(30.11.10) 再びマルチ商法がよみがえった。 ジャパンライフの預託商法
「浜の真砂は尽きるとも世にマルチの種は尽きない」と石川五右衛門が言い残してからはや400年以上が経過したが、今度はジャパンライフによる預託商法のマルチだという。
預託商法とは健康グッズを契約者に販売したことにして、健康グッズそのものはジャパンライフが預かり(これを預託契約という)、それを第三者にレンタルして配当を契約者に支払うというものだ。
その配当利回りは6%だそうだから、契約者にしたら6%の利回りで預金しているのと何ら変わりがない。
だが6%程度の利回りではマルチとしては低利回りで顧客を引き付ける魅力に不足するため、顧客獲得用のトークが「1年後には元金全額返済する」というものだった。
「そうか、元金保証で6%利回りなら悪くない・・・・・」そう思わせるのがコツだ。
実際は期日が来れば、「お客さん、今時6%の高利回りの商品なんてあるもんじゃありませんよ。もう一年契約を更新しましょう」とか言って契約の引き延ばしを図る。
毎年6%の金利がきちっと支払われている限りは顧客は安心して再契約に応じるという仕組みだ。
しかしこの健康グッズのレンタルは実際には商品として全く効果がないことが世に知れ渡ってしまい消費者庁から一部業務停止命令を受けているような代物だから、だれもレンタルする人がいない。
仕方がないのでジャパンライフはマルチ商法に乗り出した。
顧客が新たに新規契約者を紹介すればその何割かをバックペイするというもので、これはレンタル商法に比べてはるかに会社にとっても新規契約を紹介した者にとっても取り分が大きい。
「もうレンタルはだめだからマルチよ、マルチ!!」
ジャパンライフは健康グッズのレンタルはすっかりあきらめてもっぱらマルチ商法に精を出すことになった。
そのジャパンライフが倒産した。契約者数は6800名、倒産時の負債総額は2400億円だという。
一人あたりに直すと約3500万円になるが、これは契約金額としては大き過ぎるので、今まで無理に配当を続けた赤字分が計上されているのだろう。
ジャパンライフの設立は1975年だそうだから40年以上の経営実績があり、当初は健康グッズの販売で経営が成り立っていたが、グッズの購入者が少なくなるに従い、レンタル業に転換し、最後はマルチ商法になっていったようだ。
数年前に倒産した和牛商法の安愚楽牧場と倒産のパターンはよく似ている。
当初は通常の商売から始まったが、だんだんと顧客がいなくなるにしたがってマルチに変質していったパターンだ。
だがしかし、この世の中で何もしないで6%の利回りが確保できるというような話はみないかさまだ。
私は金融機関にいたからよく知っているが、0.1%の利回りを確保するだけで死に物狂いの努力がいるのであって、ただ金を出すだけで現在6%の利回りなど絶対に確保できない。
儲け話はすべてイカサマで信じるほうがどうかしているというのが元銀行員としてのセンスだが、一般の老人にこうしたセンスを求めるのは酷かもしれない。
今回ジャパンライフの契約者は圧倒的に老人が多いが、老人になれば絶対に金を増やそうなどと思ってはいけない。第一年をとるにしたがって生活費はだんだんと少なくなっていくのだから生活をつつましくしていけばいいのだ。
食事と寝るところとテレビと散歩するところさえあれば十分というのが老人なのだから、金儲けなどは考えるのが無駄だ。
ただひたすらつつましく生き続けるのが老人のスタンスと心得るべきだ。
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