(2.11.27) 人類衰亡史序説 日本 その39 株価は中央銀行が支えるから安心して投機に励め!!
株式市場が大はしゃぎをしている。ニューヨークダウはついに3万ドルの大台を超え、日経平均はバブル崩壊後の最高値を更新し、さらに毎日のように上昇している。コロナは一向に収束せず経済は最低に落ち込んでいるのに株価だけはいたって堅調だ。
アナリストはアメリカのバイデン政権への政権移行が軌道に乗り出し、ファイザーのコロナワクチンが年末までに出回るからだといっているが、しかし本当の理由はFRBと日銀とECBが行った総額700兆円に上る金融緩和のせいだ。
今や先進国では緩和した資金が実体経済に回ることはほとんどない。鉄鋼などこれ以上生産してもあふれるばかりだし、電化製品はそろっているし自動車も買い替え需要以外に必要ないし、飛行機など飛ぶこともなく駐機場で存在しない乗客を待ち続けている。
もはや実体経済に金の使い道はないのだが、市場関係者はばらまかれた資金は何とかして利益を上げようと鵜の目鷹の目だ。
こうした状況下で世界政治とコロナ禍に収束の兆しが見えたので、今やあぶく銭が一斉に株式市場に殺到した。
「これ以外に金の使い道が見つかりませんのや!!」という感じだ。
株式価格を支えているのは企業の業績ではない。FRBをはじめとした中央銀行が国債を担保に市場に資金を湯水のごとく流し込んでいる結果だ。現在の経済は投機経済であり投機以外にまともな資金の使用先がない。
投機対象は株式、不動産、仮想通貨、金といったところだが、少しでも値上がり気配のあるものなら何でも対象になる。
何しろ中央銀行はほぼ無限に通貨供給をしようとしており、それ以外に経済を支えるすべがない。
しばらく前までは日本の財政が世界最悪でいつ崩壊してもおかしくないと、世の経済学者やアナリストがご託宣を並べていたが、今やどの国も日本に倣って超金融緩和に乗り出した。ヨーロッパ各国もアメリカもそして中国もGDP対し財政赤城は100%を超え、コロナが収束しない限りさらなる金融緩和に乗り出すつもりだ。
財政健全論者から見たら目をむくような惨状だが、実際は日本の財政がいくら赤字国債を発行しても崩壊しないように度の国の財政も破たんすることはない。日本の財政金融政策は世界で最も先進的だったことが証明されている。
理由は簡単でこうした資金は実体経済とは関係ない投機経済の世界でのみ徘徊し、投機経済にはインフレがないからだ。正確に言えば株価の上昇はインフレであって、実体経済のインフレのように本来は好ましくないのだが、だれも株価の上昇に文句をいう人はいない。同様に不動産の値上がりについても、保有者はホクホク顔だしビットコインも同じだ。
実態は投機経済はひどいインフレであり、限界に近付いているかもしれないが中央銀行はこの方策以外の方策を持たない。
中央銀行が資金供給を止めるまでこの投機財の蝉噪は続き、そして中央銀行は金融引き締めに転ずる気持ちは全くないからこれからも株式等の値上がりは続く。もし資金供給を止めればその段階で後期資本主義(投機資本主義)は崩壊し、産業革命以来営々と築いてきた資本主義文明が終わってしまう。
「金を刷る以外にこの世界経済を維持する方法がどこにあるの?教えてちょうだい!!」これが金融当局の本音だ。
| 固定リンク
「評論 人類衰亡史 日本」カテゴリの記事
- (2.11.27) 人類衰亡史序説 日本 その39 株価は中央銀行が支えるから安心して投機に励め!!(2020.11.27)
- (2.11.21) 人類衰亡史序説 日本 その38 国家独占資本主義の時代(2020.11.21)
- (2.11.19) 人類衰亡史序説 日本その 37 デジタル通貨はいずれ世界を席巻する(2020.11.19)
- (2.11.20) 人類衰亡史序説 日本その38 現在の経営学とは何か(2020.11.20)
- (2.11.15) 人類衰亡史序説 日本 その36 社民党(社会党)消滅!!(2020.11.15)
この記事へのコメントは終了しました。
コメント