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(29.1.18) イギリスのEUからの完全離脱とスコットランドの行方

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 イギリスのメイ首相がようやく重い腰を上げてEUからの完全撤退を表明した。昨年6月の国民投票で離脱そのものは決まっていたがその内容が不明確なまま約半年が過ぎた。
メイ首相が明確な意思表示を先に延ばしていたのは離脱方法の内容によってはイギリスの分裂につながりかねなかったからだ。
国民投票で離脱に賛成したのはイングランドで一方反対したのはスコットランド北アイルランドだった。イギリス全体では52%が離脱に賛成したが地域別ではイングランドが約6割、スコットランドと北アイルランドが約4割の賛成だった。

 メイ首相が悩んでいたのは完全離脱か部分離脱かということで、具体的には人、モノ、金の自由往来をどの程度許してもらうかの選択だった。
EU域内ではこの人、モノ、金の自由往来が認められてきたが、特にイギリスで問題になっていたのが人の自由往来で、欧州に入った移民は原則どこの国にも自由に出入り可能だったことにある。
ドイツのメルケル首相は移民政策に寛容でシリア人の100万人に上る移民を実質認める政策をとってきたが、こうしたシリア人がイギリスに流れ込むことを心配したからだ。
このままいけば欧州はイスラム教徒に乗っ取られる・・・・・」

 イギリスの本音としては国境を設けて人の往来を制限できればEU内にとどまってもよいとの気持ちだったが、人だけを制限しモノと金は自由に往来させるというスキームはEU にはない。物は関税同盟で原則無税だし、企業免許は単一パスポート制度でEU 内ではどこでも自由に経済活動できる。したがってイギリスで免許を得た金融機関は欧州のどこでも支店を開設できる。
EUからすればイギリスにいいとこどりを認めれば各国ともいいとこどりに走るので、それではEU でなくなるので完全離脱以外の選択肢は認められない。

 メイ首相の正式声明によってこの3月からようやく離脱交渉が始まるが、交渉期間は約2年間だそうだ。その間はイギリスはEU にとどまっているのでEUを離脱するのも並大抵のことではないことがわかる。
問題はその間にイギリスに再び分離の嵐が吹く可能性が高いことだ。スコットランドが独立の国民投票を行ったのは14年9月だったが、ようやくイギリスにとどまったものの、次回国民投票を行えばイギリスからの分離独立派が勝利するのは確実だ。
スコットアンドはイングランドの植民地ではない。イングランドに引きずり回されるのはまっぴらだ。俺たちはEUに残る
北アイルランドもイングランドを憎んでおりこちらも独立してEUに残留を希望するのは確実だ。

 イングランドがEUからの離脱を支持するのは移民問題も大きいが、それ以上にシティというグローバルな金融市場を持っていて、これはEUというよりも世界全体を相手とするグローバル世界に依存しているからだ。イギリスの最大の産業は金融業である。
金融の世界はニューヨークとロンドンが世界を睥睨しており、そして規模は劣るがシンガポール、東京、上海が主要な市場でEUはローカル市場でしかない。
簡単に言えば金融資本が生き残る道はEUと手を組むことでなくアメリカ等の金融市場と手を組むことだ。
さっそくトランプ氏が「英国のEU離脱を歓迎する」といったのもウォール街の意見を代弁したものだ。

 一方スコットランドは北海油田以外には何もないところでイギリスの田舎といってよく、これは欧州と相性がいい。世界などまったく関係なくスコッチウイスキーを飲んで暮らしていたい人々だから「シティなんてくそくらえだ」と思っている。
そして北アイルランドは完全にイギリスの植民地だから日本でいえば沖縄のように独立志向が高い。

 メイ首相の約2年間の離脱交渉の期間中に今度はスコットランドのイギリスからの離脱の嵐が吹きすさびそうで、イングランドとスコットランドが合併した1707年から約3世紀の期間を隔てて再び分離独立の時代がやってきた。

 

 

 

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