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(2.3.9)  人類衰亡史序説 アメリカ その3

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 アメリカでは大統領選挙の予備選が行われており、民主党の候補者は中道派のバイデン氏か社会主義者のサンダース氏に絞られた。スーパーチューズデイが終わった段階での代議員獲得数はバイデン氏が621名、サンダース氏が553名でほぼ拮抗している。
アメリカでは一般的に社会主義者は嫌われてきたが、サンダース氏は自らを社会主義者と公言してはばからず、それでも学生をはじめとする若者と貧乏人から圧倒的支持を受けている。

 サンダース氏のメインの主張は国民皆保険制度の導入で、オバマ氏が懸命な努力をして導入を図ったものの完全に骨抜きにされた制度の復活である。
日本にいると国民皆保険は当たり前で、どんな病気であろうとたとえば私の場合は2割負担で済む。私はこの1月に脊椎間狭窄症の手術で市川の総合病院に約20日間入院したが、自己負担は約7万円だった。歩行困難状態から回復でき再び歩けるようになったが、たった7万円で人生が蘇るのだからすごい。
一方アメリカでは保険未加入者はいまだに3000万人弱いる。こうした人たちは保険料が高額のため保険に加入できない人で(オバマケアで希望者は全員保険に加給できるが、保険金があまりに高額なため実質的に保険に加入できない)、今回のコロナウイルスの検査を行うと5万円~10万円程度かかり、保険がなければ自己負担になる。

 サンダース氏はこうした不合理に戦いを挑んでおり、アメリカに日本並みの保険制度を導入することを目指している。アメリカは全体としては豊かな国だが、金持ちと貧乏人の格差がはなはだしい。例えばアメリカ人の上位3人の資産ビル・ゲイツ氏等)で、アメリカ人の50%の資産を越えてしまう。1%の持てるものと99%の貧乏人という構図だ。

過去アメリカでは中産階級が次々に消滅してきた。中産階級とはGMやフォードやGEといったアメリカの大企業に勤めていた工場労働者のことだが、アメリカの大企業が次々に賃金の安い中国等に工場を移転した。そのため工場労働者は馘首され、マクドナルドの時間給1000円の店員に転落している。


 トランプ氏が意外にも大統領になれたのはこの失われた中産階級の復活を約束したからで、中国に盗まれてしまった職場を再びアメリカに戻すと約束したからだ。

一方サンダース氏は国民皆保険制度の導入を目指して、だれでもどこでも平等な医療を提供されることを目標してる。貧しい国民の救済を目指しているのだが、その財源は国債発行で賄おうとしている。

アメリカが無限ともいえる国債発行が可能なのは、国際通貨ドルを持っているからだ。ドルをいくら発行しても(国債を担保にドルを印刷しても)ドルの威信はいささかもゆるぎないのは、世界中でそのドルを使用しているからで、世界はドルなしに一日として暮らせない。
世界通貨だから世界中に拡散され、アルゼンチンのように印刷した紙幣が国内にとどまらないからインフレが起こることもない。

 これをMMT理論というのだが、もともとは日本政府がいくら赤字国債を発行してもインフレも起こらなければ、円安にもならないことから理論形成がされた。「経常収支が常に黒字で物価と長期金利が上昇しなければいくら国債を発行してもよい」というのが味噌で、日本を見てみろということだ。

MMTの拡張版がアメリカで基軸通貨を持つ国は経常収支が赤字でも、物価と長期金利が安定していればいくらでも国債を発行できるというもので、世界を犠牲にしてアメリカに利益をもたらそうと言うことだ。


 サンダース氏が目指すのもこの国債発行で財源を賄い、日本並みの国民皆保険制度を作ろうということで、貧乏人や学生から圧倒的な支持を得ている。金持ち階級からは眉を顰められているが、サンダース氏はMMT理論の信奉者だからいささかもひるまない。
私が大統領になれば必ず皆保険制度が実現できる。財源も確保できる
実際はこの無限に可能な国債発行というのは条件付きで、例えば日本の場合は経常収支が赤字になればインフレが高進し長期金利も上昇してしまう。アメリカの場合も基軸通貨といっても世界が必要とする通貨量を上回って来れば、インフレと長期資金の上昇が始まる。
しかしそれまでは自由勝手に国債発行ができるのだから、使わない手はない。

 アメリカはあまりに富の偏在が大きくなり、貧乏人はまともに病院にすら通えなくなっている。サンダース氏はそれを通貨量の増大で救おうというあまり社会主義らしからぬ通貨理論を引っ提げて、大統領選挙で勝利しようとしている。このサンダース氏の主張が保守層にも浸透すればサンダース氏が大統領になる可能性もある。何しろトランプ氏が中産階級の復活を唱えて大統領になれたのだから、社会主義者でMMT理論の信奉者のサンダース氏が大統領になっても少しもおかしくない。
左派と右派の違いがあるが両者ともアメリカ1国主義のところがそっくりで、世界のことは考慮しないのも酷似している。



 

 

 

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