(29.5.30) 限界集落から人がいなくなり、議会が消滅する。 毎日新聞調査
毎日新聞が独自の調査で議員定数10人未満の154町村で「町村総会」を検討している自治体が約4割に及んでいると報じていた。
議会を取りやめて代わりの選挙権のある住民全員による総会を採用しようということだが、一見すると古代ギリシャのポリスの政治のように見える。
しかし実態は古代ギリシャとは全く異なり「とても議会を運営することができなくて止む負えず総会にするのだ」そうだ。
すでに高知県大川村で検討を始めたが、人口約400名、議員6名の村議会の運営ができなくなってきている。
最大の理由は議員になり手がいないことで、高齢者ばかりになって肉体的限界があり議員活動などしようにもできない。
そもそも若者がほとんでいないのだが、いても仕事で村議会の仕事に携われない。仕方なく村会議員は老人がなるが議員報酬は月額15万円程度だから生活保護よりややましという程度だ。
平均年齢は70歳を超えており議会に足を運ぶより病院通いのほうが忙しく、耳も目も衰えてくるから予算書や決算書といった細かな字を見るとそれだけで頭が痛くなる。
「それなら議員制度なんてやめて総会を開いた方がましではないか・・・・・・・」大川村では直接民主制に移行することを検討し始めた。
注)高知県大川村の詳細は以下参照
http://yamazakijirounew.cocolog-nifty.com/blog/2017/05/ppppp.html
かつてギリシャや地中海沿岸の都市国家はどこも直接民主制だったが、人口が増大してくるにしたがってこの方法が採用できなくなり、元老院制度という一種の議員選出制度に代わっていった。
今日本全国で人口減少が始まっており特に過疎地の人口減少は激しい。若者は皆無といってよく子供もいないから学校は閉鎖され、残された住民にとって必要なのは介護や生活保護や病院だけだ。
簡単に言えば日本の地方の過疎地は消滅危機に陥っており、そこに住んでいる人の寿命がその村落の寿命になっているところはいくらでもある。
かつてNHKで「秩父山中 花のあとさき」という感動的なドキュメンタリー番組があった。秩父の奥深い限界集落に住むムツおばあさんが、天国に旅たつ前に自分が住んでいた畑や山林に苗木や花を植えて元の自然に返そうと努力している姿を描いたものだ。
番組そのものはムツおばあさんの優しい気持ちと秩父の自然が融和して見ているものの心を揺さぶったが、客観的に見れば日本が限界集落から消滅している姿の歴史的証言になっている。
日本においては人口減少を止める手段はほとんどない。幼児や子供の教育費等の負担を減らす措置は各自治体で懸命にとられているが、幼児より老人比率のほうが圧倒的に大きいのだから、年金や医療費に予算がとられてどうにもならない。
選挙権を持っているのは老人で幼児や子供ではなく、また老人は最も熱心に投票所に足を運ぶ。老人を無視したら政治家は落選するが、そのためますます老人天国になっていく。
なんともしようもない運命で、この人口減少は人類共通の危機で先進国共通だが日本がたまたま最先端にいっているだけのことだ。21世紀は人類が衰微していく世紀だが、この地方議会に議員がいなくなる現象もその一環に過ぎない。
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