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(28.9.30) 新大国の興亡 日本と中国の凋落は過剰投資にあり

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 ポール・ケネディ氏
の「大国の興亡」が日本で大ヒットし、広く読まれたのは日本が世界最強国家と思われていた1980年代の後半だった。
当時はバブル真っ盛りで土地の値段はとどまるところを知らず、東京のある地域でマンハッタン全域を買えると豪語していたころである。

 ポール・ケネディ氏がこの本で述べたことは、大国はしばしば植民地等の拡大により守らなければならない地域が拡大し、そのために軍事費が増大し経済的負担に耐えられず国家が崩壊するというものだった。
まさにその時に軍事力だけが突出したソビエト・ロシアが崩壊し、一方低軍事費の日本経済が世界を席巻していたので、このポール・ケネディ氏の主張は広く受け入れられた。
そうか軍事大国は崩壊し、軍事小国が栄えるのか!!!!」

 しかしそれから約30年たった今、興隆すると思われた日本は失速して大国の地位を滑り落ちてしまい、そして日本に代わる大国と思われていた中国も経済が2014年にピークを打ち大国から滑り落ちようとしている。
日本は完全に軽武装であり、中国は軍事大国化を目指しているとはいえロシアなどに比較するとはるかに軍事費の負担が少ないのにもかかわらず、いずれも大国から滑り落ちている。
ポール・ケネディ氏の論述はどこか間違っていたのではないだろうか」疑問を持たれるようになった。

 大国の興亡の主たる原因はポール・ケネディ氏が指摘した軍事費だけでなく、他の要因があることが日本と中国の例でわかる。
両国とも世界の工場といわれるぐらい第二次産業が隆盛になったが、日本は1980年の後半には韓国の追い上げで製品が売れなくなり、過剰生産恐慌に陥っていた。
しかし一方で内部留保は絶頂を極めていたので、その有り余る資本を不動産投資に向けたため地価は狂乱状態になって上昇した。
不動産投資をしない経営者は経営者でない」と言われた時代である。
しかしそのバブルは日本銀行の金融引き締めで急激につぼみバブルがあっという間に崩壊し、その後20年余りの低迷期を迎えている。
日本の場合は過剰生産恐慌を不動産投資で乗り切ろうとして失敗した例といえる。

 一方中国も21世紀に入って日本と韓国を蹴散らして世界の工場になったが、主として人件費の上昇によって東南アジアやインド等との競争に負け世界の工場から滑り落ちてここも過剰生産恐慌に陥っている。
しかし内部留保は十分にあっため中国は世界中の不動産を購入する方策に出た。
住宅地としてはニューヨークやロンドンだが、一方鉱山資源を求めて石油や鉄鉱石や石炭やボーキサイト等に莫大な投資を行ってきた。
そして最近ではニカラグアで運河を建設したり、インドネシアで高速鉄道の建設を請け負っている。

 中国が大国から凋落したのはこうした鉱山資源に対する投資が資源価格の劇的な低下でどこも採算割れになったことと、ニカラグアの運河建設では予想に反して世界貿易が減少し当初予定した大型船による物資の輸送などはとても見込めなくなってきたからだ。
ニカラグア運河建設は香港在住の中国資本家が請け負ったのだが、彼が集める予定の500億ドルその後600億ドルに膨らんだ)は自身の財産と後は中国政府が支出したもので、それも目標の500億ドルにはとても足りない金額になっている。
世界中から資金を集めようと思ったが、だれも投資してくれない・・・・・・・・中国資本だけでは無理だ・・・・・・どうしよう・・・・・・

 当初は2014年に工事を着工する予定だったが金が集まらず今は2017年に着工することに変更した。完工も2019年から2022年に伸びたが、実現はほとんど不可能だと言われている。理由の一つは資金不足で500億ドル(600億ドル)を市場から集めることになっているが本人と中国政府以外からは資金が全く集まらないことと、もう一つの理由は世界の貿易量が毎年10%の速度で縮小しているときに、ニカラグア運河を利用する船舶は中国船以外に使用する見込みがないことだ
なんということだ。世界貿易が拡大すると思っていたが急激に縮小してきた。これではパナマ運河だけで十分で、ニカラグア運河は閑古鳥が鳴いてしまう

 日本と中国が大国の地位を滑り落ちたのは過剰投資が原因である。
日本は主として国内とニューヨークやロンドンの不動産投資に失敗し大国から滑り落ちたが、一方中国は主としてリビアやベネズエラやイラクといった場所での資源投資に失敗し、さらにニカラグアやインドネシアでの運河や鉄道投資に失敗したからだ。

注)インドネシアでの高速鉄道の失敗の詳細は以下参照
http://yamazakijirounew.cocolog-nifty.com/blog/2016/09/pppp-3.html


 どうやら大国の興亡の要因の一つに過剰投資があり、簡単に言えばバブルって自ら崩壊する道を選ぶことにあるらしい。
現在中国がその崩壊過程にあり、投資案件がことごとく失敗しているがそれを詳細に追えば大国の興亡のメカニズムを把握することができそうだ。
そうした意味でニカラグワ運河とインドネシア高速鉄道の失敗過程を詳細にたどることは学問的に非常に意義のあることになる。

 

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