(30.2.6) 投機経済の終焉 株式も仮想通貨も高級マンションもついに値下がりに転じた
投機経済の転換点が迫ってきたようだ。その兆候はいたるところで見られる。
アメリカではニューヨークダウが史上最高値のピークの26000ドル前後から、ここ数日急激に低下傾向を示して、現在は24000ドルと2000ドルも低下してしまった。
日本の日経平均はこれにつられて、24000円から21000円とこちらも3000円近く低下している。
一方投機経済の主役に躍り出た仮想通貨に至っては、ビットコインが昨年12月の1ビットコイン220万円から現在は70万円を切ってしまった。3分の1まで低下したのだからジェットコースター並みだ。しかもこの値下がり傾向は日を追って激しくなり、最近では一体どこまで落ちれば落ち着くのだろうかといった様相だ。
また都内の高級マンションなどもぱったり売れ行きが落ちてしまい、株式、高級マンション、仮想通貨といった投機三羽ガラスに木枯しが吹きすさんでいる。
ここにきて投機経済の終焉が明らかになってきたのは、投機経済を支えていたアメリカFRBが資産の回収を始めたからだ。リーマンショック後約500兆円にふくらんだFRB資産(半分はサブプライムローン債券)を昨年の10月以降毎月1兆円規模で圧縮し、今年の9月までにその規模を月5兆円規模まで拡大するという。
一方ECB(ヨーロッパ中央銀行)は量的緩和策の買い入れ資産の規模をひところの8兆円規模から4兆円規模に圧縮している。一人日銀のみが相も変わらず毎月8兆円程度の資金の垂れ流しをしているが、世界の流れは明らかに金融緩和の収束に向かっている。
かくして3つの資金水道の蛇口のうち一つは完全に止まり、もう一つは水量が半分になり、いまだに水量が豊富なのは日銀水道局だけになっている。
投機経済は将来の見込みで動くから当然のことにこの金融緩和の終焉を取引に織り込むことになる。
「どうやらFRBは本気で資金の回収を始めたから、株式の値上がりもこの辺がピークだろう。今のうちに収益を確定して勝ち逃げをしよう・・・・・・・」
投機筋は完全にベアになり、しかもアメリカの株式と日本の株式は連動しているから、ニューヨーク株が下がれば当然日経平均も下がる(ニューヨークダウが下がればもちろん全世界規模で株価は下がる)。
21世紀は通常の意味での経済成長は先進国では終わってしまった。消費財も生産財も有り余るほど生産されこれ以上の資産は持っても仕方がない程になっている。
こうした中でなお成長を演出するには投機財の価格を上げるしか方法はなく、実際そのためにアメリカ、EU、日本の経済当局は金融緩和策を継続してきた。
しかしその金融緩和策は貧富の差が拡大して社会の安定を揺るがすから、いつまでも継続できない。
貧富の差がもっとも開いたアメリカでまず金融緩和策が停止され、EU、日本が後に続くのは時間の問題になってきた。
注)21世紀の経済が投機経済であることは前にも記載した。
http://yamazakijirounew.cocolog-nifty.com/blog/2018/01/post-2.html
アメリカではトランプ政権が意外にも国民の支持を得ているのは、貧しく取り残されたプア・ホワイトの救済(工場をアメリカに戻すという思想)を目指しているからで、投機経済のマイナス面の修正思想があるからだ。
何度も同じことを言って恐縮だが、人間足るを知って生きるべきでいつまでも欲望を追うのは、まるでシシュポスの神話のように無駄な努力に思われる。
耳を澄ませば投機経済終焉の足音が聞こえ、金融緩和策の限界を物語っていることがわかる。
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