(23.6.22) NHK クローズアップ現代 アジアの舌を攻略せよ 外食産業の海外進出
日本に外食産業が現れたのは1970年ごろからである。その頃から日本のあちらこちらに回転寿司やケンターキー・フライドチキンやロイヤルホストやすかいらーくといった店が現れた。
外食チェーン最大手のマクドナルドは1971年に日本に進出している。
ちょうど私が大学を卒業する前後で、「へー、これからはこんな店がはやるんだ!!」なんて驚きの気持ちで見ていた。
その後日本の外食産業は驚異的な成長をしたが、80年代後半に20兆円の市場規模になった頃から成長が鈍化し始め、バブル崩壊で完全に行き詰った。
1997年の20兆円前半の数字をピークにその後は長期停滞に入り、増加もしなければ減少もしないといったような高原状態が続いている。
一方外食産業相互間の競争は激しく、マクドナルドが80円バーガーをだして同業他社の追い落としを図ったり、吉野家が会社更生法を申請して実質的に倒産したりしていた。
日本は1990年前後のバブル崩壊以降名目のGDPはまったく成長しなくなり、又人口構造も少子高齢化が進んだため、外食産業の主なターゲットである若者が少なくなってしまったのが長期低迷の原因だ。
私はこの業界のことは単なる消費者としてしかかかわりがなかったのであまり注意していなかったが、昨日(20日)NHKのクローズアップ現代で「アジアの舌を攻略せよ」という外食産業の海外進出の話題を取り上げていた。
外食産業は製造業のような大規模な資本投下が必要ないので気軽に海外進出できるところがいい。
主として中国、台湾、タイ、シンガポールと言った所得の高い中産階級が増加している新興国が進出の対象だった。
映像ではタイの成功例と中国の失敗例が紹介されていた。
タイの成功例はカレーのチェーン店での進出で、タイの伝統的なカレー料理との差別化をはかり、タイのカレーの2倍の価格ではあるが日本の味そのもので勝負していた。
その成功のポイントは高級感だそうだ。
私はタイには何回か行っているのでよく知っているが、夕方になると公園や道端に屋台が出てきて一食100円から150円程度でタイ独特の調味料をきかせたスパイス料理を食べさせてくれる。
私は好んでこうした道端の屋台で食事をするが、一般の日本人は衛生上の問題があるといって寄り付かない。
日本から進出していたカレー店は店のつくりを高級にしてテーブル間のスペースも十分に空けて、主として中間層の女性を対象に業容を拡大していた。すでに日本の一店舗あたりの売上げよりタイの方が大きくなっているのだそうだ。
日本食はヘルシーとの評判は世界的に立っているので、健康志向の中間層への拡大は大いに有望だと言う。
一方失敗例は中国の大連に進出した焼き餃子店で店の縮小を余儀なくされていた。
中国では餃子と言えば水餃子で、焼き餃子は水餃子があまって翌日になって食べる時の方法なのだそうだ。
「焼き餃子なんて余りものよ」と言う感覚らしい。
さらに問題は中国の食習慣で中国では個人食がはやらず、食事は家族全員といったような集団食が普通なのだそうだ。
ところが日本では餃子定食のような個人食が一般的なため、この中国の食習慣とあわないと放送では言っていた。
それに中国料理は世界的にも一級品だから、そこで外食産業が競争するのは並大抵のことではなさそうだ。この餃子店以外にも撤退や業容縮小する外食産業が多く、進出した企業の約40%が失敗していると言う。
私なども海外に行ってもっともよく食べるのは中国料理で、これを食べている限り海外でも健康面の心配をしないで済ませることができる。
注)マクドナルドも簡単でいいのだが、毎日マックを食べていると体調を崩してしまう。
NHKの森本アナウンサーが「外食産業の新興国への進出は希望が持てますね」とジェトロのコメンテーターに言っていたが、中国を除けばかなり有望そうだ。
日本市場はすでに飽和状態でパイの奪い合いをしている状況だから、人口が増加しファッショナブルな若者が増え、所得も増加している東南アジアへの進出こそが、日本の外食産業の生き残り戦略になっている。
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