(29.1.12) OPECの終焉 もはや石油の時代は終わった
OPECがいくら減産を行おうと原油価格は50ドルを大きく越えることはない。確かにOPEC合意前には40ドル前半だった価格が50ドル前半まで約10ドル上昇したがこの辺りが限界だ。
かつてのように100ドルを超え130ドル前後まで上昇するようなことは大戦争が勃発しない限りありえない。
理由はOPECの占めるシェアが年年歳歳減少しており、かつて市場占有率が50%程度だったものが今では30%程度に落ちていることによる。
ガリバーといわれたサウジアラビアもアメリカ、ロシアの追い上げでビックスリーの一つになってしまった。特にアメリカはシェールオイルの生産が盛んで価格が上昇すれば増産、低下すれば減産と実質的なバランサーになっており、かつてのサウジアラビアの地位を引き継いでいる。アメリカの生産者がいる以上原油価格は市場価値で決められ、政治的な取り決めの効果がない。
実際原油価格はじりじりと低下をし始め再び50ドルを割るのは目前だ。
しかもOPECの取り組みは今までも守られたためしはなく、減産していたのはサウジアラビア一国であとは増産するのが通常だ。
「しめしめ、サウジが売らない分我々が売ってしまおう」特にイランなどはOPEC破りの常習者だ。
イランとサウジアラビアは不倶戴天の敵で互いに国家の消滅を狙っているから約束など鼻から守る気持ちはない。
さらに需要面もさっぱりでしばらく前までは底の抜けた桶のように原油をがぶ飲みしていた中国がさっぱりになってきた。中国の経済成長は終わりこれ以上の原油を輸入しても貯蔵するタンクもないありさまだ。
日本やヨーロッパも1%前後の経済成長がやっとでさらに省エネ技術の開発が盛んだから輸入量は減少に転じている。
アメリカはトランプ氏の登場で鼻息は荒いが原油やガスは有り余るほど生産しており、今後は輸出に振り向けるウェイトが増えるだろう。
石油が重要資源であった時代が終わり単なる商品になり同時にOPECの時代も終わった。かつてアメリカは石油資源確保のためにサウジアラビアの支援に熱心だったが、今ではサウジのことなど知らぬ顔の半兵衛だ。
原油価格はどのようにしても50ドル前後に張り付くが、これはアメリカのシェールオイルの生産コストがこの辺りにあるからだ。
20世紀は石油の時代だったが21世紀は石油から脱却する時代に移っており、OPECは単なる老人会の集まりのようになってきた。
注)なおOPECの減産が決定された時のブログ記事は以下参照
http://yamazakijirounew.cocolog-nifty.com/blog/2016/12/ppppp-1.html
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