(2.8.3) 人類衰亡史序説 アメリカ・中国との激突 その3 トランプ氏の大統領再選に赤ランプ
ここにきてWHOのテドロス事務局長が悲鳴ともいえる声明を発表した。
「パンデミックは100年に一度の危機でその影響は今後10数年に及ぶだろう」また「最悪期を脱したと思われたくさんの国々が新たな感染拡大に直面している」
この世界が奈落の底に落ちそうだという予言が最も当たりそうな国がアメリカだ。
当初トランプ大統領は感染拡大に高をくくっていたが、今や最大の感染国でかつ死亡者数が激増しているのはアメリカになってしまった。
アメリカのGDPは第二四半期年率換算で32%も落ち込み、これほどの落ち込みは100年前の大恐慌しかない。
大統領が何度も言っていた第三四半期以降のV字回復もあまりの感染症の拡大によって絶望的になっている。
トランプ大統領の大号令によって経済再開を実施した共和党系知事の各州は、ここにきて感染拡大が制御できない水準に到達している。
フロリダが典型的で、4月末以降経済再開に取り組んだが、今では全米一の感染者数になってしまい知事の支持率は急下降し、当然トランプ大統領の支持率も目を覆おわんばかりだ。
今やトランプ支持層がトランプ大統領の感染対策と経済対策に失望してしまい、すっかりアンチトランプになってしまっている。バイデン候補とトランプ候補の支持率の差はじりじり拡大し、今では5~6%程度の差が開いてしまった。
トランプ氏は「世論調査など当てにならず、前回の選挙で私は不利といわれたが勝利した」と相変わらず意気軒昂だが、その当時のクリントン氏のリードは約2~3%だった。
とても統計の誤差といえない数字に拡大しており、このまま行けばトランプ氏の敗北は決定的といえる。
それまで工場をアメリカに戻し製造業を再建しアメリカの労働者に職を与えるというのがトランプ氏の公約だったが、コロナですべてご破算になり、6月段階で失業率は11%と近年にない悪化をたどっている。アメリカから職場がどんどん失われてしまった。
トランプ氏としたらコロナを世界中の拡散させた中国の責任を追及し、自身の失政を糊塗したいところだが、有権者がそれを信じてくれるかはまた別問題だ。
「あんたがコロナは単なるインフルエンザだといって高をくくったからこうなった」怨嗟の声が鳴り響いている。
一方アメリカ、ヨーロッパがコロナ感染による経済失速に苦しんでいる中、中国はV字回復を喧伝している。山崎経済研究所の山崎所長のように
「あれは国家統計局が鉛筆をなめた数字だ」と笑っている人は少数で、多くの人々は中国経済のV字回復を信じ「やはり世界危機が発生すると中国共産党の一党独裁が効果的なのではないか」と思い始めている。
自由主義国アメリカより共産党主導の独裁国家中国のほうに魅力があると思い始めている。
歴史を紐解けばかつて1929年の大恐慌からいち早く立ち直ったのは、勤労奉仕とアウトバーンの公共工事によって経済がV字回復したと喧伝されたナチスドイツだった。
ドイツ人は狂喜しまた多くの国は次の覇権国はナチスドイツになるのではなかろうかと危惧と羨望のまなざしで見ていた。
「ハイル・ヒットラー」の叫びが地響きのようにこだましたが、今回は「ハイル・習近平」の声がこだましそうだ。
アメリカの凋落は即中国の躍進になる。トランプ氏がコロナ対策に失敗し、経済を奈落の底に落としてしまったため、今や世界の希望の星は中国になりつつある。かつてナチスドイツに希望を託したように今回は中国共産党習近平に世界が羨望の目を向け始めた。
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