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(2.2.20)  人類衰亡史序説  インド その1

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 インド経済は18年ごろまでは実に順調で年8%程度の成長を遂げていたので、このままいくといつか中国経済を凌駕するのではないかと思われたほどだ。人口も中国とほぼ同じ14億人で教育水準は農民を除くと非常に高く、英語が公用語なので成長の条件はそろっているように思われていた。
そのインドに激震が走ったのは19年度に入ってからで急に成長率が鈍化し始め、それまでの8%レベルから5%程度に落ちてしまった。韓国やドイツやオーストラリアといった中国が最大の輸出先なら中国の影響と判断できるが、インドの輸出先はアメリカやUAEが主で、中国との関係は輸入がもっぱらだから中国の影響とはいいがたい。

 インドの成長率が落ちた原因はバブル崩壊後の日本と似ていて、それまでノンバンクを中心に建設業者に貸しまくっていた資金が、ここにきて回収が不能になってきたことによる。インドはインフラ部分がひどく脆弱でそのための公共投資を熱心に行ってきたが、政府は慢性的な財政赤字のためもっぱら民間資金を使用する方法をとってきた。
しかしインフラ投資はそれ自体は収益を産まないから、民間部門主導には限界がある。工事が滞り建設会社の資金繰りが悪化するにしたがって、ノンバンクのデフォルトが発生し以来金融が一気にしまってしまった。
もう貸し出しはできません。これ以上すればこちらが倒産します!!!
1990年代の日本の住宅金融会社の倒産に似ている。

 どこでも高成長の間はその国の弱点は見えないものだが、低成長になると弱点があらわになってくる。インドは経常収支と財政収支が慢性的に赤字なのだが、それでも資金繰りに問題がなかったのは「インドこそ21世紀の大国になる」と予想した投資筋がインドに資金供給を絶やさなかったからである。しかし経済が不調になるにつれてインドルピーは売られ始め、ひところ1ルピー2円だった相場は今は1.5円で25%程度のルピー安になっている。
もっとも今現在でもGDP伸び率が5%程度というのはどこの国よりも高いので、まだ市場はインドに期待していて資金を引き揚げるところまではいっていない。

注)中国のGDP伸び率は約6%となっているが、これは国家統計局が鉛筆をなめて党中央の目標数字に合わせているだけなので、本来の伸び率とは全く関係ない。一般には他国と同様の1~2%と推定されており、またコロナウイルスの蔓延でマイナス成長になったともいわれている。

 インドのGDP伸び率の低下はインド経済のバブル崩壊といった側面が大きく、世界経済の余波とは言えない。

今後ともインド経済が成長すると予測する理由は一人当たりのGDPが世界の140位ぐらいでラオスやベトナムより低く伸びしろがあると思われているからである。

しかしインド経済が成長するにしてもかつての8%といった高成長にならないだろう。インドには成長を妨げるカースト制度というものがあり、これが桎梏になる可能性が高い。


 例えば農業はカースト制度の最下位のシュードラの職業だが、農業機械や農薬や化成肥料の使用によって生産高は増大するが一方労働力は必要なくなる。これが日本だったら農家の次男三男坊は東京に集団就職し日本の高度成長の担い手になったのだが、インドでは職業でカーストが決まっているため、余剰農業者が都市に出ても商業や工業の担い手になれない。労働力の流動化がとても難しい。
このためインド人はインドに見切りをつけて海外に移民する人が多いのだが、世界最大の移民国はインドで国連統計で1600万人の移民が存在している。
高等教育を受けたインド人はもっぱらアメリカに移りシリコンバレーの担い手になっており、一方高等教育とは無縁の下位カースト出身者はサウジアラビアや、UAEといった石油成金国で肉体労働に従事している。

 私は個人的にはインド好きなのだが、やはりインド独特の問題があり、また世界経済の失速もあってこれからのインド経済に高度成長を望むのは無理だと思う。せいぜい3%前後のマイルドな成長が続くのではないかと予想しているが、大失速の中国や韓国やドイツやオーストラリアに比べれば相対的にましといえるだろう。

 

 

 

 

 

 

 

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