(29.1.5) 欧州に右派の嵐 フランスでルペン氏が大統領になる可能性が高まっている!!
ヨーロッパに選挙の季節がやってきた。4月から5月にかけてフランスの大統領選挙、そして秋にはドイツの連邦議会選挙が実施される。
フランスでは現職の社会党オランド大統領は全く人気がなく出馬を断念しており、新人による社会党、共和党、国民戦線の三つ巴の戦いになっている。
この中で国民戦線のルペン党首に対する支持が抜きんでておりで第1回目の投票でトップになる公算が大きい。
フランスの大統領選挙では過半数を超えなければ当選とならず、トップと二位とでの決選投票になるが、その場合社会党と共和党は2.3位連合の共闘を組んでルペン氏の追い落としを図るものと予測されている。
従来はこのパターンで極右政党の大統領が出現するのを阻止してきたが今回もそれが成功するかどうかはかなり怪しい。
現在若者の失業率は10%程度で高止まりしており、また工場はフランスから逃げ出しているので怒れる失業したブルーカラーがいるのはアメリカと同じだ。
そして農村は東欧圏の安い酪農製品が流入して農家は崩壊の瀬戸際にある。
そこに大量のアフリカや中東の難民が押し寄せ、国内ではテロが頻発しているがオランド政権は有効な手が打てない。
「こんなフランスにだれがした」怨嗟の声が渦巻いている。
構図はトランプ大統領を生み出したアメリカとそっくりで、ルペン氏が怨嗟の声に押されて大統領になっても少しもおかしくない。
ルペン氏の主張はトランプ氏の主張と酷似しており、フランス一国主義でEUからの離脱を目指し、イスラム教徒の外国人を排斥し、国内に工場を戻して職場を確保し、保護関税で農家を守るというものだ。
多くのフランス人が共鳴するのはEUは経済的には強いドイツ企業を富ませるだけでフランスやイタリアやスペインの企業は競争力を失いリストラが続いているからだ。
「何も得るところはない。EUとは何だったんだ」
すでにイギリスはEUから脱退し、次の候補はフランスか首相が国民投票で負けたイタリアになっている。
この4月から5月のフランス大統領選挙でルペン氏が勝利すればEUから脱退の国民投票を行うことは絶対だ。そしてイギリスのように脱退派が勝利すれば、その段階でEUは崩壊し後にはドイツを中心とするドイツ経済圏だけが残ることになる。
EUの前身であるEECが設立されたのが1958年でそれから約60年、1999年の通貨統合から約20年でEUは拡大から縮小に転じ、そして崩壊の危機に瀕している。
欧州の夢はアメリカやロシアに対抗できる第3の核を作り欧州を政治的経済的に復活させることだった。
だが実際はフランスは政治的発言力は強化されたが経済的には何も得ることがなく、さらに難民やテロといった国内問題を抱えることになりすっかり嫌になってきた。
「昔のフランスのほうがずっと幸せだった・・・・・・・・・・フランが恋しい!!」
今やEUは風前の灯火になり、フランスでルペン旋風が吹き荒れるのは確実な状況になっている。
ルペン氏がトランプ氏のようにポピュリズムの嵐によって当選すれば、一気に世界は分散化が進み欧州はかつての国民国家に急速に戻っていくことになる。
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