(2.11.16) 人類衰亡史序説 中国その24 中国の覇権が確立し高笑いが聞こえる。
中国の国営テレビのニュースを見ていたら大はしゃぎをしていた。中国がついに勝利したというのだが、RCEP(包括的経済連携協定)の締結のことである。RCEPは2014年以来日本が積極的に推進していた協定で、自由貿易協定を結び自国中心主義の中国を封じ込め、世界貿易のルールに従わせようとしたのだが、いままで中国は全く乗り気でなかった。
それがここにきて急に中国が締結に積極的になったのはアメリカが自国中心主義の殻に閉じこもり、さらに今回の大統領選挙で南北戦争にも比肩できる内輪もめを始めたからである。
アメリカは世界貿易で主導的立場を主観的にも客観的にも放棄した実情を見て、中国はチャンス到来と見た。
「アメリカを覇権国家から追い落とし、アメリカ大陸に閉じ込めておいてアジアをわが中国が支配しよう」今まで全く乗り気のしなかったRCEPの締結に手のひらを返して猛ダッシュした。日本はもともとは中国封じ込めのための連携で、インド、オーストラリア、日本がこの制度を運営するつもりだったが、中国中心の連携になりそうなのを危惧してインドが抜けてしまった。
日本、インド、オーストラリア連携が崩れ、日本とオーストラリアだけで中国と対抗することになったが、今更後に引けない。
アセアン等15か国の自由貿易圏ができ、GDPと人口の3割を超える世界最大規模の自由貿易圏が登場した。
この協定の最終目標は約9割の品目について関税をゼロにすることだが、中国などは今まで関税ゼロ対象品目がたった8%だったのを、この協定で一気に86%まで引き上げる約束をしている。中国としては大幅譲歩してまで締結に前のめりになったのは、この協定の中心国は中国で、これにより日本とオーストラリアを支配下に置き、中国のポチにできると踏んでいるからだ。
アメリカにトランプ政権が発足して以降、自由貿易は中国の一枚看板になり、アメリカをしのぐ経済力でアジア地域を中国の植民地にしようという計画だ。もっとも中国に対し常に辛口の評論をする宮崎正弘氏に言わせると「所詮絵に描いた餅で、中国が積極的に関税を引き下げるはずはない」といっているが、世界の評価は違う。
ドイツZDFなどは、東アジアに中国主導の自由貿易圏が発足し、中国の政治的、経済的覇権が強まった、と評価していた。
実際トランプ政権発足以来、アメリカは国外のことに関しては全く関心をなくしてしまったところに、今回の大統領選挙結果についてアメリカを二分する一種の内乱に陥った、確かにこれを見るとアメリカの時代は終わったことを痛感させられる。
だがその後釜が中国では、これではヒットラーやスターリンに世界征服されたのも同然で、まことに悲しむべき状況になっている。
今回のRCEF締結は中国の勝利だ。日本もオーストラリアもこの協定の下で主導的な役割を果たすことはほぼ無理で、中国の思うままに操られそうだ。中国はアヘン戦争に敗れる屈辱からほぼ200年近くを経過して、ようやく東洋の覇権国家として再登場してきた。
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