできないから実際は資金や武器の供給を絶つことが一番だが、サウジアラビヤやイランが自分の代理戦争シーア派とスンニ派の戦争)として資金も武器も供給し続けているので当面こうした事件が発生するのを抑えることは不可能だろう。
基本的には戦闘をしたい人間がいる限りは戦闘が収まることはないので、互いに殺し合いをさせてくたびれるまで待つというウェストファリア方式が有効なのだが、アメリカのように人道主義を前面に出す大国がいるとおせっかいを焼くからますます戦闘が激しくなってしまっている。

注)冷戦時代はロシアとアメリカがアフリカや中南米諸国に武器と資金を提供して代理戦争を行っていたが、ソビエトロシアの崩壊でイデオロギー戦争は収束した。

 
人道主義者には申し訳ないが、歴史を見ると人は殺し合いをしたいと思う集団がいる限り殺し合を続けるからはたから何か言って仲裁しても無駄なのだ。
かつて黒沢明監督が用心棒という映画で主人公の三船敏郎が敵対するやくざ同士をけしかけて互いに消滅させる映画を制作していたが、これが一番の解決法だと思われる。

 

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(26.6.17) バクダッドを死守せよ!!  イランとアメリカの意外な共同戦線

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昨日の敵は今日の友」とはよく言ったものだ。互いに鬼畜として罵り合っていたイランとアメリカが手を携えてイラクのマリキ政権の支援に乗り出した。
ただしイランは本気で革命防衛軍の精鋭部隊数千人を派遣したが、アメリカは及び腰でリップサービスの水準にとどまっている。

 ISIL(イラク・レバント・イスラム国)などという集団はつい最近までは無名だったが、もともとはイラクの北部のスンニ派地域を拠点とした過激派組織で、まだアメリカがイラクに駐留していた二年半前まではアメリカ軍が掃討作戦を展開して組織を押しつぶしていた。

注)ISILの名前の由来はイラクと地中海沿岸(レバント)地域を包含したイスラム国家を建設すると言う意味

 このISILが勢力を挽回したのは、12年夏から始まったシリア内戦で反政府軍の精鋭部隊として活躍したからで、シリア北部とイラク北部を完全に制圧して今度はイラクの首都バクダットに進軍を始めた。
ISILはイスラム教の教義を厳格に適用する原理主義者の集団だが、アルカイダより原理主義的で、女性にはニカブ全身を黒い布で覆って目だけ出した衣装)を義務付け、窃盗犯は手を切り落とす等イスラム法の原則を守っている。

 何か中東には次々にイスラム原理集団が現れて急進化するので、いままで厳格なイスラム法の適応を義務づけていたイランなどすっかり「世俗化した堕落集団」とISILに見なされている。
私などスンニ派とシーア派の対立などといわれても何が対立軸かさっぱり分からないが、過激派と世俗派との対立はよく分かる。

注)イランの宗教政策については前に記事を作成してある。
http://yamazakijirounew.cocolog-nifty.com/blog/2013/03/post-c824.html

 この宗教対立と石油の利権をめぐっての対立軸が相互に作用するのが中東だ。だからイラクの油田地帯キルクークの制圧を誰が行うか注目されていたが、マリキ政権の守備隊が逃げた後キルクークを制圧したのはクルド人治安部隊だった。
現在イラクは3つの勢力に分割されており、バクダットより南は貧しく何もないマリキ政権のシーア派の地盤、シリア北部からイラク中部をISILが抑え、北部を石油利権とともにクルド人が抑えている。

 一時期ISILはバクダッドの北80km地点まで進軍し、「バクダット陥落」もあるかもしれない情勢になったが、イラクのマリキ政権を実質的に支援してきたイランが本格的な軍事介入に踏み切ったので、なんとかISILの進軍を押しとどめている。
アメリカも空母ジョージ・ブッシュをペルシャ湾に派遣し、無人機による空爆を示唆しているが、これはバクダットが陥落しそうになった時の最後の手段で、イランが本格介入した以上アメリカの出番はなくなりつつある。

 考えてみればアメリカはイラクで愚かな戦争をしてきたものだ。2003年のイラクへの進撃以来8年余りも軍隊を駐留させてきたが、その結果はアメリカの敵イランの傀儡政権を樹立させただけだった
もともとは石油利権確保が目的だったが、アメリカではシェールガス革命が進展し中東の石油の魅力は全くなくなった。
もうどうでもいいから勝手に戦争をしてくれ」というのがオバマ政権の本音だから、マリキ政権支援はリップサービスにとどまるのも已むおえない点はある。

 このまま行くとイラクは実質的に3分割されるだろう。クルド人支配地区、スンニ派のISIL支配地区、そしてシーア派のマリキ政権とそれを支援するイランの支配地区だ。
前にも書いたがアメリカが世界の警察官を降りてからは世界中で騒乱が始まっている。
ウクライナでは親欧派と親ロ派の対立で国が二分されつつあり、中国ではウィグルでイスラム原理主義者がウィグルの独立を画策してテロを強化している。
一方その中国はアメリカが動かないのをいいことにベトナム、フィリピン、日本から領土を掠め取ろうとしているといった具合だ。

 今まではアメリカが出張っては「まあ、ここはあっしに任せなせい!!」なんて言って納めていたが、世界の警察官がいなくなった以上世界各地で騒乱が始まるのは致し方がない。
パックス・アメリカーナの時代が終わって世界は地域の覇権争いになってしまった。

 

 

 

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(25.10.26) リビアの内乱 独裁政権と無法政権 どっちがいいんだ!!

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(千葉県のほぼ中央にある長柄ダム)

 私が独裁政権民主主義のために倒すというのにいつも疑問を持つのは、独裁政権を倒したからといって民主主義政権が樹立することはないからだ。
2年前、アラブの春の最中にリビアに40年間君臨したカダフィ政権が崩壊し、民主主義国家ができることになっていたが、実際は部族闘争に突入しその中で指導権を持ったのはアルカイダ系組織になってしまった。
カダフィ大佐の予言私を倒せばリビアには混乱と無秩序だけになる」は現実のものとなっている。

 リビアは今ひどい混乱のさなかにあり、本来は首都トリポリがある国民評議会が国を代表していたはずが、実際は石油利権を持つ東のベンガジを中心とする勢力と、西の国民評議会を中心とする勢力に分かれてしまった
この東西対立の上に主要な都市で民兵組織が樹立され、さらに中央と地方の対立があるため中央政府の威信などどっかに吹っ飛んでしまった。
カダフィ政権の崩壊により、カダフィ大佐が隠していた武器弾薬を民兵組織が強奪して武装したからだ。

注)カダフィ政権が崩壊まじかの時点で私が記載した記事があります。一部はあたり一部は外れている。
http://yamazakijirounew.cocolog-nifty.com/blog/2011/08/2384-a4bd.html

 フランスイギリスを中心とするNATOが住民保護と民主主義政権樹立を目的にリビアの内戦に干渉し、実質的にカダフィ政権を打ち破ったのだが、その後はなすすべをなくしてしまった。
昨年9月にはベンガジにあったアメリカ領事館がアルカイダ系組織に襲撃され大使を含む4人が殺害されたし、今月に入ってゼイダン首相が武装組織に拘束されるなど、全く治安が安定しない。
アフガニスタンと同じだといったらイメージがわくだろう。

注)なぜリビアに対する軍事介入にフランスとイギリスが積極的だったかの理由はリビアの石油利権はほとんどがヨーロッパ諸国が抑えていたから。一方アメリカが消極的だったのは石油利権がなかったから。

 アラブの春はその後混乱のただなかにあり、エジプトは軍が乗り出すことでかろうじて安定を取り戻しつつあるが、これは独裁政治への復帰と同じだ。
チュニジアはリビアと同じく内戦状態でアルカイダ系武装組織が力を持っており民主政権から程遠い。

 アメリカやイギリスやフランスという諸国は民主主義の名のもとに軍事介入を繰り返してきたが、さすがに反省期に入ったようだ。
はたして独裁政治を打倒してアルカイダに棟梁跋扈させるのが民主主義なのだろうか?」
もはや直接の脅威や利権が脅かされる場合を除いて、アメリカもイギリスもフランスも世界の警察官を演じるのがすっかりいやになってきた。

 その最適な例がシリアのアサド政権に対する態度で、民主主義が大好きなアメリカもイギリスもフランスも、ただ傍観しているだけだ。会議は開くが軍事介入はジェスチャーだけだということがオバマ政権のドタバタ劇で明らかになった。
まあ、好きにやってくれ。俺たちはもう知らん

注)アメリカのドタバタ劇は以下参照
http://yamazakijirounew.cocolog-nifty.com/blog/2013/09/post-fdc3.html

 実際どのような対応がいいのだろうか。
独裁政権アルカイダ系テロ組織が戦っているときに、もっとも適切な対応は両者の共倒れを狙うことで、どちらか一方の勝利は望ましくない。くたくたになるまで戦わせるのがコツでこれはやくざの組織をつぶす場合の大人の知恵だ。
周りの国家はシリア内戦から逃れてきた難民の保護をすればいいので、戦うことがジハードになっている戦士を止めても無駄だ
リビアやチュニジアやシリアの内戦を見て、世界も少しは大人になっただろう。
戦争好きの人間は自然淘汰させるのが一番のようだ!!」と。

注)黒澤明監督、三船敏郎主演の「用心棒」と言う映画を見るとこのあたりの機微がよく分かる。

 

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(25.3.4) NHK特集 イスラムの覚醒 イランの宗教戦略

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 一般的に日本人はイスラム教についての知識がほとんどない。私もシーア派とかスンニ派といわれても歴史的な知識がないため、だからどうしたのと言った対応しか出来ない。

 現在NHK特集で「激動するイスラム」をシリーズで取り上げており、今回の対象国はイランだった。
イスラム社会ではスンニ派が8割程度を占めて、一方シーア派は2割だが、ことイランについてだけ言えばシーア派が9割と言った圧倒的多数を占めている(なぜイランがシーア派国家になったかについては知らない)。

 この両派の対立は元々はムハンマド後継者争いの結果で、スンニ派はムハンマドにつぐ実力者を後継者とした一派で、一方シーア派ムハンマドの娘婿アリを後継者とした一派である。
実力者血筋かという争いだから、どうしても実力者のほうが優位に立ち(血筋を大事にすると無能な指導者でも血統がよいということで指導者になる)、実際イランを除いてどこもスンニ派が圧倒的多数を占め、シーア派は少数派として弾圧されてきた。

 このシーア派国家イランでイラン革命が発生したのは1979年だから今から34年前で、アメリカは中東の要としてこのイランのパーレービー国王体制を支えてきたが、あっさりとイランから追い出されてしまった。
そのときの映像は何回も見たが、アメリカ大使館が占拠されて外交官やCIAの職員が多数補足され、これを奪還しようとしたアメリカの特殊部隊のヘリが砂漠で接触して墜落したりして、何ともアメリカの威信が傷ついた事件だった。

 あれから30年以上もたちイスラム諸国にアラブの春が吹き荒れ、独裁国家が次々に崩壊したが、これを好機として利用することにしたのがイランである。
見よ、わがイランははるか34年前にアラブの春の先駆けを成功している。今チュニジア、エジプト、リビア、バーレーン等でわが国に追随してようやくアラブの春に覚醒した。わが国の対応が正しかった証で、イスラム諸国はイランを中心に団結してアメリカやユダヤを追い落とそう!!」
イランはさっそく国交を断絶していたエジプトモルシ大統領に「イスラム革命」への連帯を呼びかけた。
イスラムはイスラムだ、助け合おうではないか

 イランはイスラエルを標的にした核開発を継続しているため、アメリカ主導の経済制裁で経済的にはひどく追い詰められている。
実質的な貿易の窓口は隣国アラブ首長国連邦のドバイで、ここを中継基地として電子機器等の制裁対象機器を輸入していた。

 一種の抜け道なのだが、これにごうを煮やしたアメリカがさらなる追加経済制裁措置としてドバイ政府にイランと取引のある商社の銀行口座の凍結をもとめた。
イランと取引している商社との取引を継続する金融機関はアメリカの金融機関との取引が出来ない

注)アメリカとの金融機関との取引が出来ないということはドル取引が出来ないということで、世界の金融市場から締め出されることを意味する。

 ドバイには約7000社イラン系商社があり、ドバイ政府によって口座を凍結されイランとの取引が出来なくなってしまった。すでに600社が倒産したという。

 イランはこの経済制裁によって過去1年間に物価が2倍に上昇しているが、この程度で根を上げる国家ではない。
なにしろアメリカの経済制裁は34年も続いていており、それに耐え抜いてきたのだから意気軒高だ。
経済制裁が何だ、全世界のイスラム教徒は団結して、アメリカとユダヤを追い出そう。今やイスラムは覚醒した。誇りを取り戻せ

 中東からアフリカにかけてのイスラム国家はイランを除けばスンニ派が権力を握っている。スンニ派は実力者が支配者になる党派だから社会的に優位に立ちやすい。
一方イスラム社会で貧しく地位のない人々はシーア派となって、宗教心だけが旺盛な人々になっている。イランはイスラム社会のこの貧しき虐げられた人々に呼びかける。
覚醒せよ、イスラムの時代が今そこに始まった

 この動きにイスラム諸国の貧しい国が呼応し始めた。エジプトが典型的にそれで「石油はなくとも、人口が多くとも、わが国には偉大なる宗教心がある
宗教中心の時代を中世というが、今イスラム国家が中世に回帰し始めた。

 アメリカやEUや日本は経済成長の限界に突入し、仕方なしに紙幣を印刷してインフレを起こすことしかできない。
中国やインドやその他の新興国は環境を無視した経済発展のツケを支払わされ始め、北京の空が消えてしまった。そしてイスラム諸国は湾岸の石油産出国を除いて宗教だけの中世に突入している。

注)イスラム国家が中世に突入したことについてはチュニジアのイスラム革命を例示に詳述してある。
http://yamazakijirounew.cocolog-nifty.com/blog/2013/02/post-58c7.html

なお、アラブの春については以下にまとめてつづられています
http://yamazakijirounew.cocolog-nifty.com/blog/cat45123956/index.html

PR記事

 私は過去に書いてきたブログを纏めて本にする作業を始めました。月に2冊程度の割合で出版いたします。KindleのKDP(キンドル・ダイレクト・パブリッシング)を利用していますので、電子書籍の端末を持っている方はアマゾンで購入できます(iPhoneやiPad・iPodでもソフトを入れれば見れます。またアンドロイド系のスマホやタブレットにもソフト対応していますがパソコンは不可
)。
なお、蝦夷地探訪記等の値段が200円になりましたが、ボリュームが多いとキンドルの最低価格が上がるので、私の意図的な値上げではありません。


出版済み

・ロドリゴ巡礼日誌(
山崎新書 NO1)  定価 200円(サンチャゴ巡礼フランス道の記事です)
・ロドリゴ 失敗記(
山崎新書 NO2)  定価 99円(若者が人生に失敗しないための指南書)
・ロドリゴ蝦夷地探訪記(山崎新書 NO3) 定価200円(北海道東部の過疎地帯を放浪したときの記録)
・ロドリゴネパール日誌(山崎新書 NO4) 定価200円(ネパールの明治時代を思わす山村での教育実習の記録)


なお出版の経緯については以下に詳述してあります。

http://yamazakijirounew.cocolog-nifty.com/blog/cat53203102/index.html

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(25.2.24) 新しき中世の始まり チュニジアのイスラム革命

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  私が永遠に続く経済成長などありえないと考えるのは過去にそうした歴史があるからだ。過去とはローマ帝国である。
私の趣味の一つは旅行だがイタリアやスペインやフランスやトルコを訪ねたときつくづく思ったのは、こんな立派な上下水道の施設やコロッセウム劇場図書館を建設し、都市計画は現代並みで世界中に高速道路を張り巡らせたローマがなぜゲルマン人というような野蛮な民族に打ち負かされたのかだった。

注)ローマの経済成長の限界についてはハドリアヌスが見たローマ帝国を参照
http://yamazakijirounew.cocolog-nifty.com/blog/2011/07/23720nhk-c973.html

 実際ローマ帝国は高度成長の見本のような国だったが、ドナウ川の北部まで領土拡張をした頃から生長がとまり、その後長い停滞期にはいり、最後は1000年に及ぶ中世と言うまるで経済成長とは無縁のただひたすら宗教だけが支配した世界に時代を譲っている。

 私は中世と言う社会が何とも薄暗く魅力のない世界に思っていたが、今アフリカの北部や中東の一部で復活しているイスラム原理主義の活動を見て、なぜ人々が中世の精神的世界に沈殿したか理解できるようになった。

 チュニジアといえば2011年1月に当時の独裁政権だったベンアリ政権を崩壊させ、その後のアラブの春の先駆けとなった国だが、あれから2年今のチュニジアはイスラム原理主義が復活した宗教国家になっている。
選挙ではナハバ党と言うイスラム原理主義政党が支持され、いわゆる世俗派西欧派)は少数派に追いやられ、急進的世俗派の党首は原理主義者によって暗殺された。

注)チュニギアのアラブの春の経緯は以下参照
http://yamazakijirou.cocolog-nifty.com/blog/2011/01/23128-f9ef.html

 今チュニジアではスカーフあごひげが奨励され宗教学校が続々と設立されてコーランが熱心に教えられている。ベンアリ政権のときはこうした行動は弾圧を受けて、一方でインターネットフェイスブックが西欧並みに普及していたから、何か時代が逆行しているように見える。

注)独裁政権のほうが近代的で選挙で選ばれた民主政権が原理主義宗教政権になるのは歴史の皮肉に見える。
西欧諸国はこうした原理主義運動を抑えるためにベンアリの独裁政権を支援してきたといえる。


 なぜこれほどまでにイスラム教が燃え盛るかといえば他に何もないからだ。政権が変って精神性が叫ばれれば叫ばれるほど経済活動は停滞し、失業者は増大する(石油がなければ後は観光業だけだが、原理主義運動の盛んな土地に旅行するのは身代金目当ての誘拐をしてもらいに行くようなものだ)。
若者は自暴自棄になってイスラムの戦士になり、アルジェリアの石油施設を襲撃して日本人をはじめとする高度成長派国家の人々を殺害する。

アッラー以外に神はない。異教徒を殲滅せよ」何か十字軍の昔に戻ったようだ。
こうしたイスラム原理主義はチュニジアだけでなくエジプトリビアもその嵐に巻き込まれており、中東ではイランアフガニスタンパキスタンがそのメッカになっている。

 一般にアラブ諸国といっても石油で裕福になっているサウジアラビアバーレーンドバイカタールと言った国と、石油はあってもわずかで石油の恩恵を受けない国に分かれている。金持ち国と貧乏国だ
後者は独裁国家が崩壊しても、後には何もないのだから宗教だけが人々のよりどころになる。

 アラブの春とは独裁国家が滅びればあとには宗教独裁国家が現れ、宗教国家では経済活動が停滞するので中世が現れてくることを意味している。
アラブの春」とはなんだったのか、それは世界的規模での中世のさきがけだったという事で、高度成長時代の終わりの始まりだと私は思っている(正確に言うと高度成長国家と宗教国家の世界的規模での対立の始まり)。

なおアラブの春については以下に記事を纏めてあります。
http://yamazakijirounew.cocolog-nifty.com/blog/cat45123956/index.html

http://yamazakijirou.cocolog-nifty.com/blog/cat42912271/index.html

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なお出版の経緯については以下に詳述してあります。

http://yamazakijirounew.cocolog-nifty.com/blog/cat53203102/index.html

 

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(25.2.20) NHK なぜ日本人が拉致されるのか  アルジェリア人質事件

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 NHKでアルジェリア人質事件の真相に迫る放送をしていたので興味深く見た。この事件では日本人10人を含む39人が殺害されたのだが、それがどのような経緯を経て殺害されたかが分かってきた。

 事件が発生したのは1月16日の午前5時40分で、テロリストは32名3つのグループに分かれてこの天然ガス関連の施設を襲撃している。
この施設には外国人、アルジェリア人を含め約800名が働いていたが、テロリストの人質は外国人に限られていた(アルジェリア人1名が殺害されているが、この人は警備職員)。

 今回の襲撃事件でNHKが最も重視していた視点は「なぜ日本人がこんなに多く拉致され殺害されたのか」ということだ。
殺害された外国人の内訳は日本人10名、フィリピン人8名、イギリス人6名、アメリカ人3名、フランス人1名、その他6名である。

 この施設は多国籍企業BP英国石油)が建設していたのに日本人の被害者の多さに驚かされる。
なぜイギリス人でなく、日本人の被害者が多いのか、そしてなぜフィリピン人がその次なのか???」誰でも不思議に思うはずだ。

 日本人の被害者はプラント建設大手の日揮の社員と日揮に派遣されていた職員で、17名の日本人がいたがそのうち10名が殺害され、生還できたのは7名だった。
今回の襲撃事件で始めて知ったがBP関連の居住区と日揮関連の居住区は隣接しているが別れていた

 テロ集団はその両方の施設に別々に押し入っているから、最初から居住区が別だったことを知っていたことがわかる。フィリピン人が多いのは日揮に雇われていたフィリピン人が多くいたからだろう。

 結局外国人人質は全員BP居住区の広場に集められ、手足を縛られて車座に座らされその真ん中に爆薬が置かれていた。
襲撃をすれば人質を全員殺害するというジェスチャーだが、アルジェリア政府は当初からテロリストと交渉するつもりはなく、人質に危害が及んでもテロリスト殺害を優先していた。

 各国政府は一応に人命尊重をアルジェリア政府に要請したが、本気で人命尊重を訴えていたのは日本政府だけのようだった。
なぜそれが分かるかというとアルジェリア軍の空爆でテロリストと人質が死亡すると、フランス、イギリス、アメリカともアルジェリア政府のテロ殲滅作戦を容認したからだ。

 実はテロ集団の人質事件で相手と交渉して金で解決するのは日本ぐらいで、他国はテロ対策部隊がいて硬軟両方の作戦を展開し、ほとんどの場合はテロ対策部隊が突入する。
ロシアは典型的でどんなに自国民に被害が出てもテロ集団を一人残らず殺害しようとするし、イスラエルドイツも突入派だ。アメリカやイギリスやフランスは状況に応じて対応する柔軟性はあるが、それは特殊部隊の能力が高いので余裕があるからだ。

注)ロシアは2002年のモスクワ劇場襲撃事件で死者169人、2004年ベスラン小学校襲撃事件で死者322人を出したし、ドイツはミュンヘンオリンピックのパレスチナゲリラ襲撃事件で9名の人質が死亡している。

 残念ながら日本は特殊部隊を他国に展開することはしないので(憲法の制約がある)、後は金で解決するより手段はない。
おかげで世界中の誘惑犯から鴨にされてしまって、誘惑をするなら日本人というのが常識になっている。
日本政府は金払いはいいし、一方で特殊部隊は投入しないから絶対安全だ。ネギ鴨よ

 今回のテロを計画したのはマリ北部に根拠地を置くイスラム武装勢力の頭目ベルモフタールという人物だが、彼は過去10年間に欧米人約50名の誘惑を実施しており、身代金約80億円を手に入れたといわれている。
この資金でリビアからカダフィ大佐が残した武器を密輸入し、マリ北部で隠然たる勢力を誇っている(オサマビンラディンの後継者といわれている)。

 今回の襲撃は「フランスのマリ侵攻に対する抗議だ」と言う声明が発せられたが実際に殺害されたフランス人は1名で、圧倒的に日本人が多いので話が合わない。
今回の作戦はいわゆるジハードのような自爆テロを目指したものでなく、あくまでも人質目当てで特に金払いのいい日本人を狙った犯行だということが分かる。

 番組ではアルジェリア情報相の言葉として「外国人を狙った犯行で特に日本人がターゲットにされた訳ではない」という言葉を紹介していたが、別棟の日揮の住居をわざわざグループが分担して狙っているところを見ると、そのまま信用するわけには行かない。

 2004年イラクでの人質事件では日本人3名が誘拐されたが、スンニ派の長老が間に立ってあっさりと開放されたのは日本政府が大金をすぐに払っているからだ。
世界のテロリストの間で「資金稼ぎをするなら日本人を誘拐せよ。安全確実なビジネスだ」と思われており、こうした評判を払拭しない限り日本人の海外でのテロリストによる誘拐事件は後を絶たないだろう。

注)イラクの人質事件ではNGOのボランティアをしていた女性は「イラクが好きだ」といって又イラクに外務省の制止を無視して渡航するし、劣化ウランの本を出すといっていた未成年者は本など出さずにヨーロッパに逃げてしまうし、ジャーナリストと称していた人物は解放された後日本大使館の応接室で解放後の写真をバチバチ撮って商売にしようとしていたので、日本中の顰蹙を買った。それでもこうした自己責任と思われる人にさえ日本政府は大金を誘惑犯に支払った。

注)なおアルジェリアの人質事件については以前に以下の記事を記載してある。
http://yamazakijirounew.cocolog-nifty.com/blog/2013/01/post-2105.html

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出版済み

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山崎新書 NO2)  定価 99円(若者が人生に失敗しないための指南書)
・ロドリゴ蝦夷地探訪記(
山崎新書 NO3) 定価200円(北海道東部の過疎地帯を放浪したときの記録)
・ロドリゴネパール日誌(
山崎新書 NO4) 定価200円(ネパールの明治時代を思わす山村での教育実習の記録)


なお出版の経緯については以下に詳述してあります。

http://yamazakijirounew.cocolog-nifty.com/blog/cat53203102/index.html

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(25.1.21) 歴史の変わり目 アルカイダの活動舞台がアフリカに移った

Img_0153  

  又一つ歴史が動き出したなという感想を持った。
アルジェリアで起きたアルカイダによる天然ガス田襲撃事件のことである。
今まではアルカイダといえばアフガニスタンパキスタンの国境付近を根城にテロ活動を繰り返している集団と思われていたが、今やその中心はアフリカ、それもマリの北部に拠点が移っている。

 このマリの北部一帯を中心とする地域はイスラム・マグレブ諸国といい、マリ、アルジェリア、モーリタニア、ニジェールが含まれる。
もともとは何もない不毛の地と思われていたが近年石油、天然ガス、金、ウラン等の鉱物資源が発見され一躍脚光を浴びるようになった。

 この地域が紛争の中心になったのは大量の武器イスラム原理主義者の手に渡ったからだ。それは皮肉なことにアラブの春の影響で、特にリビアのカダフィ大佐率いる軍隊にマリの傭兵が多く存在していて、カダフィ大佐敗北後この傭兵が大量の武器を携えてマリ北部に撤退した。

注)カダフィ大佐の傭兵については以下の記事で記載してある。
http://yamazakijirou.cocolog-nifty.com/blog/2011/02/23225-9a7f.html
 
 この地域のイスラム原理主義者の武装集団をAQIMというのだが、このAQIMの軍事力がマリ政府の軍事力を上回るようになり、南部にあるマリ政府転覆を開始した(北部はすでにAQIMの支配下にあった)。
瞬く間に政府軍を蹴散らしたのであわてた旧宗主国のフランスがマリ政府の支援に乗り出した。
こうした情勢下で起こったのがアルジェリアにあるガス田建設現場の襲撃事件である。

 目的はいくつかあり、いくつかの声明が出されている。

① フランス軍機がアルジェリア上空を通過してマリに進軍しAQIMを空爆していることに対するアルジェリアへの警告。

② アルジェリアに捉えられているアルカイダの囚人100人の即時解放

③ 人質の解放条件として多額の身代金を要求する。

 こうした要求に対してアルジェリア国軍の対応は、「テロとの妥協はせず、殲滅する」ということで、これはロシアのプーチン大統領の戦略とまったく同じだ。
人質の命ははっきり言えば二の次でテロ集団を一人残らず殺害することに主眼が置かれ、人質が助かればそれは僥倖という判断である。

注)ロシアでは02年10月にチェチェンの武装勢力によるモスクワ劇場占拠事件があり130名の人質が殺害された。又04年9月には北オセチアの小学校がやはり占拠され330名の人質が殺害されている。いづれのときもプーチンはテロ集団を殲滅する命令を下した。

 アルジェリア国軍がどうしてこのような判断をするようになったかというと、1992年以降続いてきたイスラム原理主義者との死闘がある。この戦闘で20万人弱の人名が失われたといわれており、今さら軍部はイスラム過激派と妥協できない立場にある。
絶対に妥協するな、一人残らず殺せ。そうしないとわれわれが殺される

注)1991年に選挙でイスラム原理主義勢力が圧勝したが、これを危惧した軍部が1992年クーデタを起こして政府を転覆させた。そのため軍部とイスラム原理主義勢力との死闘が始まり20万人弱の人名が失われた。
1999年に一旦軍部とイスラム原理主義勢力は停戦したが、これに不満を持つ過激派はマリ北部に逃げて反攻の機会をうかがってきた(今回の襲撃がそれに当たる)。


 アルジェリアは天然資源の宝庫で石油や天然ガスの埋蔵量が多い。今回のガス田はBP(イギリスの大手メジャーが建設していたが、日本のプラント会社日揮もそこに参加していた。
79名の職員が働いており内日本人は17名である。
情報が錯綜していて明確なことは分からないが日本人の7名は救出され10名は行方不明になっている。

 アルカイダの活動は今やアフガニスタン中東)からアフリカに主戦場が移ってきた。今回の事件はその端緒だろう。
アフリカには最新鋭の武器が溢れかえり、資金さえあればいくらでも入手が可能だ。AQIMはここに南アメリカからアフリカ各地に運ばれる麻薬中継基地を作って通過料をせしめているので資金は豊富だ。
時代が変ったのだ。
日本はアフリカへの進出について、最高度のリスク管理を強いられるようになったと判断すべきだ。

注)アフリカ・中東関係の記事は以下に纏めてあります。
http://yamazakijirounew.cocolog-nifty.com/blog/cat45123956/index.html

PR記事 四季の道駅伝の参加者募集 四季の道駅伝実行委員会

2月17日(日)おゆみ野四季の道で小中学生の駅伝が行われますが、今年より高校生以上の部 5kmが新設されました。
これは駅伝ではなく
5km走です。
募集を行ったところ参加者が現在
12名程度で、実行委員会が目標にした30名程度をかなり下回っております。

そこで高校生以上5kmの部の
追加募集を行っております。
参加希望者は、
氏名、男女別、年齢、住所をこのブログのメール機能あるいはコメント機能)を使用して申し込んでいただければ結構です。

なお詳細は以下の通り


・ 17日 9時より有吉中学校前で受付(500円の参加費用を払ってゼッケンを受け取る)
・スタート 9時40分 有吉中学校。
・ゴール 夏の道ののりくら公園(四季の道を一周)

・参加資格  おゆみ野あるいはその周辺に住んでいる住民
・荷物   出発地点において置きますのでランナーはゴール後出発地点に戻って回収してください。

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