(28.11.2) 病気療養中のため二日に1回の割で過去のシナリオを掲載しています。 「ハバロフスク(第二回 )
このシナリオはソ連邦が崩壊した1990年前後を扱ったものです。歴史的なシナリオを描いてみたくて挑戦したものです。(一回からの続き)
〇 教室(続き)
サーシャが颯爽と立ちあがってこたえる。
サーシャ「それはデカブリストの乱です。1925年12月、ツァーリズムの転覆と農奴制の廃止を目的として武装蜂起をした青年貴族の革命で、12月に決起したのでデカブリストの乱と言われています。ロシア革命の先駆的革命と位置づけられ、同志ブレジネフも革命記念日の演説でこれを讃えています」
リューバ「(満足げに)サーシャ、よくできました。その通りです。みんなもサーシャのようにいつも予習しておくように。あっ、それからサーシャ、校長先生があなたを呼んでいました。授業が終わったら校長室に行くように。それからペーチャ、あなたも校長先生が呼んでいます。校長室に行きなさい」
授業が終わるベルの音がする。
〇 校長室に向かう廊下
サーシャとペーチャが校長室に向かっている。
サーシャ「ペーチャ、校長先生の用事って何だろう」
ペーチャ「そんなこと、おれ知らねいよ」
サーシャ「校長先生に呼ばれるなんて名誉だと思わない?」
ペーチャ「お偉方から呼ばれたときは注意しろと親父が言っていた」
サーシャ「ペーチャ、そんなことはないよ。校長先生はいい人だよ」
〇 校長室
サーシャがノックをする。
校長「入りたまえ」
静かに校長室に入る二人
校長「ああ、きみたちか、サーシャ、君から話がある。ペーチャは外で待っているように」
サーシャが静かに応接用の席に座る。
校長「さて、サーシャ。私は君をずっと見てきたが君は実に優秀だ。成績がすべて5だね。特に英語の成績は抜群だ。素行も申し分ない。しかも君の父上はハバロフスクの州党委員会の第二書記をしておられる。うん、実にいい(満足げにうなずく)」
サーシャ「はい、ありがとうございます」
校長「うむ、ところで君はピオネールの班長をして何年になる」
サーシャ「はい2年になります。ピオネールは今年で終わりですので夏は良いピオネールキャンプをしたいと思っています」
校長「そうかそれはいい。では次はコムソモールか。君は優秀だからコムソモールも喜んで君を迎えるだろう。いづれは共産党に入党するのがいい」
サーシャ「はい、それが父の希望ですので」
校長「そうか、ところでサーシャ、当校としては君の語学の才能を見込んで君を第15特別英語学校に推薦することにした。9学年からはそこで勉強したまえ。君の父上からもよろしくといわれておる」
サーシャ「(満面の喜びを表して)あの、校長先生、特別英語学校に行けるのですか。ありがとうございます。喜んで特別英語学校で勉強します」
校長「うむ、英語学校で成績が良ければ次はモスクワだ。祖国は愛国的で優秀な君のような少年を求めている。頑張って勉強するように。君に言いたかったのはそのことだ。あっ、それから君のお父さんによろしく。ではもう帰ってよろしい。外にいるペーチャを呼んでくれたまえ」
サーシャ「はい、校長先生」
サーシャが出ていきペーチャがやや乱暴に入ってくる。
校長「ペーチャ、黙って立ってないでそこに腰かけなさい」
音をたたて座るペーチャ。
校長「(威厳をただして)さてペーチャ、君がなぜここに呼ばれたかわかるかね」
ペーチャ「いえ、わかりません」
校長「そうか、わからんか。弱ったものだ。君の成績だが1ばかりだね。かろうじて体育が4か。うむ、なるほどね、特に素行点が非常に悪い。すべての教師が君を反抗的だと言ってるよ。君は頭も悪くないし体も丈夫だ。なのに成績が非常に悪い。なぜだと思う」
ペーチャ「僕が成績をつけたわけでないのでわかりません」
校長「成績をつけたわけでないのでわからんか。そうか、でははっきりと君に言わなければならんようだな。うむ、君を9学年に進級させることは非常に難しい。留年させるのは私の本意ではないが、君の場合は留年するかもっと易しい職業学校に代わるのがいいのじゃないかね。留年するのは同級生も多くてつらいだろうから、私は君に他の学校に転校することを勧めるね」
ペーチャ「(こう然と)他の職業学校に行くつもりはありません。それなら留年します」
校長「(失望した顔つきで)留年を希望か、君の兄さんも相当頑固だったが君も相当なものだな。なら、話はもうない。教室に帰りなさい」
ペーチャ「失礼します」
ドアーが閉まる。校長が校長室を歩き回っている。ドアーのノックの音。
校長「どうぞ」
ドアーが開きリューバ先生が入ってくる。
(続く)
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