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(28.10.13) 病気療養中のため二日に1回の割で過去のシナリオ等を掲載しています。 「桃ノ木 栗の木 左遷の木(第九回)」

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 シナリオ「桃の木 栗の木 左遷の木」(その9)

この作品は私が喜劇に挑戦しようとして作成したシナリオです。第一回目からの続きです。



 〇 大川大作の豪邸の室内(続き)

 日本建築の粋を凝らした日本間。床の間には中国の山水画がかかっている。それを背にいらいらしながら待っている着物姿の大川大作。

大川「(怒鳴る)何時間待たせるんだ。銀行の支店とわしの家とは目と鼻の先じゃないか」
山崎「ちょっと天気がいいので江島大橋まで寄り道してきましたので失礼しました」
大川「(びっくりして)君、江島大橋は鳥取との境だよ。君は頭取の磯田の話だと大変なやり手だそうだが、人を待たせるのが君の流儀か。武蔵のつもりかもしれないがわしは小次郎ではない」
山崎「(にこやかに)夢は楽しく見ようと思いまして」
大川「わしは忙しい。君の流儀に付き合ってはいられない。すぐに約束のものを出してもらいたい」
山崎「はは、あれは江島大橋から川の中に投げ捨ててきました。太陽光線にあたってきらきらとまるで蝶の乱舞のように落ちていきました。実にきれいだったなあ」

 驚きあきれてしげしげと山崎の顔を見つめる大川。

大川「お前はわしをからかいに来たのか」
山崎「いえ、こればかりは自分の意志とは無関係に出来事が流れているのです」
大川「(深く息をして)そうか、これが磯田のわしに対する回答か。自分は飛ぶ鳥を落とすメガバンクの頭取、わしは政治資金規正法で躓いた落ち目の政治家というのか。(急に怒りがこみ上げてどなる)なめるなよ磯田、だれのおかげで頭取になれたと思っているんだ」

 思わず茶碗を山崎に投げつけるが茶碗はそれてよく手入れされている庭の苔の上に落ちる。茶碗の欠ける音がしない。

山崎「(独白)すごい、夢では茶碗はかけても音がしないらしい。チャップリンの無声映画みたいだ」

 肩で息をしている大川。

大川「わしの目の前でそれだけ平然としている人間は多くない。さすが磯田が遣わした男だけはある。それは褒めてやる、だが磯田に必ず伝えておけ。磯田がわしに与えた政治資金については表に出ていないが、これが検察の知るところとなれば磯田もただじゃすまない。ともに地獄に行ってもいいのだぞ。いいな、必ず伝えろ」
山崎「頭取の政治資金といいますと・・・・・・」
大川「(大声で)そんなことは磯田に聞け」

 障子を手荒く開け踵を返して日本間を出ていく大川。

〇 支店長住宅(その夜の真夜中)

 布団に入り天井を見上げている。

山崎「(独白)しかし、なんとも不思議な夢だ。今日の一日の夢は何だったのだろうか。大川大作に政治資金を運ぶ夢だったが、なんでこんな夢を見るんだ。夢なのだから楽しい夢でなくては困る。そうだ久子は実にいい(久子の微笑みを思い浮かべる)。あれはじつにいい、もう少しで唇を交わせたのに、(久子が山崎に体を預けるシーン)馬鹿神鳥が邪魔しおって」

〇 本店頭取室(翌朝)

 翌朝頭取室で秘密会議をしている頭取の磯田と下村人事部長。かなり深刻な雰囲気。

磯田「いったい山崎は何をしているんだ。人事部長、君はちゃんと山崎のフォローをしているんだろうね」
人事部長「(恐縮しながら)はあ、それはもちろんですが、何か?」
磯田「何かじゃないよ、大川から訳のわからん電話で怒鳴り込まれた。大川は金は受け取っていないと言ってたぞ」
人事部長「まさか、その件につきましては総務課長の神鳥にすでに指示をしております」
磯田「(強い調子で)指示だけじゃ困るね。実弾が届いたか確認はとったの」
人事部長「いえ、そこまではしなくても山崎のことだからよいと思いまして・・・」
磯田「下村君,君は事の重大さをどうも理解していないようだね。いいかね、もともとA支店は赤字支店なのだから毎年10億ぐらいの赤字は我慢する。そのぐらいはいい。
しかし元財務大臣の大川大作に対する政治献金100億は経営として許すわけにはいかない。落ち目の政治家に対する献金額ではない」
人事部長「はあ、それは十分に理解しておりますが・・・・」
磯田「いや、君は理解していない。考えても見たまえ、政治資金規正法で検察に呼ばれるようでは大川の政治生命は終わった。そんな奴に100億の政治献金ができるか。1億じゃないんだよ。わが行としては早く幹事長派に乗り換えないといかん。幹事長にはすでに50億の献金をしてある」
人事部長「はあ・・・」

 深いため息をつき下村の顔を見る磯田。

磯田「(いらいらしながら)君ね、はあじゃ困るんだよ。考えても見たまえ。なぜA支店の新ビルをたたみ、木造の旧ビルに支店を移させたの?」
人事部長「はあ、それは頭取の大川大作に対する最後通告のシグナルだったはづですが」
磯田「そうだ、いいかね。山崎は有能で現地を熟知していると君が言うから、わざわざあいつをA支店に配属したんじゃないか。なぜ5億の手切れ金で大川と話をつけ支店をたたんで東京に帰ってこない。5億をもってトンずらしたの。もしこの件で失敗したら山崎を推薦した君の責任だよ。
それと今日のニュースで島根の何とかという橋から大金がばらまかれたとニュースがあったが、気になるのでこちらも調べておくように」
人事部長「あっ、はい。すぐに山崎とコンタクトを取りしかるべく指示をいたします」
頭取「当たり前だ」

 慌てて受話器を取りA支店に電話をかける人事部長。それを冷ややかな目で見ている磯田。

磯田「(小さな声でどくつく)やれやれ、これで人事部長が務まるのだから、わが社は安泰なはずだ」

 ヒア汗をかきながらプッシュホンを押している下村。手が震えている。

(続く)








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