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(28.10.1) 病気療養中のため二日に1回の割で過去のシナリオ等を掲載しています。 「桃ノ木 栗の木 左遷の木(第三回)」

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シナリオ「桃の木 栗の木 左遷の木」(その3)

この作品は私が喜劇に挑戦しようとして作成したシナリオです。第一回目からの続きです。


〇 廊下(続き)

 山崎が手にファックスを握りしめたまま夢遊病者のように歩いている。

山崎「(独り言)嘘だ。そんなはずはない。これは夢だ。夢に違いない」

 前から人事部長の下村(51)が足早に近づいてくる。気づかない山崎。

下村「山崎君、山崎君、ちょうど君の所に行くところだったんだ。頭取から直接君に話があるそうだ。頭取室まで一緒に来てくれたまえ」

 口も開けないほど憔悴しきっている山崎。

下村「いや、今回の人事異動で君に話があるんだよ」
山崎「はあ」

 うつろな目で人事部長の顔をみる山崎。

下村「さあ、早く行こう。頭取がお待ちかねだ、さあ」

 山崎の肩に手をかけて促す下村。

〇 頭取室(続き)

 瀟洒な印象派の絵が壁に掛かっている。風格のある椅子と事務机。その前に豪奢な来客用のソファ。人事部長と山崎が机の前に立っている。深々と腰を沈めて二人を見上げている頭取の磯田誠(65)

頭取「山崎君、どうだね、いつも張り切っているそうじゃないかね」
山崎「はあ(気のない返事)」
頭取「まあ、ソファにかけたまえ」

 3人ともソファにかける。くつろいだ姿勢の頭取。幾分緊張気味に座っている人事部長。上の空の山崎。

頭取「今回の人事、驚いたろう、え」
山崎「・・・・・・・・・・」
頭取「何も言わなくても顔にそう書いてあるぞ」
人事部長「A町の支店長と聞いて驚かない人はいませんよ」
頭取「はは、そうだな。こう次々に支店長が自殺をするのでは驚かないほうがおかしいだろう。しかし山崎君、これには深い事情があるんだ。本来ならば事前にネゴしておくべきことなのだが、当行のトップシークレットなので、決定するまで誰にもしゃべれないのだ」
山崎「はあ(怪訝な様子で)」
頭取「これから話すことは当行では私と副頭取、それに人事部長しか知らないことで決して他言してはならないことなのだ、わかるかね」
人事部長「山崎君、しっかりしたまえ、これは頭取の特命事項なのだよ」
山崎「はあ」

頭取「君も知ってのこととは思うが、A支店は普通の支店とは違う。あそこは民自党のドンといわれた前の財務大臣大川大作とわが行の特別な関係で存続している支店だ。
大川大作にはずいぶん助けてもらった。今日都銀の中で最も海外支店が整っているのはわが社だが、これもすべて大川大作の口添えがあったからだ」

 おもむろにたばこを取り出す頭取。さっと火をつける人事部長。

頭取「もちろん、それに見合うだけのことはこちらもしてきた。政治献金も十分してきたし、選挙の時はA町支店が実質的な選挙事務所になっていた。また大川の弟が経営するおんぼろ会社に破格の融資もしてきている。(一息おいて)
いや、私は彼が次期総理になると賭けていたのだ。実際政治資金の不正使用問題が発生しなかったらそうなったろう。大川は無類の絵画好きでそれも印象派のルノアールのファンだ。週刊誌にルノアールを購入する資金が政治資金から出ていることをすっぱ抜かれて財務大臣を辞任した。(たばこの煙をゆっくりと吐く)
いまや彼は落ち目の政治家で往年の力はもうない。金融庁の横暴を押さえられなくなったのがその証拠だ。(急に山崎の手を握って)
そこで山崎君、君に頼みがある」
山崎「はあ・・・・」
人事部長「はあじゃないでしょう、山崎君、はっきり返事をしなさい」
山崎「あ、はい」

頭取「わが社は株式会社だ。当然利益が優先される。悲しいことだが落ち目の政治家に用はない。わかってくれるな(念を押すように)。
このたびわしは断腸の思いで大川大作を切ることにした。したがってA町支店を存続させる意味もない。もともとあそこは毎年10億の赤字を出してきた店だ。さらに大川大作に対する政治献金や大川の弟のゾンビ会社に対する融資もあって不要の店だったんだ。(深々とタバコを吸う)
君には大川大作に対する最後通牒を渡す役をしてもらいたい。大川は政治資金問題でつまずいてからは故郷のA町で再起を図るべく逼塞している。(急に小声で)
大川に手切れ金を渡してこい。そのあとでA支店をつぶす」

 訳が分からず当惑している山崎。

(続く)

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