« (2.3.28) 人類衰亡史序説 韓国 その8  なぜ韓国の世論調査は信頼がないか | トップページ | (2.3.30)  人類衰亡史序説 日本 その10   公債依存度36%の不思議 »

(2.3.29)  人類衰亡史序説 フィリピン その1 麻薬撲滅には成功したけれど

Dscf0118

 フィリピンのドゥテルテ大統領を見ているとちょうど西部劇に出てくる保安官のような感じがする。西部劇では保安官がその街を実質的に牛耳っており、外から荒くれものが入ってくると有無を言わせず追い出すか、抵抗する場合は撃ち殺し「俺が法律だ」とうそぶくあの保安官である。
ドゥテルテ氏はフィリッピンの大統領になる前にダバオの市長をしていたが、ダバオをアジアではまれな平和な市にしてしまった。
それまで麻薬密売人の天下だったのを、自ら乗り出して密売人を射殺し、警察官には密売人を含む犯罪者をその場で撃ち殺す権限を与え、数万名のやくざを撲滅してしまった。

 この実績を引っ提げてドゥテルテ氏は2016年、フィリッピンの大統領に当選したのだが、大統領になってからのやり口も全くダバオ市長時代と同じだった。警察官と民間の射殺部隊を組織し、密売人と思われた人々を次々に射殺したがその数は6000名にものぼるといわれている。
また射殺部隊には主婦のような女性もいて一人殺すごとに2万ペソ約5万円)の報奨金を出していた。
この強引な方法は国際刑事裁判所で違法とみなされたためこの組織から脱退し、また国連の人権員会でも取り上げられたため一時は国連を脱退する構えを見せていた。

 ドゥテルテ氏から言わせれば「こうでもしないとフィリピンから麻薬組織やそれに類する犯罪が撲滅できなく、市民生活が守られない」ということで、実際フィリピン人の約80%がこうした乱暴極まるやり方を支持し「われらの保安官」とたたえている。
こうしてドゥテルテ氏の剛腕によってフィリピンに平和が訪れたのだが、時のアメリカ大統領オバマ氏はこのような人権無視の荒くれものをひどく嫌い是正を求めたため、ドゥテルテ氏は「あの売春婦の息子が偉そうなことを言うな」と口汚くののしりアメリカとの関係が疎遠になった。

 この間隙を突いたのが中国で多額の投資を約束しドゥテルテ大統領に接近した。中国は人道問題など絶対に持ち出さないからすっかり意気投合し、それまでフィリピンが南シナ海での島しょの領有権をめぐって中国と反目しあっていたことをすっかり忘れてしまった。ハーグ国際裁判所でフィリピン領有が認められたのにもかかわらず領有権は棚に上げ、海底油田やガス田の共同開発(実際は中国の開発で分け前だけもらう)をすることにした。
ドゥテルテ氏はオバマ大統領とは全く反りが合わなかったが、一方トランプ大統領が就任するとトランプ大統領とはすっかり意見が一致したと見えて中国一辺倒の外交からアメリカとのバランス外交に鍵を切った。

 ドゥテルテ氏はフィリピンの人気者で、コロナウイルス対策においても首都マニラを封鎖しても国民から強い反対は出ない。正確に言えば反対すると秘密警察がやってきて射殺されかねないので実におとなしく指示に従っている。
しかし今回のコロナウイルスの蔓延で世界中の国境が閉ざされてしまい、国民の1割が外国でのメイドや看護師のやガードマンの仕事で生活しているフィリピンにとって経済的な痛手は非常に大きい。

 一人当たりのGDPは約5000ドルであり、東南アジアの国としては中程度の豊かさだが多くは国外からの送金で得ているため、本年度のGDPの伸び率は相当厳しくなると想定されている。ここ数年、年6%程度の成長をしていたがコロナの蔓延状況によってはゼロ%の成長になるかもしれない。
人口増加率は年1.5%程度で成長がなければ貧しくなるだけだから、この突然のコロナ騒ぎはドゥテルテ大統領にとっては正念場といえそうで、麻薬撲滅より厳しい戦いになるかもしれない。


 

|

« (2.3.28) 人類衰亡史序説 韓国 その8  なぜ韓国の世論調査は信頼がないか | トップページ | (2.3.30)  人類衰亡史序説 日本 その10   公債依存度36%の不思議 »

評論 人類衰亡史」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)


コメントは記事投稿者が公開するまで表示されません。



« (2.3.28) 人類衰亡史序説 韓国 その8  なぜ韓国の世論調査は信頼がないか | トップページ | (2.3.30)  人類衰亡史序説 日本 その10   公債依存度36%の不思議 »