(2.9.30) 人類衰亡史序説 日本 その42 NTTグループの最後の兆戦
NTTがNTTドコモを完全子会社にするという。今まではNTTが66%の株式を取得していたが、残りの34%をTOBで買い付けるのだそうだ。TOBの価格は3900円で現状のドコモの株式の過去半年の平均価格より約30%高い。
なぜここにきてNTTがドコモの支配力を強化しようとするかといえば、ドコモの収益力が落ち込みさらにドコモ口座で大失敗をしたため、親会社のNTTとしてドコモの支配権を取り戻す好機となったからだろう。
現在ドコモは携帯大手三社の中で最も収益力が低いのだが、親会社NTTよりはかなり高い(営業利益 NTT3885億、ドコモ8547億)。
売上高もドコモのほうが大きいのだから子会社が親会社をリードしており、簡単に言えば「親会社何するものぞ」という雰囲気で、NTTの統制はほとんど効かない状況だった。このためNTTグループとしての力を発揮することができず、親会社NTTは完全に低収益会社になってしまった。バブル真っ盛りのころはNTTといえば世界で屈指の会社だったが、今ではGAFAやファーウェイが世界を席巻し、NTTは世界的規模で見たらローカル会社になっている。
日本国内でNTTは固定回線会社、ドコモは移動体会社などといって競争しているようでは、到底世界企業にはなれず日本というローカル市場で細々と生き残る以外に方策はなくなっていた。
そこでNTTとしては分割していた会社を統合し、開発力と競争力を強化して5Gとコロナ後のテレワーク社会に適用しようと今回の起死回生の完全子会社案が出てきたようだ。
「このまま黙って衰亡していくのは耐えられない・・・・」NTTグループといえばNTT,NTTドコモ、NTTコミュニケーション、NTTデータといったところが大手だが、日本市場の拡大がストップしているときに子会社間で競争などしていては共倒れになるのが実体で、まずは膨れ上がっていた会社の規模を縮小し筋肉質の体質に変えなければならない。
そしてNTTグループとして世界的に後れを取っている5G対応をしっかりを行うことがコロナ後の世界で勝ち残っていく道だと固い決意をしたのは喜ばしい。
何しろ日本企業といえば毎年のようにその地位が後退しており、もはや世界企業はどこにあるのというような状況だから、NTTに頑張ってもらわなければ日本はただ沈むだけだ。
かつて日本の大企業は同時に世界の大企業だったが、今ではほとんどがローカル企業になってしまった。
私が勤務していた金融機関もかつては世界を席巻し、都銀も10社体制だったが今では3社に統合され、それでも世界的なメガバンクとは到底言えない収益構造になっている。
昇る太陽も早かったが沈む太陽も早いのでは衰亡というより滅亡になってしまう。
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