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(2.10.25) 人類衰亡史序説 日本その 49   財政緊縮論者の敗北 赤字国債こ打ち出の小づち

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  このコロナの蔓延で唯一好ましい結果になったのは、日本のような経常収支が黒字の国家はいくら国債を発行しても、金利も上昇せずインフレも起こらないということが明白になったことだ。
かつて財務官僚は赤字国債の増大はかならず国家破たんに陥ると警告し、せめて基礎的収支だけでも均衡させなければならないと主張してきた。基礎的収支均衡とはその年の税収入の範囲に支出を抑えるという主張だ。簡単に言えば赤字国債などとんでもないという思想である。

 しかしコロナ騒動が発生して以来政府は第一次と第二次の補正予算を組みその総額は60兆円規模だが、そのすべてを赤字国債で賄うとした。税金など取れるはずはないのだから、赤字国債はやむ負えないのだが、財政均衡論者から見たら常軌を逸した行為に見えるだろう。
国債の利回りが上昇し、悪性インフレが始まって国民の生活が崩壊する
しかし実際は国債利回りはほぼ0%に張り付いたままだし、インフレ率は1%前後にこれも動かない。

 なぜかは簡単で赤字国債で調達した60兆円あまりの資金は実体経済には入り込まずもっぱら株式や不動産やビットコインや絵画といった生活にほとんど関係しない財やサービスの購入に回ってしまうからだ。
いくら資金を投下しても消費材や投資財の購入には回らないのだからインフレが起こらないのは当然だ。
今や世界中で日本のまねをして赤字国債発行による資金調達に舵を切った。
アメリカもあの緊縮財政に命を懸けていたドイツも赤字財政主義者に様変わりした。基軸通貨国と経常収支黒字国はほぼ無制限に赤字国債を発行しても何も問題がないことがこのコロナ騒動で実証されている。財政緊縮論者の敗北である。


(この問題については前にも記事を記載したので以下に再掲しておく)

 思わず笑ってしまうほどの数字がアメリカの財務省から発表された。2020年会計年度の財政赤字は日本円で350兆円規模になるという。
過去このような巨額な赤字を計上したことはなくあのリーマンショック時で150兆円規模だったから、その2.3倍の未曽有の赤字になる。
これは前年対比で約3倍であり、どのような計数と比較しても未曽有の赤字幅だ。これによってGDPに対するアメリカの赤字幅は100%を越えてしまい、日本の約200%にだんだん接近してきた。

 財政規律を重要視する学者や政治家からは、「このような莫大な借金は返済不能ではないか」と嘆き節が聞かれるが、じっさいは国の借金(通常は赤字国債の形になっている)がまともに返済されたためしはない。
それどころか赤字幅は毎年のように増加していって、この先どこまで拡大するのかわからないような状況になっている。
では一体どうするのか???

 国の借金(赤字国債)を整理する方法は一つしかない。戦後の日本が戦時国債で行ったように猛烈なインフレーションを起こして、借金の価値を無限に減少させるのがその方法だ。日本は戦後約500倍といわれるインフレーションを引き起こしその結果戦時国債の価値は500分の1に減少した。現在の日本の国債残高は約1000兆円だが同様の計算をするとそれを2兆円にしてから返済することになるから、この金額なら大したことはない。

 もう一つの方法は、返済は一切せず利息だけを支払って、未来永劫に借金を増やしていく方法である
なら国債の利回りが10%程度まで上昇したらどうするのだ。国家予算のほとんどが利息支払いに回ってしまうではないか
しかしその心配はアメリカのような基軸通貨国や経常収支が黒字国日本、ドイツ、中国等)は心配ない。国債利回りはたとえば日本の場合はほとんどゼロ%で、国債をいくら発行しても利回りは上昇しない。
国家は金を借りても利息も支払わなくて済むのだから、いくらでも国債を発行しようとする。

 今やアメリカだけでなく、日本もドイツも中国も思いっきり国の債務(赤字国債)を増やしていて、中国以外はほとんどゼロ%の金利しか払わず、場合によってはマイナス金利まで現れている。
これが21世紀の現実で、国家が国民の生活を守るためにひたすら赤字国債の発行(通貨の印刷)を実施し、だからといってインフレにはならず(投機財市場はひどいインフレとなり)、絶対に返済不可能な金額になってもだれも驚かなくなってしまった。
どうせ返済しないのだからいくらでも赤字国債を発行して通貨を膨張させよう」通貨当局者は黙っているが、それが本音だ。

 21世紀に入って消費財や投資財に対する投資がほとんど増加しなくなっている。追加投入された資金は株式や不動産やビットコインや絵画などといった、本来価値を算定することが困難なもので、それゆえ無限大にまで価値の増加を図ることができるものに資金は回るようになった。消費財や投資財に対しては減価償却の範囲内の投資しか行われなくなってしまっている。
通常の物やサービスは十分すぎるぐらいあって、これ以上の投資は不良在庫として積みあがるだけだから投資をしても無駄なのだ。

 したがって追加投入される資金はいわゆる投機市場に出回って投資市場や消費市場には回ってこないから、こうした市場でインフレが起こる心配はない。インフレは投機市場でのみ起こっており、株式や不動産の値上がり、またビットコインや印象派の絵画といった本来価値づけが困難な世界(したがっていくらになるかわからない)に資金は徘徊している。
だが一方でこの世界はゼロサム世界だから(誰かがもうかればその分だれかが損をする)利回りはほとんどゼロ%近くに張り付いてしまい、資金が新たに価値を生み出すことはなくなってしまった。
21世紀に入り資本主義社会はとうとう投機経済だけがGDPの増加に寄与する世界になってしまった。

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