とても興味深い討論番組をHNK-BSで放送していた。「グローバル・アジェンダ 日はまた昇るか?」という番組である。
ニューヨークで収録され3人のパネリストがいたが、そのうちの一人がイギリスの経済学者ビル・エモット氏であった。
1990年に著書「日はまた沈む」で日本のバブル崩壊を見事予測して注目を浴びたが、2006年に「日はまた昇る」を書いて日本経済の復活を予測した時はひどい冗談と思われた。
「ビル・エモットも耄碌したな」と思われたからである。
しかしあれから10年たち彼の予測は現実味を帯びてきた。
2014年の夏は経済学史的には日本復活と中国凋落の歴史的転換点になっている。
この時期を境に中国経済は全く成長しなくなり明らかに低下し始めた。丁度1990年代の日本のバブル崩壊と同じようなゆっくりだが確実な衰退である。
中国の統計数字は常にバイアスがかけられているのでGDPなどは7%程度の成長をはたしていたことになっていたが、現実の経済は鉄道輸送量が減少したり、マンションは全く売れず、地方政府の負債は雪だるま式に増大していた。
そして世界では原油や鉄鉱石や石炭や銅と言った鉱物資源に対する需要がパタッと止まってしまった。中国が購入しなくなったからである。
一方で日本経済は14年度輸出産業を中心に増収増益態勢にはいり、人出不足が顕在化していたがGDPそのものはまだマイナス成長をしていた(14年10月から12月期にようやくプラスに転じた)。
GDPを見る限り中国は相変わらずの大成長だし日本は低迷していたが、実はGDP統計は景気の遅行指数で実態を反映できない。
これはGDP 統計作成方法に問題があって、理論的にはGDPは付加価値の集積だが付加価値などとても計測できない。仕方なしに売上高や生産高で代替するのだが、景気が後退すると企業は値引きしても売上高を確保しようとするので利益率が減少する(付加価値は下がる)。一方景気上昇期にはこの反対の行動になって売上一定でも利益が増大する(付加価値は上がる)。
その結果景気後退国のGDPは高く表示され、一方景気上昇国のGDPは低く出てしまう。
簡単に言えば景気の変わり目でGDP統計をいくら見ていても仕方がないのだ。
注) たとえば15年1月から3月までの日本のGDPが発表されて年率2.4%の増となっていたが、毎日新聞の見出しは「個人消費回復鈍く」だった。GDPが遅行指数であることを認識しないためこうしたお粗末な解説しかできない。
ここに来て多くのエコノミストが中国の景気後退に気づいたのは自動車もスマートフォンも売れなくなってきたからだ。自動車とスマートフォンは中国消費財の代表のようなものだからさすがに誰でも気が付く。
しかし山崎経済研究所の山崎所長によればその分岐点は14年夏だったという。この時点で世界経済の転換を認識できないようでは一流の経済分析官とは言えない。
多くのエコノミストが中国経済に警鐘を鳴らし始めたが、一方で日本経済の躍進についてはそれほど言及がない。「日がまた昇る」とはだれも思っていないからだが、まず輸出産業が復活し続いて医療産業がブレイクすると山崎所長はいう。
日本は世界最先端の医療技術と世界最先端の保険制度が整備された国で、おまけに病人は山ほどいる。
注)医療技術はアメリカが最高だが、保険制度が整備されていないため金持ちだけの医療になっている。誰でも受けられる医療水準としては日本に及ぶ国はない。
一般に年寄りが多いことはその社会の活力が阻害されると思われるが、医療産業にとっては反対でいくらでも顧客がいるようなものだ。
保険医療費の増大に政府は悩んでいるが、これは日本人だけを相手にしているからで日本の医療を受ける外国人が増大すれば増大するほど日本の医療産業は収益が上がる。今世界中から日本に観光客が集まり始めたが医療産業にも同様の事象が発生するだろう。
注)日本の医療産業の実態は以下参照
http://yamazakijirounew.cocolog-nifty.com/blog/2013/10/post-aafd.html
日本では最も優秀な大学生は医学部学生と決まっており、ほとんどの人材を医学部に投入している。また医療・看護まで目を拡大すれば日本最大規模の産業になっている。
人材は豊富でしかも需要者は無限大というこれほど恵まれた環境はまたとない。
安倍政権は第三の矢の規制緩和にこの医療産業をターゲットにしており、私から見れば改革は遅いがそれでも確実に前進している。
中国経済がストップしそのあおりを受けて韓国経済は崩壊の直前にまで落ち込んでいる。
21世紀の前半だけ見ればこの世紀はアメリカと日本の時代で、特に医療看護の分野では日本が世界をリードしているだろう。
(とても興味あるコメントがされたので転載して掲載する)
医学部, 医大進学者は優秀です。
予備校偏差値を見ても国公立大学は勿論, 私立大学で中位程度の大学もレベルの高さは相当なものです。
娘の高校同級生は東大理科二類と東京女子医大に現役合格しましたが, 東京女子医大に進学しました。 今日医学進学者の4割近くが女子, 優秀な女子の親は特に医学部医大進学を優先させます。 当然の事 娘の将来を考えてのことです。
首都圏の国立大医学部, 医大入学が出来なかった優秀で貧しい家庭の子が仕方なく東大理科一類に進学という状況です。 私の実体験 真実です。 勿論例外はありますよ。
この女性医師の離職率が高いのが大問題です。 勿論女性でも全く男性と同じ扱いですから 夜勤, いつ来るか分からないオンコール待機, 連日の残業, 専門医資格試験の勉強, 学会での発表,職に就くまでの 博士号取得までの長い研鑽[勤務医の場合必要]。
これに女性だけの仕事 出産, 子育て, 家庭の維持その他特有の仕事が待っています。 3割程度が医師の職を離れるようです。
日本の病院は利益は二の次です。 広くどんな貧しい生活保護の人でも医療保険で, そして公立病院は特に最新医学の勉強会や各種医学界にも研究発表など大変努力されていますが, その地区の住民が第一次的責任対象で, 外人を受け入れ利益を追求するシステムになっておりません。
特別な先端医療で海外勢と戦うなら 例えば国立ガンセンターなどがあり海外のそうした病院に負けるものではありません。 保険外治療で, 先進医療で海外に後れをとってることはありません。 が 今病院の設立目的が国民県民市民を対象に奉仕することなのです。
語学については大手病院には今でも英語は勿論スペイン語ポルトガル語中国語があふれ, それどころかタガログ語の方でも今大勢押しかけていますよ。 そしてその言語に対応できる医師がいます。 皆さん縁あって日本に来ている方は全国どこにでもいらっしゃるのですから。
外国人対応は否応なくやっています。 訓練済みです。
考え方を変えれば そして女性医師の活用を本気で対策すればおっしゃる通りです。 医療看護の未来は大変明るいのですが
最近のコメント