(28.3.10) インド経済のアキレス腱 債券市場がなくては資金はただ逃げる!!
インド経済も一筋縄ではいかないようだ。2年前にモディ政権が誕生してからは、世界は次はインド経済の離陸だとはしゃぎまわっているが、世の中の期待どうりにはことがすすまない。
さきにカースト制度がモディ政権の足を引っ張っている記事を掲載したが、今度は通貨ルピーが過去最低値をつけて推移している。
注)カースト制度がインド経済の足を引っ張っている現状は以下参照
http://yamazakijirounew.cocolog-nifty.com/blog/2016/02/ppppp-9.html
この時期世界で7%以上の経済成長をしている大規模の経済といえばインドしかなく、世界の資本がインドに一斉に集中しているかと思っていたが実際はインド市場から資金が逃げ出している。
最も逃げているのは足の速い短期資金だがインドに はこの短期資金を呼び込む装置が株式市場しかない。
今年に入って世界の株式市場は大荒れでいづれも急落しているが、通常は日本が典型的にそうであるように株式から引き上げられた資金はその国にとどまって債券投資等の他の安全な資産運用に向かっていく。
しかしインドは国債等の債券投資に厳しい制約があり、国債の場合は全発行額の5%程度しか外国人に開放されていない。しかもこの上限枠以外に保有期間制限があるので投資家は買いたくても買えないし売りたくても売れない。
「マレーシアやインドネシアの国債はいくらでも購入できるのにインド国債はまったくてにはいらない。利回りが8%なのだから購入したいのに何とも不便なことだ・・・・・」
特に現在のように株式の急落が始まると、解約した株式の代金はインドにとどまらず海外の運用に回されるために通貨ルピーは売られて最安値を更新し始めた。
インドは貿易立国とは言えず、原油や食料を大量に輸入している貿易赤字国で、国際収支は常に赤字だがそれを海外からの借入でファイナンスする構造になっている。
だから資金の流出は通貨ルピーの低下となって反映される。
現在対ドルで史上最低になっているが今年に入ってから6%程度値下がりしている。
ルピーの低下は即輸入物価の高騰に跳ね返るのでインド経済にとっては由々しきことだ。
モディ政権は長期の投資を促す措置や債券市場の開放を徐々に進めているものの、既得権者の抵抗が激しく改革もままならない。
当初は世界がモディ政権を歓迎したが今はかなり覚めた目で見ている。
「モディも最初は華々しかったが、インド特有の保守の岩盤抵抗にあって経済開放もままならないのか・・・・・・・・」
だが中国経済が完全に失速し、今や世界のお荷物になっている現状からすればインドががんばってくれないことに は世界経済の飛翔はありえない。
安倍首相はインド経済の飛躍のためにインフラ投資や新幹線の導入等の支援を懸命に行っているが、インドに はインドの制約条件があり一筋縄ではいかないようだ。
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