(29.2.1) 小トランプのドゥテルテ大統領が吠えまくっている。 フィリピンファーストだ!!
フィリピンではドゥテルテ大統領の命令で麻薬密売人と使用者は無条件で殺害してよいことになっているため、国家警察による誘拐殺人事件が発生し始めた。
昨年10月に韓国の実業家が国家警察に麻薬保持容疑で逮捕され殺害されたあと、約1100万円の身代金を家族がだまし取られた事件が発覚した。
フィリピンの麻薬撲滅戦争では麻薬密売人や使用者は逮捕令状も何もなく現行犯で殺害してよいことになっているため、今では無関係な人が麻薬密売人との理由で殺害されたり、上記のような誘拐殺人事件に巻き込まれることが多発している。
国家警察が誇らしげに発表した殺害者の数は6268人だが、実際はこれ以上だろう。
オバマ前大統領や国連からドゥテルテ大統領の措置は非人道的だと非難されてきたが本人は意気軒高で「フィリピンの国民を守るためにやっている」とトランプ氏並みの論理で反論している。
もちろんフィリピンにも憲法があり基本的人権は保障されているのだがどこ吹く風だ。
然しあまりに国外からの非難が激しいので再びドゥテルテ大統領が居直った。
「そうかい、憲法違反かい、なら戒厳令をしいて憲法を停止しようか」
かつてのマルコス政権を彷彿とさせる戒厳令をちらつかせ始めた。
ドゥテルテ大統領にとっては「麻薬撲滅戦争」といえばすべてが許される状況になっており、麻薬組織が殺害を恐れて少年を使用して密売を始めたため、今度は9歳以上の少年を逮捕できる法律を制定しようとしている。
9歳といえば日本では小学校4年生程度だが、逮捕投獄できるということになると実際は現行犯で殺害されてしまうだろう。
「小学生とはわからなかった」といれば許されるのが実態だから、ガキであろうがなんであろうが麻薬密売人は撃ち殺せということだ。
ドゥテルテ大統領と人道主義者のオバマ前大統領とは犬猿の仲だったため、すっかり習近平氏と仲良しになっている。ドゥテルテ大統領にとってイデオロギーは皆無だから人道主義など振り回されると迷惑であり、中国のように問答無用で敵対者を殺害する国と馬が合う。
フィリピン南部はイスラム過激派組織アブ・サヤクの地盤で、アブ・サヤクがISと同様の独立戦争をしているためその掃討作戦に中国海軍の出動を要請している。
アキノ前大統領の時代までは中国と領海問題で角突き合わせ、国際裁判所まで提訴していたのに今では習近平氏と大の仲良しになってしまった。
「アメリカはだめだ。すぐに人道主義を持ち出してアブ・サヤクを殺害しない。その点中国は遠慮会釈なく殺害してくれる」
今やアメリカ海軍や空軍をフィリピンから追い出して中国海軍をむかい入れようとしている。
「南シナ海は中国の内海だから掃討作戦は中国に任せよう。俺は国内の麻薬撲滅戦争に専念する」
ドゥテルテ大統領にとってはそれなりの合理的判断でフィリピン・ファーストだから国際協調もへったくれもなくなってきた。
アメリカではトランプ氏が吠え、フィリピンではドゥテルテ大統領が吠えている。民主主義や人道主義といった資本主義文明の成果がひとつづつ失われつつある。
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