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(28.11.6) 病気療養中のため二日に1回の割で過去のシナリオを掲載しています。 「ハバロフスク(第四回 )

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  このシナリオはソ連邦が崩壊した1990年前後を扱ったものです。歴史的なシナリオを描いてみたくて挑戦したものです。(一回からの続き)



〇 イリーナの思い出

 アムール川のさざ波。船の汽笛。たたずむイリーナ。  

イリーナ「(語り)私はこの国を信じていた。この国の技術と国力と正義を信じていた。共産主義こそ世界に平和と繫栄をもたらすと、そう、サーシャと栄光広場の前で何度も何度も語り合った。そして二人して口ずさんだ栄光のソ連国歌」

 映像。ソ連国歌を歌うイリーナとサーシャ「自由の国、揺るがぬ国、永遠に生きよ、わがソビエト、もろびとこぞりてたてし国、栄光あれソビエト同盟・・・・・・・」
風になびくイリーナの栗毛の髪の毛。

イリーナ「(語り)サーシャ、教えてほしいの。この国は自由と平等の国でしょ。男女の差別もなく、能力に応じて好きな学校に入れるのでしょ。私、それを信じて一生懸命勉強したわ。数学だって理科だって英語だって夜遅くまで勉強したのよ。成績もオール5なのに、なぜサーシャと同じ特別英語学校に入れないの。先日リューバ先生にご相談したの。先生とても困った顔をされていた。そしておっしゃたわ。最近は成績だけでなく家庭環境も重要になったんだって。家庭環境って何、私お母さんにそのことを話したの・・・・・・・・」

〇 イリーナの家

 あまり豊かとはいえない集団アパートの一室。イリーナが母親(40歳 すらっとした体形で横顔が美しい)に話をしている。

イリーナ「母さん、私、リューバ先生に将来のことを相談したの」
「それで?」
イリーナ「わたし、サーシャのように特別英語学校に行きたいの。でも校長先生がまだ推薦してくださらないんだって」
「お前はオール5だから必ず推薦してくださるよ」
イリーナ「リューバ先生のお話だと、今は成績だけでなく家庭環境も大事だというの。家庭環境ってどういうこと?」
「(困惑して黙って娘の顔を見る)・・・・・・・・・・・」
イリーナ「サーシャのようにお父さんが党の幹部じゃなければだめなの」
「(強い調子で)父さんはアフガンで名誉の戦死をした国の英雄じゃないか。母さんだってノルマを150%達成した労働英雄だよ。家庭環境は申し分ないじゃないか」
イリーナ「そうよ、そうよね、あたし期待して待ってていいのね」

イリーナ「(語り)母さんは翌日校長先生に相談に行った」

〇 校長室(翌日)

 学校のざわめき。愛想よく応接する校長。

校長「これはこれはイリーナのお母さん、今日はわざわざ学校に何の用ですかな」
「(真剣に)今日は娘のことでどうしても相談させていただきたくて」
校長「ほう、なんでしょうか」
「娘は今一生懸命勉強しています。素行もピオニールの活動も申し分ないといわれています。栄光の灯を守るリーダにも選ばれました。特に英語の成績は親の私の目から見ても素晴らしいものだと思っています。でも娘は今大変悩んでおります。校長先生が娘を特別英語学校に推薦してくださらないのではないかと心配しております」
校長「(当惑気に)いや、いや、それは、よく勉強できる子供は祖国の宝ですので当然推薦は致します」
「では、期待してよろしいのでしょうか」
校長「(言葉を失いながら)いや、それが、実は・・・・・・」
「実は、何か?」
校長「(意を決して)実は推薦はしたのです。しかし、まことに残念ながら不採用の通知が来ました」
「あの子は成績も素行もいいはずですが,なぜ」
校長「(咳払い)うむ、大変申しにくいのですが、昨今はそれだけではなんともしようのない状況が生まれていて、うむ、党やコムソモールからその他の筋からの要請が大変強くなっていて、もっともこれは学校だけの問題ではないのですが、要するにそうした手を打たない限り、希望通りの進学ができない状況なのです。私も忸怩たる思いですが、状況は状況として受け入れざる得ないでしょう」
「では、あの子のためにどうしたらいいのでしょうか。お金でしょうか。何ルーブルy都合すればあの子を特別英語学校に入れることができるのでしょうか」

 気まずい沈黙

(続く)

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