(2.8.20) 人類衰亡史序説 ロシア その5 邪魔者は消せ KGBの伝統
ロシアでは反プーチンの政治家や実業家やジャーナリストが信じられないような容疑で逮捕されたり、また暗殺される。
今回発生した事件は極東のハバロフスク知事フルガル氏が約15年前に発生した殺人事件の容疑者として逮捕され、直ちにプーチン氏によって更迭された。
ブルガル氏はプーチン氏の与党統一ロシアに対抗している自由民主党出身の政治家である。
極東地区はヨーロッパ地区に比較して反プーチン色が強いのだが、それはここが見捨てられた土地だからである。もともとシベリアは帝政ロシアやソビエトロシアの流刑地であり、住民はその子孫が多い。
1991年のソビエト崩壊から約10年の混乱期には、モスクワからは全く無視されほっておかれていたのでその間住民は中国、韓国、日本との貿易でかろうじて生活を維持してきた。
日本との関係は中古自動車、中古自転車、中古電化製品をロシア人船員が大量に買い込み、極東の市場で売りまくっていたが、その結果極東の自動車はほとんどが日本製の中古車になってしまった。
フルガル氏もそうした事業家の一人で2018年の選挙で統一ロシアの候補を破って当選したのだが、極東の半プーチン感情を反映して「プーチンのイエスマン」にはならなかった。
ロシアではほとんどすべての政治家がプーチンのポチなのだから、このフルガル氏の態度はプーチン氏をいら立たせていたのだろう。
プーチン政権になってからプーチン氏に反旗を掲げた政治家やジャーナリストは次々に不審死を遂げるのだが、これはロシア自慢のKGB戦術で、ソビエト時代からの伝統である。
すでに700名近い反プーチン派の人々がその犠牲になっていて、警察の捜査は当然のごとくなおざりでほとんどすべてが迷宮入りになっているが、この暗殺はKGB出身のプーチン氏の得意技であることは明確だ。
外国に逃げても必ず毒殺やその他の方法で殺害されてしまい、2006年にはイギリスに亡命していた元スパイのリトビエンコ氏が毒殺され、また2018年にはやはり元スパイのスクリパリ氏が親子とも毒殺されそうになった。イギリス政府は激怒しロシアに厳重抗議をしたが、当然のこととしてロシアは知らぬ顔の半兵衛を決め込んでいる。
反対派をあらぬ容疑ででっちあげるか、過去の事件をほじくり出して強引に失脚させる手段はこれもロシアの伝統といってよく、中国でも反体制派に対して行っている措置だが、独裁権力の常套手段だ。
特にロシアは現在コロナと原油価格の低迷で経済的に追い詰められており、国民に対するプレゼントは何もない状況のため反体制派の政治家を血祭りにあげて注意をそちらに向ける以外に体制維持の方策はない。
ハバロフスクでは3万人規模のデモが発生しており、「プーチン止めろ」と叫んでいるが、今のところプーチン政権にとって大きな痛手とはなっていない。
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