(1.6.25) 中国高度成長の終わり 金融機関の倒産が始まった
日本のバブルがはじけて金融危機の端緒となったのは1995年の住専問題からである。当時住専と呼ばれた住宅専門会社は7社あったが、13兆円近くあった融資残高の約7割が不良債権になり回収が困難になった。不動産や株式がジェットコースター並みのスピードで値下がりしたため、融資金の回収ができなくなりうち6社が倒産した。
その後、不動産融資にのめり込んでいた長銀や日債銀といった日本を代表する金融機関も倒産し、残った都銀も救済合併を繰り返しそれまで世界一といわれていた日本の金融機関が実質的に崩壊した。
それから20年、今中国で包商銀行という内モンゴルを基盤とする中堅銀行が倒産し、中国人民銀行が救済に乗り出している。包商銀行などと言われても日本人には全くなじみがないが、内モンゴルのインフラ投資を一手に引き受けてきたような銀行で、約6兆円の融資残高があるが、そのほとんどが回収が不可能になっている(ただし表面的な不良債権比率は2%程度と、いつもの統計操作でごまかしている)。
融資資金の約半分を預金で調達し、あとの半分は他の金融機関や闇銀行からの調達でそれが中堅銀行の一般のパターンだが、闇金融の利回りは実際どの程度なのかわからない。相当程度の高利回りのはずだが、当初の予定ではそれでも十分採算が取れる計画だった。
「不動産はうなぎのぼりだし、売却すればいくらでも儲かるね!!心配ないあるよ」
しかしここにきて中国政府の懐ぐあいに閑古鳥が鳴き始め、当初の拡大方針から有効な投資のみ承認するという選別投資方針に変更したため、利用目的のない内モンゴルの建設中の空港や高速道路や地下鉄の工事がストップしてしまった。そのため融資金が不良債権に早変わりし、包商の資金繰りがパンクしてしまった。
「もうだめだ。資金は回収できない。預金者に支払いもできない。闇金の支払いも待ってもらえ!!!」
大騒ぎになっている。
内モンゴルの人口は2600万人だが、中国では過疎地帯だ。そこに北京や深センにならって大規模投資を続けてきたため工場地帯には工場なく、人のすまない住宅団地が林立している。
中国経済は表面はともかく資金繰りは火の車になってきているのでだれも使用しない内モンゴルの空港や高速道路に資金を回す余裕がなくなっている。もちろん作った高層住宅に住む人もいない。
こうしてかつて日本で起こった金融機関の倒産がはじまった。バブルがはじけて不動産投資にのめりこんだ長銀や日債銀等が倒産したが、今中国では金融崩壊の序曲が鳴り出している。
まず最も弱い環から(日本の住専のように)崩壊していくのがバブル崩壊後の金融の常識で、不良債権問題は中国全土で引き起こされているから、日本の失われた20年に中国もだんだんと近づいてきている。
中国は外ではトランプ大統領と関税のかけ合い競争を行い、うちでは不動産バブル崩壊に伴う金融機関の救済に翻弄され、一帯一路は資金枯渇のため日本をだまくらかして日本資金の導入を図ろうとしている。
中国がのぼり龍だった時代は過ぎ、安定成長という低成長に満足しなければならない時代に入ったが、単にどこでも起こる経済のサイクルに過ぎず、日本では約30年前から経験していることだ。
何度も言うが経済統計はいかようにもごまかせるが資金繰りをごまかすことはできない。中国の金融機関の倒産は中国高成長の終わりが始まっていることを如実に示している。
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