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(2.3.5)  人類衰亡史序説 ベネズエラ その1

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 南米のベネズエラ左翼政権が左翼政策を放棄して生き延びようとしている。2017年からアメリカからの経済制裁を受け、一時は300万%という信じられないようなインフレが高進していたが、19年度は年率7000%に低下したとマドォロ政権は大見得を切っている。

日本人から見ると年間に70倍も物価が上がることなど到底信じられないが、中南米では奇跡の復活になるらしい。
経済制裁前はベネズエラの石油の主要な販売先はアメリカだったが、経済制裁で一滴もアメリカに売れなくなった。ベネズエラ経済は崩壊寸前に陥ったがそこに助け船を出したのが中国とロシアであり、原油生産量もピーク時の7割まで回復している。
心配しなくてもいいですよ我々が購入します」

 マドォロ政権は社会主義政策に未練があったがアメリカの制裁を受けて、苦し紛れにそれまで実施していた社会主義政策を放棄した。為替レートを自由化し、物価統制を廃止し、民間会社による輸入の自由化を認めた。スーパー等の国有化政策も元に戻した。
これによって首都カラカスには食料品等の生活必需品が出回るようになり、人々が動物園を襲って飼育されていた動物を食料にしないでも済むようになった。

 一時はアメリカの支援を受けた野党のグアイド国会議長がマドォロ大統領を引きずりおろしそうな勢いだったが、期待した国軍はグアイド国会議長に味方せず、またロシアが精鋭部隊を派遣してマドォロ大統領の護衛をしているのでグアイド派が実力でマドォロ氏を引き釣り下すこともできなくなった。
完全に膠着状態に陥っておりマドォロ大統領がすぐに失脚する兆候はない。

 資源大国といわれるベネズエラに社会主義政権が発足したのは1999年のことで、21世紀の最初の10年は石油価格が高騰し一時150ドルあたりまでいった時代である。政権をとったチャベス大統領は有り余る石油収入をバックに食料品やガソリンに補助金を与え、また福祉政策を充実してベネズエラ国民に夢のような生活を保障した。
チャベス大統領は国民の誇りだ」社会主義政権を国民だれもが絶賛していた。

 この社会主義政権に突然襲ってきたのがリーマンショックでそれまでの石油価格150ドルががたちまちのうちに100ドル程度まで低下しさらに2016年以降は50ドルを割ってしまった。ベネズエラの石油埋蔵量は莫大だがいわゆる低質油でコストは50ドル前後だから、たちまち政府の財政はひっ迫し補助金等の福祉政策を停止した。

ガソリン価格がリッター2円程度から市場価格になったので国民の怒りは収まらない。

社会主義政権はくそだ」

 さらに問題は石油収入を担保に中国から約7兆円の借金をし、ロシアから約2兆円の軍事物資を購入していたが残った石油収入を借り入れの返済に充てなくてはならなくなった。

国民の財産はすべて中国やロシアの返済金で、国民はただ貧しくなるだけか・・・・
多くの国民が失望し3000万国民のうち約400万人が合法非合法でベネズエラから脱出してしまった。特に金持ちは真っ先に逃げたから残ったのは貧乏人ばかりだ。

 2016年以降のベネズエラ経済は完全に破たんし、インフレはとどまるところを知らず、国民は国外に逃げだし、まさに破産国家になっている。その破産国家を崩壊一歩手前で支えているのが中国とロシアだが両国とも多額の貸付があってマドォロ政権が崩壊してしまうと貸付金の回収ができない。

ちょうどロシアがシリアを支えてアサド政権が延命しているが、それと同じようにマドォロ政権を中国とロシアが支えている。
中国などは世界中で貸出金のほとんどが焦げ付いて不良資産の山を築いており、ここでさらに7兆円が焦げ付けば一帯一路に回す資金が枯渇する。

最後の社会主義政権ともいわれたベネズエラ経済の崩壊は中国経済とロシア経済の今後を占う試金石であり、実に興味深い。

 

 

 

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