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(2.7.24) 人類衰亡史序説 日本 その28 日本ではなぜ安楽死が認められないのか?

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 医療の現場で最も議論が分かれ、その結果法的な担保がないまま医師と患者との間で一種の秘密裏に行われる医療行為に、安楽死と延命治療の停止の問題がある。
今回、ALS筋力が徐々に低下し最終的には動かせなくなる病気)の51歳の女性患者からの依頼を受け、二人の医師が薬物を投与し死亡させたことに対し、嘱託殺人の罪に問われる事件が発生した。

 一般に嘱託殺人とは依頼を受けて自殺を幇助した場合に問われることが多いが、今回の事件は女性患者からのSNSでの依頼によって安楽死を肯定している医師により薬物が投与されたことが嘱託殺人に当たると京都府警が判断したという。
安楽死と延命治療の停止は定義上は別であり、安楽死の場合はまだ十分に寿命があったり他に治療法があるにもかかわらず本人の意思で死を望むものであり、一方延命治療の停止はほとんど寿命が尽き他に代替手段がない場合に呼吸器等の延命装置を外す行為を言う。
しかし定義とは別に実際は安楽死と延命治療の停止との境目はほとんどない。

 日本では安楽死は全く認められず、また延命治療の停止については患者の意思であったとしても家族からクレームがつけられ、殺人罪に問われることが多いため、延命措置を中止することは医療の現場では避けられてきた。

一方諸外国の実情は安楽死を認める国や地域はますます多くなりつつあり、現在はオランダ、ベルギー、ルクセンブルグ、カナダ、スイス、それにアメリカの一部で認められている。また延命治療の中止については韓国やスェーデンで法的に認められている。

さらに延命治療の中止が法的に担保されていなくても多くの国では延命治療が人間の尊厳を失う行為として選択されない場合が多い。


 今回のケースについてみれば、本人は生きることに絶望しておりまた自身では自殺もできないため医師に頼んで薬物の投与をしてもらったのだ。しかし法的に安楽死が認められないわが国ではこうした場合嘱託殺人の罪に問われ、医者は有罪になれば医師免許が停止され一生を棒に振ることになる。だから絶対に秘密が外部に漏れない保証がない限り医師がこうした安楽死を選択することはない。


 日本では生命は何にもまして重要なものでこれに代替するものはないと考えられており、医療現場では胃ろうや人工透析等ありとあらゆる手段で命だけは守る体制をとっている。しかし本当にそうした医療行為が患者本人のためになるかはまた別問題だ。

実際は命といっても価値ある命と、価値が薄い命があり、今回のコロナ感染症でイタリアやスペインやニューヨークでは医療崩壊が起き人工呼吸器を老人から外して若者につけていた。

切羽詰まった段階では、命は等価ではなく、だれかを助け誰かを助けないかの命の選択が行われる。

簡単に言えば老人で基礎疾患を抱えている人の命の価値はそうでない人よりは低い。

 日本の医療現場は法律の整備が進まないため、医者と患者の相対取引に任され、安楽死も延命治療の停止もそれがある場合は合法で、ある場合は非合法になっている。

実際は等価でない命を等価と認定することで日本の医療は行われているが、そうした無理が今回のような安楽死問題に表れている。

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