(2.2.14) 人類衰亡史序説 アメリカ その1
21世紀の50年頃まではアメリカの覇権は揺るぎそうにない。一部の論者は中国がGDPでも軍事力でもまたIT技術でも2030年ごろにはアメリカを凌駕し、覇権国家になると予測する人がいるが、それは全く予測外れに終わるだろう。
第一に中国のGDP統計は全くの嘘で、本当は中国当局でさえ実態がどうなっているかわからない。中国進出の日本やドイツやアメリカや韓国の企業がそろって赤字になっても、中国は相変わらず6%前後の成長をしていることになっていて世界中から失笑を買っている。特に昨今はコロナウイルスが中国中を蔓延し、生産活動も消費活動もほぼストップしている。それでも中国は6%の成長を達したというはずだからGDPの比較など最初から無理がある。
「たとえ何も生産できなくても国家統計局がある限り6%の成長は可能だ!!!!」
また軍事力もかなり怪しく、空母などはいまだにまともに離着陸ができない。いったん飛び立つと甲板に着陸することが不可能なので中国国内の飛行場に着陸している。ただし対外的プロパガンダは威勢がよく、空母から飛び立つ中国国産機(ロシア機のコピー)の映像を何度も流して軍事大国を演出している。
IT産業はアメリカの技術を盗んでそのコピーを作ってきたが、トランプ政権が怒ってしまいファーウェイ等の中国ハイテク企業をアメリカから追い出してしまった。
中国がいくら誇大宣伝で迫ってもアメリカを凌駕することはできず、最近は国家の崩壊が迫っていることを危惧しなければならなくなっている。コロナウイルスの蔓延を防げることができなければ習近平政権は終わりだ。
ヨーロッパもひところEUがアメリカに迫る勢いだったが、ドイツ経済が失速しイギリスがEUから脱退しEUに黄昏が訪れている。日本は1990年代のバブル崩壊で覇権レースからとうに撤退している。アメリカに対抗できる国や共同体は存在しない。
アメリカ経済を語る場合常に問題になるのが双子の赤字だ。財務収支と貿易収支がともに大幅な赤字でどちらも日本円で100兆円規模となっている。日本の財政赤字が34兆円程度だが、日本の貿易収支はほぼトントンで双子の赤字ではない。
このアメリカの赤字規模は毎年増加する傾向にあり、このまま進めばアメリカ経済が崩壊するというのが伝統的な経済学者の言だが、実際はアメリカ経済はどの国よりも好調で毎年3%程度の成長をしており、さらにアメリカ人の人口は毎年増加している。
アメリカ以外の国や地域がほぼ成長が止まりせいぜい1%前後の成長しかできず、しかも人口減少に悩まされているときに驚きの数字だが、そのからくりはアメリカ通貨ドルが基軸通貨であるところからきている。
金融に疎い人は基軸通貨の意味を理解しないが、簡単に言えば赤字分はすべてドルの印刷で賄うことができるということだ。
「馬鹿な!!!そんな紙切れをだれがもらうものか」と思うかもしれないが実際は日本、中国をはじめ世界の中央銀行や金融機関が喜び勇んでアメリカ国債を購入している。それが実態なのだ。
注)現在は直接紙幣の印刷をするのではなくアメリカ財務省がアメリカ国債を発行し、その国債をFRBがすぐに買い取ることで実質的に紙幣の印刷と同じ機能を発揮している。
「いつかその国債も売れなくなる。絶対だ」と危惧する人がいるがその心配はない。アメリカ国債が売れなくなる前に中国や日本やヨーロッパの国債が売れなくなり相対的に信頼が厚いアメリカ国債に世界の余剰資金が飛びつくことは確かだ。
アメリカはまさに世界銀行であり、ドルを使用しなければ日常の取引はほとんどできない。だからドルをいくら印刷しても価値がさがることはない。これを最近はMMT理論というが当たり前のことだ。
一方中国の元などは自由市場がないからいざといった時に現金化できない。今通貨と国債を自由に変えられるのはアメリカと日本とイギリスとドイツとスイスぐらいしかない。
赤字になれば国債発行をして資金調達が可能だから、アメリカの双子の赤字はいつまでたってもなくならない。おそらく21世紀の前半まではこうした状況が続くだろう。
アメリカにとって唯一の危惧は経済や金融ではなく、自然災害に対応できなくなりそうなことだ。毎年のようにカリフォルニアの森林は焼け焦げ、中部はトルネードだらけになり、そして南部は毎年のように強烈なハリケーンに襲われている。
トランプ大統領はそれでも石炭火力を認め温室効果ガスの排出をいつまでも続けるつもりだから、地球からの厳しい反逆にあうのは致し方ない。生産するより災害で富を失うほうが大きくなりつつあり、あまりの災害のひどさに生産意欲がなくなりそうだ。
アメリカは対国家間の戦いには勝利するが、自然との闘いに負け21世紀の終わりにはのどかな田園国家になっているだろう。
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コメント
アメリカ崩壊は水不足で始まります。オガララ水脈の枯渇そして海底水脈は使っていくと海水が混じっていき僅かな期間で使えなくなります。
投稿: えのじ | 2020年2月16日 (日) 07時40分