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(2.11.20) 人類衰亡史序説 日本その38  現在の経営学とは何か

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 私が指導している高校3年生がある大学の経営学部に入学することが決まった。最近この生徒から経営学についての質問を受けることが多くなった。私自身は大学で経済を学んだが経営学というものは全く知らない。通常は成功した企業を分析しその中の成功事例のノウハウを見つけ出し一般化するのが経営学ではなかろうかと想像しているのだが、もはや日本には成功した企業はほとんどなくなった。
アメリカにはGAFAと呼ばれる突出した企業群があり、確かにそれを分析すれば現在の巨大企業がいかに成功したかわかる。
しかし日本では世界企業と呼べるものはトヨタぐらいで、その看板方式はもう何度も分析されてきたから手あかがついてしまっている。

 日本では成功した企業より失敗した企業のほうが多く、失敗学の教材は山ほどあるが心をときめかす成功例はほとんど存在しない。
なぜこのように日本が凋落したかといえば1980年代にアメリカとの経済覇権競争に敗れたからだ。当時アメリカが日本に突き付けた刃は世界標準というもので簡単に言えばアメリカ標準を日本も採用しろというものだった。
私は金融機関に勤務していたから当時のことはよく覚えているが、そのころ世界のトップ金融機関として日本の金融機関がずらりと並んでおり、私が勤めていた金融機関も世界第X位などといって、自尊心をくすぐられていたものだ。
今でいえばGAFAに努めているといったところで、世界を自分たちが背負っていたような気分だった。

 それがものの見事にひっくり返ってしまったのは、アメリカが世界標準、BIS規制を日本の金融機関に採用させることに成功したからで、国際業務を行っている金融機関は最低8%の自己資金が必要だということになった。当時日本の都銀はオーバーローンの状態で、特に不動産関連に貸しまくっており、自己資本は1~2%程度だった。
あんたそんな状態で貸出先が倒産したらどうするの。すぐに金融機関も倒産してしまうじゃないか。絶対に8%以上は必要だ
確かにアメリカの金融機関の自己資本は10%以上あるのが普通だったから、日本の1~2%は異様に見えたのかもしれないが、それでも平気だったのは日本が未曽有の好景気で倒産する企業がほとんど存在しなかったからだ。

 当時日本のとるべき道は二つあった。一つはアメリカの要請を拒否しオーバーローンのまま日本経済を極限までふくらませ、アメリカに代わる経済覇権国家になること、もう一つは(これが実際に日本が採用した方法だが)アメリカの要請を受け、その結果貸出金を縮小し土地バブルを崩壊させて日本経済をアメリカの支配下に置く選択である。
今から思えば前者を選択していれば、今頃は中国のような国家になってアメリカとの経済摩擦を繰り返しながら東アジア経済圏を確立できたはずだと思うととても残念な気がする。

 しかし日本がアメリカと手を切って経済覇権国家になるには越えなければならないハードルがある。それは日本が実質的にアメリカの軍事植民地であるということで、もしアメリカの核の傘から外れれば当時はソビエトロシアの餌食になり、今は共産党中国の餌食になることは確実だ。
軍事的に独立しえない国家は独立国家とは言えない。アメリカの核の傘でかろうじて生存している日本が、アメリカの要請に屈せざる得なかったのは致し方ないことで、そうした意味で日本が世界の覇権国家になれる資格は当時も今も存在しない。

 日本の対象にあるのが中国で、独自の核やミサイルを保有し、軍事的に独立しているがゆえにアメリカの要請を拒否し中国式経営を自由に行うことができる。中国式経営とは不足資金はすべて国家が見るという方式で、かつ経営に必要なノウハウや技術はすべて他国から盗むというビジネスモデルである。アメリカがファーウェイをアメリカ組から放逐しても、アメリカ組に属さない多くの国(特にアフリカ)はファーウェイのサーバーをどんどん導入している。中国の快進撃はこうした中国方式、レーニンのいう国家独占資本主義を実現したことで、それによってアメリカと覇権を争うほどの経済力をつけてきた。

 かつて日本の銀行はオーバーローンというビジネスモデルで世界を席巻したが、アメリカに足をすくわれてからはもはや日本に世界レベルの金融機関はなくなってしまった。かろうじて農林中金だけがアメリカの投資会社のモデルをそのまま採用し、アメリカと伍して競争している。しかし農林中金は世界で最も多くのローン担保債権を抱えているといわれており、そのローン担保証券とは金融機関が企業に融資した債券を証券化したもので、簡単に言えばサブプライムローンとさして変わりがないものだ。
それゆえ一部アナリストから農林中金は最も危険な金融機関とみなされているが、実際はローン担保債権が焦げつくことはほとんどない。
理由はリーマンショックで懲りたアメリカをはじめとする金融当局が未曽有の金融緩和に走って、間違っても倒産の嵐を起こさないようにしているからで、おかげでローン担保債権をいくら購入しても問題が起こらなくなっている。

  中国における国営企業に対する無尽蔵の国営銀行からの融資による国営企業の救済、一方日本の農林冲金(そして郵貯も同じだが)がいくらローン担保債権を保有しても問題が起こらないほどのアメリカ、日本、EUの未曽有の金融緩和が21世紀リーマンショック後のビジネス環境になっている。
こうした状況下では経営学も新たな成功事例を分析せざるを得ず、それは国家における放漫金融だという何とも閉まらない話になってしまいそうだ。



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