
前にNHKで放送された番組で食事制限をするとサーチュインという長生き遺伝子がONになって長生きできるようになると言う番組があった。
「長生きしたければ飽食をするな」と言う番組で私もずいぶん影響を受けたが、今回のドキュメンタリーは2011年にフランスで製作された番組で、内容はもっとラジカルで「絶食をすると病気が治る」という番組だった。
注)サーチュイン遺伝子に関する記事は以下参照
http://yamazakijirounew.cocolog-nifty.com/blog/2011/06/23614.html
この絶食の研究は旧ソ連で40年以上も前から行ってきたのだが、実際は食事を拒否する精神病患者に手を焼いた医者が、「もういい、ほっとけ」と見放したことに始まる。
旧ソ連の医療で特に精神病患者に対する医療行為はひどいもので電気ショックなどを平気でやっていたが、重度の食事を拒否した患者がその後急回復し通常の生活に戻れたことに担当の精神科医が注目した。
その後系統的に8000人の精神病患者に絶食療法を施したところ、約70%患者で改善が見られ、その後も47%の患者の経過が良好なままだった。
ロシア科学アカデミーが本当に絶食が病気治療に効果があるのか追試をして、その結果、精神疾患、気管支疾患、心臓疾患、胃腸疾患、内分泌疾患、消化器疾患、関節疾患等に効果があることが確認されたと言う。
私などでも胃腸や消化器が何か変だとしばらく何も食べなければ直るから胃腸疾患や消火器疾患はそうだろうと納得いくし、過食すると精神がいらいらするから精神疾患にも効きそうだと言う感じはする。
だが気管支疾患や心臓疾患まで効果があると言うのが良く分からない。
医学的な説明では飢餓になるとホルモンの分泌が変わり自己調節機能が働きだすからだそうだ。
そもそも人間は飢餓であった期間が圧倒的に長く、飽食になったのはせいぜい産業革命以来のここ2百年程度に過ぎない(ただし古代ローマのローマ人は飽食だった)。
したがって本来は飢餓の状態でホルモンのバランスが取れていたのが、すっかり飽食になりバランスが崩れてしまった。
今の状態が異常でこの異常な状態を元に戻してやれば、本来人間が持っている自己調節機能が働くのだという。
たとえばなぜ精神病患者が回復するかと言うと、飢餓になるとセロトニンという精神を安定させる物質が出て、暴力的な態度やうつ状態を改善させるからだと言う。
どうやら人類は飢餓になってもすぐにパニックに陥らないよう落ち着かせるためにセロトニンが出るみたいだ。
絶食療法で面白かったのは人類はどの程度絶食に耐えられるかの研究だったが、大体40日程度は水だけで生きられると言う。
日本の事例でも六甲山で遭難した西宮市の職員が24日間水以外はほとんど食べないで生還した事例があった。
人間を使っての飢餓実験は(死んでしまったら大変だから)無理だが、南極の皇帝ペンギンの雄の観察では冬何も食べずに4ヶ月間卵を抱いていることが知られている(プラネットアースで放映していた)。
ラットも同じく4ヶ月程度は何も食べなくても生きながらえるのだそうだ。
この研究の結果から人間も大体4ヶ月程度は生きながられそうだが、このメカニズムは脂質を使って生き延びることだそうだ(熊の冬眠と同じ)。
血液に含まれるブドウ糖などは1日程度しか持たないので、次は筋肉を分解してブドウ糖を作るのだが、心臓も筋肉なのでこれも限界がある(心臓が働かなくなる)。
あとは体内に15kg程度(身長170cm、体重70kgの人の場合)ある脂質を分解して生きていればまず40日は確実に生きられるのだそうだ。
注)絶食療法で使うエネルギーはたんぱく質が4%、脂質が96%だという。なお超長距離走を行うと使うエネルギーはほとんどが脂質であることが知られており、走った後は体脂肪率が極度に下がっている。
最も実際にこの絶食療法を行うと3日目ぐらいにアシドーシスという麻薬患者が麻薬が切れたときのような症状が出て病状が悪化するが、大抵の場合は1日程度でこのアシドーシスはおさまり、その後はまったく何も食べなくても平気だと言う。
このアシドーシスを乗り切るためには専門家の指導が必要で自分だけで絶食療法を行うのは危険だと番組では警告していた。
絶食や擬似絶食は先に見たサーチュイン遺伝子をONにして長生きしたり、またホルモンのバランスを整えて私が悩んでいる胃腸病に効果がありそうだ。
「よしそれならがんばるぞ」
数日前から食事を減らして間食はまったくしないようにした。
朝はパン1枚と紅茶、昼は牛乳だけ、夜だけまともな食事をしている。
おかげで頬は削げ落ちて、腹はぺちゃんこになっている。
「お父さん、すこしやせすぎよ」娘から注意されてしまった。
果たしてこれで効果があるだろうか。絶食療法では最低2週間、場合によっては3週間程度の絶食が必要だから、私の擬似絶食療法は5月いっぱい食事制限を続けてみることにした。
なお、老化対策にかかる記事は以下にまとめてあります。
http://yamazakijirounew.cocolog-nifty.com/blog/cat44501378/index.html
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