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(2.3.30)  人類衰亡史序説 日本 その10   公債依存度36%の不思議

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 私が経済学を学んだのは今から50年ほど前であり、当時はサミュエルソンの経済学が一世を風靡していた。彼の書いた経済学という教科書はどこの大学でも採用され、私は夢中でこの分厚い経済学上下(都留重人訳)を読んだものだ。幸いにこの教科書は非常にわかりやすく記載されており1年間も夢中で読めばだれでも近代経済学を理解できた。
だがしかし現在においてはこの近代経済学は凋落し、今やMMT(現代貨幣理論)が経済学の主流になりつつある。

 近代経済学とMMTの最大の相違は財政収入を何に依存するかの相違にある。伝統的な近代経済学においては財政均衡という考え方が主流で、もし何らかの事情で不均衡になり、国債発行(国の借金)で補ったとしても、長期的には税収で返済可能な金額とすべきだとする。

この理論を基礎にEUでは財政規律という規制が導入され、国債発行額がGDPの3%以下か国債残高がGDPの60%のどちらか低いほうとなっている。

一方日本ではこうした縛りがないため、国債発行はほぼ自由にでき最近の国債残高は昨年末で約900兆円、一方GDPは約600兆円だから、GDP対し国債残高比率は150%になっている。

また予算に対する国債依存度日本が36%前後、アメリカが10%、英国が5%、ドイツは2%でこれも圧倒的に日本の比率が高い。


 世界の経済学者にとって驚くべきことは日本が財政規律という面から言えばハチャメチャな国債発行を行っても、国債利回りはほぼ0%に張り付き、アルゼンチンやベネズエラのような10%を越える利回りにならないことだった。
確かにドイツやオランダといった財政規律を厳格に守る国の利回りは現在マイナス金利だが、日本はそうした国とさして変わらない0%水準で、赤字国債の発行が国債利回りを上げないばかりか物価水準もほぼ1%程度で推移している。

この日本経済の現状からみると今までの近代経済学は大きな間違いをしてきたのではなかろうか・・・・・・

そうした反省の下に構築されつつある経済学がMMTである。

 問題はしからばどの程度まで国債発行が許されるのかという問題に移っており、基本的には経常収支が黒字国はその範囲まで赤字国債を発行しても問題ないのではなかろうかというのが第一次接近になっている。
日本の経常黒字は毎年20兆円規模で、一方赤字の新規国債は30兆円規模だから、これだと国債の発行額が約10兆円オーバーしている。
そうなると第二次接近が必要になるが、それは国家の信頼度というかなり抽象的な概念になり、具体的には国債利回りが上昇しなければいいということになっている。

 非常に露骨に言えば、国債を発行しても利回りが0%に張り付いている限り、好きなだけ国債発行ができることになる。あるいはもう少し条件を緩和して利払いが可能な程度の上昇幅ならばその範囲で国債発行は可能だということになる。
現在政府はコロナウイルス対策として60兆円規模の赤字国債発行を計画しているが、この発行によって利回りが若干の上昇にとどまれば、コロナ対策としての資金供給は成功したことになる。

 いまだに新聞紙上では財政規律という言葉が使用されており、プライマリーバランスという言葉で単年度の予算は単年度の税金に見合う額に抑えようとしているが、そうしたことはMMT理論では全く必要ない。そもそもプライマリーバランスにおいては借金は返済するものとの前提に立っているが、実際は借金は返済されない。返済相当額を新たに国債を発行してファイナンスするから、政府が支払うのは利息分だけで、それも昨今は0%だから利息の支払いも必要ない

近代経済学が打ち立てた財政規律という思想は、MMT理論によって日本では実質的に崩壊しており、黒田日銀が無尽蔵に発行された国債を担保に日銀券を供給するという超緩和策が可能となっている。

今回のコロナウイルス対策でもほぼ無尽蔵の赤字国債の発行になりそうだ。しかし世界においては日本国に対する信頼は抜群だから、この難局を乗り切る資金手当てについては心配はなさそうだ。




 

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