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(29.2.11) 戒厳令の夜 「憲法より大統領令を優先する」トランプ氏吠える

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 大統領権限と憲法はどちらが上位なのかアメリカで争われている

トランプ氏が1月27日に署名した大統領令の「中東とアフリカの7か国の国民の入国禁止措置」について、ワシントンの地方裁判所が憲法違反の仮処分の決定をしたからだ。
大統領命令は停止され7か国の国民の入国が認められたが、その仮処分について大統領側が控訴し高等裁判所で争われていた。
その判決が出されたがトランプ氏の完敗で「取り返しがつかなくなるので大統領令を出したという証明が不十分で、ワシントン地裁の仮処分は正当だ」というものだった。

 トランプ氏はツイッターで吠えまくり「大統領と判事とどっちが偉いと思ってるんだ」と判事をこき下ろしたが、これはかつて田中真紀子外相が「外相と次官とどっちが偉いかわからないの」とわめいていたのと瓜二つだ。
トランプ氏の大統領令はアメリカ憲法を前提にする限り、「宗教による差別」だから憲法違反であることは明確で、トランプ氏が新たに最高裁判事に任命しようとしているゴーサッチ氏でさえ「やる気をなくすほどひどい大統領令だ」とこき下ろしている。

 現在トランプ氏が行っていることは完全に憲法を無視しており、これは実質的に戒厳令を敷いたのと変わりがない。
戒厳令とは憲法を停止して令状なしで反政府的人物を逮捕拘留する権限を政府に与えるものだが、中東とアフリカのイスラム教徒を有無を言わせずにアメリカ国内に入国させないのはこの戒厳令とさして変わりがない。

 現在アメリカ国内で蜂の巣を突っついたような騒ぎになっているのは、憲法擁護派と戒厳令派の戦いが行われているからで「一般的で漠然とした危険があれば大統領は何でも許されるか」という論争になっている。
論争になればなぜテロの危険性が中東・アフリカの7か国なのかの証明をしなければならず、とてもそのようなことは不可能だから裁判で争っても大統領側に勝ち目はない。
後は実力で裁判所を黙らせるだけで、ツイッターで脅し、強権を発動する以外に手はないのだが、今の状況下で強権を発動すればすべて憲法違反になる。
くそったれの法律や判事を地獄に送ってやる」トランプ氏は歯ぎしりしているが、意図的にCIAを使用してテロを演出するならともかく、そうしたテロが発生しない限り大統領の説得は成功しないだろう。

 トランプ氏のやり方は憲法と法律を無視して強権発動をすることだが、これはアメリカが20世紀の期間中世界を説得してきた民主主義や言論の自由や宗教による差別撤廃といった主張と異なる。
危険を避けるためには民主主義など無視して、イスラム教徒を追い出せ
従来のアメリカの憲法に反し屋台骨を揺るがす発言だ。

 さらに言えば民主主義も自由も宗教による差別の撤廃もフランス革命以降の資本主義文明が育ててきた思想で、19世紀中はイギリス、20世紀にはアメリカが主導して世界に広めてきた。
アメリカ経済の凋落によってアメリカが降りてしまった今、健全な資本主義はドイツと日本にしか残っていない。
ドイツのメルケル首相が難民に寛容なのも、安倍首相がなおTPPといった自由貿易推進に熱心なのもこの資本主義文明を支える最後のアンカーだからだ。

 果たしてこの資本主義文明はまだ生き続けることができるだろうか。自由貿易と保護主義のはざまで揺れ動く中で日米首脳会談が開催されているが、「憲法などくそくらえと」吠えているトランプ氏と、「民主主義、自由、公正」擁護派の安倍氏がつばぜり合いを演じている。

 

 

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コメント

お邪魔します。

 かつて塩野七生の『ローマ人の物語』を題材にした番組で「(雪が溶けていくように)ローマがローマで無くなっていく」というのを見ました(大分端折られていましたが)。貴ブログを読んで「古代ローマが拡大し続ける事で存続してきたが故に、拡大の限界にぶち当たるとローマがローマで無くなっていった。」のかなと思いました。思えば資本主義も「成長し続ける事でしか存続できないのかな」と。

 アメリカには「連邦政府は個人の自由や権利を侵害する・しかねない強大"過ぎる"権力」とする考えもあると聞いた事があります。もしかしたらトランプ大統領の下で「ついていけない」と感じた州の離反が相次いで、アメリカは南北戦争以前に戻ってしまうかも知れません。トランプ大統領を支持した人達の中には「アメリカが落ちぶれたのは左翼・リベラルどものせいだ」と考え、公民権運動以前に戻そうと考えている人達がいるのかも知れませんが。

投稿: ブロガー(志望) | 2017年2月12日 (日) 22時07分

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