« (28.11.18) 笛吹けど踊らない中国不動産市場 地方政府の借金だけが累積されている | トップページ | (28.11.20) JR北海道の苦難と日本の将来 人は消え田畑は原野に戻る!! »

(28.11.19) 資本主義文明の終焉 アメリカがリーダを降りた。

Dscf6296 

 トインビー
が名著「歴史の研究」を完成させたのが1961年で、その研究で21の文明の発生から成長、衰退、解体を描いたが、その中に記載されなかったもう一つの文明が今衰退し解体期に入ってきた。資本主義文明である。
資本主義文明とは18世紀後半のイギリスの産業革命に始まり、19世紀中はイギリスがこの文明をリードし、20世紀に入りアメリカが引き継いで今日まで継続してきた文明をいう。

 この文明を支えた基本的なコンセプトは「富の極大化」だが、国家レベルでそれを表明するときはGDPの極大化という言葉で置き換えられてきた。
GDPは計測しやすく目標にしやすいが、富は計測しにくくさらに国家目標としてはあまりに露骨だったからで、そうしてもGDPは富に近似できたからである
特に20世紀の後半はこのGDPが、もっとも華やかに花開いた時期で人々は口を開けばGDPと唱えていたものだ。
明日は今日より豊かになる。GDPが毎年のように増大するからだ!!!!」

 しかし21世紀に入りこのGDPの増大がピタッと止まりだした。最初は先進国と呼ばれたアメリカやEUや日本だけだったが、その後新興国と呼ばれた中国やロシアやブラジルや韓国といった国も成長が減速し実質的に止まってしまった。
何が起こったのだ!!!!」
国家政策者は周章狼狽し、これに対処する手段を考案したのだがそれが金融緩和策という手段で、非常に簡単に言えばお金を印刷してばらまくという手段だった。
バーナンキ元FRB議長の言う「金を印刷してヘリコプターでばらまけば景気は回復する」という手段である。

 先進国でGDPが増大しなくなった最大の原因はこれ以上モノやサービスを生産しても人々が使いきれなくなってしまったからで、「なんで熊だけが遊ぶ高速道路をこれ以上作ったり、大阪まで新幹線で行けば十分なのにまだリニアが必要なのだろうか」と困惑し始めたからだ。
そこでこの状況を打開すべく考案されたものがばくち経済である。ほかの言葉でいえば投機であるがばくちはいくらやっても飽きないことに気が付いた。

 食糧生産や衣類や家といった実物の保有には限界があるが、ばくちには限界がない。アメリカもEUも日本も一斉に金融緩和に走り投資会社や金融機関という名のばくち屋に世界的規模でばくちを奨励した。
金はいくらでも印刷する。あんたらは株式や不動産投資や資源投資で儲けておくれ。そしてGDPを増大させてくれ

 確かにこの方法でも株や不動産投資で儲けた個人はボジョレーワインを飲んで散財するからGDPは伸びるし、投資銀行や金融機関の所得は伸びるのでGDPは増大する。
21世紀に入りアメリカをはじめとする先進国が一斉に行ったこの方法で毎年数%の成長が可能になった。
ほれ見てみろ、紙幣を印刷するだけでGDPは伸びる。資本主義体制は盤石だ!!!」

 だが、しかし突然というような形でこのばくち経済が終了し始めた。アメリカでトランプ氏が大統領になり「1%の国民より99%の国民の生活を守れ!!」という大合唱が始まり、アメリカが資本主義文明のリーダから降りてしまったからだ。
ばくち経済の実質的担い手はウォール街で、ウォール街はこの経済を世界に広げるために自由貿易を唱えたが、トランプ氏を支持する怒れる99%は保護主義の権化となってアメリカ市場を世界から切り離そうとし始めている。
くそったれの金融業者だけが儲けて、俺たちは失業者か。アメリカはまじめな生産者の国でばくち屋の国でない。生産者のためにアメリカ市場をとざし中国製品や韓国製品や日本製品は関税障壁を高くして一切入れるな

 世界貿易は中国経済の凋落によって既に2年前から減少に転じていたが、アメリカ経済の保護主義によってそれが決定的になる。資本主義文明はそれを世界に広げることでGDPを拡大してきたが、今その世界市場が閉じられ狭い国内市場だけになりつつある。
国内市場の規模はおおよそ現在のGDPの約6割だが、その6割に向かって経済は終息し始めた。
世界中が日本の江戸時代のように鎖国体制に入りつつあり、貿易も投機行為も縮小していく。

 トインビーはあらゆる文明は生まれ成長しそして死ぬと唱えたが今19世紀と20世紀に恐竜王国を築いた資本主義文明が死に絶えようとしている。
そして世界中が江戸化しローマ帝国亡き後の静かだが面白味はないあの中世世界に入っていきつつある。

|

« (28.11.18) 笛吹けど踊らない中国不動産市場 地方政府の借金だけが累積されている | トップページ | (28.11.20) JR北海道の苦難と日本の将来 人は消え田畑は原野に戻る!! »

評論 世界経済」カテゴリの記事

コメント

今夜のNHKスペシャルで中国の起業政策により年12000社が起業、融資する民間投資会社が急成長の話をやっていました。
そのなかで高利をうたうインターネット金融が大増殖、とありましたが、安易に投資詐欺が増えてるだけのような気がしました。年13%のリターンって怪しすぎます。

投稿: たぬき | 2016年11月19日 (土) 22時37分

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)


コメントは記事投稿者が公開するまで表示されません。



« (28.11.18) 笛吹けど踊らない中国不動産市場 地方政府の借金だけが累積されている | トップページ | (28.11.20) JR北海道の苦難と日本の将来 人は消え田畑は原野に戻る!! »