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(2.11.2) 人類衰亡史序説 日本 アパレル業界 その55   あのレナウンがとうとう消滅する!!

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  レナウンがとうとう本当の意味で倒産してしまった。会社再生法の申請をしていたが再生することもなく清算処理に入るという。かつてといっても昭和40年代だが一世を風靡した企業が消え去ることになる。
私がサラリーマンになったのは昭和45年だったが、当時はレナウンのダーバンを着ることが夢だった。
初めてそのダーバンを購入して着たときは自分もいっぱしのサラリーマンになったと実感したものである。
その後も背広といえばデパートでダーバンを購入していたが、価格としては7万から8万程度だったと思う。給与がせいぜい20万円程度だったころだから、ずいぶん奮発したものだ。

 50年代に入ると紳士服の青木とか青山といった専門店が全国展開をはじめ、ダーバンのほぼ半額程度の背広が売り出され始めた。私は当初こうした専門店の背広を見向きもしなかったが、ある日「まあ物は試しだ。一着買ってみるか。どうせ半額なんだからどうってことない」と思って購入してびっくりした。確かに品質はダーバンよりは劣るが、コストパフォーマンスから見たら不満を述べることはとてもできない。
あれ、これなら3万程度の背広でも結構着れるじゃないか・・・・・・
背広が従来の高級品イメージから単なる日用品に代わった瞬間だったが、そのころを境に背広は費用をかけて購入するものでなく、次々に買い替えて使用する消耗品になってしまった。

 レナウンがアパレル業界から凋落し始めたのもこのころからで、ダーバンといったブランド名も若者からは見向きもされなくなってきた。
ただ高いだけじゃない」という感度で、若者は専門店やスーパーの2~3万程度の背広を着て何不自由なく過ごしていた。
だがレナウンにとっては会社存亡の危機が始まったことになる。衣類は資産でなく消耗品になり、かつては貧しかった私の父親が質屋に背広を質入れしていたが、もはや質屋も質草に取ってくれなくなった。
その後は紆余曲折はあったが、レナウンは中国企業に身売りをし、その会社に騙され53億円の売掛金をだまし取られて会えなく倒産してしまった。栄枯盛衰は世の習いだが、レナウンほどそれを具現している企業はない。

(なお、レナウンについては前回も記事を書いてあるので参考までに転写しておく)

 栄枯盛衰とはこのことを言うのだろうか。私がサラリーマンになったほぼ50年前、アパレルといえばレナウンが席巻していた。非常にパンチのきいたイエ・イエ娘が「ドライブウエイに春がくりゃ♪♪♪ おしゃれでシックなレナウン娘が♪ ワンサカワンサカ イェーイ イェーイ イェ イェーイ♪♪」と歌っていたのを昨日のように思い出す。

 知り合いの女性はレナウン以外は着ないと公言していたし、私も背広はダーバンと決めていた。まだ月給が10万程度の時に7万前後のダーバンを購入していたのだから、背広を買うために働いていたようなものだ。
そのレナウンが経営不振に陥り、2013年に中国の山東如意に支援を求めたときは驚いたが、さらにこの5月15日に今度は民事再生法の適用を申請し完全に倒産してしまった。

 倒産理由が外部からは今一つ訳がわからないのだが、山東如意の香港の子会社恒成国際発展集団への売掛金約53億円が焦げ付いてしまい、とどめを刺されたのだという。もともとは恒成国際発展集団が支払わないときは連帯保証人の山東如意が支払うとの契約になっていたのだが、山東如意は連帯保証人の務めを果たさないのだという。
なんだかわかりづらいがこれでは売掛金詐欺にあったも同然で、レナウンは山東如意にただ騙されて53億円もの商品をかすめ取られたのではないかとしか思われない。

 日本にはレナウン以外に三陽商会、オンワード樫山といった著名ブランドがあるが、いずれも経営は思わしくない。最大の理由はこうしたアパレル会社はデパートとの結びつきが強く、ほぼ売上高の半分はデパート経由なのが原因だという。デパートに売り場を確保しアパレル会社から販売員を送り込み、売れなければすべての商品を回収するというビジネスモデルで、デパートは場所を貸して賃貸料を得る仕組みになっている。
売れようが売れまいがデパートには一定の賃貸料が入りリスクはゼロで、在庫が残ればすべてアパレル会社の不良在庫になってしまう。

 それでも順調に販売が伸びていればこのビジネスモデルでも利益は出るが、デパートの売り上げは年を追うごとに減少しており、特に本年度に入ってからはコロナの影響で激減して商売になっていない。
アパレル業界が生き残る道は古くからのデパートの販路を縮小し、ショッピングセンターやEC(エレクトロニック・コマース)に移すことだがレナウンはこの動きに徹底的に遅れてしまったという。

 今ではデパートで背広を買う人はまれで、専門店やSCに行けば3万前後で申し分のない背広が手に入るのだから、もはや高価でさして品質が変わらないダーバンのような背広を購入する人はいなくなってしまった。
簡単に言ってしまえば背広は消耗品でサラリーマンの正装といった位置づけは昔のことで、そもそもテレワークが主体となる職場では背広を着る機会もなくなってくる。

 私はレナウンという会社にとてもいい印象を持っているのだが、それはもはや古い郷愁になってしまった。

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