評論 世界経済 ロシア経済

(29.3.15) 軍事と資源だけのロシアはどこまで生き続けられるだろうか。

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 ロシアは軍事力と資源が突出しているが、通常の経済力は貧困のままであり原油や天然ガス価格の推移でロシア経済は大揺れになる。
2014年ごろまでは原油価格が年平均100ドル程度だったので国家予算は大盤振る舞いで軍事費も民生費も大幅に増額され、プーチン氏の指導力は盤石だった。

 しかし15年に入ると原油価格は年平均50ドル程度になり、さらに16年には年平均40ドルまで低下したためロシア経済はジェットコースターのように落ち込み、15年16年とマイナス成長を余儀なくされてしまった。
物価は上昇し生活は日を追って悪化していたので、こうしたときは国民の目を海外に向けさせないと生活苦の不満が一斉にプーチン政権に向かってくる。

 15年10月からシリアのIS拠点の空爆を開始したのはそのためだが、特にロシア海軍がカスピ海から巡航ミサイル26発を発射させ、1500kmの距離を飛行して目標に正確に到達したのには世界中が目を見張った。
これはアメリカのトマホークの能力に匹敵しその映像を見たロシア人が狂喜していた。
インタビューを受けたロシア人が「生活は苦しいが我が国の軍事力はアメリカに負けない」と小躍りしていた映像を思い出す。
その後も地中海に展開した空母からの空爆を実施する等ロシア軍の軍事力は世界一流であることを証明している。

 プーチン氏にとって国民の生活苦を忘れさせるためには赫々たる戦果が必要でこれは旧日本軍の大本営発表と変わりがない。しかもロシア軍の空爆は大本営発表と違って本物だからすっかりロシア人は舞い上がってしまった。
然し実際は15年16年と続いた原油価格の低迷によりロシア経済はガタガタになっていたのだ。
国家予算は過去の原油価格上昇時に積み上げた基金により何とか維持してきたが、それも限界に達し16年の予算では軍事費は増額したが民生費は一律10%減額している。

 さらにクリミアを併合しウクライナ東部を実質支配下の置こうとした行動は特にEU諸国が強く反発してロシア制裁が実施されているため西欧との輸出入に支障をきたしている。
ロシア制裁の中身は軍事技術と原油等掘削技術のロシアへの提供禁止と金融制裁だが、前者はロシアそのものがとびぬけた軍事技術と資源開発技術があるためほとんど制裁になっていない。

 制裁の中で最も効果があるのは金融制裁でロシア政府やロシヤの大手企業がヨーロッパやアメリカで資金調達をすることができなくなっている。
自己資金だけで経営を行っている企業のようなもので、市場からの資金調達ができないと企業規模の拡大はできないがちょうどそのような状況に陥っている。
簡単に言えば真綿で首を絞められたまま呼吸しているようなものだ。

 ロシアにとって幸いなことに17年に入り原油価格は50ドル前後に回復したため17年度のGDPは3年ぶりにプラスになると予測されているがそれも市場次第だ。
トランプ政権が意図的にシェール石油やシェールガスの増産を奨励するような措置をとれば瞬く間に原油価格は40ドル程度に落ちるから、これではロシアの成長はおぼつかない。

 ロシアやサウジアラビアが日本との経済連携を求めて動いているのは、原油価格の決定権をアメリカのシェール産業に奪われて自主的に価格を決定できないからで、「このままでは翻弄される笹船になってしまう」危険性におびえているからだ。
ロシアは軍事と資源だけの経済で今後もこの基本構造が変わるとは思われないので、ロシアの将来は明確でない。資源価格次第だとしか言えないのが実態だ

 

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(28.1.14) 強気のプーチン氏を苦しめる経済失速 「原油価格が上向かないとロシア経済は崩壊だ!!」

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 現在最も自信にあふれた政治家はロシアのプーチン大統領で、14年3月のクリミア編入、15年9月のシリア空爆開始とあたるところ敵なしの状況だ。
恒例の年始の大統領スピーチも相変わらず強気だった。
ロシア国民はそうしたプーチン氏の強気で自信に満ちた態度が大好きらしく支持率は85%に達していたから、よほどのへそ曲がりでもない限りプーチン氏を支持していることになる。
プーチンは我々ロシア国民の誇りだ!!」歓喜している。

 だがロシア経済の実態を見てみるとどうしてそんなに強気でいられるのか不思議なくらいな惨状になっている。
ロシア経済はほとんど地下資源で持っているようなところがあり、特に原油と天然ガスのあがりで食っていて、国家収入のほぼ半分は資源関連企業に対する税金で賄われている。

 問題は原油価格がつるべ落としのように低下していることで、16年度の予算作成時期の想定価格を1バーレル50ドルと置いたが、すでに30ドル前後になっており、さらに低下しそうなことだ。
もともとは80ドル近くでないと均衡しないのに、これではいくら予算を組んでもすぐに歳入欠陥になってしまう。
支出の約3割は社会保障費であり、約2割が軍事費だがこの二つは圧縮することができない。
社会保障費を削減するとそれでなくても貧しいロシア国民がさらに貧困に追い込まれるし、軍事費を削減してはISとの戦闘に勝てない。

注)ロシア経済の実態については前にもレポートしてある。
http://yamazakijirounew.cocolog-nifty.com/blog/2015/07/ppp-16.html

 ロシアは赤字の補填を原油価格が高かった時期に積み立てていた40兆円あまりの基金を取り崩して埋め合わせをしていたのだが、その基金が底をつき始め2018年末の段階で3.5兆円規模の基金しか残らないだろうと政府高官が発言している。
だがこの発言もかなり楽観的なもので原油価格がさらに低下し、ISとの戦闘が泥沼に入れば基金はたちまちのうちに底をつく。
2018年末ではなく2016年末にも底をついてもおかしくないのだ。

 プーチン氏のロシアは政治面での華々しさとは対照的に、経済面では散々だ。
GDPは15年度▲3.7%と減少し、物価上昇率は12.9%となり、ロシアのいう貧困者数は200万人増加して2030万人になってしまった。これは人口の14%相当し、月に1万6000円以下の収入で暮らしているという。

注)ただしロシア人はほとんどの家庭でダーチャと称する家庭農園を持っており、最低限の食糧はここで自ら生産している。

 プーチン氏は2016年のGDPは1%程度の成長をすると国民に述べていたが、半年もたたないうちにこの言葉を撤回せざる得なくなるだろう。
どのように見てもロシアにとって経済が好転する要因はない。
欧米の経済制裁は続き、ウクライナとトルコとは制裁合戦をおこない、ISの空爆は継続しなければならず、一方原油価格は傾向的に低下する。
これでロシア経済が上向いたらまさに奇跡としか言いようがない。

 原油価格が低下し始めたのは14年の夏からだが、直接の原因はアメリカが14年10月にそれまで行っていたEQ3(量的緩和策の第三段で毎月10兆円規模の資金を市場にばらまいていた)を止めたことにある。
すでに14年夏の段階で量的緩和が終わることが明確になっていたので投機筋が原油市場から資金を引き上げ始めていた。
この低下傾向は中国経済の悪化が加わったために15年末まで続き原油価格はついに40ドルを割ってしまった。
そしてこの原油価格に最後のとどめを刺したのがアメリカのゼロ利政策の終了で、それなら原油よりドルを持っていた方がいいとさらに資金が引き上げられたためとうとう30ドルを割ってしまった。

 このアメリカの量的緩和策の終了やゼロ金利政策の終了はもっぱらアメリカ経済がバブルに突入しないための予防措置だが、信じられないレベルまで原油価格を押し下げ、産油国のロシアやサウジの経済を直撃している。
アメリカとしては思わぬ効果でこれを継続することでロシアを封じ込めるめどがたった。
プーチンがいくら強気でも原油任せの経済で先が見えた。経済が大混乱に陥ってプーチンはゴルバチョフになる

 大国ロシアの復活を夢見たプーチン氏だがこの原油価格の低迷ではロシア経済が持たない。このままいくと1990年後半のロシアに逆戻りになり、ロシア経済は再びデフォルトの危機に直面しそうだ。


 

 

 
 

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(27.7.28) ロシア経済も奈落の底に落ちていく 救う手段は全くない!!

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 中国経済が低迷し、韓国経済が奈落の底に落ちようとしているが、今度はロシアがひどいマイナス成長になってきた。大失速といっていい。
プーチン大統領が昨年3月クリミア半島に軍隊を派遣し統合した時にはよもやこれほどの痛手を被るとは予想をしていなかったろう。

 ロシア経済は石油と天然ガス(輸出の約3分の2でもっていてこの資源価格が高止まりしている限り、ロシア経済は安泰だ。しかし昨年の夏場から原油価格が大暴落をはじめ1バーレル100ドル程度だったのが、今や50ドル前後まで半減してしまった。
国家の歳入は石油やガス会社の上がりで持っているようなものだから、簡単に言えば国家収入が半減してしまった。

 プーチン大統領はクリミア半島併合後はさらにウクライナ東部のドネツクやルハンスクの住民をたきつけてウクライナからの分離独立運動を支援したが、さすがにこれには西側諸国が反発してロシアへの経済制裁を発動した。
経済制裁の最大のポイントは西側金融機関との取引停止で、これで金融機関からの資金調達も石油代金等の決済もできなくなってしまった。
金融機関は今や世界のインフラだから、金融制裁の発動は痛い。銀行との取引ができなくなると個人イメージで言えばクレジットカードの利用も口座振り替えも送金もできなくなってあとはすべて現金を持ち歩かなくてはならなくなるがそんな感じだ。

注)ロシア経済の苦境については何回も述べてある。
http://yamazakijirounew.cocolog-nifty.com/blog/2014/12/post-3446.html

 経済指標は昨年の第4四半期あたりから急激に悪化してGDPはマイナス成長になり、物価はうなぎのぼりになって10%を越えてしまい、さらに今年になって17%と悪化している。
あまりの物価上昇に堪えかねて昨年12月には政策金利を17%に上げたが、これはいくらなんでも上げすぎでその後国内投資は全くと言っていいほど停滞してしまった。
17%の金利を支払って商売できるような案件はどこにもない。

 最近になってプーチン大統領が採った措置は内務省職員の1割削減措置だった。約11万人規模だという。さらに防衛費も1割削減でプーチン大統領も自己の給与を1割削減した。
原油価格の上昇は当面見込めない。国家収入が半減しているので国民も痛みを分かち合ってほしい」苦渋の選択だろう。
ロシアは意外と貧しい国だ。貧困層の定義は月に2万円の収入以下だがそうした人が約2000万人程度いて、それが急速に増加している。

 プーチン大統領は年金改革やその他の補助金でこうした貧しい人々の生活改善を図ってきており、それがプーチン大統領の支持基盤だったが逆回転を始めた。
物価上昇で貧困層は悲鳴を上げておりプーチン氏を見限り始めている。
我々に死ねというのか・・・・・・
ただロシア人は昔から生活防衛は上手で個々人はダーチャという小規模の農耕地を持っておりそこで栽培した野菜類で自給自足の生活ができる。

 ロシアは中国と組んでAIIBの創設に熱心で出資割合も中国29.7%、インド8.3%、ロシア6.5%の順に出資することにしたが、中国を除けば何か貧乏人のムジンのようになってしまった。
またBRICS銀行の方も悲惨でブラジル、南アフリカ、インド、ロシアとここも中国を除けば世界の貧乏人のオンパレードのようなもので、ブラジル、南アフリカ、ロシアがマイナス成長、インドは完全な借金体質、そして中国経済は急ストップだからこちらも銀行というよりムジンと何ら変わりがない。

 昨年の夏場から世界経済は変調をきたしていて特に資源価格が暴落したが、最大の要因は中国の成長が止まりいわゆる資源の爆買いが終わったからだ。
ロシアは資源価格だけで国家運営をしている国柄だから、完全な逆風に吹かれている。
いくらプーチン氏が強気でもこの逆風はどうにもならない。
相かわらず突っ張る以外にプーチン氏の残された手段はなく、弱気のプーチン大統領などはありえないからロシア経済が奈落の底に落ちていくのを救う手段はない。

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(26.12.17) ロシアはデフォルトか西欧への屈服しか選択肢がなくなった!!

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 現在市場から最も狙い撃ちされているのはロシアだ。すでにロシアのRTS日本でいえば日経平均)は年初来45%も値下りしており、この値下がりはどの新興国、先進国の中でも最も大きい。
しかもこの値下がりは原油価格に連動しているから、最近の値下がりはジェットコースターに乗っているようなめまいがするほどだ。

 ロシア中央銀行はルーブル防衛のために基準金利を17%にあげたが、それでも通貨安は止まらず1ドルに対し78ルーブルになってしまった。この夏までは30ルーブル台だったから約半年で半額になった。
17%の高金利でも通貨防衛ができず、一方こんな金利水準では誰もお金を借りて投資を行う人がいなくなってしまう。

 プーチン大統領はなお強気の発言を繰り返しているが、ロシア中央銀行は悲鳴を上げた。
大統領、大変です。このまま推移すれば我が国はデフォルトに陥ります
ロシアが前回デフォルトしたのは1998年だったが当時はエリツィン政権で国庫には本当に一銭の金もなかった。
エリツィンは仕方なく印刷した紙幣を飛行機に積み込んで地方に運んでいたものだ。だがそのルーブルはその日のうちにドルにかえられた。あの日の悪夢がよみがえってくる。

 今回は当時と異なり4000億ドルにおよぶ基金があると言っているが、一方でロシアからの資金流出はそれを上回る規模で行われていると西欧筋では見ている。
4000億ドルが底をつくのは時間の問題だ。そうなるとデフォルトになるから今のうちに金を引き上げろ!!」

 ロシア経済は石油と天然ガスで持っているのだが、その原油価格が一頃の100ドルから55ドル程度まで落ち、さらにどこまで落ちるか分からない状況下では、ロシア経済に救いはない。
ロシア中央銀行の推定では1バーレル60ドルで来年度のロシアのGDPは▲4.5%になるという。
もしこれがヨーロッパ諸国だったらEUが救済に乗り出し、アメリカ組であればアメリカとIMFが救済に乗り出すが、ロシアにはそうした友達がいない。
致し方なく中国に接近しているが、中国も現在経済が地獄が覗いているのでとても人助けをしている余裕などない。

 かくして世界のヘッジファンドはルーブルの投げ売りに走っている。
「ルーブルは確実に下がる。空売りの好機だ!! 売って売って売りまくれ!!」
プーチン大統領に残された選択肢は二つだけだ。
このまま意地をはってロシア経済を倒産の危機にまで追い込むか、それともオバマ政権に詫びを入れてウクライナから撤退し、国際社会に復帰してIMFからの支援を受けるかの選択だ。

 この春先まではプーチン氏はこの世の春を謳歌してた。シリア空爆を阻止し、クリミヤを併合し、ウクライナの親ロシア政権を樹立できると踏んでいた。
しかしあれから半年、プーチン氏は地獄を見ている。
まことにこの世の変遷は激しく方丈記の世界になってしまい「行く川のながれは絶えずして、しかも本の水にあらず。よどみに浮ぶうたかたは、かつ消えかつ結びて久しくとゞまることなし」の状況だ。

注)なおロシア経済のより詳細な実態分析は以下参照
http://yamazakijirounew.cocolog-nifty.com/blog/2014/11/post-b492.html


 

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(26.11.12) ついに為替管理を諦めたロシア中銀 経済制裁と原油価格低下には勝てない!!

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 ここに来てロシア経済が一気にきな臭くなってきた。ロシアのクリミア半島併合以来西欧諸国とロシアは制裁合戦を行ってきたがそれでもどこか余裕があった。
経済制裁に熱心だったのはアメリカだけで、ドイツも日本も本音では経済制裁に反対だったから、プーチン大統領としてはこの西欧制裁網をいつでも取り崩せると思っていたはずだ。

 経済制裁の主なものはロシア大手金融機関に対する融資の制限大手エネルギー会社に対する資金と技術支援の停止、それにロシア財閥の海外資産の凍結だったが、これがここに来てボディーブロウのように効きはじめた。
当初「この程度では何の影響も出ない」プーチン大統領が豪語していたが、この10月頃から始まった石油価格の下落が経済制裁と連動してロシア経済に赤ランプを点灯させている。
ダブルパンチを食らってはプーチン大統領も勝てない。

 なぜ原油価格の低下がダメージかと言うとロシアは石油と天然ガスの輸出だけで持っている国で、これが全輸出額の7割に当たる。他に何もないと言っていいほどの資源輸出国だが、原油価格がここ数年1バーレル110ドルを越えていたのに現在は80ドル前後でさらに低下速度を速めている。
経済制裁と原油価格の低下のダブルパンチでロシア経済の成長率はほぼ0%に張り付いたが、それよりも問題なのは通貨ルーブルが急落して、ロシア中央銀行がいくら買い支えようとしても支えられなくなってしまったことだ。

注)原油価格低下の原因については以下に詳述しておいた。
http://yamazakijirounew.cocolog-nifty.com/blog/2014/10/post-d12c.html


 ロシアの通貨制度は一種の管理通貨制度通貨バスケット制と言ってドルとユーロに連動するというのだが、実際はロシア中央銀行がルーブルが低下しないように慎重に価格操作を行ってきた。
それが年初1ドル33ルーブル程度だったのが今では48ルーブルまで低下してこの先どこまで落ちるか分からないという状況になっている。

注)ドル・ルーブルの為替推移の明細は以下参照
http://jp.advfn.com/exchanges/FX/USDRUB/chart

 日本などは円安になると輸出産業が大復活するので「円安歓迎」のムードがあるが、ロシアは反対で、ルーブル安だと原油と天然ガスの代金が減少する。最も天然資源価格は長期で契約しているから価格低下にはタイムラグがあるので当初は「かえってルーブルでの収入は増えるのだ」と居直っていたが、そうとばかり言えないのは輸入物価が高騰するからだ。
日本でも輸入産業わけても天然ガスを輸入している電力会社などは悲鳴を上げているが、ロシアの消費者物価は4%を上回るようになってしまった。

 ロシア中銀は10月にはいってルーブル防衛のために3兆円規模の為替介入を実施したがまったく効果がなく、このままいくと外貨が底をつきそうなので、すっかり為替介入を諦めてしまった。
ついに「ロシアは変動相場制に移行する」とロシア中銀は公表したが、「大統領、もうどうにもなりません!! 支える資金がありません」ということだ。
プーチン大統領は相変わらず強気で「この措置を発表したとたん3%ルーブルが上昇したので我が国の政策は正しい」と居直ったが、変動相場制移行は経済制裁で海外からドルの調達ができない以上致し方のない措置だ。

注)ロシアは当初15年1月から変動相場制に移行するといっていたので、その措置を速めただけのように見えるが、内実は全く違う。ロシアが目指していた移行は管理型の移行だったが、今回の移行は全く管理ができなくなった移行でロシアが市場に敗れたのだ。

 金融などというものはどこの国が運営しても同じで、一旦資金繰りが詰まってくると加速度的に狙われるから、結局は市場に任すより手はない。
資源価格が低下し、国内経済は失速し、お金が回らなくなってロシア経済は錐もみ状態に突入したと言ってよく、ここでも新興国経済の崩壊が始まっている。

 

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(25.11.27) EUの拡大の終わり。ロシアのウクライナ取り込みの成功

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 EUの拡大がとうとう終わった。EUへの参加を希求していたウクライナが急遽EUとの協議を止めて、ロシアとの関税同盟締結に舵を切ったからだ。
EUは突然のウクライナの造反にびっくりして、バローゾ欧州委員会委員長が「ロシアの立場と行動は全く容認できない」と声明を発したが、この造反はプーチン大統領の揺さぶりによるものだ。

 プーチン大統領はかつてのソビエトの夢の再現を目指してベラルーシ、カザフスタン関税同盟を締結していたが、これにウクライナを加盟させれば旧ソビエトの大半の国土が回復したことになる。
関税同盟とはロシア版EUで人や投資や貿易の自由化を目指すものだから、実質的なロシア共同体だ。

 しかしなぜウクライナがEUに見切りをつけロシアを選択したかというと、EUが経済的に停滞し全く魅力を失ったからだ
EUはリーマンショック以降、EU 内の持てる国と持てない国の格差が広がり、持てない国はギリシャがそうであるように厳しい緊縮財政を強いられている。
EUから資金援助をしてもらえると期待してたら、実際は財政再建か!!」持てない国が悲鳴を上げている。

注)EUの加盟国は財政赤字をGDPの3%以内に抑えるルールがあり、このルールの履行をドイツが厳しく求めている。

 当然ウクライナは持てない国で13年1月から9月までのGDP伸び率は▲1.3%と惨憺たる状況で、財政赤字は▲5%前後だから、これでEU並みの健全財政を義務づけられたら、国民の怒りが頂点に達してしまう。
そこにロシアが硬軟取り混ぜての揺さぶりをかけた。
もしウクライナがEUへの参加協議を続けるなら、ロシアはウクライナからの輸入をストップする。もしロシア版関税同盟に参加するなら天然ガスの価格を大幅に引き下げよう

注)ウクライナとロシアの天然ガス価格を巡る戦いは以下参照
http://yamazakijirou.cocolog-nifty.com/blog/2009/01/2117-a928.html

 この要請に元々親ロシア派だったヤヌコビッチ大統領が飛びついた。
何しろウクライナの輸出の4分の1は対ロシアだし、天然ガスはロシアからの輸入に限られている。
ロシアは親露政権には特別価格で、一方親西欧政権には市場価格で天然ガスを供給しており、2005年のオレンジ革命以来ウクライナの天然ガスは市場価格になってしまった。
そのため競争力のないウクライナ産業は悲鳴を上げている。

注1)なおオレンジ革命時のプーチン大統領の天然ガスを武器にした選挙干渉は以下に詳しい。
http://yamazakijirounew.cocolog-nifty.com/blog/2012/12/post-e5b1.html

 もう一つヤヌコビッチ氏としてどうしてもEUとの協議を止めざる得なかったのは、前首相で政敵のティモシェンコ氏の釈放をEU がEU参加の前提条件にしていたからだ。ティモシェンコ氏とは髪の毛を特別なウクライナ様式で束ねていたあの美人の首相である。
ティモシェンコ氏親西欧の野党党首でかつ首相だったが、経済的には節操がなくかなり危うい闇取引を行っていたため、それを理由にヤヌコビッチ大統領が逮捕した。
逮捕をするだけの理由はいくらでもあったが、しかし怪しげなのは誰も同じだ。

 EUは「ティモシェンコ氏の逮捕は親西欧派の追い落としで、ウクライナがEUに入りたいならティモシェンコ氏を釈放しろ」と言っていたが、もし釈放して次の選挙でヤヌコビッチ氏が敗れれば今度はヤヌコビッチ氏が投獄される。
かなり後ろ暗い取引をしていることではヤヌコビッチ氏ティモシェンコ氏に負けない。
だめだ、ティモシェンコが復活すれば俺の将来はない。ここはEUへの参画はあきらめてロシアの軍門に下ろう」ということになった。

 1990前後のロシア民主化革命でいったんはロシア陣営から離れたウクライナが20年の歳月ののち再びロシア陣営に吸収されることになった。
プーチン大統領は外交的に勝利し、先のアメリカのシリア空爆停止措置に続いて二連勝だ。
こうしてEUの拡大は終わり、ロシアがかつての栄光を取り戻しつつある。

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(24.7,26) 極東ロシアが中国に侵食されている。 NHK 大地はだれのものか ロシアを耕す中国人

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 これではロシア極東地帯の農地が中国人のものになるのは時間の問題かとつくづく思ってしまった。
NHKが放送したドキュメンタリーWAVE「大地は誰のものか ロシアを耕す中国人」を見た感想である。

 ロシア極東部はソビエト時代には多くのコルホーズがあって農地の耕作をしていたが、ロシアになってから耕作する農民がどんどん少なくなっている。
直接の原因は個人に分配された農地を耕す農耕機械がなくもてあましてしまったからだが、より根本的には極東地区から人々が都会に逃げ出しているからだ
僻地で貧しい農民でいるよりモスクワで一旗あげよう」と言うことで、石油や天然ガスやその他資源の採掘労働者になるほうがはるかに実入りがいい。

 そのため極東の耕作面積はソビエト時代の約半分になり多くの農地が耕作放棄されている。
この地帯で多く収穫されていた大豆もソビエト時代の半分になり、危機感を持ったロシア政府は中国農民による土地のレンタルを認め大豆や野菜の生産を中国農民の労働力に期待することにした

 中国ではこのロシア政府の決定を好機と捉えた中国人が輩出しているらしく、番組に登場した王さんはロシアで6000haの土地をレンタルし、そこに70人弱の中国農民を送り込んで大豆や野菜の生産を行っていた。
私はこうした農産物は中国に輸出されるのかと思っていたが、実際はすべてロシア国内で販売されていた。
輸送費や関税が高くとても中国に持ち込んでは採算が合わないのだという。

 中国農民が大量に大豆の生産を行い現在はソビエト時代の約3倍の生産量になりロシア国内での価格は低下している。
そのため王さんの悲願はロシアがWTOに加盟して関税を引き下げることで、この秋のWTO加盟をにらんで食用油の工場をロシアに建設し中国に販売する計画を立てていた。

 中国の農民は実に働き者だ。番組に出てきた張さんは兄弟二人でおんぼろのトレーラーハウス(電気も水道も便所もない)に5ヶ月間住み込みそこで100haの農地の耕作をしていた。
中国での平均的な耕地面積は2ha程度だから50倍の広さだ。
そこで耕作すると収入は中国の約15倍程度になり、一気に金持ちになれるという。

 中国人は中国から持ち込んだ多収量の大豆の種を使い、農地にロシア人の約3倍の肥料を投下して、見栄えよく多収穫の農産物の生産を行っていた。
これは農地の再生能力を無視した収奪農法でロシア式農法とは異なる。
中国人は寸暇を惜しんで働き続けのでロシア農民は劣勢に立たされている。

 番組にはラリクさんという元ソホーズのリーダーだった農民が、6000haの農地を耕作して中国人に負けまいと孤軍奮闘している様が写し出されていた。
ラリクさんの下で60人のロシア人が働いていたが、どのロシア人も労働意欲が低くラリクさんが少しでも目を離すと日陰で休んでいたりウォッカをがぶ飲みしてトラクターを壊していた。

 ラリクさんは一日中怒鳴りまくっていたが、ロシア人の労働者は馬耳東風と言った具合でかつてのソホーズの労働風景とまったく同じだ。
これには笑ってしまったが、ラリクさんにとっては死活問題だ。

 さらに問題を複雑にしているのが役所の対応で、役所は中国人にレンタルを認める許可を出す代わりに多くのリベートを要求しているらしい。
ロシアの役人の給与は低いのでこのリベートで生活しているらしく、ロシア人に農地を耕させるより中国人のレンタルを好むようだ。

 番組に出たラリクさんは2000haの農地を自己所有にするため登記を求めていたが、裁判所が認めても地方の役所はそれを固くなに拒んでいた。
ロシア人のものになったらリベートは入らないが中国人にレンタルすればピンハネできるからだ」とラリクさんの怒りは収まらない。
どうやら役所は中国人に完全に買収されていた。

 客観的に見てこの勝負は中国の勝ちだ。ロシア人は農業を嫌がり(ラリクさんもあきらめてロシア人労働者の代わりに中国人労働者を雇っていた)、極東の地を離れていく。

注)ロシアは日本と同様に人口が逓減しており、さらに極東地区のような田舎に住むことを好まない
ロシアの人口問題は以下参照
http://yamazakijirounew.cocolog-nifty.com/blog/2012/05/post-2928.html

 近い将来ロシア極東の地は実質的に中国人が農業生産を行う土地に変わってしまうだろう。
農産物は中国に輸出されるのでロシアの貿易量は増えるが実際の収入は(リベート分を除いて)すべて中国人のものになりそうだ。
こうした状態をプーチンは黙って放って措くのか、それともナショナリズムを鼓舞するために中国人を追い出す政策をとるのか分からないが、中国人なしにロシアの農業が成り立たなくなりつつあることは確かだ。

なおロシア経済については以下のカテゴリーに纏めてあります。
http://yamazakijirounew.cocolog-nifty.com/blog/cat44368795/index.html

 

 

 

 

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(24.5.10) ロシアの人口減少問題 似たもの同士の悩み

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(友達のタムさんが撮った写真

 日本とロシアはそっくりだと言ったら驚くだろうか?
実は間違いなくそっくりな問題が一つある。人口問題だ。
ロシアの人口は1億4千万人であり、日本が1億3千万人だからほとんど人口規模は同じで、しかも両国とも人口減少に悩んでいる。

 ロシアの人口減少が始まったのはソビエト崩壊後の1993年からであり、一方日本の人口が減少しはじめたのは2005年からだからロシアのほうが先輩格だ。
ロシアの人口減少要因は若者がいなくなる少子化だが、日本と異なり高齢化は進んでいない。
高齢者になる前に死亡してしまうからで特に男性の平均寿命は63歳と、日本人の80歳に比較するとひどい若死にだ。

 理由は一般的にはウオッカの飲みすぎとそれに起因する自殺者の多発で、思い余ってゴルバチョフ氏などはウオッカ禁止令を出したほどだが、「ロシアのような厳しい風土に住むとウオッカを浴びるほど飲まないと生きていけない」と言うのがロシア男性の口癖だ。
一方女性は老年になると体中に脂肪を蓄えるから寒さには強いが、それでも平均寿命は74歳で、日本人の女性の86歳に比較すれば早死にだ。

 プーチン大統領は大統領に再任されてからの就任演説で「ロシアの最大の危機は人口減少だ」と力説した。
何しろ合計出生率が1.2前後だから毎年50万人から100万人規模で人口が減少している(日本の場合は1.3前後だからロシアのほうが少子化が進んでいる)。
世界中を睥睨してきたロシア人がこんなに減少していいものだろうかプーチン氏の悩みは尽きない。

 日本では人口減少問題は主として年金を中心とする社会保障問題として意識されているが、ロシアの場合は安全保障問題として意識されている。
兵隊がいなくなって自慢のロシア軍が崩壊しつつあり、一方無理やり兵役をかすと今度は生産人口がいなくなる。
かつて300万人の兵力を誇ったロシア軍は今は100万人に過ぎない。

注)ソビエト崩壊前の人口は約3億人で人口は半減したが、兵力は3分の1になった。現在のロシア軍は非常に弱体化している。

 現在のロシアは人口減少化でも石油と天然ガス等の鉱物資源が高騰しているのでGDPは日本と異なり上昇している。
しかしリーマンショック前の8%~10%の高度成長は終わり、現在は4%台の安定成長に移っている。
そして将来的には少子化の影響でGDPはさらに減少しそうだと言うのがプーチン氏の悩みだ。

 日本程度の人口ではとても13億の中国に対抗できず、極東経済はすでに中国人の商人に握られている。
極東のロシア国境地帯には約1億人の中国人が住んでおり、一方極東のロシア人はたったの600万人だが、ロシア人は極東に住むことを好まず機会があればモスクワ周辺に移動してしまう。
極東とシベリアは過疎化が進み、町や村全体が消滅している。

注)極東の物流経済は、中国の商人が出稼ぎにきて生活物資を供給してくれるのでかろうじて生活が成り立っている。実質的に極東は中国の経済圏になっている。

 プーチン氏はロシア人を増やすために子供政策に力を入れており、ウリアノフスク州をモデル地区にして第2子が生まれると約37万円の報奨金を出していた。
日本の子供手当てが年間16万円程度だから約2倍の大盤振る舞いだ。
NHKのワールド・ウェーブ・トゥナイトでこの模様を放映していたが、報奨金を受領した主人の月収は3万円だったから第2子を産むと自分の年収と同額の報奨金が得られることになっていた。
奥さんが「第3子も生みたいわ」と言っていたがそのとおりだろう。

注)その結果ウリアノフスク州の合計出生率は1.5人に上昇し人口減少が止まったという。

 ロシアの人口問題は日本に比べると老人問題がないだけ対応がし易い。
子供支援問題に集中できるからだが、一方日本人は世界最高レベルの平均寿命で生きながらえるので子供と老人の両方の問題を抱えている。

 それにしてもロシアと日本は似たもの同士だ。
互いに人口減少に悩み、隣国の中国の脅威におびえている。
ロシアは資源大国で日本は技術大国だ。パートナーを組むには最適の関係だが、残念なことに第二次世界大戦の負の遺産を引きづったままで蜜月関係にはなれない。
日本とロシアが手を組めばこうまで中国の脅威にさらされなくても済むのにと残念でならない。

注)ロシア経済に関するの過去の記事は以下のとおり
http://yamazakijirou.cocolog-nifty.com/blog/2009/01/2117-a928.html
http://yamazakijirou.cocolog-nifty.com/blog/cat39651891/index.html

また直接ロシアの人口問題を扱った過去の記事は以下のとおり
http://yamazakijirou.cocolog-nifty.com/blog/2008/11/201124.html

 

 

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(24.3.19) BS世界のドキュメンタリー 旧ソ連原子力潜水艦の末路

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 原子炉を解体することがこんなにも困難だとは知らなかった。福島第一原発の原子炉のことではない。
旧ソ連が冷戦時代の40年間に建造した原子力潜水艦約200隻の原子炉の解体のことである。
BS世界のドキュメンタリーで2010年にドイツが製作した「旧ソ連原子力潜水艦の末路」が放送されたが、驚くべき内容だった。

 ロシアはソビエト崩壊後の約10年間まったく資金的に余裕がなくなり、世界最高レベルだった原潜の管理を放棄してしまった
200隻放置された原潜は北極のバレンツ海に面したムルマンスク近くのフィヨルドやウラジオストックの岸壁に鉄の塊として浮いているだけだった。
ロシアには原潜を動かすだけの燃料や将兵や、また訓練を怠ったために技術すらなくなり、海軍そのものが実質的に崩壊していた。

注)2000年になってプーチンの努力でようやく経済状況が改善したロシアはクルスクという世界第2位の大型原潜を就航させたが、訓練で魚雷が爆発してバレンツ海に沈んでしまった。ロシア海軍は魚雷をまともに操作できないほど将兵の訓練がなされていなかった。

 この放棄されたロシアの原潜を解体し原子炉を安全な保管場所まで移動する作業を旧東ドイツの技術者がロシア政府から委託されていた。
ロシアには原子炉を安全に解体する技術がなく、一方東ドイツでは古くなったソビエト型原子炉の解体が進められてノウハウの蓄積があったからだ。

 ソビエトの原潜はやたらと大きい。
タイフーン型と呼ばれる原潜は全長170m2基の原子炉を積み、核ミサイルを12基以上搭載して半年以上海にもぐったままでいられ、最高速度は80kmと言うから驚いてしまう。
なぜこれほど大きくしたかというとロシア人の癖で核ミサイルをアメリカより多く積載したかったからだ(数が少ないとロシア人は不安感に駆られる)。

 冷戦時代は互いに核の恐怖に駆られていたが、特に原潜は自国が核攻撃を受けたときの反撃の戦力として最も信頼されていた。
何しろ海の深くに静かにもぐっているから探知されず、自国がすべて崩壊しても原潜は無事だから反撃してアメリカを地上から消し去ることができる。
こうして原潜は戦争の抑止力として働いたが冷戦が終わり、原潜の必要性がなくなるときわめて厄介な荷物になってしまった。

 ロシアには原潜を解体する資金も技術もなかったからだ
仕方ないしにバレンツ海のフィヨルドの間に放置していたものの、たちまちのうちに鋼鉄が腐ってきていつ原潜が沈没して放射能を撒き散らしてもおかしくない状態になってしまった。
この状態を世界中が危惧し、バレンツ海ではドイツが、そしてウラジオストックでは日本がこの原潜解体処理の資金と技術を提供することになった(なぜか日本が行った原潜の解体作業についてのドキュメンタリーはない。私が見過ごしたのだろうか?)。

 解体作業はムルマルスクのネルパ造船所で行っていたが、作業方法は船体を真ん中の原子炉部分と前半分、後半分に3等分して前と後ろからは鉄くず等を回収していた。
一方原子炉は密閉してムルマルスクから約30kmはなれた最終処分場に運んでいた
原潜内にはパイプやケーブルが張り巡らされてここに運転中の放射性物質がたまるので、ケーブルなど安易に切断すると放射能が一斉に放出してしまう。
作業は非常に慎重に手作業で進められ原潜1基解体するのに1年かかるという(原潜は作るときより解体するときのほうが、いたるところが放射能で汚染されている分時間がかかる)。

 こうしてネルパ造船所で解体され密封された原子炉は、バレンツ海が穏やかの夏の数週間の間に浮きドックで最終処分場にゆっくりと運ばれていた。
映像では7基の原子炉が浮きドックに積まれて時速4kmで9時間かけて最終処分場に到着していたが、そこにはすでに40基の密閉された原子炉が保管されていた。

 廃棄された原潜は200隻だから、まだ150隻あまりが解体されずに海上に浮かんでいることになる。
ドイツ人の作業責任者の話ではドイツ技術者が行う作業はここまで、原子炉そのものの解体は放射能レベルが低くなる70年後になると言う。その間原子炉は、この保管場所においていくのだと言う。

 実に厄介な話だ。その70年間密閉容器に穴が開いたり、火災が発生したり、アルカイダに急襲されたり、戦乱が起こったりしたらどうなるのだろうか
原子力は使っているときだけが花で、それを廃棄処理する時になったら地獄だ。
日本においても福島第一原発のように廃棄処理が決まっているものがあるが、実際は70年程度原子炉を冷却した後でないと解体は不可能だから、それまで原発周辺に近寄ることはできそうもない。

 このロシアの原潜の原子炉の廃棄処理を見ると原子力と言う技術は廃棄技術と一体で、それがないとなんとも厄介な代物だと言うことが分かった。
コスト計算も廃棄後の保管から解体作業まで含めれば実に高価なエネルギーだ。
従来言われていた原発が安価だと言うのは、そのままいつまでも使い続けらればと言う条件下の計算で、実際は20年から40年の間に廃棄される。
原発はコスト無視の軍備としてはともかく、商業的にはまったくあわない技術だということを認識した

なおロシア経済については以下にまとめてあります。http://yamazakijirounew.cocolog-nifty.com/blog/cat44368795/index.html

(別件
昨日おゆみ野クリーンクラブのカンパを依頼しましたが、そっさく何人かの方が応じてくださり心から感謝いたします。花見までには塗装を終了させておきます。

なお、依頼文は今月いっぱい下記に継続して掲載いたします。


従来おゆみ野四季の道の清掃関係や塗装関係費は自費で調達してきましたが、生活費がかさみ思うに任せなくなってきております。
おゆみ野在住者で、かつ四季の道を日常的に利用されている方で、四季の道を世界でもっとも美しい道にする活動に賛同される方に、ペンキ代のカンパをお願いいたします。

① カンパは一人3000円(ペンキ1.8L 一缶の値段)をお願いできないでしょうか。年間のペンキは約20缶程度です。

② カンパの件数、金額は毎月1回このブログで報告します。また決算報告は年1回行います。

③ 賛同していただける方は以下の口座に送金いただければ幸いです。なお送金していただいた場合は同時にこのブログのメール機能を使ってその旨連絡いただけると幸いです。

・千葉銀行 鎌取支店(092)
・おゆみ野クリーンクラブ 普通預金口座(3743511)

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(23.12.17) ロシアの冬が始まった プーチン政権の終わりの始まり

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  信じられないような激変がロシアに起ころうとしている。しばらく前までは実質的な指導者であるプーチン氏の政治的基盤は磐石でゆるぎないものだと思われていたが、ここにきて逆風が吹き荒れだした。それを毎日新聞は「ロシアの冬」と称している。

 プーチン氏の逆風は12月4日に行われたロシア下院議員選挙の結果に現れ、プーチン氏率いる統一ロシア得票率49%で、議席数は315議席から238議席と77議席激減した
最もこれでも過半数は確保しており、与党支持の公正ロシア64議席自民党56議席を加えれば日本の民主党と同様の圧倒的多数を確保したといえる。
だから後退したとは言え安定多数は確保したと私は思ったものだ。

 しかしここからがすこぶるロシア的で、投票の不法行為がインターネットで次々に暴かれ始めた。ロシアのマスコミは政府が完全に抑えているので不正追求はもっぱらインターネットを通じて行われる。ロシアのインターネット人口は5000万といわれて日本の約半分の規模だからかなり多い。

 私も見たが投票所の責任者のような人が投票用紙を書き換えていた場面がWebに流れていた。欧州の監視団は「開票手続きなどで違反や問題があった」と正式に表明し、アメリカがロシアの選挙結果に対し異議を申し立てたものだからプーチン首相は劣勢に立たされた。

 さっそくテレビでプーチン首相の反論が始まったが「選挙結果は民意を反映しており再選挙をするつもりはない」と居直った。
さらにロシア的なのはプーチン首相の報道官が「選挙違反はあったとしても0.5%程度だ(だから問題ない」と発言したことで、日本だったら大騒ぎになるが、ロシアでは0.5%は問題にしないらしい。

 プーチン体制がほぼ磐石と見えたのは石油天然ガスを新興資本家から国家権力を総動員して取り上げ、国家の支配下に置きふたたび社会主義的な政策をとったからである。
日本もこの影響を受け三井物産・三菱商事ロイヤル・ダッチ・シェルが開発したサハリン二号油田を強引に召し上げられている。
ロシアの国家予算はほとんどが石油と天然ガスの販売益からなっており、国家企業ガスプロム等からの運上金(日本で言えば法人税)によって成り立っている。

注)歳入はそのときの石油とガスの価格によって決まり、歳入の50%から70%が石油・天然ガス企業からの税金。価格が下がって予算が不足するとそれまで溜め込んでいた基金を取り崩す。

 ロシア経済はリーマン・ショックで大打撃を受け、GDPは2009年▲7.9%に落ち込んだがその後の各国の金融緩和策で投資資金が石油に流れ込み価格が上昇に転じたのでロシアにとって追い風になっていた。
2010年は4.0%、今年は3.5%程度の成長が見込まれており、日本から見たらまずまずの成長力に見えるがそうもいっていられない事情が発生してきている。

 対外的には特に欧州危機がロシア経済に与える影響が深刻で、石油と天然ガスの最大の輸出先ヨーロッパの経済停滞はそのままロシアの停滞につながる。
ロシアの予算は石油価格の動向に左右されており、しばらく前には予算の均衡点1バーレル70ドルと言われていたのが、最近は1バーレル110ドルに跳ね上がってしまった。
日本と同じで年金・医療等の支出が増大し、それを石油と天然ガスの収入で補う構造になっているためだ。しかし世界経済が失速し110ドルはとても行きそうにない。

 そうなると福祉の切り捨てか今までの積立金(日本で言えば埋蔵金)の取り崩しを行うことになるが、ここからが再びロシア的な問題が発生する。
ロシアの官僚機構は黒い頭のネズミ(正確には栗色のネズミ)だから、こうした積立金がいつの間にか喪失してしまっていることが多い。
せっかくの貯金が大王製紙の会長のような遊蕩でなくなっているので、結果的には福祉の切り下げをせざる得なくなる。

 プーチン首相のような愛国者にとっては自分を支持している官僚機構や統一ロシアが黒い頭のネズミになっていることに歯ぎしりする思いだろう。
この腐敗を正そうとすると自らの基盤に切り込むことになり、一方腐敗を放っておけばプーチン人気にかげりが発生する。

 ロシアはあくまでも石油と天然ガスの国だ。この価格が上昇している間は問題ないが、一旦下落に転じるとあらゆることが裏目に出てしまう。
今ヨーロッパに危機が発生し、さすがの石油価格も低迷が始まった。ロシアに冬が訪れプーチン人気の終わりの始まりが始まった。

なお最近のロシア経済の動向は以下の通りです。
http://yamazakijirounew.cocolog-nifty.com/blog/cat44368795/index.html

またリーマン・ショック後に記載したロシア経済の分析記事は以下の通りです。http://yamazakijirou.cocolog-nifty.com/blog/2008/11/201124.html

 

 

 

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