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(2.6.21)  人類衰亡史序説 コロナ その4  ワクチン開発は進んでいるが

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北半球は夏になりコロナウイルスの感染者数はあきらかに減少しているが、一方これから冬を迎える南半球ではブラジルを中心に爆発的に感染者数が増加している。WHOは一日の感染者数が17万人を越えたと最大級の警告を発していて、世界全体としてはコロナ感染者数は毎日のように増加傾向にある。
 
 北半球の国々にとってはこの夏場のウイルス不活性時期に何とかしてワクチンを開発して次の冬場を迎えたいと考えており、各国でワクチン開発の競争をしている。その中で最も早く開発が進みそうなのが、イギリスのオックスフォード大学と製薬会社アストラゼネカが開発しているワクチンで、現在数千人規模でフェーズ3の臨床試験に入った。
医薬品の開発にはフェーズ1から3までの試験が必要で、1が動物実験レベル、2が数十人から数百人規模で有効性確認試験レベル、3が数千人規模での副作用等の問題がなく安全であることの確認試験になっている。

 他の国のワクチン開発段階がフェーズ1か2で、オックスフォードのワクチンは臨床試験で安全性が確認されれば医薬品として正式に認可される。この冬に間に合えばそれこそ僥倖なのだが、実際は製品化するにあたっては多くの難問がある。第一の難問はこうした新薬を生産できる設備を持った製薬会社は先進国に限られること、第二に製薬会社が発売する薬品価格は研究費を回収する必要があってほとんど高価であること、そして第三の難問はワクチンを大量に生産することは製薬会社1社ではとても需要に追い付けないことだ。

 第一の問題から後進国においては自国での薬品開発が全く不可能な現状があり、第二の問題からたとえ薬品の開発に成功しても基本的には自国民の金持ちだけが対象になり、第3の問題から他国にいきわたるには生産量の問題でほとんど不可能なことだ。
このため多くの国に開発されたワクチンがいきわたるような仕組みが必要とされ、WHOは特許権を製薬会社に棚上げするように要請している。
しかしこれは製薬会社にとっては死活問題で数千億円の開発費をかけてようやく開発した薬品から利益が出ないとなると、そもそも開発をする意欲がなくなる。
いくら新薬ができても、タダ同然で供給させられるんでは会社がつぶれてしまう。それなら新薬の開発などしないほうが良い」

 現在製薬会社にとってもまたコロナが蔓延している国にとっても何とかウィン・ウィンの関係が築けないか国連やG7の各国が検討しており、日本が提案している方法はMPP(医薬品特許権プール案)というのだが、製薬会社の特許を国連のUNITAIDが買い上げて、それを開発した製薬会社だけでなく先進国のジェネリック製薬会社で生産させ、それを主として低開発国に安価で供給しようという案である。
この買い上げ資金を提供するのはG7の各国で、またジェネリック薬品の開発も主としてG7の各国で行おうというものだ。

 この案に賛成しそうなのはヨーロッパ各国と日本で、反対するのはアメリカであり、中国は最初から蚊帳の外に置かれている。
中国の場合は15兆円規模の開発費でワクチン開発を急いでおり、これを戦略的にアフリカ等の低開発国に供給する計画で、簡単に言えば中国グループだけにワクチンを提供するという戦略だ。一方アメリカは開発費が回収できるように製薬会社が自由に販売価格を決めさせる案で、間違っても大安売りはさせないと考えている(ただし一部の製薬会社はコロナが収束するまで利益を度外視した薬品の提供をする用意があるといっている)

 日本は大阪大学と製薬会社のアンジェスが共同で開発しているワクチンがあるが、いまだフェース1の段階でとてもオックスフォードのワクチンのスピードにかなわない。
しかしオックスフォードのワクチンが成功しても生産量は限定されるから当初はイギリス人以外にこのワクチンを接種させることは不可能だろう。したがって他国に頼ることは当初は不可能で、日本は自前でワクチンの開発を行い当初は日本人対象に摂取することになりそうだ。したがってこの冬再び北半球でパンデミックが発生すれば各国はワクチンの取り合いに狂奔することになり、ワクチン開発に成功した国だけが安全でその他の国は今年とおなじロックダウンを経験することになるだろう。。

 





 

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