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(28.9.7) 病気療養中のため二日に1回の割で過去のシナリオ等を掲載しています。 「友よ風に向かって走れ(その1)」

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友よ風に向かって走れ(その1)

  今日(7日)からしばらくは、私が昔作成して、テレビ放送一歩手前まで行ったシナリオを分割して掲載します。シナリオの題名は「友よ、風に向かって走れ」であり、マラソン好きの人には興味を持ってもらえるかもしれません。一部表現が古くなった箇所は修正しました。

○ 神宮外苑(夏、昼休み)

  一周1300メートルのジョギングコース。太陽がきらめいている。夏真っ盛り。昼休みを利用してジョッカーが練習をしている。ジョガーの中に山崎次郎(27)がいる。相当速い。後方からえんじのユニホーム早稲田大学陸上部の選手がせまってき、抜きさろうとする。山崎もスピードを上げ抜かさせない。一周並走。

語り「ぼくは山崎次郎、27才。A銀行新宿支店の得意先係。これといった特徴はないけど、ジョギングが唯一の趣味。時間がすこしでもあれば、勿論、トレーニング。昼休みは僕の大事なトレーニング時間。天候 なんか関係なく、ここ神宮外苑でジョギングをする」

  二人の顔が歪み、息が弾む。汗が滴りおちる。学生が「アァ 」という悲鳴をだして、急にスピードを落とす。後ろを振り向く山崎次郎の頬に勝利の笑み。

語り「でも、僕の上司の水谷課長、このジョギングが面白くない。昼休みも営業時間だと課長はいうけど、まともに聞いてたら、トレーニングなんてできっこない」

  神宮外苑コースを3周し、事務所に帰るため、コースから外れる。腕時計を確認する山崎。

山崎「やったぜ、5秒短縮!」
  思わず右手を上げガッツポーズ

○ タイトル「友よ、風に向かって走れ

○ A銀行新宿支店の前(午後0時50分)

  昼休み、客がたてこんでいる。事務所の中は超繁忙。水谷課長がいそがしそうに応接している。

語り「でも、若干はジョギングしていることに気がとがめているんだ」
  裏口から見つからないようにこっそりと入いる山崎。裏口でIDカードのチェック。事情を知っている警備員が笑って見ている。

○ A銀行新宿支店の事務室内(午後1時)

語り「今日、課長はとくべつに機嫌が悪かった」
  課長の水谷(45才)が、いらいらしながら山崎をまっている。時計が1時を示したと同時に、山崎が事務室に入ってくる。髪の毛が濡れており、シャワー室から出てきたばかり。顔が赤く火照っている。水谷課長はチラッと大時計を見る。

課長「(頬を緊張させながら)お客さんから電話がありました。勿論、君にですよ。たまには昼休みに事務所にいてもらいたいものですね。ここはトレーニングジムではないんだから」
山崎「(にこやかに)勿論ここは世界的にも有名な大銀行です」
  軽蔑の眼差しの課長。メモを見る山崎。

語り「メモには、大口預金者、魚市場の中卸し、河村商店の河村社長からの伝言が残されていた。河村社長は当店きってのこわもてのお客なのだ」

山崎「アター、12時30分、すぐ来られたし、か(溜め息をつく)」
課長「アターなどとは、まともな銀行員の使う言葉じゃないでしょ(聞きとがめる)」
山崎「(課長を無視して)これは、まあ、・・・行っても無駄だなあ」
課長「なにが無駄なのですか。お客様から来いといわれれば、地のはてまでもいく、それが銀行員です。君はランニングする時間はあっても仕事をする時間は無いんですか(言葉は丁寧だが、声は怒りに震えている)」
山崎「(課長に向かって)あっ、いえ、あの社長、いつも用件は言わないですぐに来いとよびつけるんです。あ  あ(溜め息)。(課長を無視して)遅れると用はない、帰れだし・・・・今日はと・・・・30分遅れか。こりゃだめだ!」

課長「(興奮した口調で)そ、そんなことは、行ってみなければ分からないでしょう。だから、昼休みは待機だといつもいってるでしょ! ・・・君はどうやら仕事というものを理解してないようですね」
山崎「業務時間中はベストを尽くす。それが仕事だと思っています(冷静に)」
課長「ほう、そうですか。では大口たたくだけでなく実績で示してほしいものですね。今月の君の預金獲得目標は1億です。忘れないように、いいですね(皮肉っぽく )」
山崎「1億、分かってます(平然と)」

  書類カバンをかかえ、得意先まわりにでかける山崎。軽蔑した目で見送る課長。

課長「何が分かってるんだか。あれで大卒かね(独り言)」

語り「ジョギングのこととなると、いつもこうなるんだ」

○ 河村商店に行く途中の道路

  交差点の近く。自転車を飛ばして河村商店に向かっている山崎。額から汗。身障者が車椅子の車輪を歩道の溝にはめて当惑している。通り過ぎる山崎。しばらくいって振り返る。誰も助けようとしない。時計を確認する山崎。

山崎「なんだよ、誰も助けないのかよ。日本はどうなっちゃってんだ」
  車椅子の車輪を溝からはずす山崎。
身障者「あの、大変申し訳ないのですが、私このビルに用があるのです。階段の段差がきついので後ろから車椅子を持ち上げるようにして押してくれませんか」
 ビルを見上げる山崎。再び時計を見る。

山崎「ちょっと急いでるんだけど」
身障者「お願いします。手伝ってくれる人、なかなかいないんです」
  身障者の顔をじっと見る山崎。当惑している身障者。

山崎「(決心して)分かった。いいですよ。押します」
  階段を登らせる山崎。階段の上でふかぶかとお礼を言う身障者。あわてて階段をかけ下り、自転車に飛び乗る山崎。
山崎「まじい、かなり遅れたぞ」

○ 河村商店の事務所(午後2時)

  魚市場。狭い2階建ての事務所が並んでいる。河村商店の古い大きな看板。中が丸見え。真ん中にとびきり大きな机と背もたれの高い豪華な椅子がある。河村社長があたりを威圧するように座っている
  山崎がすぐにこないので、おかんむり。回りの店員は、おどおどした様子。飛び込んでくる山崎。

社長「なんや。なぜすぐこんのや、アホンタレ!(怒鳴る)」
山崎「ちょっと外に出ていましたので(できるだけ冷静さを装う)」
社長「あほか。携帯電話ちゅうもんがあるやろ。外でも、ちゃーんと連絡はとれるはずや。おおかた飯でもくろうて、休んでたんやろ、アホー!(机をたたく)」

語り「いつもこうなんだ。この人は自分以外の人が食事をすることが信じられないらしい。今日、僕は意地をみせた」

山崎「犬でも飯をたべます。御用件をおっしゃつて下さい(慇懃に)」
社長「なんや、なんや、その言いぐさは。わいをおちょくってるんか。それがお客にむかって言う言葉か。アホー、もうええ。なんの用もあらへん。かえれ!(完全に怒る)」
山崎「お客様から来いといわれてきたのです。用件をおっしゃってください(平然と)」
社長「なんやて!もういちど、いうてみい。わいにたてつくんか! アホ-、用がないといったら、なんの用もないんや、帰れ、馬鹿!」
山崎「(ぶっきらばうに)分かりました。また宜しくお願いします」
  さっさと出ていく山崎。
社長「気色悪いやっちゃ。商売のいの字も知らんのとちゃうか!」

                                (明日に続く)

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