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(2.2.10) 人類衰亡史序説 ドイツ その1

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 ドイツ経済が急停車している。2017年ごろまではEUと世界の経済の牽引車のように見られていたが、2018年から急激に悪化し、19年はほとんど成長が止まってしまった。18年ごろからとみに経済が悪化した理由は主として中国である。ドイツ経済は自動車、化学、機械といった20世紀型経済が主体で、イギリスのような金融保険業やアメリカのようなIT産業は未発達と言っていい。それでも世界経済をけん引できたのは貿易と投資の相手国が遅れた中国で、この古い伝統的な産業と実によくマッチングしたからだ。

 しかしその中国経済が成長のピークを過ぎ、(相も変わらずGDPは6%前後といっているが、これは国家統計局の努力のたまもの)実質的な経済は成長が止まっている。さらに昨今のコロナウイルスの影響でマイナス成長は確実だから、その影響がドイツに直に及んでいる。
ドイツ経済が19年度成長がストップしたのは自動車の販売台数が低迷したことが大きいが、中でも中国市場の自動車の販売が不振だったからだ。

 ドイツには日本と同様の少子高齢化の問題があり、出生率は日本の1.4%に対し1.3%だから日本とどっこいどっこいの人口問題を抱えている。ドイツ人は老人ばかりが増えるためメルケル首相はその穴埋めとして難民を積極的に受け入れてきた。ドイツに大量の難民が押し寄せたのは2015年でおおよそ100万人がドイツ国境を目指して殺到した。メルケル首相が難民の受け入れ政策をとっていたからだが、この100万人の数字にドイツ国内はパニックになってしまった。
これではドイツ中にモスクが建てられ、コーランが響き渡ってしまう」

 ドイツの保守的な人や右派的な人は危機意識を持ち、メルケル氏の中道路線から国家主義に舵を切り、2017年の総選挙ではAfD(ドイツのための選択肢)に投票したので、メルケル氏のキリスト教民主社会同盟は大敗北を喫してしまった。さらに続く地方議会の選挙でも負け続けたため、メルケル氏は2021年には首相を辞任すると詰め腹を切らされた

経済界も概して難民に好意的だったが、2018年からの思わぬ経済失速に遭遇して経済界の雰囲気も変わっている。

 ドイツはユーロ価格がドイツにとり安価に設定されていたため貿易拡大路線に成功し、さらにメルケル氏の中国べったり政策でのぼり龍だった中国経済の恩恵を受けたのだが、今やその両者がドイツ経済の歯車を逆回転させている。

ドイツの輸出比率は約40%で日本の20%の二倍だが、トランプ政権の自国第一主義が始まり世界貿易が停滞するとこの輸出主導経済が足かせになってきた。
さらに中国経済が停滞からマイナスに陥いって、ドイツの経済環境は最悪の状態になっている。

 こうした場合アメリカや日本だと金融を緩和して市場に資金をばらまき、株式や不動産やビットコインや博打(IR)の振興で経済の立て直しを図るのだが、ドイツは超優良財政規律が自慢の国柄で、間違っても財政規律を無視した金融政策をとろうとしない。
今は製造業は不振だがそのうちに中国経済も復活する!!製造業こそドイツの屋台骨だ!!」こうして我慢の緊縮財政を実施しているうちに実体経済はますます悪化してきた。
ドイツ経済の成功は相対的に安価なユーロとEU内の安価な外国人労働者や難民、そして中国経済だったが、今は賃金上昇が生産性を追い越し、さらにアメリカをはじめとする輸出先が縮小し、最後に中国経済の停滞が追い打ちをかけた。

 もはや古い産業のままでは21世紀を乗り越えられそうもないが、メルケル氏をはじめドイツの経済界は成功体験にしがみつきあらたな産業創出には消極的なのでドイツの成長神話も終わってしまった。

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