(30.1.14) 「はれのひ」のひどい詐欺倒産。 晴れ着産業の未来は暗い
今回の成人式は本当に驚いてしまった。「はれのひ」という晴れ着販売レンタル会社が突然倒産し、当社の篠崎社長は雲隠れしてしまったからだ。
成人式でこの会社と契約した横浜や八王子の新成人は成人式会場に晴れ着が届かないことに当惑し、多くは成人式を欠席したようだ。
被害にあった新成人の人数や被害総額は推定で600人から900人、被害総額は契約ベースで2億円前後と見積もられている。
「はれのひ」は数年前から赤字経営が続いていたようで負債総額約6億円、債務超過が約3億円、30名相当いた従業員には昨年8月ごろから給与が未払いで従業員が次々にやめてしまったため、横浜本店には正規の職員は誰もおらず、アルバイトの従業員が数人いただけだったという。
これではすでに倒産していたも同然だが、そうした事実をひた隠しにして篠崎社長は外国にトンずらしてしまったのだという。
なんともひどい話で経営者としてのモラルは全くなく40万円から60万円支払って晴れ着を購入した新成人はただ詐欺にあっただけで、なんとも気の毒な限りだ。
この「はれのひ」の社長は特別に悪質で、日本人としては最悪な人種に属するが一方でこの業界の実態というものがあぶりだされた。
注)私の金融機関時代の経験から言うと、こうした中小企業は倒産前に暴力金融からの借り入れをすることがおおく、返済できない場合は早く国外に逃げ出さないと命を狙われることもある。篠崎社長が外国に逃げ出したのはその類ではないかと推定される。
日本人が晴れ着を着るのは成人式か結婚式だが、毎年のように新成人は減少し、また結婚件数も減少の一途をたどっている。
私が成人式を迎えた第一次ベビーブームの新成人の数は約250万人程度だったが、その後は減少の一途をたどり、200万人の第二次ベビーブームを最後に、現在は120万人程度でさらに減少が続いている。
結婚件数も私が結婚したころは110万カップルだったが今は70万カップルを切ってしまった。
毎年毎年市場規模は縮小しているのだから斜陽産業そのものだが、「はれのひ」はその斜陽産業の典型として倒産したことになる。
市場規模が縮小する中でなお経営を成り立たせるには非凡な経営能力を必要とするが、篠崎社長は凡庸な経営者だったのだろう。
日本は世界最速の人口減少国であり、現在は4人に一人が65歳以上(28%)だがこの比率は急激に上昇しているのでそのうち二人に一人は年寄りになってしまう。
こうした状況下で婆さんが晴れ着を着るはずもなく晴れ着産業が成立する基盤がなくなってしまう。
今回の「はれのひ」の詐欺倒産事件はこの産業の未来を暗示しているようだ。
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