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(30.8.26) 資本主義文明の終焉と米中貿易戦争

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 300年前にイギリスで生まれ世界を席巻してきた資本主義文明が静かに死を迎えようとしている。歴史を文明の興亡としてとらえたのはアーノルド・トインビーだが、彼の予言通り資本主義文明も永遠の成長などなかったことが明らかになりつつある。

 今でも世界の主要な政治家は「成長こそ国家経営の基礎」と主張し、具体的にはGDPの拡大こそが政治目標になっているが、それに真っ向から異議を唱えた政治家が資本主義文明の総本山と思われていたアメリカに現れた。トランプ大統領である。
トランプ大統領が主張しているのは一国資本主義だが、これはグローバリズムといわれた世界資本主義に対立する反成長主義の主張であり、資本主義文明の否定でもある。

 思いだしてほしい。戦後の日本経済はアメリカが主張するグローバリズムとの相克の歴史だった。アメリカから貿易と為替の自由化を迫られいやいやながら応じると、今度は金融の自由化を世界標準という名目でせまられ、日本の金融秩序は崩壊させられた。
1990年代の長銀、日債銀、拓銀の倒産と2000年代の相次ぐメガバンクの生き残りをかけた統合がそれである。
アメリカは自身の経済秩序を世界標準別名をグローバリズム)という名目で世界中に押し付け、「それこそがアメリカだけでなく地球人類の平和と生活水準の向上の切り札だ」と主張してきた。

 日本では安倍首相をリーダとしてTPPの推進に邁進し、アメリカもオバマ前大統領が熱心にグローバリズムを後押したが、そのアメリカがトランプ大統領に代わったとたん「TPPもWTOも国連もNATOもくそくらえ」と言い出した。
いづれも当のアメリカが世界の指導者に対し「これこそが資本主義文明を発展させる基礎構造」と洗脳し作り上げてきた組織である。

 なぜアメリカが急に一国資本主義に先祖返りしたかというと、グローバリズムに疲れ切ってしまったからだ。21世紀に入り貿易と為替の自由化をしても自身には何のメリットがないことが判明してきた。17年度のアメリカの貿易収支は約8000億ドル(88兆円)の赤字だが、その半分の4000億ドルは対中国貿易からもたらされている。
なんだ、貿易の自由化はくそったれの中国を富ませるだけで、アメリカからは製造業が消え、工場労働者はいまではマクドナルドの低賃金労働者になってその日の生活にもあえいでいるだけじゃないか

 グローバリズムの現実は「強者の一人勝ち」で、自由な公平な市場では強いものだけが生き残るというジャングルのおきてに外ならない。
アメリカが世界の強者であった時代はアメリカ企業が世界を席巻したが、21世紀に入り製造業の分野では中国が世界を席巻している。
鉄鋼産業などは中国の製鉄業にUSスチールも新日鉄も韓国のポスコも蹴散らされてしまった。自動車産業もドイツと中国の合弁会社がアメリカのビックスリーや日本のトヨタを大きく引き離しつつあるし、太陽電池の生産も中国が世界一となっている。

このままいくとアメリカの産業はすべて中国の後塵を拝し、中国だけが富むことは確実だ・・・・・・・・
トランプ大統領は中国だけにメリットがあるグローバリズムに決別し、中国との貿易戦争を開始した。これに対し中国も同額の規模の関税の上乗せで対抗している。
しかし中国がどんなに対抗措置をとっても貿易戦争に勝ち目はない。何しろアメリカの対中国貿易の輸出は1500億ドル規模で一方輸入は5000億ドル規模だから、アメリカは最大5000億ドルに対し関税の上乗せができるが中国ができるのは1500億ドルに過ぎない。

 この貿易戦争で米中の貿易額は徐々に減少するだろうが、影響はそれだけでなく対米黒字を持っているドイツ、日本、韓国にも相応の影響がある。
特に韓国は貿易立国を標榜して国内市場が狭いままで対米、対中輸出を増加させてきたが、アメリカからはグローバリズムの終焉を告げられ、一方中国からは韓国自慢の造船、自動車、半導体等の企業秘密を盗まれて韓国の製造業は次々に規模縮小に追い込まれている。韓国の新聞は悲観論一色だ。

 今や世界の資本主義の弱い環が次々に崩壊過程に入ってきた。アジアでは韓国が悲鳴を上げ、中東ではトルコがインフレの悪夢と戦っている。そして南米ではアルゼンチンとベネズエラ経済が実質的に崩壊してしまった。
そして一国資本主義の道を選んだアメリカ経済は国内産業の復活で一時的には好況になるが、世界経済の縮小に伴ってその影響がアメリカにも表れる。
中国は対米貿易の縮小を一帯一路政策で、鉄道、港湾等のインフラ輸出で補おうとしているが、インフラ投資先はどこもパキスタンやラオスといった貧乏国ばかりで、結局中国の借款による建設になっている。すべては中国の持ち出しなのだ

 アメリカがグローバリズムから降りてしまえば、後にそれを推進する指導者はドイツのメルケル首相と日本の安倍首相しかいないが、どちらもトランプ大統領の影響力に及ばない。アメリカ・中国の経済が縮小すれば世界経済は負のスパイラルに陥る。
こうしてイギリス産業革命から300年続いた資本主義文明にとうとう黄昏が訪れた。

 

 

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コメント

お邪魔します。
 南米ベネズエラは故チャペス大統領が石油を元手にバラマキ政策を続けていましたが、原油価格が下落し、シェールガスやオイルが台頭してバラマキ政策が続けられなくなると、今の大統領は強権的・抑圧的な政策に転換しました。「飴」が無くなれば、統率するにはより「鞭」に頼らざるを得ず、「資本主義の黄昏」は「民主主義の黄昏」となるのでしょう。そうなれば中国やロシアのような元から強権的な国が有利になるのか、欧米が「民主主義の建前は守りながら巧妙に骨抜き」に成功するのかに興味があります。尤もそのどちらでも「上」にはそれなりの器量が求められるので、「上」が「下々の忖度」に依存した日本ではそのどちらもできず、無為無策のまま衰退していくのでしょうが。

投稿: ブロガー(志望) | 2018年9月 2日 (日) 10時03分

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