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2018年8月

(30.8.26) 資本主義文明の終焉と米中貿易戦争

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 300年前にイギリスで生まれ世界を席巻してきた資本主義文明が静かに死を迎えようとしている。歴史を文明の興亡としてとらえたのはアーノルド・トインビーだが、彼の予言通り資本主義文明も永遠の成長などなかったことが明らかになりつつある。

 今でも世界の主要な政治家は「成長こそ国家経営の基礎」と主張し、具体的にはGDPの拡大こそが政治目標になっているが、それに真っ向から異議を唱えた政治家が資本主義文明の総本山と思われていたアメリカに現れた。トランプ大統領である。
トランプ大統領が主張しているのは一国資本主義だが、これはグローバリズムといわれた世界資本主義に対立する反成長主義の主張であり、資本主義文明の否定でもある。

 思いだしてほしい。戦後の日本経済はアメリカが主張するグローバリズムとの相克の歴史だった。アメリカから貿易と為替の自由化を迫られいやいやながら応じると、今度は金融の自由化を世界標準という名目でせまられ、日本の金融秩序は崩壊させられた。
1990年代の長銀、日債銀、拓銀の倒産と2000年代の相次ぐメガバンクの生き残りをかけた統合がそれである。
アメリカは自身の経済秩序を世界標準別名をグローバリズム)という名目で世界中に押し付け、「それこそがアメリカだけでなく地球人類の平和と生活水準の向上の切り札だ」と主張してきた。

 日本では安倍首相をリーダとしてTPPの推進に邁進し、アメリカもオバマ前大統領が熱心にグローバリズムを後押したが、そのアメリカがトランプ大統領に代わったとたん「TPPもWTOも国連もNATOもくそくらえ」と言い出した。
いづれも当のアメリカが世界の指導者に対し「これこそが資本主義文明を発展させる基礎構造」と洗脳し作り上げてきた組織である。

 なぜアメリカが急に一国資本主義に先祖返りしたかというと、グローバリズムに疲れ切ってしまったからだ。21世紀に入り貿易と為替の自由化をしても自身には何のメリットがないことが判明してきた。17年度のアメリカの貿易収支は約8000億ドル(88兆円)の赤字だが、その半分の4000億ドルは対中国貿易からもたらされている。
なんだ、貿易の自由化はくそったれの中国を富ませるだけで、アメリカからは製造業が消え、工場労働者はいまではマクドナルドの低賃金労働者になってその日の生活にもあえいでいるだけじゃないか

 グローバリズムの現実は「強者の一人勝ち」で、自由な公平な市場では強いものだけが生き残るというジャングルのおきてに外ならない。
アメリカが世界の強者であった時代はアメリカ企業が世界を席巻したが、21世紀に入り製造業の分野では中国が世界を席巻している。
鉄鋼産業などは中国の製鉄業にUSスチールも新日鉄も韓国のポスコも蹴散らされてしまった。自動車産業もドイツと中国の合弁会社がアメリカのビックスリーや日本のトヨタを大きく引き離しつつあるし、太陽電池の生産も中国が世界一となっている。

このままいくとアメリカの産業はすべて中国の後塵を拝し、中国だけが富むことは確実だ・・・・・・・・
トランプ大統領は中国だけにメリットがあるグローバリズムに決別し、中国との貿易戦争を開始した。これに対し中国も同額の規模の関税の上乗せで対抗している。
しかし中国がどんなに対抗措置をとっても貿易戦争に勝ち目はない。何しろアメリカの対中国貿易の輸出は1500億ドル規模で一方輸入は5000億ドル規模だから、アメリカは最大5000億ドルに対し関税の上乗せができるが中国ができるのは1500億ドルに過ぎない。

 この貿易戦争で米中の貿易額は徐々に減少するだろうが、影響はそれだけでなく対米黒字を持っているドイツ、日本、韓国にも相応の影響がある。
特に韓国は貿易立国を標榜して国内市場が狭いままで対米、対中輸出を増加させてきたが、アメリカからはグローバリズムの終焉を告げられ、一方中国からは韓国自慢の造船、自動車、半導体等の企業秘密を盗まれて韓国の製造業は次々に規模縮小に追い込まれている。韓国の新聞は悲観論一色だ。

 今や世界の資本主義の弱い環が次々に崩壊過程に入ってきた。アジアでは韓国が悲鳴を上げ、中東ではトルコがインフレの悪夢と戦っている。そして南米ではアルゼンチンとベネズエラ経済が実質的に崩壊してしまった。
そして一国資本主義の道を選んだアメリカ経済は国内産業の復活で一時的には好況になるが、世界経済の縮小に伴ってその影響がアメリカにも表れる。
中国は対米貿易の縮小を一帯一路政策で、鉄道、港湾等のインフラ輸出で補おうとしているが、インフラ投資先はどこもパキスタンやラオスといった貧乏国ばかりで、結局中国の借款による建設になっている。すべては中国の持ち出しなのだ

 アメリカがグローバリズムから降りてしまえば、後にそれを推進する指導者はドイツのメルケル首相と日本の安倍首相しかいないが、どちらもトランプ大統領の影響力に及ばない。アメリカ・中国の経済が縮小すれば世界経済は負のスパイラルに陥る。
こうしてイギリス産業革命から300年続いた資本主義文明にとうとう黄昏が訪れた。

 

 

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(30.8.8) 私立医大の八百長入試は世の常だけれど・・・・・

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 世の中にはばれてしまえばおしまいという事例が山積している。
大相撲では長い間「八百長はない」と相撲協会が強弁していたが、警視庁に八百長表を抑えられ観念した。
今後は一切八百長は行いません
その後は八百長はほとんどなくなったが、おかげで力士が怪我人だらけになってしまった。
八百長だからこそケガもしないで済んだ大相撲がガチンコになり、しかも相撲協会がけが対策を一切しなかったためだ。このことはこのブログで何回も述べた。

 さて今度は医大の八百長が判明した。文部科学省の前局長に絡んだ情実入試が判明したことから芋ずる式に東京医大の入試の闇が暴かれている。
もともと私学の医大の入試にはいかさまがあることは常識だった。
私が大学を受験したのは今から50年も前のことだが、その当時でも「私立の医大に入るには寄付金の額で点数が上積みされるんだ。だから頭のいい受験生は私立医大を敬遠し、もっぱら国公立の医大を受ける。私立医大はあほばかりが集まっている」とうわさされていた。

 今回その噂の真偽が白日の下にさらされているが、過去2年間で八百長で東京医大に入学した学生数は19名だそうだ。1学年120名が定員だから1割に満たない数で、学生みんながあほというのは言い過ぎだというのは分かったが、やり口はかなりあくどい。
女性を3割以下に抑えるために一律に減点したり、3浪以上は合格しにくく得点調整をしていた。
また卒業生の子弟は優先的に入学させ、その際多額の寄付金をとっていたが、一部は前理事長と前学長がネコババしていた。

 メディアではこうした操作を「信じられない悪行」というスタンスで報じているが、実際はどこにでもある情実人事の一環に過ぎない。私が入社した会社でも関係者の子弟子女が優先して入社していたのを何度も見ているし、主要メディアも同じだ。
今回は東京医大がやり玉に挙がっているが、他の私大でも同様の操作が行われていることは容易に想像がつく。
一旦火が付くと次々に隠されていた悪行が表にさらされてしまうのが常で「実は私の大学でも同様のことがあり、それを理事会で告発したら解雇されてしまいました」などというタレコミ情報が次々にマスコミに寄せられそうだ。

 現在の日本では医者になるのがもっとも裕福になる手段だから誰しも医大にあこがれる。
権力が理事長や学長に集中している私立医大では容易にいかさま入試がはびこる温床がここにある。
当初から入試要項で「女子の定員は○○名、4浪以上は入試させない。寄付金による加点は1000万円で10点とし、文部科学省の局長以上の子弟は最大加点50点とするが見返りがなければ0点とする」と書いておけば少なくとも入試要項との齟齬はなくなる。

 これからしばらく東京医大を含む私立医大のスキャンダルが次々に暴かれるだろう。
知られてしまえばおしまい」という世界で、タレコミがつづけばもはや隠しようがなくなる。
入試を公明正大にすれば寄付金が取れず医大の経営に支障が出るし、一方現行のままの情実入試を続ければ医大の信用がなくなる。
私立医大にとって何とも悩ましい事態が続きそうだ。

 

 

 

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(30.8.1) 日銀黒田総裁の白旗 「物価が2%上がるなんてありえない!!」

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 日銀の黒田総裁が白旗を上げたようだ。
どのように日銀が頑張っても消費者物価は2%上昇しない
日銀黒田は今まで涙ぐましい努力をしてきた。
長期国債の年間購入額を80兆円まで拡大し、さらに上場投資信託の購入額を6兆円とし、それでも物価が上昇しないのを見て長期の政策金利を0%にしてしまった。
金の価値なんぞはない。利息を生むと思うな!!」

 しかしそれでも物価上昇率は1%前後で、目標の2%は遠く及ばなかった。
なぜなんだ。これだけ金融を緩和すれば経済は好転し物価は上昇するはずなのに、経済学はどこに行ってしまったのだ
黒田氏は異次元の現象に狼狽し、いまでは神仏の加護だけが最後のよりどころになっている。
神よ仏よ、我を助けたまえ、物価を上昇したまえ、ギャーオー!!」

 だが日銀黒田がどのように神がかりになっても日本の消費者物価が上昇しない理由がある。今日本では毎年のように人口が減少し、しかも老人比率が劇的に増加している。
老人になってみるとわかるが、消費意欲などまったくわかない。家などは当の昔に手当てしてしまっているし、衣類などは着飾る必要がないからジャージだけで十分だ。食事も胃が弱っているのでお茶漬けが一番で、「おいしいものを食べに行きましょう」などと誘われるとうんざりする。
旅行は体力がなくなっているので、外国旅行などいきたくもないし、NHKの旅番組を見ていれば十分だ。
これで消費が拡大すると思うほうがどうかしている。

 ではこれほどの金融緩和を行った資金はどうしているかというと、ほとんどすべてが投資市場(投機市場)に流れている。
例えば私に「無利息で1億円貸すから自由に使え」といわれても、今本当に必要なもので手を出さなかったものは性能の良い補聴器と、自走式の草刈り機を購入したいだけだ。
しかしそれは最大でも1~2百万円の範囲だ。のこりはまったく使用する当てがないから、仕方がないので値上がりしている都内のマンションを購入するか、株式に投資するか、ビットコインを購入して一山あてるか、ラスベガスでギャンブルにふける以外に使用することはない。
だがそれも面倒だし、投資は若者に任せて預金として置いておこう・・・・・・・
これが現実なのだ。

 日本のような高度に発展した社会でさらに消費財を拡大する余地などない。
今たまたまNHKが年末から4Kや8Kの放送を開始すると大キャンペーンを行っている。かみさんに「4K対応テレビを買おうか!」と提案したら「今のテレビをどうするの。捨てるなんて馬鹿なことをしたら、それだけ不燃物が増加するじゃない」とけんもほろろに反対された。

 物価が上昇するのは日本のような老人国家ではなく、かつての日本がそうだった若者が多く人口が増加している若年国家の場合だけだ。
人口が減っているのだからそれに合わせて生産も縮小するし、さらに老人比率が高いのだからGDPなどは減少させるのがもっとも合理的な選択になる。
相も変わらず、マスコミではGDPがもてはやされているが、そうした子供じみた報道はもうやめた方がいい。

 黒田日銀も、いい加減物価目標などはさっさと下すべきだが、今はおっかなびっくりの政策変更を行っている。
長期金利の誘導目標を0%でなく、少し上げてもいいよ!!」
しかしいづれ「金融緩和策は間違いで、もう景気を向上させる方策はない」と白旗を黒田氏が上げるのは確実だ。
馬鹿げた政策をもう5年もとってきた。目を覚まさなければ森の石松と同じだ。

 

 


 

 

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