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(2.5.18) 人類衰亡史序説 中国 その10  中国人民元の行方

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 中国が熱心に中国元をデジタル通貨に変更しようとしている。デジタル通貨にはビットコインをはじめとして民間レベルで幾種類もの通貨が存在していて、一時はその決済機能がドルや円に代わるものといわれていたが、実際は投機財としての使用にとどまっている。
あまりに価格の上げ下げが激しく支払い手段として授受しても、明日はどのような価格になるかわからないからだ。

 経済が不安定な国家の通貨は、きょうの価格が明日には100分の1程度の価値しか持たないことがよくあり、国民はそうした通貨の受け取りを拒否して「お客さん、ドルなら受け取りますよ」という。
仮想通貨については下がるだけでなく上がる場合も大いに想定できるのだが、今度は上がるのならば決済に使用せず自分で保有し続ける方が明らかに儲かることになる。
簡単に言えば価値の変動が激しすぎるものは貨幣にならない

 今までの仮想通貨が投機財に過ぎなかったのはこのためだが、一方中国が発行を予定しているデジタル通貨は現在の人民元をそのまま紙幣からデジタル貨幣に横滑りさせるだけだから、仮想通貨と違って価値の安定化が図れると中国当局は説明する。
しかしなぜ紙幣でなくデジタル通貨かといえば、中国では紙幣の偽造が後を絶たないからだ。日本円のような精巧な印刷技術で作成されておらず、パソコンの印刷機能でも作られるレベルだから偽造はたやすい。

 そのため中国人は紙幣を信頼せず、今ではスマホで決済する人民が約6億人に上り、国民の半数がスマホ決済に移行してしまった。しかしこのスマホ決済のためには銀行口座が必要で、この程度の決済機能なら多かれ少なかれ各国が導入している。

一方中国政府が目指すデジタル通貨では銀行口座は必要でなく、アプリをダウンロードしそこに一種の財布口座を作るだけで利用が可能になる。

金融機関の最も大事な機能の一つが決済機能だが、それを銀行の代わりに中国政府が一元的にデジタル口座を管理して決済を行うことができるシステムで、これによって中国政府は全人民の資金の流れを把握できる。一方で人民のメリットとしてはこの口座を利用して、今までは送金業務だったものが単なる即時振替業務に代えることができる。簡単に言えば送金手数料がいらないし決済が速い。


 最もこの口座残高を外部から操作して書き換えられてしまっては信用台無しなので、それが絶対にできない仕組みが必要だ。このコンピュータ技術をブロックチェーンというが、中国では世界に先駆けてこの技術の開発に成功したという。
一方現在流通している仮想通貨はハッカーから常に狙われており、システムの穴をついて簡単に盗まれてしまう事例が後を絶たない。
果たして中国が誇るブロックチェーンがどの程度信頼できるかは実際に運用してみてわかるのだが、運用したとたんに口座から資金が流失して雲散霧消したなどということも起こりかねない。
日本ではセブンイレブンが7ペイでつまずいたが、そうした危険性は常にある。

 私もかつてシステム開発を行っていた人間だから良く知っているが、バグのないシステムなどありえず必ずシステムには穴がある。システムは完璧だというのは単なるおとぎ話だ。
中国政府のデジタル通貨も世界のハッカーの餌食になる可能性が高いが、それでも国内での利用に一定のめどがついた段階で今度は中国国内だけでなく中国と友好関係を持っているイランや北朝鮮やアフリカの友好国にこのシステムを拡大するだろう。

 現在決済通貨の約40%はドルで中国元は2%に過ぎない。世界的に全く信用されてないといってよく中国の友好国だけが中国との取引に限って元を使用している。どこまでデジタル通貨が浸透するかはお手並み拝見といったところで、実際は中国経済が世界を席巻するようにならない限り紙幣だろうとデジタル通貨だろうと中国の友好国以外が利用することはないだろう。




 

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