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2016年9月

(28.9.30) 新大国の興亡 日本と中国の凋落は過剰投資にあり

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 ポール・ケネディ氏
の「大国の興亡」が日本で大ヒットし、広く読まれたのは日本が世界最強国家と思われていた1980年代の後半だった。
当時はバブル真っ盛りで土地の値段はとどまるところを知らず、東京のある地域でマンハッタン全域を買えると豪語していたころである。

 ポール・ケネディ氏がこの本で述べたことは、大国はしばしば植民地等の拡大により守らなければならない地域が拡大し、そのために軍事費が増大し経済的負担に耐えられず国家が崩壊するというものだった。
まさにその時に軍事力だけが突出したソビエト・ロシアが崩壊し、一方低軍事費の日本経済が世界を席巻していたので、このポール・ケネディ氏の主張は広く受け入れられた。
そうか軍事大国は崩壊し、軍事小国が栄えるのか!!!!」

 しかしそれから約30年たった今、興隆すると思われた日本は失速して大国の地位を滑り落ちてしまい、そして日本に代わる大国と思われていた中国も経済が2014年にピークを打ち大国から滑り落ちようとしている。
日本は完全に軽武装であり、中国は軍事大国化を目指しているとはいえロシアなどに比較するとはるかに軍事費の負担が少ないのにもかかわらず、いずれも大国から滑り落ちている。
ポール・ケネディ氏の論述はどこか間違っていたのではないだろうか」疑問を持たれるようになった。

 大国の興亡の主たる原因はポール・ケネディ氏が指摘した軍事費だけでなく、他の要因があることが日本と中国の例でわかる。
両国とも世界の工場といわれるぐらい第二次産業が隆盛になったが、日本は1980年の後半には韓国の追い上げで製品が売れなくなり、過剰生産恐慌に陥っていた。
しかし一方で内部留保は絶頂を極めていたので、その有り余る資本を不動産投資に向けたため地価は狂乱状態になって上昇した。
不動産投資をしない経営者は経営者でない」と言われた時代である。
しかしそのバブルは日本銀行の金融引き締めで急激につぼみバブルがあっという間に崩壊し、その後20年余りの低迷期を迎えている。
日本の場合は過剰生産恐慌を不動産投資で乗り切ろうとして失敗した例といえる。

 一方中国も21世紀に入って日本と韓国を蹴散らして世界の工場になったが、主として人件費の上昇によって東南アジアやインド等との競争に負け世界の工場から滑り落ちてここも過剰生産恐慌に陥っている。
しかし内部留保は十分にあっため中国は世界中の不動産を購入する方策に出た。
住宅地としてはニューヨークやロンドンだが、一方鉱山資源を求めて石油や鉄鉱石や石炭やボーキサイト等に莫大な投資を行ってきた。
そして最近ではニカラグアで運河を建設したり、インドネシアで高速鉄道の建設を請け負っている。

 中国が大国から凋落したのはこうした鉱山資源に対する投資が資源価格の劇的な低下でどこも採算割れになったことと、ニカラグアの運河建設では予想に反して世界貿易が減少し当初予定した大型船による物資の輸送などはとても見込めなくなってきたからだ。
ニカラグア運河建設は香港在住の中国資本家が請け負ったのだが、彼が集める予定の500億ドルその後600億ドルに膨らんだ)は自身の財産と後は中国政府が支出したもので、それも目標の500億ドルにはとても足りない金額になっている。
世界中から資金を集めようと思ったが、だれも投資してくれない・・・・・・・・中国資本だけでは無理だ・・・・・・どうしよう・・・・・・

 当初は2014年に工事を着工する予定だったが金が集まらず今は2017年に着工することに変更した。完工も2019年から2022年に伸びたが、実現はほとんど不可能だと言われている。理由の一つは資金不足で500億ドル(600億ドル)を市場から集めることになっているが本人と中国政府以外からは資金が全く集まらないことと、もう一つの理由は世界の貿易量が毎年10%の速度で縮小しているときに、ニカラグア運河を利用する船舶は中国船以外に使用する見込みがないことだ
なんということだ。世界貿易が拡大すると思っていたが急激に縮小してきた。これではパナマ運河だけで十分で、ニカラグア運河は閑古鳥が鳴いてしまう

 日本と中国が大国の地位を滑り落ちたのは過剰投資が原因である。
日本は主として国内とニューヨークやロンドンの不動産投資に失敗し大国から滑り落ちたが、一方中国は主としてリビアやベネズエラやイラクといった場所での資源投資に失敗し、さらにニカラグアやインドネシアでの運河や鉄道投資に失敗したからだ。

注)インドネシアでの高速鉄道の失敗の詳細は以下参照
http://yamazakijirounew.cocolog-nifty.com/blog/2016/09/pppp-3.html


 どうやら大国の興亡の要因の一つに過剰投資があり、簡単に言えばバブルって自ら崩壊する道を選ぶことにあるらしい。
現在中国がその崩壊過程にあり、投資案件がことごとく失敗しているがそれを詳細に追えば大国の興亡のメカニズムを把握することができそうだ。
そうした意味でニカラグワ運河とインドネシア高速鉄道の失敗過程を詳細にたどることは学問的に非常に意義のあることになる。

 

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(28.9.29) 病気療養中のため二日に1回の割で過去のシナリオ等を掲載しています。 「桃ノ木 栗の木 左遷の木(第二回)」

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シナリオ「桃の木 栗の木 左遷の木」(その2)

この作品は私が喜劇に挑戦しようとして作成したシナリオです。第一回目からの続きです。


〇 A銀行本店の業務室(翌日の昼間)


 瀟洒な事務室。窓から皇居のお堀が見える。精力的に仕事をこなしている山崎。利発そうな男性の部下3人。これも精力的に仕事をこなしている。今日は転勤の辞令が発令されるため山崎は落ち着かない。

部下A「課長 今日はなんか落ち着きませんね」
山崎「はは、そうだね。転勤の辞令が出る日は他人事とは思っても落ち着かないものだ」
部下A「ひとごとじゃありませんよ、課長が支店長に昇格するって、もっぱらの噂です」
山崎「(うれしそうに)いや、そんなことはない。支店長には同期のトップがなるから、それは僕じゃないよ」
部下A[いえ、課長は間違いなくトップですよ。いつも中枢のポストばかりにいるじゃありませんか。それにこれは酒の席で聞いたのですが、人事部長が同期の中でトップは山崎課長だと言っていました」
山崎「(ほくそえみながら)いやいやそれは君の聞き間違いだろう。(辞令が送られてくるファックスのほうを見ながら)しかし、今回は辞令が出るのがやけに遅いね」

部下B[きっと、A町支店の支店長の辞令でてこずってるんですよ」
山崎「(どきっとしながら、しかしさりげなく)ほう、それはどうしてだね」
部下B[あれ、課長は知らないんですか。あそこは左遷者のたまり場だし誰を左遷者にするか決めかねているんでしょう」
部下A「しかしなんでうちみたいな大銀行があんなちっぽけな街に支店を構えているのかな、農協や郵便局並みだよ」
部下B「僕もはっきりしたことは知らないんだけど、あそこは政治銘柄で何か特別の場所らしい。あそこの代議士の大川大作とつながっているらしいけど、大川大作といえば保守政界の裏のドンといわれている政治家だからな」

部下A「だからと言って何の仕事もないところに支店を構えているのは収支上問題があるはずだし・・・・まあしかしわが社にも島流しの場所がなければならないからそのためじゃないかな」
山崎「おいおい、僕も15年前にA支店にいたんだよ」
部下A[あ、いえ、言っているのは支店長とか管理職のことですよ。課長が左遷だったはずはないじゃないですか。課長は間違いなく当行のエリート中のエリートです。しかしA支店の支店長にだれがなるか見ものだな。課長は池袋か新宿とうわさされてますよ」
部下B「いや、大手町じゃないかな」
山崎「(威厳を込めて)おいおい、君たち、勝手にそういうことを言っちゃいかん。人事はあくまで公平なものだ。A町の支店長になるのはその人がそれにふさわしい実力だからだ。それ以上でもそれ以下でもない」

 急にファックスの受信を知らせるブザーが鳴る。

部下A[おお。やっと来たぞ」

 部下が全員ファックスのそばに集まる。山崎は気になるがあえて机を離れない。

部下A「辞令が出たぞ、おお、新宿は木村さんか・・・」

 名前が出るたびに心臓の鼓動が高鳴る山崎

部下B「大手町は高木さんの返り咲きか」

 ヒア汗が出てのどが渇く山崎。前に置いてある紙コップから水を飲む。ファックスは次々に出てくるが山崎の名前はない。部下もだんだん興味を失っていく。

部下A「あれ、大支店はこれでおしまいだ。(山崎に向かって)残念ですが課長は今回対象外みたいですよ」
山崎「(がっかりしながら)はは、君たちと仕事が続けられるんだからこんないいことはない」

 まだファックスを見ている部下A。興味を失って席に戻ってきた部下Bが部下Aに声をかける。

部下B「いつまでも見てても、あとは雑魚ばかりじゃないか。(おどけて)下らんものを見てないでちゃんと仕事をしなさい」
部下A「いや、まだA町が残っている。ここに一番興味があるんだ。ここは何しろ左遷者の巣だし、前任者の川俣さんは悲観して自殺をしたじゃないか。だれがビケかわかるし、興味がないほうがおかしい」
 
 最後のファックスが出てくる。

部下A「さて出てきたぞ。世紀の不幸の王冠は果たして誰の頭上に輝くのか・・・・ジャンジャカジャン・・・それでは発表・・・・・・・・・」

 部下Aが急に黙る。

部下B「おい世紀の王冠は誰の頭上なんだ、早く言えよ」

 何も言わない部下A.山崎が気にしてファックスに近づく。

山崎「どうしたの。はは、だれがA町の支店長になったの」

 ファックスを手に取る山崎。一瞬呼吸が止まる。蒼白になる山崎。部下Bが声をかける。

部下B「課長、だれが不幸の王冠をかぶったんですか」

 部下Aが慌てて制止して部下Bに何かささやく。驚く部下B。山崎はファックスを手に持ったままうわの空で廊下に出ていく。黙って見送る部下たち。

 

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(28.9.28) 中国海外投資の事例研究 インドネシア高速鉄道の崩壊過程

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 これほど素晴らしい事例研究はほかにありそうもない。
中国とインドネシア政府が取り交わした高速鉄道計画のことである。
この計画が当然のことに頓挫し始めたのだが、中国が世界各地で行ってきた投資案件は今崩壊の危機にある。しかしそうした案件は情報が限られているため外部から崩壊過程がわかりずらい。
しかしこのインドネシアの高速鉄道はインドネシア側が情報統制をしていないので実によくその内容がわかる。だから事例研究にもってこいなのだ。

 もともとこの計画は日本政府とインドネシア政府が押し進めていたものだが、そこに中国が割り込んできていつものわいろ攻勢と安値受注で、かっさらっていった案件である。
我が国の高速鉄道は日本より安価でかつ最速のスピードで建設できる
中国自慢の速戦建設だったが、実際は全くと言っていいほど建設が進んでいない。

注)中国がこの高速鉄道計画を日本から奪った経緯は以下参照
http://yamazakijirounew.cocolog-nifty.com/blog/2015/10/ppp.html

 当初の目標は2019年に開通することになっていたが、今年の1月に竣工式をしてから建設できた距離は2kmにとどまっている。
全長140kmだから8か月で2kmだとすると単純計算で47年かかることになる。
いあやー、素晴らしい建設スピードでこれなら今世紀中には建設できそうだ」皮肉を込めて礼賛されている。

 なぜこれほどナメクジのような進捗になっているかというと最大の理由は用地買収がはかどらないことだ。ジョコ政権はインドネシア始まって以来のポピュリスト政権で何でも民意が第一だから、従来の政権のような強権発動は間違ってもできない。
そうですか、あなたがたの希望価格は我々が提示した価格の3倍でないとだめですか。インドネシアに金はないから金は中国さんが出してくれるでしょう。お願いしてみたら」などという態度だからさっぱり用地買収がはかどらない。

 中国は建設資金の5200億円のうち75%3900億円)を融資する約束だったが、融資先の中国国家開発銀行はなかなかOKを出さない。
残りの25%、1300億円の調達のめどはついたの。まさか100%中国持ちになるんじゃないだろね。買収資金の増額なんてだめだよ
中国の金融機関は対外的には強勢を張っているが、実態は火の車だから3900億円といえどもなかなか融資できない。
主はごねる、銀行は金を貸さない、これで鉄道の建設ができると思う」現地の中国人担当者はやけになって老酒ばかり飲んでいる。

 ポピュリスト政権の最大の弱みは強制収用ができないことだ。そんなことをすればすぐに民意が離れてジョコ政権の足元を揺るがす。あとは金で解決するしかないがそうなるとどこまで建設費が増大するかわからなくなってきた。
なぜ、インドネシアは中国のように反対派を逮捕して投獄しないのだ。それが世界の常識だろう」中国人がわめいている。

 インドネシアの高速鉄道はいつ開通するかわからなくなった。中国は役人を買収する金はあっても地主のごね得に対応する金はない。
中国の海外投資はリビヤ、ベネズエラ、イラク、ミャンマー等で散々だがそれがどのような経緯で崩壊していったかの明確な情報はない。しかしこのインドネシア高速鉄道についてはそれがよくわかる。
だから中国の海外投資が一つとして成功せず朽ち果てた事例研究として最適なのだ。

 

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(28.9.27) 病気療養中のため二日に1回の割で過去のシナリオ等を掲載しています。 「桃ノ木 栗の木 左遷の木(第一回)」

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シナリオ「桃の木 栗の木 左遷の木」
この作品は私が喜劇に挑戦しようとして作成したシナリオです。



〇 山崎次郎(40歳  大手金融機関職員)の自宅 夜中

 うなされている山崎(40歳)。15年前島根県の小都市、A市に左遷された時の夢を見ている。
仕事に対する意欲をすっかりなくした上司と、糖尿病を患い失明寸前の同僚と、政治しか興味を持たない古参の女子職員、それに麻雀しか興味のない支店長がこの夢の主なメンバー。一人まじめに仕事をしている山崎(当時25歳)。

上司「山崎君、いつまでそのくだらない報告書を書いているの。ここは君も知っての通りまともな支店じゃないんだよ。適当に書いておけばいいんだ」
山崎「はあ、でも仕事ですからそれなりの内容にしませんと・・・・」
上司「君ね、それは内容がある場合だけ。ここに何がある。人口は犬と猫を合わせても2万もないんだよ。ふん、こんな田舎町にうちのような大銀行の支店があること自体がおかしいんだ」
女子社員「そうよ、山崎君、ここで仕事しようなんて馬鹿なことを考えちゃダメ。ここは左遷された人と病気持ちの人しか来ないの。いわば精神と肉体の療養所ね。もっとも君は若いから例外だけれども」
上司「何が例外なものか。ここで仕事をしようなんてまともな人間のすることではない。ワークホリックという病人よ」

 うんざりした表情でやり取りを聞いている山崎。そこに支店長が威勢よく事務室に入ってくる。

支店長「さあ、みんな5時だ。麻雀しよう、、マージャン」
同僚「(にっこり笑って)そうそう小生は糖尿病だが、糖尿病には麻雀が一番効くという」
山崎「(同僚に向かって)まだ終了まで10分ありますよ」
支店長「(聞きとがめて)きみきみ、この支店にきて何年たったの、第一今どこに客がいる。今日の来客数を言ってごらん」
女子社員「(ふざけた調子で)ハーイ、二人でございます」
支店長「『芽に青葉、客なき俺の目に涙』だ。さあ、さっさと仕事をやめてマージャンしよう、マージャンだ」

女子社員「(強い調子で)支店長、今日は山崎君を政治集会に連れていく予定です。マージャンなんか誘わないでください」
支店長「もう誘ったのかね」
女子社員「いえ、これから」
支店長「じゃ、こっちが先客だ。くだらない政治集会より麻雀のほうがよっぽどためになる」
女子社員「支店長、どうして政治集会がくだらないんですか?」
支店長「ふん、政治は老人と女子供がする遊びだ。男子の本懐はマージャンにありだ」
女子社員「それは偏見です」

 急に険悪な雰囲気になる。たまらず山崎が叫ぶ。
山崎「みんなやめてください。ここは職場です。みんなおかしいんだ」

〇 夢から覚める

 寝汗をひどくかいている。隣で不安げに山崎を見ている妻の和枝(37)

和枝「また、いつもの夢を見たのですか?」
山崎「ああ、そうだ。またA町に飛ばされた夢を見た」
和枝「A町のどこがいけないの、私の生まれた故郷です」
山崎「仕事をする場所じゃない。あそこは左遷者と病人と問題児ばかり集まっていた。いわば収容所列島だ」
和枝「私もあの支店で仕事をしていてあなたと結婚したんじゃない」
山崎「地元採用者は別だ。転勤できたものが問題児だといったのだ」
和枝「あなたもその転勤者だったじゃないですか」
山崎「(ムッとしながら)俺は別だ。若くてたまたま人事の都合であの町に転勤しただけだ。その証拠にその後の俺の足取りを見てみろ。本店のスタッフとしての道を歩んでいる」
和枝「(軽蔑した調子で)ならそれでいいじゃありませんか。普段は偉そうなことを言っているくせに夢ぐらいで、フン、まったく気が弱いんだから」
山崎「(大声で)気の問題じゃない、潜在意識の問題だ」
和枝「(邪険に)じゃあ、その潜在意識と相談していい加減うなされるのは止めにしてください。そのたびにいちいち起こされる私の身になってよ」
山崎「夢だからしょうがないだろう」
和枝「ふん、い・く・じ・な・し」

 寝返りを打って寝てしまう和枝

山崎「(独り言)くそ、転勤の時期になるとこの夢ばかりだ。なんでA町に左遷される夢ばかり見なくちゃいけないんだ・・・・・」

(続く)

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(28.9.26) 安保理は機能せず、ユネスコは汚職の巣。 世界最大の汚辱にまみれた組織・国連をなぜ日本は支えるのか?

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 第2次世界大戦後設立された国際組織で非常な期待をもって見られていたが、実際は何の役にもたたず最近は害悪を流している組織がある。
国連のことである。
私が学生だったころ(今から50年も前になるが)、当時は国連と聞くと輝ける存在だった。
当時は世界のあらゆる紛争を停止させ世界中に平和を約束する組織だと思われていたが、実際は何の役にも立たず、時がたつにつれて堕落し今は存在しないほうが良いような状況になっている。

 これは誇張していっているのではなく本当のことなのだ。
国連の実際の執行機関は安全保障理事会だが、1990年ごろまでの米ソの冷戦期は常任理事国が持つ米ソの拒否権の発動合戦で何も決められなかった。
冷戦が終わって国連の機能が回復するかと期待されたが、すぐさま中国というロシアに代わる覇権国ができて米中の拒否権合戦になった。
結局国連は発足以来ほとんど何の機能も発揮できなかったといっていい。

 特に最近では北朝鮮が5回の核実験を強行しさらにミサイル開発を行っているが、安保理では決議は行っても決定は行えないから実際はひどいしり抜けになっていて、中国からのヒト、モノ、金の流入を一向に止められない。
中国から言わせると決議には賛成したがこれは本来拘束力はないのだから、中国の北朝鮮に対する政策が今まで通りであったとしても、非難されるいわれはないと居直っている。

 国連は強制力のある決定を中国が拒否権を発動するので決められず、決議というそれ自体は何の拘束力を持たない微温的な態度で終始している。
北朝鮮はそれを見透かしているので、いくら決議が採択されようが蛙の顔にしょんべんで核開発を一向にやめようともせず、また国連からの脱退もすることをしない。
安保理などあってないようなものよ。悔しかったら安保理で決定をしてごらん

 中国は北朝鮮を実質的な衛星国だと思っているから、北朝鮮が不利にならないように国連で立ちまわっているため、実行力のある制裁を決定することが全くできない。
まあ、北朝鮮のミサイルと核弾頭は対アメリカ向けだし、あるいは日本と韓国を脅かす武器だから、大目に見てやろう。キム・ジョンウンが我が中国を仮想敵国にしない限りは北朝鮮の核開発に反対する理由などない

 安保理は全く機能せず有効な決定は何もできないが、一方国連の一部局のユネスコや国連人権委員会は中国とその子亀の韓国に乗っ取られて、日本非難の大合唱になっている。
日本はアメリカに次いで国連分担金は多いのだが、これは国連本体の経費であって、ユネスコや国連人権委員会の職員に対するわいろではない。
中国などは国連分担金が少ないことをいいことに有り余る資金でユネスコや人権委員会を買収しているので、ユネスコ等の職員にとって最も利益が上がる対応は中国や韓国の要請を受けて日本非難の大合唱をすることだ。

 「明治日本の産業革命遺産は中国から日清戦争の賠償資金を得てなしとげたことだし、さらに韓国を併合して韓国人を搾取したことで成り立っているため、認めることは相成らん
ユネスコの職員は韓国のエージェントになり「そうそう、そうよ。韓国の主張は正しい」などと韓国の横やりを平気で受け入れてまた多額のわいろをせしめている。
国連人権委員会も南京事件から慰安婦問題まで、ありもしない罪状を掲げて日本を非難してはこちらは中国からのわいろをせしめている。
いやいや、人権委員会の委員をしたら一生安楽ですな、乞食と人権委員会の委員はやめることはできません

 安保理は機能不全でユネスコと人権委員会は汚職の巣窟だ。これほど堕落した世界組織はなく、特にユネスコと人権委員会の職員はゴキブリやドブネズミのような存在だ。
この汚辱に満ちた組織をなぜ日本が最大の分担金を支払って支えているのかは世界の七不思議といえる。(アメリカの分担金は一位だが自国に不利な決定をする組織の分担金は支払わないからしばしば日本が最大の分担金供出国になっている)。

 

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(28.9.25) 病気療養中のため二日に1回の割で過去のシナリオ等を掲載しています。 「友よ風に向かって走れ(その10)」

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このシナリオシナリオ1からの続きです。恐縮ですが、シナリオ1・2・3・4・5・6・7・8・を読んでいない人はそこから読み始めてください。

○ 帝国ホテルでの発会式(外は雨)

  頭取、上原取締役、支店長、水谷課長、川口監督、山崎等関係者全員が集まっている。山崎は新品のトレーニングエェアを着ている。新聞社、テレビ局、数人の 国会議員。A行のイメ-ジガ-ル、人気女優の伊藤京子も出席している。

司会者「では、A銀行陸上部の発会式にさきだちまして、当行の頭取でもあり、陸上部の総監督でもある岩田頭取から、一言挨拶をお願いいたします」
  万雷の拍手
頭取「(満身笑みを浮かべて)御来賓のみなさまお忙しいなか、私どもの陸上部発会式にようこそおいでくださいました。主催者側を代表してあつくお礼もうしあげます」
  会場を満足げに一瞥する頭取
頭取「当行におきましは、社会的に価値があり、かつネームバリューをあげる方策が種種検討されてきました。幸いにも、この度、当行を代表するマラソンランナー、山崎君が東京マラソンで日本人第一位になりました」
  全員の目が山崎に集まる
頭取「このを機会に、W大より、数々の名選手をそだててこられた川口氏を監督にむかいいれここに正式にA銀行陸上部を創設することにいたしました。では川口監督を紹介します」
  万雷の拍手。そのなかを自信満々に壇上に登る川口監督。伊藤京子から花束贈呈

  川口監督のスピーチ
監督「ただいま、紹介にあずかりました川口です。W大では、数々のオリンピック選手を育ててきたました。そのために私は死にものぐるいの努力をしてきたと自負しております。私、W大で実戦したトレーニングは・・・・」
  川口監督のスピーチをじっと聞いている 山崎。その肩を軽くたたくイザベラ。振り向く山崎。
山崎「きてたの?」
イザベラ「私もよばれたの。(ひと呼吸おいて)本当はどうしても来たかったの」
山崎「あ、どうも有り難う」
イザベラ「神宮外苑の練習は?」
山崎「このところパーティーが多くて、あまりできない」
イザベラ「あなたのコーチの女の人とは練習してないの?」
山崎「あっ、いや、あのひととは止めることにしたんだ。今度はいましゃべっているW大の川口監督になる」
イザベラ「どうして」
山崎「その、川口監督の方が技術的にうえだし、それに彼女、僕とトレーニングするのもうやだというんだ」
イザベラ「喧嘩したの」
山崎「あっ、あの、本当のこというと、二人でこの会社止めてトレーニングすることにしたんだ。そしたら、急に会社から陸上部つくるので、キャプテンになってほしいといってきたんだ。僕は賛成したんだけれど彼女はいやだというのだ」

  イザベラの悲しそうな顔

  急に山崎の肩が強く叩かれる。振り向く山崎。川口監督がたっている。壇上では国会議員の挨拶に変わっている
監督「君、君が山崎君だろう?」
山崎「はあ、そうです」
監督「はあ、そうですはないだろう。僕は君の監督だよ。まっさきに挨拶にきてもらいたいもんだね」
山崎「あっ、気がつかず、どうもすいませんでした」
監督「君、さっき、僕の話聞いてた? そこの外国の女性と話をしていて、聞いてなかっただろう」
山崎「あっ、いえ、ちゃんと聞いてました」
監督「なら、私のしゃべった科学的トレーニング法を説明してみたまえ」
山崎「・・・・・」
監督「みたまえ、なにもきいてないじゃないか。いいかい、君、僕が目指しているのは東京マラソンで優勝する事じゃない。オリンピックで優勝する、これだけだ。これからは、W大の優秀な選手をどしどし入れる。いいかね、僕がW大をやめてここにきたのは、大学から社会人までの一貫スポーツ教育を実施するためだ。そのなかからオリンピック選手を作りあげる。それが目標だ」
山崎「はあ・・・」
監督「君、君は私からみれば、しょせん外様だ。私の科学的トレーニングについてこれないようでは、それなりの覚悟をしてもらわないとね」
山崎「(むっとして)覚悟とはどういう事ですか?」
監督「その言葉どおりさ」

  睨みあう二人
イザベラ「山崎さん、高地トレーニングしてます。それに風の対策も十分にしてます、私、ききました。そうでしょ」
監督「(軽蔑したように)あはー、高地トレーニング。それに風圧トレ-ニングかね。君が斉藤某とかいう女性コーチとしてたというアレかね。聞いたよ。下らないね、実にくだらない。なに、高地トレーニング! 3000メートルの白馬岳でしていたんだって。馬鹿じゃないか。いいかね、高地トレーニングは2500メートルの高度が最適なんだ。それ、以上でも、以下でもだめだ。風圧トレ-ニングだと、えっ25メ-トルの風のなかで走った?馬鹿か!飛行機じゃないんだ。いいかね、その女性はコーチでもなんでもない。ただの、スポーツ気違いのヒステリーだ」

山崎「斉藤君の悪口をいうのは止めてください。彼女のおかげで東京マラソンで日本人第一位なったのです。白馬岳の高地トレーニングは私にとり、何よりも有効なトレーニングでした。風圧トレ-ニングで風を克服することができました。取り消してください」
監督「(気色ばる)何! 何を馬鹿なことをいうか。なぜとりけす必要がある。素人のトレーニング方法ですこしうまくいったといって自惚れるな」
  騒然とした雰囲気になる。はらはらして聞いていた支店長があいだに割ってはいる。
支店長「まあ、まあ、今日は重要な発会式でしょう。お客さんも大勢いらっしゃるんだし。そんな、大声をだすのは、ね。・・・山崎君、君も大人になりなさい」
山崎「はあ(しぶしぶ)」

イザベラ「(山崎にむかって)なぜ、だまるのですか。なぜ、主張しないのですか。その女の人をなぜまもってあげないのですか」
支店長「(怒鳴る)君、君は研修生の分際で余計なことをいうんじゃない。これはわが社の問題だ。君は部外者でしょ」
イザベラ「私はその女の人のためにいっているのです。人間としていっているのです」
支店長「馬鹿な、話にならん。山崎君、君がいつまでも斉藤君のことなんか言うからこんなことになるんだ。第一、彼女はもう当社の人間じゃないんだよ。今日、神宮外苑を通ったとき、傘もささずたっていたが、あれじゃ、もう頭も少しおかしいんじゃないか、なあ課長!」
課長「雨にびしょむれになったままたっているなんて、普通ではありません」

 モンタージュ
  神宮外苑。かなり強い雨。傘もささず外苑コースにたたずんでいる斉藤久子。不思議な顔をして通り過ぎる通行人。

支店長「ほら、司会者が君のことを呼んでるよ。君の紹介をするんだ。頭取がおよびですよ。サア、気を取り直して」

 モンタージュ
  白馬岳。雨の中を走る山崎。雨にぬれながら、双眼鏡でじっと見つめている斉藤久子。頬に吹きつける氷雨。
 モンタージュ
  筑波大学での風圧トレ-ニング。じっと見ている久子。
 モンタージュ
  東京マラソン。最後のラストスパート。自転車に乗って、懸命に声をかける久子。風にむかって走る山崎。ゴールで久子の 胸に飛び込む山崎
 モンタージュ
  喫茶店。会社を退職する決意のシーン。おたがいにVサインを交わす。

支店長「(山崎の肩を押してうながしながら)ほら、ほら、急いで、みんな君をおまちかねじゃないか」

  山崎の頬にながれる涙。とめどもなく涙ながれる
イザベラ「(叫ぶ)いっちゃダメ。キミのいくの、そっちじゃない」        
  山崎の口から声にならない声がでる。
山崎「(ほとんど雄叫び)ウオォー」
  会場から飛び出す山崎。あっけにとられ て茫然と見ている参集者。叫びながら帝国ホテルを飛び出す山崎。神宮外苑にむかって走り出す。

○ 神宮外苑

 雨の中をたたずむ久子。しずくがほほを伝わって落ちている。髪がびしょびしょにぬれている。

 懸命に走る山崎。久子の影を遠くに見つける。走りよる山崎。

山崎「コーチ、雨のトレーニングですか(後ろから声をかける)」
 振り向く久子。呆然と山崎を見つめる。
山崎「はは、川口監督はレベルが低いので、首にしちゃった」
 沈黙が流れる。
山崎「やはり、斉藤コーチでないと、世界と戦えない」
久子「馬鹿だね、また高倉健をやったのかい(涙声で)」
 涙がほほに滴る久子。そっと、久子の肩に手を伸ばす山崎。久子を抱きかかえようとする。一旦はだきかかえられたが、手で涙をぬぐい、山崎の手をそっと払いのける久子。
久子「女にうつつを抜かしちゃ、世界は戦えないよ。走れ、面倒見てやるよ(泣き笑い)」

山崎「アイアイサー(おもいきり元気よく)」

 走る山崎、見つめる久子。雨が二人の姿を消し去っていく。

                                  (終わり)

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(28.9.24) 最後のサプライズは長期金利の誘導だ!!  日銀のむなしいパフォーマンス

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 黒田日銀
が再びサプライズを狙って編み出した手は長期金利を0%前後に据え置く目標金利の設定だという。
年80兆円に上る資金の供給をしてもダメ、短期金利をマイナスに誘導してもダメ、残るのは長期金利しかないではないか」日銀苦肉の策である。

 黒田日銀としたら13年4月以降の金融緩和策によっても消費者物価を約束の2%に引き上げることはできず、さらに今年2月の短期金利のマイナス誘導も不発に終わってしまったため、最後の切り札として長期金利を0%前後に固定する政策を採用するという。
キャッチフレーズは「量的緩和に金利政策を加味する」というのだが、市場からは笑われている。
黒田さん、何も誘導などしなくても長期金利は0%前後に張り付いてますよ!!!」

 黒田日銀としては消費者物価が上昇するのではなく低下するのを見て「何か行わないと日銀の権威がすたる」との危機感でアナウンスメントしたのだが、もはや日銀ができる量的緩和も金利政策もほとんど賞味期限切れになってしまった

 毎年80兆円規模の資金を投入しても物価は上昇せずGDPもほぼ横ばいで企業は設備投資意欲を完全に失っている。
黒田さん、資金を緩和してくれるのはありがたいのですがこの資金で生産を増やしても売るべき場所がないのです・・・・・・

 日本は完全に少子高齢化でさらに劇的な人口減に見舞われているので、国内需要はじり貧だ。
子供はいないし、いるのは爺さんばあさんばかりで消費意欲などはどこかに吹っ飛んでいる。
今まではそれでも輸出という手もあったが、ここにきて世界経済が急ストップしてしまい、貿易などは月を追って低下している。
金があっても、また金利がいくら低くてもこれではどうしようもありませんな」企業家マインドが完全に冷え切った。

 資金は必然的に不動産や株式といったそれ自体は価値がないが不労所得が当てにできる世界に流れていき、東京などは意外にも地価の上昇が発生している。
これは世界共通で隣の中国などは緩和した資金がすべて不動産投資に向かっているため大都市の住宅価格が再び上昇し始めた。
日本人は不動産バブルを知っているからそれでもおっかなびっくりだが、中国人はその恐ろしさを知らないから舞い上がっている。
政府が金を出してくれるのだから不動産を購入しなきゃそん、そん!!!」

 だが世界全体をみると2008年のリーマンショックにこりているため不動産投資も株式投資も資源投資も頭を押さえられている。
世界経済が低下傾向を示しており、中でも中国経済が崩壊しつつあるときにのんびりと不動産や資源に投資している余裕など本当はないからだ。
こうした投機資産は購入したら売らなければ全くの価値はないが、売る相手などいない。

注)中国の不動産投資は中国人だけが行っており海外の投資家は手を引いている。

 前から何度も言っているが経済も人間の身長と同じで、青年期には当然身長も伸びるが二十歳を過ぎたら伸びも止まるように経済も成長期が過ぎれば止まる。
20過ぎの青年に無理やり食事をさせるとただひたすら肥満になるが経済も同様に肥満になる。
アメリカや日本の金融緩和策とはただひたすら肥満児を作っては体重が増えたGDPが増加した)と喜んでいるに過ぎない。

 だがその肥満にも限界があり小錦以上に太ることは不可能だ。日本経済は成長点を過ぎたのだからGDPを増やすことなど考えるのが間違っている。
なぜ今以上の生活をしなければならないか考えてみてほしい。「足りるを知る」のは個人の知恵だけでなく国家経済の知恵でもある。
日銀がサプライズを繰り返す時代はすでに終わったのだ。



 

 

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(28.9.23) 病気療養中のため二日に1回の割で過去のシナリオ等を掲載しています。 「友よ風に向かって走れ(その9)」

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このシナリオシナリオ1からの続きです。恐縮ですが、シナリオ1・2・3・4・5・6・7.8を読んでいない人は1・2・3・4・5・6・7・8から読み始めてください。

○ 大手町の地下鉄(夜10時)

  A銀行からの帰りの山崎。前を歩いているイザベラを見つける。かなり急いでいる様子。走って追いつく山崎
山崎「(遠くから)イザベラさーん、イザベラさーん、いま、お帰りですか。おそいんだなあ」
イザベラ「ええ」
山崎「どこに住んでいるんですか、ホテルですか」
イザベラ「銀行の寮にいます。お金ありませんから」
山崎「寮に帰るのですか?」
イザベラ「(困ったように)いえ」
山崎「あれ、じゃ、六本木のスナックかなんかでバイトするのかな(ふざけて)」
イザベラ「(顔つきが変わる)貴方は、フィリピン人、すべてバーかスナックで働いていると思ってるのでしょ。町で会う日本人、みんなそう言います。でも私、違います」
山崎「いや、いや、困ったな、冗談ですよ。イザベラさんが当行の研修生だということは良くしってます(動揺して)」
イザベラ「私、これからどこにいこうとしているか、あなた分かりますか?」
山崎「あっ、いや、全然」
イザベラ「貴方はフィリピン人がなにを考えながら、日本でいきているか考えたことありますか」
山崎「あの、いや、申し訳ないけど考えたことない」
イザベラ「それなら、これから私と一緒に来てください。教えてあげます」
山崎「あっ、はい」
  怪訝そうにイザベラの後をついてく山崎

○ 六本木の教会(夜11時)

  タガログ語によるミサが始まる。フィリピン人の男女が200名位集まっている。

  神父による説教。すすり泣きをはじめる。 男女。イザベラの目にも涙。山崎は何が話されているか理解できない
山崎「(申し訳なさそうに)なにをいってるの?」
イザベラ「ララという15才の女の子の話です。ララは観光ビザで日本にやってきました。新宿で働こうとしましたが、あまりに 身体がちいさいので何処も相手をしてくれません。しかたなしに町を歩いているとオートバイに乗った日本人に声をかけられました。ララはその日本人のバイクに乗りました。連れていかれたとこ、多摩川です。そこにバイクにのった他の日本人がいて、みんなでララをもてあそぼうとしたのです。ララはにげようとして多摩川に飛び込みました。でもララはあまり泳げなかったのです。途中でおぼれて、死にました」
山崎「知らなかった。新聞にものってないよ」
イザベラ「日本人にとって、フィリピン人の女の子、一人死んでもマスコミに乗りません」

  賛美歌の歌声

○ いつもの喫茶店(昼休み)

  山崎と久子が重苦しい雰囲気で話し合いをしている。

山崎「いくら、電話してもでてくれないし、でてもすぐに電話きっちゃうし、怒ってるのかい?」
久子「そうだよ」
山崎「しかし、当行に陸上部ができたなんて実にすばらしいじゃないか。怒ることないよ。君も一緒に入ろうよ」
久子「当行? そんなものにとらわれて、強くなれると思ってんの(軽蔑をこめて)」
山崎「いまは、企業スポーツの時代さ。安心して運動するには企業にスポンサーになってもらわなくちゃ。それでなきゃなにもできないよ」

久子「ふん、いっぱしの口きくじゃん。二流の選手のくせして。会社止めて、二人でがんばろうといったときのほうが、もっと目がひかってたよ」
山崎「(カッと怒る)二流とはなんだ。ぼ、 僕は一流だ。東京マラソンで日本人一位になったじゃないか。なんだ、君は、僕にW大のコーチがついたんで、妬いてるんだろう」
  黙って、山崎の顔を見る久子
久子「ふとった豚に用ないよ。さようなら、それだけだよ」
  席をたつ久子。横を向いている山崎
山崎「(独り言)もう、絶対に電話なんかしないぞ」

○ 斉藤久子の下宿(夜)

語り「でも、僕は気になって彼女の下宿にいったんだ」

  二階建ての小さなアパ-ト。その二階の6畳、台所だけのちいさな一室。ステレオから、静かな音楽がながれている。写真帳を見ている久子。白馬の合宿。東京マラソンの写真。窓をあけ夜空をみる久子。山崎が窓の下の暗がりから久子を見あげている。

久子 「(独り言)いつも一人でいきてきたんだ。まけるもんか(おもわずすすり泣き)」
  山崎が暗がりからでで、やや躊躇しながらも、にこやかに手で合図する。
山崎「やあ、斉藤君・・・」
  きっとした表情で山崎を見る久子。しばらく睨んだあと、下に唾を思いっきりはく。
久子「帰れ、豚ヤロウ!」
  窓を乱暴に閉める久子。頭にくる山崎。
山崎「なんて、やつだ。あれが女のすることか。ざけやがって・・・」

○ 山崎次郎の独身者寮(同日、夜)

  壁にフィリピンの国旗、その下にイザベラという文字が大きく書いてある。鏡のまえで筋肉トレーニングをしている。
  したたり落ちる汗。ロッキーのテーマソングの強烈なビート。調子に乗って時々 「イエーイ」という言葉がでる

山崎「よーし、体調万全、明日から頑張るぞ。W大万歳、川口コーチ万歳、フィリピン万歳。打倒、久子。あのこうまんちきな女の鼻をあかしてやる」

○ 神宮外苑コ-ス(昼)

  山崎が独りでトレ-ニングに励んでいる。快調なスピ-ド

語り「僕は本格的なトレ-ニングをまえに、外苑コ-スで調整していた」
  コ-スの途中でイザベラが山崎を待ちかまえている。手を上げるイザベラ。気付く山崎。止まる
山崎「どうしたの、なぜここにいるの?」
イザベラ「山崎さんにあいに!この間、教会にきてもらったのに、お礼も言ってなかったので」
山崎「はは、そんなこと、気にしなくてよかったのに。それよか、今日は研修はないの?」
イザベラ「山崎さんに会うので休みとったの」
山崎「はは、それはすまないな(思いっきり陽気に)」
イザベラ「食事作ってきたの,サンドイッチ食べてください」
  サンドイッチを袋からとりだすイザベラ。 包みを受け取る山崎。
山崎「今日は軽い調整をしてるだけなので、練習は止めるよ。むこうの芝生で一緒に食事しよう!」
イザベラ「止めていいの?」
山崎「いいさ」
  イザベラの肩に手をかけ、促す山崎。嬉しそうに山崎の顔を見上げるイザベラ。

○ 神宮外苑の木陰(同時刻)

  久子が、遠くの木陰から山崎とイザベラを見ている
久子「(顔に怒りの表情)なんだい、大いに反省したから、こうして謝ろ うと思ってきたのに・・・・・」
  肩を組んで芝生に向かう山崎とイザベラ
久子「一流のランナ-になるまでは色恋抜きにしろとあれほど言ったのに・・・、まったく、指示をまもらないなんて、なんてやつだ」
  楽しげに食事をしている二人。踵をかえして、木陰を立ち去る久子。胸をはり、昂然とした姿勢で去る。
久子「ふん、所詮、あいつはあの程度の人間だったんだ。ちょっとでも目を離すとさかりの付いた犬になる。みていろ、絶対に一流ランナ-になれないぞ」

(明日に続く)

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(28.9.22) 高速増殖炉もんじゅの臨終 「だって核燃料なんて余っているよ!!」

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 やはりと言おうか、当然と言おうか、福井県にある高速増殖炉もんじゅを管理する主体がいなくなってしまった。
この増殖炉は日本原子力機構が管理していたのだが、ナトリウム漏れを隠したり1万件に上る点検不備があったりして、原子力規制委員会が切れてしまった。
「あんたまともに管理するつもりがあるのですか。このままいけば事故が起こるのは必然です
文部科学省に管理主体を変えるかそれができないなら廃炉にするように申し入れをしたのが昨年の11月だ。

注)この間の経緯は以下に詳細に記述した。
http://yamazakijirounew.cocolog-nifty.com/blog/2015/11/ppppp-3.html

 だが実際は日本原子力機構の技術者以外に高速増殖炉を扱った人などどこにもいない
文部科学省は電力会社や原子炉をつくっているメーカーに声をかけたがすべて断られた。
この技術は特殊でとても我々の手に負えません。まともな管理など我々には不可能です

 高速増殖炉とは原子炉でウラン等を燃やした残りかすから再びプルトニウム等の原子燃料を作る技術だが、特にこの高速増殖炉は冷却水として水の代わりにプルトニウムを使用している関係から管理が極端に難しく、すぐにナトリウムが外部に漏れて大騒ぎになる。ナトリウムは金属をすぐに腐食するからだ。
95年の8月に発電を開始したら、その4か月後にはナトリウム漏れで操業を停止している。4か月程度がどうやら限界のようだ。

注)なぜ高速増殖炉でナトリウムを使用するかの技術的問題は私は知らない。

 それから約15年たって、2010年に運転再開をしたら、これも4か月後に燃料交換装置の一部が原子炉内に落下して操業が停止になった。
このシステムが稼働した95年から実際に動いたのは約8か月間だけで、後の約20年間にただ遊んでいるだけだった。

いやー、点検項目が多くてとても稼働というわけにはいきません。まず点検です
しかし約4万件の点検項目があり、実際はとても対応ができず約1万件は未了のまま10年の稼働をしたのだが、さっそく事故が起こってしまい原子力規制委員会の逆鱗に触れた。
あんたらではだめだ、もう少し優秀な人はいないかい
しかしこの技術が最先端のものであるだけに、日本原子力機構の技術者以外に高速増殖炉を知悉している人はいない。
なら、あんたやってみな」原子力機構が居直った。

 ここにきてとうとう政府も問題の根深さを認めざる得なくなった。
すでに1兆円余りの費用をかけて開発してきたが、さらに地震対策等で5800億円の費用がかかるという。
それでうまくいくかというと全く保証はなく「まあ、実験炉だから何が起こってもおかしくないですな」などというのが実態だ。
文部科学省も万策尽きて「誰も面倒を見れないなら廃炉しかないではないか」と決心した。

 もともとウランやプルトニウムといった核燃料は高価だから再利用が必要との判断だったが、最近は原子炉がほとんど止まっているため核燃料は余ってしまった。
全く使われない核燃料を再処理して生産しなければならない理由はあるのだろうか」誰もが疑問を感ずるような状況になっている。

注)ウラン価格は2008年のピーク時から約3分の1に低下しておりほぼ原油価格の低下と同じトレンドを示している。

 何しろ世界経済は低迷しこれ以上の原子炉などあってもその電力を使用する企業などほとんどなくなりつつある。
特に日本では無理して原子炉を稼働させるより、LNGや石炭の発電で十分でそれも余裕含みになってしまった。
こうなると高速増殖炉に対する社会的需要はなくなって、今では科学者と技術者の単なるはおもちゃとなっている。
しかしこの遊び道具は年間で200億円の経費が掛かるので、まことにバカ高い遊び道具といえる。

 政府はいまだに高速増殖炉の技術には未練を持っているが、それは「また石油危機がいつ起こるかわからないから・・・・・・」ということだが、この心配は杞憂に終わるだろう。
原油価格が一時1バーレル100ドルを超えていたのは、中国という資源をただバカ食いするだけの愚かな国家があったからだがそれも限界がある。
中国経済が14年の夏に崩壊し、それ以降資源価格は低下の一途をたどっている。
そして将来的にも中国のような経済を政治のしもべと考える愚かな国家が出ない限り資源価格の高騰はない。

 高速増殖炉もんじゅの時代は終わったのだ。

 


 


 

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(28.9.21) 病気療養中のため二日に1回の割で過去のシナリオ等を掲載しています。 「友よ風に向かって走れ(その8)」

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このシナリオシナリオ1からの続きです。恐縮ですが、シナリオ1・2・3・4・5・6・7を読んでいない人は1・2・3・4・5・6・7から読み始めてください。

○ 上原取締役の専用役員室(翌日、午前)


  関支店長がことの次第を上原取締役に説明にきている。水谷課長も同席

取締役「なぜ山崎君は、こないの? 私は山崎君に用があるんだよ」
支店長「お聞きおよびのこととはおもいますがK物産の倒産し、山崎はその責任をとりまして、本日退職願いを出してきました。山崎は担当でありながら、K物産が倒産した日に、なんと東京マラソンなんかにでていまして・・・」

  上原取締役が言葉を遮る。
取締役「待ちなさい。君たちはここに何しにきたのかね(語気強く)」
支店長「えっ・・・勿論K物産の倒産の件について、取締役に説明にまいりまして・」
取締役「君は何をいっとるのかね。倒産の所管は審査部長だよ、私の管轄じゃない。それに東京マラソンなんかとはなんですか(怒りだす)」
支店長「はぁー?(怪訝な顔をする)」
取締役「いいですか、山崎君は東京マラソンに二位、日本人トップだったんです。頭取も大変お喜びになり、正式に陸上部の設立を許してくれたのです。山崎君はうちのエースです。わが社の野口みずきじゃないか(強い口調で)」
支店長・・・・・・
取締役「それに責任は上司がとるもので部下がとるものじゃない。見苦しいことはするな。辞職願いはすぐに破棄しなさい。さあ、山崎をここにつれてきて(大声で)」
支店長「あっ、はい」
  支店長と水谷課長は真っ青、口も聞けない。部屋を飛び出す支店長と課長

○ 神宮外苑コース(同日、午後)

語り「僕はこの日から本格的に練習にとりくんだ。気合も入っている。すごく気分はいい」

  風がつよく、砂ぼこりがまっている。走る山崎。久子は自転車。そこに関支店長と水谷課長が汗をかきかきやって来る。

支店長「山崎君、ちょっと、ちょっと止まってくれないか。是非話があるんだ(喘ぎながら)」
山崎「今練習中です。走りながら聞きましょう(呼吸は乱れない)」
  無視して走る山崎。追いかける支店長と課長
久子「支店長、邪魔よ、邪魔!話は後で。辞めたんだから、文句ないでしょ」
支店長「いや、それがあるんだ。止まってくれ(悲鳴をあげる)」
    山崎と久子がようやく立ち止まる。怪訝な顔。
山崎「どうしたんですか支店長。もう僕は退職したんですよ。斉藤君もそうです」
支店長「いや、そのことで話があるんです。ここではなんだから、あすこに支店長車があるでしょ。すまんが、そこまで来てほしい」
山崎「いま練習中だから、困るなあ、少しだけですよ。斉藤コーチ、あなたも、来てください。(支店長に向かって)コーチも行っていいでしょ」
支店長「あぁ、コ-チ?(久子の顔を見る)。えぇ、構いませんよ(やや不満げに)」

○ 支店長車の中

  黒塗りの支店長車。後ろの座席に支店長、山崎、久子。前の座席に水谷課長。
支店長「山崎君、すべて誤解だった。すまん、なにもいわず、会社にもどってくれ。ねっ」
  怪訝な顔の山崎
久子「おかしいじゃない。倒産の兆候見抜けなかった責任とって辞職しろっていってたのに」
支店長「いや、それは、だから誤解だといったでしょ!山崎君、私も支店長だ。倒産の責任はすべて私がとる。それよか君にはいい報せがあるんだよ。実はこんど当行でも陸上部つくることになってね(顔をじっと見る)・・・・、君、君はそこのキャプテンになるんです」
久子「私達、会社を止めました。もう、そんな話、聞く必要ありません」
支店長「(怒って)君にいってるんじゃない、山崎君にいってるんだ。ねっ、帰ってきてくれたまえ」
山崎「そんなこと急にいわれても・・・コーチと相談させてください」
支店長「えっ、コーチ?コーチね。あっ、斉藤君のこと? ねぇ、斉藤君、頼みますよ」
久子「お断りします、支店長。私達二人でオリンピックにでる練習してるんです」
  支店長、狼狽する。

支店長「山崎君、頼む、二人で戻ってくれ(哀願口調)」
山崎「(ニコニコしながら久子を見て)仕方無い、コーチ、また高倉健になるか」
久子「(ぴしゃりと)なにいってんの。駄目だよ。いいかい、スポーツはハングリーでなきゃ勝てないよ。君が東京で勝ったのも落ちこぼれで、マラソン以外とりえが無かったからじゃないか。すぱっと断りな」
山崎「(むっとして)いくらなんでも、マラソン以外とりえがないは言いすぎだ」
久子「事実は、事実だよ。悟りな」
山崎「なんだい、どうしてそんな言い方するんだ。僕にも自尊心がある」
久子「ふん、くだらない。そんなもの犬にくれてやれ」
  思わず怒りで身を乗り出す山崎。無視して横をむいている久子。

支店長「まあ、まあ、山崎君、これからすぐに取締役のところにいこう。それに、斉藤君、君も機嫌をなおして、いつしょに、ね!」
久子「いえ、お断りします。いく理由がありません。失礼!」
  ドアーを自分でさっとあけて車から降りる久子。振り向きもせず、車から離れていく。気にして後ろ姿を目でおっている山崎。その山崎の肩に手をかけ促す支店長。

支店長「いや、さっ、気にせず取締役のところにいきましょう。(運転手に向かって)ほら、早く車をだして、大手町だよ」
  まだ、気にして斉藤久子の後ろ姿を追っている山崎。走りだす自動車。とうざかる久子。
久子「なんだい、冗談じゃないよ。なにが高倉健だ。ふとった豚になるのか、馬鹿やろう(目に涙)」

○ 上原取締役の応接室(夕刻)

  上原取締役が上機嫌で山崎を迎える。あわてて入ってくる支店長、課長、山崎

取締役「いや、山崎君、君をまっとったよ。東京マラソン、見ましたよ、いや、いや、実に素晴らしい健闘だった。頭取もことのほかお喜びになって、陸上部の創設をお認め下さってね。監督はね、W大の川口君をくどいたんだ。まあ、金も相応にかかったけどね。ワハハハハ、えっと、ところで君のコーチのなんとかいった女性は一緒じゃないの?」
支店長「(おどおどと)はぁ、あのー、彼女は、この案に反対とかで、来ませんでした」
取締役「(意外な顔で)ほう、そう。いや、気にすることはない。川口君は、今の日本のコーチ陣のなかでは最高の人材だから。まあ、かえってよかったんじゃない。女なんかに口出しされるよりはね」
山崎「(むっとして)斉藤君は最高のコーチです」
取締役「アハハハハ、そうでしたね。分かってます、分かってます。ところでと、今、ちょうど当行が専属契約している女優の伊藤京子がきててね。いま頭取と『頭取と語る』を録画中なんだ。頭取から、山崎君、君もくるようにいわれてるんだ。さあ、いこう。(支店長に向かって)支店長、君達はもう帰っていい」
  山崎の肩を抱くようにかかえる取締役。おずおずと出ていく支店長と課長

○ 頭取の応接室

  壁にフランス印象派の高価な絵。ゆったりとしたソファー。頭取、伊藤京子、フィリッピンからの研修生イザベラ(24)が対談している。ディレクターが指示をとばし、カメラマンが盛んにVTRを回している。ライトが強く光っている。

頭取 「ちょっと、ちょっと、まって! ちょうどいいところに山崎君がきた。山崎君、君もこの対談にはいりなさい。いや、そんなに緊張することはない。ここにいるのは、わが社の専属のイメ-ジキャラクタ-、伊藤京子君だ。君もファンじゃないのかね。それと、そっちがフィリッピンからの技術研修生イザベラ君、女性だが、国立マニラ銀行の秀才。さあ、さあ、そこに座りなさい」
山崎「あのー、僕はなにをすればいいんですか」
頭取「ハハハ、何も心配することはない。私が質問するから、それに答えればいい。ただし何をいっているのかさっぱり分からんのはだめだ。じゃ、はじめていいよ」
  伊藤京子の横に座る山崎。動きだすVTR

伊藤「そうしますと、もうすこし具体的にA銀行が実施しようとしている民間援助の内容について説明してください(台本を読みながら)」
頭取「いま、わが社が最も力をいれて取り組んでいるプロジェクトは、フィリッピンの中央銀行である国立マニラ銀行に対する、技術支援でしょう。貸出、預金、為替等の基礎的業務からはじまって、オンラインに よる決済業務まで、全般にわたって技術支援をしています。ここにいるイザベラさんはそのためにわが社に長期技術研修にきているわけです(イザベラの方を見る)」
伊藤「それでは今度はイザベラさんにうかがいますが、日本の銀行業務についてどのような感想をお持ちですか(台本をみながら)」

イザベラ「なにもかも驚くことばかりです。私の任務は国立マニラ銀行が採用するソフトについて事前によく勉強することですが、フィリッピンはお金がないので、私のA銀行への派遣もODAの費用が日本政府からでています・・・・・・・」
  じっと感心してきいている山崎。突然話題が山崎にうつる。

頭取「ところで山崎君、君はこのたび東京マラソンで大健闘したわけだが、世界の強豪を蹴散らしたその実力はどのようにしてみにつけたのかね?」
山崎「(当惑しながら)はあ、マカウとともにトップ争いをしていたムタイが転倒したりして、半分はフロックのようなところもあります。ただ、僕としてもそれなりに満足のいくトレーニングはつんできました。特に、白馬岳の高地トレーニングと、筑波での風対策は有効だったとおもいます」 

 モンタージュ
 雨の中を走る山崎。高台から双眼鏡でじっと見ている久子。久子の頬にあたる氷雨、乱れる髪。

 モンタ-ジュ
  筑波大学でのと風圧トレ-ニング。前傾姿勢で歯をくいしばる山崎。満足げに見ている久子


伊藤「(時計をみながら)ではこのへんで今月の頭取と語るを終了いたします」   

                 (明日に続く) 

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(28.9.20) 実にパラリンピックは興味深かった。 人間の強さの証明

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 いやはや驚いた。リオで開催されていたパラリンピックのことである。
従来私はパラリンピックには全く興味がなく、オリンピックが済めばもうおしまいという雰囲気だったのが、今回は全く違っていた。
実にまじめにNHKのパラリンピック放送を見続けたのだ。

 見続けた最大の理由はパラリンピックの競技レベルが格段に上がり、特に陸上や水泳については健常者のそれとさして変わらないようなレベルになってきたからだ。
本当にこれが障害者の記録だろうか・・・・」信じられないような思いだが、おおざっぱにいって一昔前のオリンピックとさして変わらないレベルになっていた。

 障害の程度によってクラス分けされており、私にはそのクラス分けのレベルがわかりずらかったが、知的障害などは運動能力に何の支障もないのでほとんど健常者のレースを見ているような感じがした。
かみさんが「どこに障害があるの」と私に聞いたが私も同様の思いだ。
機能障害の場合も手や足の一部が欠損しているのだが、足についてはカーボン製の義足で100mをやすやすと走り切っていたし、走り幅跳びや走高跳などは実に豪快なジャンプをしている。

 「いやはやこれは驚き以上だ。障害者といってもこれほどのパフォーマンスを示すことができるんだ・・・」感心してしまった。
私の住んでいるおゆみ野の四季の道でも最近カーボン製の義足をつけてジョギングをしている人を見かける。
しばらく前だったら奇異の目で見られていたが、パラリンピックのおかげで全く違和感がなくなった。

 オリンピックでは人間の能力の最高レベルを確認できるが、パラリンピックではたとえ機能障害があってもここまでそれをカバーできるという人間の強さを証明してくれる。
観客席にも多くの観衆がいてオリンピックとほとんど変わらないような応援をしていた。
私など最近は聴力が極度に衰えてまともな会話ができなくなっているし、目は油断すると失明しそうで障害者認定を申請してもよいくらいだから、パラリンピックを見て強く心を動かされたのだろう。

 それにしてもパラリンピックのレベルは向上した。日本はついに金メダルに届かなかったが、次回の東京大会ではパラリンピックの強化について真剣に取り組まなければとても金メダルはとれそうにない。
パラリンピックとオリンピックの差はかつてはサッカーのJ1と中学生レベルのサッカーの差だったが、現在は高校サッカー程度まで向上した。
人間の能力はどこまで維持できるのだろうか。とても興味が持てる。

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(28.9.19) 病気療養中のため二日に1回の割で過去のシナリオ等を掲載しています。 「友よ風に向かって走れ(その7)」

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シナリオ 友よ風に向かって走れ(その7)

このシナリオシナリオ1からの続きです。恐縮ですが、シナリオ1・2・3・4・5・6を読んでいない人は1・2・3・4・5・6から読み始めてください。

○ 火曜日新宿支店支店長室(早朝)

  上原取締役より、関支店長に電話がはいる。
取締役(電話)「君のところの、山崎君、すぐに私のところにつれてきなさい。それに相談があるので、君と山崎君の上司も一緒にくるように」
支店長(電話)「あっ、はい、分かりました。すぐにまいります」
  あわてふためく支店長。関支店長は、水谷課長を電話で呼びつける。あわてて支店長室に入ってくる水谷課長。蒼白になっている支店長
支店長「(ぐちっぽく)えぇ-、実にまずいことになったね。上原取締役に直々によびつけられたよ。いや、じつにまずい」
課長「はあ?」
支店長「(怒鳴る)はあ-じゃないでしょ、倒産の件にきまってるでしょ。何かいい策、考えられない?君ね、君も支店長、直前の人でしょ。対応策はありませんなんて取締役に言える」

課長「(意を決して)支店長、勿論支店長と私の責任は免れません」
支店長「そんなことは言われなくとも自覚してます」
課長「しかし、われわれだけの責任といえるでしょうか」
支店長「なんだ、もったいぶらずに早く言いなさい」
課長「この件は、元はといえば、あの山崎が、マラソンなんかしていたからです。倒産が判明した日も、山崎は東京マラソンに出ていました。第一の責任は、あの山崎にあります」

支店長「君ね、そんなこといったって、山崎はたんなる担当だよ。それにマラソンといったって休日にしてるんだよ」
課長「支店長、今は、我々の首がかかっています。いままで支店長は何年間、当行のために働いてきたのですか。その間、一度たりとも、自分のために、自由な時間を持ちましたか。ところが、あの山崎は・・・・・その結果がこれです。支店長は山崎と心中するきですか(脅迫する)」

支店長「じゃ、ど、どうすればいい?(気弱く)」
課長「私に案があります。山崎に始末書をださせましょう。山崎から自主的に退職願いを出してくれば最高です。責任の所在がはっきりします」
支店長「そりゃ、ちょっと・・・・・私だっていざとなったら支店長やめるぐらいの気持ちあるんだよ(見栄をはるように)」
課長「(支店長の気持ちをみすかして)それはなりません。当行の将来を考えれば支店長は当行になくてはならない人材です」
  店長はしぶしぶ頷く(ほとんど泣きそう)。
  
○ 新宿支店応接室(午後)

  水谷課長と山崎次郎の二人。水谷課長が山崎に始末書を出すように、盛んに説得している。

課長「いいかね、倒産が発生したとき担当者がいないなんてことある。えっ-、マラソンなんかしていたじゃないか。おかげで当行はいくら、損したと思う。5億だよ、5億(だんだん声が大きくなる)。本来はすぐにでも辞表を書く立場なんだ(机をたたく)」

山崎「倒産時、家に居なかったのは、事実ですが、休みでしたし、すべてが私の責任ということは、ないとおもいます」
課長「何を馬鹿なことをいっているんだ(気色ばむ)。すべてお前のせいだ。ひ、昼休み、どうしてる。マラソンして、いないじゃないか。そういうところが責任感がないというんだ。まったく・・・!」

山崎「お言葉ですが、課長にも管理責任があります。第一、K物産に融資拡大策とったのは課長です(声が大きくなる)」
課長「なんだ、なんだ、なんだ。責任を私に転化するのか!始末書ですましてやろうと思ったが、もう、勘弁ならない。す、すぐ退職願いをかきなさい。本来なら首、首! 自主退職は支店長の慈悲だ(完全に冷静さを失う)」
山崎「辞めるつもりはありません(断固として)」
課長「何をいうか!いいか、1日、1日待ってやる。それで辞表、書かなかったらこっちも考えがある」
  山崎と水谷課長のにらみあい。

○ 再び応接室

  今度は、水谷課長は久子を呼びつけ、山崎を説得させようとしている。
課長「斉藤君、最近君は、山崎君と大変仲がいいようだね。はためには犬と猫。どうかんがえても不似合いだね(優しげに)」
久子「それがどうかしました?(平然と)」
課長「いや、いやそれはどうでもいいんだ・・・・・。ところで君は総合職になる希望はないかね。大卒で頭脳明晰、今まで総合職にならなかった方がおかしいね(久子の顔を除きこむ)」
久子「急に私に対する評価が上がったみたいですね(皮肉ぽく)」

課長「いや、いや、私は前から君をたかく評価してたのです。どうです、望んでたんでしょ(じっと目を覗き込む)」
久子「で、私に何をしてほしいのですか」
課長「イヤ、イヤ、これは参りましたね。実は山崎君、今、彼の立場は非常に微妙なんです」
久子「微妙と、いいますと?」
課長「K物産の倒産、知ってますね。彼、倒産時に東京マラソンにでていたでしょう。私が自宅待機するようにいってあったの、無視して。これ業務命令違反ですよ」

  窓外の新宿御苑を見ている久子
課長「審査部長は、いや激怒しましてね。悪いことに、上原取締役の耳にも入って・・・・支店長は解雇ではあまりに可愛そうなので、なんとか始末書でかたをつけようと・・・・・」
久子「課長が自分で言われたらいかがですか。私が言うことではありません」
課長「勿論しました。彼、でもいこじになって・・・」
久子「とうぜんでしょ」
課長「だから、だから君が必要なのです。彼に潔く始末書を書いて、責任とるようにいってくれませんか、ねっ、頼みます。このとおり」
  水谷課長、おおげさに、手をついて頼む。

○ S喫茶店(同日、夕刻)

  山崎が久子にことの経緯を説明している。外は暗い。

山崎「課長が始末書を書くか、退職しろというんだ・・・・・・」
久子「君、マラソンのしすぎで、頭よくないよ。課長、私を買収しようとしたんだよ。その代わり、君に始末書、書かせろだってさ! どうしてだと思う?」
山崎「・・・・・・」
久子「倒産の前、課長、K物産とゴルフしてたじゃない。投資信託5千万してもらったと自慢しでしょ。そのあとだよ、5億、無担保で融資したの。課長の責任だよ」
山崎「・・・・・・」
久子「課長、このままでは首さ。だから君に責任転化したい訳さ・・、課長の考えそうなことじゃん・・・・、責任とることないよ」

  沈黙がながれる。外をじっと見ている次郎。雪が降り出している。ようやく口を開く。

山崎「(静かな口調で)課長には会社しかないんだ・・、たまたま試合中に倒産がおこったけど・・・僕は、試合のほうを大事にしてよかったと思ってる。でも課長の気持ちわかるんだ。出世だけが生きがいなんだから・・・・・それに僕と違って家族もいるし・・・・」

久子「気がいいね。わらっちゃうよ。課長に同情か? で、どうする?」
山崎「うん、ここはひとつ男になってやるか。高倉健みたいにさ。会社を辞めよう。今回も賞金は4百万円もらったし、金はどうにかなるよ。それに僕のランナーの命、あと8年がいいとこだしな」
久子「(沈黙してじっと目を見つめる)よし、気にいった。僕は、君のコーチだから、一緒にやめよう。君をオリンピックに出してやるよ。優勝賞金で食っていくか」

  互いに笑い、手でハイタッチをする。
山崎「コーチ、次の目標はなんですか」
久子「きまってるだろ、次は4月のロンドンマラソンにしよう。優勝すれば6千万円だよ。それだけあれば二人で食っていけるだろう。確実に君を勝たしてあげる」
山崎「分かった、アイアイサー」
 微笑みながら互いにVサイン。

    (明日に続く) 

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(28.0.18) 小池都知事のビギナーズラック 「ほれ見てみろ、豊洲移転は問題山済みだ!!」

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(トシムネさん撮影)

 どうやら築地市場の豊洲への移転は不可能な状況になってきた。5900億円かけた都の一大プロジェクトは大失敗に終わるようだ。
小池都知事がこのプロジェクトにクレームを付けた理由の一つに汚染対策の検証がまだ十分に済んでいないことを挙げていたが、その汚染対策が火を噴いた。

 汚染対策の決め手は盛土で、都は4.5mの盛土を実施してきたので汚染問題はクリアーできたと主張してきたが、主要な3つある建物の地下は盛土でなく、空洞であることが判明したからだ。
空洞化することによって汚染土は除去されるということのようだが、これは豊洲がベンゼンに汚染されていたことが判明した後に設立された専門家会議の提案とは異なる。  
外部の有識者で組織された専門家会議では4.5mの盛土が提案され、外部にはこれが完全に実施されたとアナウンスメントされていた。

 だが実際は一部盛土されていなかったのだが、なぜ専門家会議の提案が修正されたかは、専門家会議の下に実務者による技術会議というものがあり、そこで主要な建物の地下は盛土でなく空洞にする案が決定されたからだ。
盛り土はしなければならず、一方空調設備のような建物のインフラを設置する場所も確保しなければならずその妥協案だ」ということのようだ。
だがそれを専門家会議には報告せず技術会議という内部の実務者による会議で決定し、外部にアナウンスメントしてこなかったことが今回の問題に発展した。
専門家会議に言うとまたもめるからこれは極秘にしましょう

  私も過去にシステム開発という大きなプロジェクトのリーダーをしてきた経験があるから知っているのだが、期間と予算が決められている場合そのプロジェクトを成功させるために切らなければならない機能というようなものがいくらでもあった。
ユーザーの要望をすべて聞いていたらとても予算が足らなくなることが分かった段階でそうした要望を切り捨てるのだが、ユーザーが了承してくれることはほとんどない。
そうしたときにプロジェクトリーダーが行う判断は表面的にはユーザーの要望を聞いたふりをして実質的に棚上げしてしまう方法で、そうでもしないとプロジェクトは前に一歩も進めなくなる。そしてこの方法は判明すれば責任問題になるが、一方うまく隠しおおせば大成功のプロジェクトとなる。

そうかその方法で都は専門家会議と都民を出し抜いてきたんだな」思わず笑ってしまったが判明してしまえばこれはアウトだ。
小池都知事はそこまで問題が深かったとは思わず、権力の誇示のために伝家の宝刀を抜いて見せたのだが思わぬビギナーズラックになった。
ほれ見てみろ。豊洲問題は問題含みだ」小池都知事の高笑いが聞こえる。

 だが、問題はこれで豊洲移転が白紙に戻ってしまったことで、専門家会議は「だまされた」と怒っているので、この地下空間問題が解決するまでは豊洲移転は不可能になった。
地下空間を埋めると今度は空調施設等をどこに設置するかとの問題が新たに発生するので、これはどうにもならない堂々巡りになりそうだ。

  結局5900億円の巨費をかけた一大プロジェクトは都知事が次々と変わる間にその暗部が暴かれてしまい大失敗になるプロジェクトになったようだ。
やれやれ猪瀬さんが都知事であったらこんな問題は発生しなかったはずなのに・・・・」都の幹部の恨み節が聞こえる。

 あらゆるプロジェクトには暗部があり、それを外にさらさずに成功裏に収めるのがプロジェクトリーダーの役割だが、小池都知事の登場でそれがばれてしまってはこの移転は不可能というほかない。

 
  

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(28.9.17) 病気療養中のため二日に1回の割で過去のシナリオ等を掲載しています。 「友よ風に向かって走れ(その6)」

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友よ風に向かって走れ(その6)

  このシナリオシナリオ1からの続きです。恐縮ですが、シナリオ1・2・3・4・5を読んでいない人は1・2・3・4・5から読み始めてください。

○ 同じころA銀行新宿支店

  日曜日というのに、事務所には、関支店長、水谷課長、田中、大川が出社している。4人とも超興奮状態。

語り「僕はまったくしらなかったけど、そのとき大変なことが起こっていた。K物産が明日不渡りをだして倒産するとの情報がはいったんだ」

支店長「山崎、山崎は何をしている。担当だろう。なぜ一番にかけつけない(大声で怒鳴る)」
課長「山崎は今、東京、東京マラソンに出ています。連絡が取れません。申し訳ありません(こちらも絶叫)」
支店長「なに!こんな時に、馬鹿が!いい、かまうな。ま、まず ほ、保全バランスを早くつくりなさい」
  課長と田中が保全バランスを作っている
課長「担保が足りません。5億とりもれが発生しそうです(声にならない)」
支店長「何、5億! 5億だよ、5億。この支店の年間利益の倍じゃないか。追加でとる担保はないのか(茫然とする)」
  全員黙っている。
支店長「えっ、何か手はないのか(怒鳴る)」
課長「担保は先順位が多いので、あまり期待できないのですが・・・・・」
支店長「このさい、そんなこと言ってられないでしょ。何でもいいから、担保と保証をとってきなさい。社長との連絡はとれないの?」
課長「社長は不在のまま、音信普通です」
支店長「そんなら、ここでぼさぼさしてても仕方ないでしょう。すぐに会社にいって差押えられるものはすべて差押えなさい」
課長「あっ、はい」
  飛び出していこうとする水谷課長、山田、大川
支店長「君達だけでいっても、仕方ないでしょ。すぐ弁護士と連絡とって」
課長「あっ、はい」
  電話をとる水谷課長
支店長「(舌打ちしながら)まったく、なんてことだ」

語り「そんなことになってるなんて、知らなかった」

○ A銀行新宿支店支店長室(月曜日、朝)


  支店内はあわただしい。行員が走り回っている。

語り「僕が出社すると、課長と田中君はK物産に取り立てにでており、関支店長は汗だくになりながら、K物産の顛末を審査部長に報告していた」

支店長(電話)「はい、そうです。今日1回目の不渡りを出すことは、確実です。はい保全バランスを作ってみましたら、まだ5億たりません。はい、はい、勿論差押えにいっておりますが、社長は暴力団をおそれて、家にはいません。はい、はい、かなり後順位の抵当権になると思いますが、仮差押えをします」
審査部長(電話)「君のところのリスク管理どうなってんの!(怒鳴り声、 支店長は思わず受話器を耳からはなす)5億のとりもれなんて君の所だけだよ。何やってるの! 課長だれ? 水谷? 彼、能力あるの? 
 すぐに報告にきなさい。法務室と連絡をとって! 君ところだけで処理、絶対だめだよ。無担保で融資したのいつ?」

支店長「あっ、はい。つい最近です」
審査部長「じゃ、倒産寸前に無担保融資したんじゃないか。いったい何みてたの」
  ひあ汗を拭う支店長。そこへうきうきした雰囲気の山崎が事務室にはいってくる。右手に東京マラソンがのっている新聞を持っている。

語り「僕は事情をしらなかったから、事務室にうきうきしながら入ったんだ」

山崎「みなさん、お早う」
  支店長が山崎をつかまえる。
支店長「君、君は昨日何、何をしてたんだ。(言葉にならない)」
山崎「はい、支店長喜んでください。昨日、東京マラソンで、とうとう日本人一位で全体で2位になりました。日本人トップですよ。はは」
支店長「馬鹿もの!なにを浮かれてる。K物産が倒産したんだ! 何がマラソンか(怒鳴る)」
山崎「・・・・・」
支店長「課長はK物産だ。すぐ、課長と一緒に5億とってこい。いいか、取ってくるまで帰るな(大声)」
  憔悴した表情の支店長。下をむいて含み笑いをしている神鳥課長。

語り「なんてことだ。天国と地獄だ」

○水谷課長の家(同日、夜)

  水谷課長が酒を飲んで夜遅く自宅に帰ってくる。元気がない。そっとドア-を開ける。チャィムが鳴り、佳恵が出迎える。

佳恵「どうしたんですか、元気がありませんね?」
課長「うむ」
佳恵「あなた、隆の入学金、用意してくれました?」
課長「うむ」
佳恵「ねえ、どっちなんですか?」
課長「いまはそんなこと言ってる場合じゃない(急に怒り出す)」
佳恵「・・・・・・・・・」
課長「今日、K物産が倒産した。5億焦げつきそうだ。俺が無担で融資したばかりだ」
佳恵「無担て?」
課長「(怒鳴る)担保なしにきまってるだろ」
佳恵「(おずおずと)K物産て、あのゴルフセットを御歳暮にくれた会社でしょ?」
課長「(はっとして)あっ、そうだ。あのゴルフセットはすぐに送りかえせ。それに、佳恵、場合によったら、この家処分して返済にあてなきゃいけないかもしれない」
佳恵「(強く)そんな、だめですよ。いくとこないじゃないですか。それに隆だって大学にいかなきゃいけないんですよ」
課長「今はそんなこと言ってる場合じゃないといったろ」
佳恵「・・・・・」
課長「(独りごと)おれがこんな事で、へこたれるものか、手は打つ。なんとしても手は打つ」

○ A銀行の役員会(翌日、午後)

  頭取をはじめ、役員20名。上原取締役が得々と提案説明をしている。『当行における宣伝活動の強化について』というテーマが電子黒板に書かれている。

取締役「ながらく頭取より指示があり、私が専担となって、鋭意検討してきました宣伝活動強化策について、ここに最善の提案を提出いたします。当行には多くの人材逸材がおりますが、とくに新宿支店山崎職員は世界的なマラソンランナーでして、先日の東京マラソンにおいて、世界の強豪アフリカの星マカウに次いで日本人一位、全体で2位になりました。ここに先日の東京マラソンのビデオがありますのでご覧ください(自信満々)」

  ビデオに先日のマラソンの内容が映し出されている。頭取はいたく感心して見ている。
取締役「B銀行の体操、C銀行のハンドボール等各行とも、積極的にスポーツ事業に進出しております。当行においてもイメージアップをはかり、とくに最近厳しさを増してきました就職戦線でかちぬき、優秀な人材を確保するために、当行に最も相応しいスポーツを検討してきましたが、最終的にマラソンが最適との結論に達しました。このVTRをご覧ください。特に山崎選手の胸に注目してください。なんと鮮やかなA銀行のマークでしょうか」

  山崎のゴールに飛び込むシ-ン
取締役「先日の東京マラソンの視聴率は30%を越えているものと思われます。日本人のマラソン好きは、つとに有名であり広報室には朝から山崎選手の照会電話がたて続けに入っております。特に来年卒業をひかえた大学生からの照会が多く、宣伝効果抜群、イメージアップ抜群とは、このことをいうのでしょう。来年の就職戦線は勝利したも同然です・・・・・」

  頭取はじめ、他の役員全員好意的に頷く
取締役「ついては、この山崎職員を中心に陸上部を創設し、監督には、僣越とは思いますが、私の母校W大の現コーチ川口氏の内諾を得ておりますので、川口氏を、さらにW大の陸上部卒業生5名の採用を同時に計りたいと考えております」
議長「では、上原君の提案に賛成の諸君は挙手をおねがいします」
  満場一致で上原取締役の提案が採択される。

頭取「素晴らしい提案です。上原君、この案最重点事項にしましょう。企画部長に予算をすぐつけるように指示しなさい。それから私のところに山崎君をつれてきてください。一緒に食事どうかな。(子供っぽく)ところで総監督だれがなるの?」
取締役「勿論、頭取です」
頭取「はは、君、よく分かってますね」

                                明日に続く

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(28.9.16) サムスンのスマートフォンの爆発と韓国経済の炎上

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 韓国経済の背骨が砕けそうになっている。韓国経済はサムスングループで成り立っているが、その中での中核中の中核はサムスン電子である。
何しろサムスングループ全体で韓国のGDPの約2割から2割5分を稼ぎ出し、さらにそのその半分をサムスン電子が稼ぎ出している。
だから韓国経済とサムスングループサムスン電子)は表裏一体でありサムスンがこければ韓国経済もこけるという構造になっている。

 現在韓国経済は絶不調になっており、大げさに言えばサムスン電子以外は赤字のゾンビ企業だらけといっていい。サムスンだけが約3兆円前後の営業利益を出して頑張ってきており、これはトヨタの2兆円の営業利益を上回っている。
韓国の経済記事を見ていると「サムスンありがとう。サムスンだけが韓国経済の救世主だ」といった記事ばかりで、韓国最後のアンカーがサムスンであることがよくわかる。 

 だがそのサムスンに激震が走った。サムスン電子の売り上げの約半分がギャラクシーシリーズのスマートフォンの売り上げで、サムスン電子はギャラクシーで世界を席巻してきた。
しかしここ1~2年は中国市場で中国のファーウェイとアメリカのアップルに追い上げられ大苦戦を強いられており、統計が出るたびに順位を落としていた。
そこで起死回生の商品としてこの8月からギャラクシーノート7をアメリカをはじめとする全世界に向けて発売したが、9月に入り全世界的規模で発火事故が発生し特にアメリカで大々的にとりあげられている。

 正式に認識されている発火事故は40件弱だが、インターネットで子供が遊んでいるときに発火した映像が流れたりして、騒ぎは拡大の一途をたどっている。
当初サムスンは一部の例外として個別に対応しようとしたが、アメリカの連邦航空局や安全委員会がギャラクシーノートの使用について、「安全性が全くなくすぐさまコンセントを抜いてその場を離れるように」との勧告を出したので、爆発物みたいな取り扱いになってしまった。

 数年前にトヨタのレクサスがほとんど難癖と思われるようなバッシングをされたが、今サムスンがそのまな板の俎上に載せられている。
アメリカにはトヨタやサムスンを苦々しく思っているグループがいて、事故が起こるとそれを120%以上利用して反トヨタ、反サムスンのキャンペーンが繰り広げられる。
簡単に言えばGMとアップルのためにプロパガンダが炸裂するのだ。

 サムスンはアップルと中国市場や先進国市場で激突しており、この事故は最大限にアメリカで取り上げられ、サムスンは俎板の鯉だ。
ギャラクシーノート7はアップルがこの秋に発売する新アイフォーンの対抗機種だったが出足でひっ転んでしまった。
販売予定台数は1200万台だったが8月に売り出した製品の交換で大わらわになっており、とても販売促進に移るというような体制ではない。

 顧客から苦情が殺到し特に交換が販売した販売店でないと受け付けないのが最大の苦情になっている。イギリス人などは香港で購入するのが安いためインターネットや出かけて行って購入したのだが、商品を航空便で送り返したりまた香港まで出向かなければならずひどいブーイングだ。
今は日本人でもインターネットを利用して海外から商品を購入しているが、返送となると電子部品など相応の箱等を用意しなければならず素人はうんざりするような作業だ。

 損害規模は2000億円から4000億円規模と見積もられており、3兆円の営業利益を稼ぎ出すサムスンの許容範囲だが、今回の事故でサムスン商品のイメージが大幅に悪化したことと、これを機会にファーウェイやアップルがサムスンの追い落としにかかっているので、この事故はボデーブローのように効きそうだ。

 サムスンが日本の電機産業や液晶産業や携帯産業を追い落としたのが1990年代だったが、あれからほぼ15年たって今度はサムスンが世界市場から追い落とされる番になった。
栄枯盛衰は世の習いだが、韓国の屋台骨といわれるサムスンの衰退は同時に韓国経済の衰退であり、韓国が経済で世界のプレーヤーだった時代が終焉しつつある。

 

 

 

 

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(28.9.15) 病気療養中tのため二日に1回の割で過去のシナリオ等を掲載しています。 「友よ風に向かって走れ(その5)」

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 友よ風に向かって走れ(その5)

  このシナリオシナリオ1からの続きです。恐縮ですが、シナリオ1・2・3・4を読んでいない人は1・2・3・4から読み始めてください。

○ K物産とのマージャンの帰り(12月中旬,夜)
  タクシーのなか。課長と山崎。

語り「結局K物産とマージャンをした。課長は一人勝ちであったため、いたって機嫌がいい。だいぶ酒も入っている」

課長「いや、いや今日はじつにたのしかった。しかし、K物産の部長も、課長もマージャンがへたくそだなあ。部長、5回だよ。5回も、小生に満貫ふりこんでさぁ。あのときの顔、見物だったね。まあ小生の腕がいいから・・・・・」
運転手「お客さん、儲けたんでしょ」
課長「まあね、今月のこずかい銭ぐらいよ。おい、山崎、なぜだまっている。えっ今日ぐらい、陽気にやれよ。勝てなかったのでおかんむりか。腕よ、腕。ところで、山崎、部長のいってた融資、前向きに考えてやれ」
山崎「あそこは、注意したほうがいいとおもいますが」
課長「また、それだ。いや、君は頑固だね。頑固のうえに何かつきそうだね。すっかり、酔いがさめたじゃないか。もうすこし、前向きに考えられないのかね」
  怒って横をむく水谷課長

○ 水谷課長の家(続き、夜)

  タクシ-を下りる水谷。山崎は途中で下りていない。
            
課長「あの馬鹿、一体、いつまで俺の足を引っ張ればきがすむんだ。くそ-、山崎のおかげでいつも2課に負ける。神鳥なんかに先をこされてたまるか(映像をかさねて: 神鳥課長の高笑い)」
  玄関を手荒に開ける。むかえる妻、佳恵(42)
佳恵「もう遅いんだから、大声を出して帰るのは止めて下さい」
  玄関に大きな荷物が宅配されている。荷物に気付く水谷
課長「これ、何?何処から送ってきたんだ?」
佳恵「K物産からの御歳暮だっていうんだけど、これゴルフセットですよ」
  荷物をほどく水谷課長
課長「ほう、これはイギリス製の超高級品だわ。実に小生に相応しい」
佳恵「(不安げに)こんな高価なもの、御歳暮でもらっていいんですか?」
課長「なにが、いいに決まってるだろう。これは小生に対する期待ですよ。いや、いや実に可愛い企業だ!」

○ 神宮外苑コ-ス(数日後、夜9時)

  トレ-ニング終了前のミ-テング。不動の姿勢の山崎、リラックスした姿勢の久子。 
               
久子「来週から、土日は筑波大学でトレ-ニングすることにする」
山崎「はは、なんで筑波までいくの?」
久子「筑波には特別トレ-ニング室があって風圧を自由にコントロ-ルできる装置があるんだ。君をそこで改良することにする。教授に頼んで土日に機械を借りることにしたんだ」
山崎「タ-ミネイタ-でもつくるのかい?」
久子「君を、風に強い選手に改良するんだ。日本の選手は、悪条件に極端に弱い。なぜか分かる」
山崎「精神力のせいだろ?」
久子「いや、なれさ。人間、一度経験しておけば大抵のことは耐えられる。はじめてだと、恐怖感で崩れるんだ。昔ロスのオリンピックで優勝確実と言われた日本選手が大敗したのは、真夏の太陽に慣れてなかったせいさ」
山崎「僕は暑さにも、風にも強いよ」
久子「知ってる。君のたった一つの取りえは野性みだよ。筑波で25メ-トルの風圧を経験させてやるよ。そうすれば君は北風のランナ-になれる」
山崎「はは、何か分からないけどおもしろそうだね」

語り「そして僕たちはこの奇妙なトレ-ニングを開始した」

○ 筑波大学体育学研究所(昼)

 特別トレ-ニング室。風圧実験装置を兼ねた密閉された大型の筒状の装置。内部にランニング用のベルトコンベア-。風速が20メ-トルに設定されている。中で山崎がランニングスタイルで準備運動をしている。外から時間測定をする久子。

久子「風速20メ-トル、ベルトコンベア-の時速20キロにセット。5分ごとのインタ-バル開始」
  機械のスィッチを入れる久子。ベルトコンベア-のスピ-ドがます。風速20メ-トルの強風が前から吹き出す。懸命に走りだす山崎。滴り落ちる汗。風にたなびく黒髪。一時間経過。ふらふらになっている山崎。
            
久子「30分休んで、次は風速を25メ-トルにあげる」
山崎「それじゃ、台風のなかでマラソンするようなもんだよ」
  研究室に研究室の助手がはいってきて、山崎のトレ-ニングをびっくりして見ている。
助手「これ動物実験用の装置ですよ。犬や馬を使って実験するんです。人間を入れるなんて無茶ですよ」
久子「知ってる。でも中の人にそのことを教えちゃ駄目だよ。これは人間のなかにある野獣性を最大限に引き出す実験をしてるんだから」
  走る山崎(映像をダブらして:走るド-ベルマン)

○ 東京マラソン(冬、2月)

語り
「ついに東京マラソンの日がきた」
  快晴、無風、気温5度、マラソン日和。準備体操をしている選手。東京マラソンの横断幕。都庁周辺の蝉噪。山崎の腕と足をマッサージしている久子。

久子「5キロまでにトップグループにつくんだ。いいね。君ならできる」
山崎「うん、やるよ(力強く)」
久子「ムタイを抜くんだ。抜くと言え」
山崎「抜く、抜く、抜く(大声で)」
久子「よし、いいぞ、いけ、弱気になるなよ」
  山崎の胸を強く叩く久子。

語り「僕は陸連登録の一般選手のため、スタート地点はやや後方だったけど、じょじょに追い上げ、10キロ地点では第二グループにつけた。第一グループは、ケニアの招待選手ムタイとマカウを含むと外国勢5人と日本の招待選手が並走していた」

  ムタイ、マカウ等外国勢とカネボウの伊藤の6名の競り合い。100m後方で第二グループの山崎。沿道の声援。給水所で水を取る選手。

語り「招待選手はさすがはやかった。なかなかおいつけない。しかし、信じられないことが起こったのは30キロの給水所でのことだ」
  給水所でムタイと伊藤が接触して転倒。100メートル差で追っていた第2グループに追いつかれる。

テレビアナ「思わぬところで転倒があったため、現在、先頭はマカウら外国勢の4名、そのあとをムタイ、伊藤と第二グル-プを形成していた三名の計五名になっております。選手を紹介いたします。ゼッケン番号45は日産自動車の入江、96番はNECの加藤、そして10003番は・・・・・・、しばらくお待ちください。ただいま選手の確認をしております(ようやく記録係からメモが渡される)10003番はA銀行の山崎です。ところでムタイと伊藤ですが怪我がなければいいのですが」

解説者「まあ、二人とも世界のトップランナ-ですから、特にムタイはトップグループに追いつくでしょう。応援の旗が強風にたなびき始める。一斉に前傾姿勢を取り始めるランナ-
解説者「風が大分強くなってきましたね。完全に向かい風になっていますね。選手はかなり辛いとおもいますよ」
テレビアナ「はい、今情報がはいりました。風速は現在20メ-トルの向かい風ですね。スタ-ト時点では無風でしたから、気象条件は急激に悪化してきてます」
解説者「ほう、そうですか。この風では相当スピ-ドが落ちるし、目いっぱいの選手はラストスパ-トがきかないでしょ」
  マカウが35キロ地点でスパ-トする3名の外国人選手はついていけない。第二グループでは伊藤等が遅れだし、山崎だけがトップを追走。
テレビアナ「マカウがスパ-トしました。現在日本人トップはA銀行の山崎、実業団にも所属していない全くの市民ランナーです。伊藤は遅れました。現在山崎がこの強風の中で飛ばしています。なんと次々と強風のため失速した前の選手をとらえて現在第二位に上がりました。信じられないほど風に強い選手です・・・・・・」
解説者「こんなに風に強い選手を見たのは初めてですね。これでは台風の中で走っているようなものです・・・・」
  強風の中でマカウを追走する山崎。沿道の木々が風で大きくしなっており、道路には紙ふぶきが舞う。失速する外国人選手。

○ A銀行上原取締役の家(同時刻)

  上原取締役(55才)が東京マラソンのテレビ中継をみている。
テレビアナ「A銀行の山崎、よく頑張っています。全くの無名選手ですが、世界のトップランナ-、マカウと実に堂々と競り合っています」
  上原取締役がおどろいてテレビを覗き込む。2人のデットヒートがつづいている。山崎のランニングにはA銀行の鮮やかなマーク。歯をくいしばっている山崎。
取締役「母さん、大変だ。うちの選手がはしっている。新宿支店の山崎ってやつだ。 すごい、優勝するかもしれないぞ」

○ 東京マラソン(続き)

 レ-スは最後の1キロになっている。山崎が風で失速しているマカウに迫っている。
テレビアナ「レースは大変なことになってまいりました。優勝は、アフリカの星マカウか、無名の新人、A銀行の山崎か」
解説者「これは全く予想外ですね。マカウはだいぶ苦しそうですね。よほど風が強いのでしょ。いっぽう山崎の足取りは快調ですね。風を楽しんでるみたいなとこがありますね」               
  久子が自転車に乗って沿道を伴走しながら声をかける。           
久子「最後だ。スパ-トしろ。風にむかって走れ、死ぬまで走れ、走れ(叫ぶ)」
  山崎が最後の400メ-トルでスパ-トする。マカウもラストスパート。両者の必死な顔。沿道は周りは鈴なりの応援。
テレビアナ「マカウ、スタ-ト、山崎との差は5メ-トル、10メ-トルと開いていきます」
解説者「決まりましたね。しかし日本にも、恐ろしい選手がいたもんですね。信じられませんね」
  二位でゴ-ルに飛び込む山崎。気を失いそうになり、足がもつれている。目は虚ろ。久子がタトルを持って抱き抱える。
久子「よくやった。2時間06分30秒、君、もう少しで日本新記録だよ」
  山崎は朦朧としながら頷く。
山崎「へへ、風が強くなったら急に身体が楽になったんだ。ヤッタゼ」

上原取締役もテレビをみながら興奮する
取締役「うちの選手が世界の強豪相手に2位に入ったぞ、えっ、うちの選手だぞ。いやいや、大したヤツだ」
  インタビュー。山崎の嬉しそうな顔のUPがテレビに写っている。胸にA銀行のマーク。
テレビアナ「二位おめでとうございます。日本人トップでもうすこしでマカウをかわすところでしたね。勝因はなんですか」
山崎「はは、コ-チと、風かな」                           

                         (明日に続く)

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(28.9.14) 朝鮮半島波高し 火薬庫に火が付きそうだ!!

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 ここにきて朝鮮情勢が一気にきな臭くなってきた。9日に第5回目の核実験を北朝鮮は実施したのだが、実験間隔が従来は2年に1回程度だったものが半年に1回程度の頻度になっている。
韓国国防筋によればさらに6回目の実験を準備中というからこの頻度は尋常ではない。
ここにきてキム・ジョンウン氏がなぜここまで実験に執着するのかは、ICBMに搭載できる核弾頭の小型化にあと一歩のところまで来たからだとアメリカの軍事関係者は分析している。

 すでにICBMの実験ではアメリカのグアムやアラスカまで到達できる能力を示したが、それに搭載可能な核弾頭の小型化はまだできていなかった。
ロケットだけなら落ちてもヒットラーのV2ロケット程度の損害しかない
アメリカも本心ではたかをくくっていたが、ここにきて真剣に危惧するようになった。

 アメリカは過去に何回も北朝鮮の核施設の破壊を検討したが、そのリアクションが大きすぎ特に韓国のソウルが北朝鮮の砲兵隊により「火の海」になる可能性があるため実施してこなかった。
友好国を犠牲にできない」という判断だったが、ICBMが本国まで届きさらに核弾頭の小型化まで可能になると、これはアメリカ直接の脅威になる。
特にあのキム・ジョンウンは何をしでかすかわからないお坊ちゃんだ・・・・・
アメリカ政府と軍関係者の間に北朝鮮への懸念が広がり、ひそかに核施設とキム・ジョンウン氏の抹殺計画が検討されている。

 一方キム・ジョンウン氏もそうしたアメリカの意図を中国を通じて十分認識しているから、実戦配備可能な核弾頭の開発に血眼になっている。
一日でも早く核を搭載したICBMを配置しなければならない。今までは単なる脅しだったが核搭載が可能になれば脅しではなく本当のパワーゲームになる。アメリカと対等になれるのだ

 現段階で搭載可能なほどの核弾頭の開発に成功したかどうかはわからないが、その可能性はますます高くなっている。
北朝鮮をたたくのは今をおいてほかにないのではないか」アメリカ政府も追い詰められてきた。
核弾頭がまだ開発できていないか、あっても1から2発程度であれば簡単に叩き潰せるが、これが数百発程度になればもうどうにもならない。

 アメリカの軍部は今が最後の北朝鮮への空爆のチャンスだと判断しているが、アメリカ政府としたら韓国や日本への影響を考えて決断を下せずにいる。
まず韓国のソウルは砲撃で灰燼に帰すと思わなくてはならない。日本も東京にノドンレベルのミサイルが撃ち込まれるが,これは安倍が何とか防ぐだろう。韓国に対する影響が大きすぎるがどうしたものか・・・・・・・

 朝鮮半島が東アジアの火薬庫と称されてひさしいが、一発触発の状況になっており何かの偶発的事故でいつでも戦争状態になる可能性がある。
来月10日から米韓合同演習が行われ、空母ロナルド・レーガンも出動し、韓国にはアメリカの誇るB1爆撃機が配備された。
最も緊張が高まる合同演習の1週間が始まろうとしている。

 

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(28.9.13) 病気療養中のため二日に1回の割で過去のシナリオ等を掲載しています。 「友よ風に向かって走れ(その4)」

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友よ風に向かって走れ(その4)

 このシナリオシナリオ1からの続きです。恐縮ですが、シナリオ1・2・3を読んでいない人は1・2・3から読み始めてください。

○ 神宮外苑(10月、午後6時)

語り
「ともかく僕は斉藤君の実力を認めた。あのひとは天才的なコーチだ」

  落ち葉が舞っている。斉藤久子が山崎次郎を自転車で追っている。

久子「なんだ、その手のふりは。上体が揺れてる。もっと腰を上げろ。ラップがおちだしたぞ。手をぬくな、分かったか」
山崎「はい(ゼイゼイいいながらこたえる)

○ 神宮外苑(午後9時)

  練習が終わったあとの反省ミーティング。山崎次郎は不動の姿勢。斉藤久子はストップウォッチと記録表をもってリラックスした姿勢

久子「今日はとってもよかった。実力は確実についてきている。5キロ、15分台前半になった。次の目標は、東京マラソンに絞る。あと5か月。来週は合宿をする。1週間休みをとれ」
山崎「えっ!1週間もですか(当惑しながら )」
久子「そうだ1週間だ。ばっちり取れ(威厳にみちて)」
山崎「夏休みじゃないし、課長説得できないよ」
久子「あまえんじゃないよ。まともで東京マラソンに勝てる。仕事は二流でいっぱしの銀行員づらをするんじゃない」

語り「このひとは本当に強引なのだ」

○ 一週間後、事務室(昼)

語り「休みのことを課長にきりだせず1週間たった。明日が合宿の日だ。僕はとうとう決心した」

山崎「課長、ご相談があります」
課長「君から相談ですか。ぜひ前向きな相談にしてほしいですね」
山崎「申し訳ありませんが、明日から1週間休暇をとらしていただきたいのですが」
課長「ほう、1週間ね(疑い深そうに)。家族にご不幸でも?」
山崎「あっ、いえ、そうではないんですが。私用です」
課長「ほう・・・・年休の範囲内ですから、ダメだとはいいませんが、君は課の最年長者でしょ。少しは、自覚を持ってほしいですね。こんなことは言いたくありませんが、田中君のほうがはるかに良く仕事しますよ。取締役が来られたときも、会議に遅れるし、取引先とのコンペには出ない。そして1週間の年休ね・・・どうしても、休みをとるのですか」

山崎「あっ、はい(当惑しながら)」
課長「ほう(軽蔑したように)・・・・ ところで、斉藤君からも、休暇願いがでていますが、まさか一緒ではないでしょうね」
山崎「あっ、いえ、違います。斉藤君とは全く関係ありません(顔がほてる)」
課長「いいですか、これだけはいっておきます。君は一流銀行の職員です。君の恥は私の恥です。くれぐれも間違いはおこさないように」
山崎「あっ、はい」

語り「もうすこしで心臓が飛び出るところだった」

○ 特急あずさの車内(朝)

  山崎と久子が隣あって座っている。
語り「こうして合宿に出発した」

山崎「コーチ、合宿を白馬岳でするというのは冗談でしょ。白馬は3000メ-トルの山ですよ」
久子「いえ間違いなく白馬岳よ」
山崎「登山でもさせるんですか」
久子「君、高地トレーニング知ってるでしょなぜエチオピアやケニアの選手が強いの。いつも2500メートルの高地でトレーニングしてるからでしょ。だから、こっちは3000メートルでやるの。空気は薄いし、ばっちり鍛えられるよ」
山崎「でも、走る所がないですよ」
久子「君、登山したことないの?白馬の周辺は平らで、登山道はあの農道みたいによく整備されてるの(農道を指さす)、公園を走るようなもん」
山崎「はは、農道ね。じゃ、馬車馬のように走るか!ところでコ-チ、コ-チは前、喫茶店で、K物産との取引は要注意だといってたけどどうして?」         
久子「ああ、あのこと。私の住んでるとこ、K物産の近くなの。あそこの若社長知ってるでしょ」
山崎「なかなかの美男子でやりてだけれど」
久子「いい噂、聞かないの。キャバレ-で一日、何百万使ったとか、女が何人もいるとか、不動産を切り売りしてるとか。こういう噂、注意すべきだと思うんだ」
山崎「(思案げに)ふ-ん、そうなのか」

○ 白馬岳(1日目、快晴)

  白馬3山。わきあがる雲。ゆるやかな登山道。走る山崎。びっくりする登山者。高いピークで双眼鏡で山崎をみている久子。

語り「こうして僕たちのトレーニングが始まった。空気が薄いと実に苦しい。心臓は破裂しそうだし、胃は吐きそうだ」
  岩かげで嘔吐している山崎。ふたたび走り出す山崎。双眼鏡でみている久子。流れる雲。

○ 白馬岳(4日目、昼、風雨)

  雨具を着て走る山崎。ピークからじっと見守る久子。傘をさし雨具を着ているが雨がよこから頬をたたく。びしょびしょの髪。ひたたりおちるしずく

語り「4日目、体調は完全になれた。ちっとも苦しくない。雨も気にならない。スピードも十分だ」

  大学ワンゲル部のパーティーとすれちがう。驚いて口も聞けずに見ているパーティー。おちる山崎の汗。震えながら見ている久子。

○ 山荘(4日目、夜)

  山荘の一室、久子が布団をひいてねている。身体が小刻みに震えている。横で山崎が柔軟体操をしている。

山崎「今日は実におどろいた。走ってたら急に雷鳥とびだしてね。もうすこしで踏みつぶすとこだった。雨の日は雷鳥がでるって本当だね」
  答えない久子。異変にきずく山崎。
山崎「どうした。身体の調子わるいの」
  震えている久子。額に手をやる山崎
山崎「熱い、ねつがある。山荘の人、呼んでこようか」
久子「いい、あのポシェットに解熱剤ある。とって」
  解熱剤と水を手渡す山崎。飲む久子。おもわず咳き込む。背中をさする山崎。髪が目の前で乱れる。振り向く久子。目があう。重苦しい沈黙。久子のくちびるに顔をちかずける山崎。強く手で山崎の唇をさえぎる久子。

久子「君、あまいよ。風邪ひきのおとめの唇を奪うと、風邪ひくよ。ランナーの第一条件は風邪ひかないことじゃん。私がこうしてがんばってるんじゃないか。君も色恋ぬきでがんばれよ」
山崎「(動揺しながら)あっ、いや、ごめん」
久子「私、君にかけてるんだよ。君は今の時代では、落ちこぼれさ。私も女だから認めてもらえないんだ。でも未来はそうじゃないよ。なんとかいっしょに・・・・・こうして未来をさがしてるんだろ。だからそれまで・・・・・色恋なしさ」
山崎「・・・・・・」
久子「今日は他の部屋でねて。風邪うつるから。それから明日は、私、動けないから自主トレだよ」

語り「僕はこの時ほど感動したことはなかった。半端じゃないんだ。だから・・・」

○ 山荘の外(同日、真夜中)

  星空。山荘の明かり。その前でなわとびをしている山崎

山崎「一万一、一万二、一万三・・・」
  流れ星。満月。風の音。
山崎「二万一、二万二、二万三・・・」

○ 5日目(昼、曇り)

  一人で走っている山崎。ながれる汗

語り「こうして僕たちの合宿はおわった。この日から、僕はたしかに変わった。なぜか彼女のために走ろう、そう思ったんだ」

○ 会議室(12月1日 朝の打合せ)


  会議室に水谷課長、山崎、久子、同僚の田中、大川、山本が集まっている。

課長「今日から12月! 諸君も充分わかっていることとはおもうが、預金、貸出、投資信託特別運動月間に突入した。目標必達にむけて全力をつくしてもらいたい。9月の運動月間では、残念ながら隣の第二課に苦杯したが(映像をだぶらして:9月運動月間の表彰式。支店長から金一封をもらい意気揚々としている神鳥課長。横でにがにがしげに手をたたいている水谷課長)今回は私も全力をつくし、目標必達に邁進することを約束する」
田中「A社、B社、C社にすでに11月からアプローチしてきましたが、非常にいい感触を得ています。とくにA社については、社長の自宅に日参したところ、昨日是非取引したいと言われました。ばっちりです」
大川「田中先輩は相変わらず好ダッシュですね」
課長「いゃー、御苦労さん。御苦労さん、 昨日といえば、日曜日じゃない。いゃ、いゃ、本当に御苦労。私は実に鼻がたかい(といいながら、山崎の顔を見る)」
課長「ところで、山崎君、君もすでに動いているんだろうね。まさか、目標未達成なんてことは、絶対にないはずですね。なにしろ、君は、田中君と違って余裕しゃくしゃく、日曜はもっぱら、マラソンですからね」
山崎「仕事と趣味は別です。ちゃんと仕事もしています」

課長「ほう、そうですか。しかし君は9月の特別運動のときも、大丈夫と言ったが結果は隣の第2課に苦杯したではないですか。特に君のところには、K物産のような優良取引先があるのだから、預金も貸出もばっちりじゃない。えぇ」
山崎「(ちらと久子の顔を見ながら)課長、お言葉ですが、K物産とあまりつきあわないほうがいいとおもいます。やたらとゴルフをさそったり、今月はマージャンをさそってきてますし・・・・。K物産の資金繰りはどう分析しても、余裕はないはずです。おかしいです」
課長「ほほ-、時には君も分析的な頭脳を持っているようですね。しかし、はは(馬鹿にしたように笑う)、君は若いねえー、全く会社を見る目というものがないね。いいですか、K物産は私に惚れてるんです。だから、私が一言いえば、さっと預金してくれる。そんなことも(軽蔑した調子)」
山崎「(ぼそぼそと)いえ、その、社長の噂もよくありません」
課長「誰がそんなこといってるんですか。えぇ-!ふん、きみはそんなことをいってすぐ仕事をさぼろうとする。たまには田中君をみならったらどうかね」

語り「でも僕はやはりおかしいと思った。どう調べても、資金繰りはパンク寸前だった」

                              (明日に続く)

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(28.9.12) 韓国海運業界の崩壊と韓国経済の凋落

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 韓国経済
はこれはというような状況になって来た。韓国海運業界が大崩壊し始めたからだ。韓国には韓進海運という世界第7位~8位に相当する海運会社が存在するが、8月末に突然倒産してしまった。
それまで銀行管理に入っていたので業況が悪化していたのは確かだが誰もが倒産するとは思っていなかった。
韓国最大の海運会社だし、貿易立国韓国を象徴するような会社だから銀行団か政府が救済していくに違いない」  

 だが韓国人は協調精神が薄く、共同で会社を守ろうという精神はない。親会社は赤字企業ばかりを抱えて完全にお手上げだし、銀行団もゾンビ企業に対する融資の継続にうんざりしていた。
政府は政争が激しく一企業に対する援助はすぐさま野党から贈収賄の嫌疑がかけられる。
三者が三すくみになっている間に資金繰りがひっ迫して止むなく会社は法定整理を申請した。
誰も助けてくれないなら倒産しか残された道はない!!

 だがこの突然の倒産に世界中が腰を抜かしパニックになってしまった。韓進海運は141隻のコンテナ船とバルク船を保有しているのだが世界中の港で入港を拒否されている。
韓進海運さん、だれが入港料と荷役料を支払ってくれるのですか。もし支払ってもらえないなら入港は認めません。先にお支払いください。現金払いです!!
現在23か国の港で79隻の船舶が入港を拒否されている。
ほとんどが韓国の輸出品を運搬している船だから韓国経済に対する影響は甚大だ。
サムスンは輸出の40%を、LG電子は20%を韓進海運で運搬していたから韓国輸出産業の屋台骨を揺るがしている。
その積み荷の総額は約1兆4000億円規模だというが、この積み荷が宙に浮いてしまった。

 「仕方ない、船をすべてプサン港に引き帰らせて他の船に積み替えて輸出するより手はない。呼び返せ
しかしプサン港に戻っても他の韓国の海運会社も倒産直前だから、代替する海運業者を見つけるだけでも手間暇は膨大になる。
なんで引き返すのだ。その運賃は払わないぞ。それに遅延した賠償も払ってもらう」荷主は切れてしまっているが、外国の港に入国拒否されている以上これ以外の措置はない。
韓国の海運物流が完全に崩壊してしまった。

 通常会社整理を申請し会社を立て直す意思がある場合、事前に支援企業や金融団が必要資金を用意して、「大丈夫です。会社整理を行っても我々が支払いを保証します」などとアナウンスメントして混乱を避けるものだが、今回の倒産では一切そのような措置は取られていない。
簡単に言えば関係者全員がふてくされて「もうどうにでもなれ倒産」を容認したわけだ。

 なぜこれほどまでの混乱になったかというと現在のパク・クネ政権が完全に統治能力を失って、野党との政争と日本蔑視政策に明け暮れていたからだ。
あたしゃ、従軍慰安婦問題しか興味はないの。経済はあんたたち経済閣僚の仕事よ。しっかりしてもらわなければだめじゃない!!」  

 
韓国海運がどんなに炎上してもパク・クネ氏にはそれがわからない。最近では自重しているもののあいも変わらない対日蔑視政策しか頭にないから、韓国経済は奈落の底に落ちていく。
日本はいい。たとえどんなに愚かな宰相が出ても鳩山総理のように1年で変えられる。しかし韓国の大統領は5年変えることができない。これでは鳩山が5人いるようなものだ
韓国経済がピークを打った時にパク・クネ氏という韓国史上最も愚かな大統領が国政を担当し韓国経済をさらに凋落させている。
韓国が世界のプレーヤーだった時代は完全に終わってしまった。


 

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(28.9.11) 病気療養中のため二日に1回の割で過去のシナリオ等を掲載しています。 「友よ風に向かって走れ(その3)」

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(トシムネさん撮影)

友よ風に向かって走れ(その3)

このシナリオシナリオ1からの続きです。シナリオ1・2を読んでいない人は1・2から読み始めてください。

○ 山崎次郎の住んでいる独身者寮(夜)

  6畳一間の空間。本棚には金融関係の本とスポーツの本がならんでいる。机の上には、「ランナーズ」と「陸上競技」の雑誌。壁には等身大の鏡。その前で筋肉トレーニングをしている山崎。5本のエックスパンダーを思い切ってひろげている。相当頭にきている。

山崎「クソッタレ、斉藤のヤツ。ひとを何だとおもっているんだ。ブットバシテヤル。我慢ならん、あれが女の使う言葉か」
 力をいれすぎ、エックスパンダーの1本がきれる。無視してさらに力をいれる山崎。残りの4本がけたたましい音を出してすべて切れる。エックスパンダーを床にたたきつける山崎。

山崎「(怒鳴る)なんでエックスパンダーまで人を馬鹿にするんだ」
  隣から「ウルサイゾ」という声。

○ 神宮外苑コース(1週間目)

語り「それでもぼくは1週間我慢したんだ」

  アジる久子。山崎は急に走るのを止め、自転車に乗っている久子にちかずく。肩が怒り肩になっている。
山崎「もういい加減にしてください。あなたはコーチでも何でもないんです。余計なおせっかいです(顔は怒りにみちている)」
久子「いいえ、私は優秀なコーチよ。大学でもそういわれたの(平然と)」
山崎「ただうるさいだけです。みんな笑ってます。やめてください」
久子「まあ、あなた、怒りで頭がいっぱいで何も気づいてないのね」
山崎「何が」
久子「あなた、この一週間ですごーく速くなってるのよ。100メートルのラップが19秒。5000メートル、16分のペース、私と同じレベルになったのよ」

  茫然と久子を見つめる山崎。
久子「ほら、知らない。時計も見てないでしょ。人間怒るとバカ力がでるの。だから私は優秀なコーチだといったでしょ」

語り「知らなかった・・・・・」

○ 国立競技場の前の路(夜、9時)

  トレーニングの帰り路。自転車を手で引っ張って歩く久子。並んで歩いている山崎。

山崎「(言葉がなれなれしくなっている)前からきこうと思ってたんだけど、斉藤さんはなぜこの銀行にはいったの?」
久子「なぜって?」
山崎「筑波大学の体育学部だったら、教師になればよかったのに」
久子「アッハ  、そのこと。私、本当は体育の教師になる予定だったんだけど、今、教師の口ないの。だから、腰掛けのつもりで親父のコネ使ってこの銀行にいれてもらったって訳」
山崎「でも、大卒の女性を正規に採用したのは今年からだから、斉藤さんはその前に、はいったんじゃない?」
久子「そうなの、実に傑作なんだ。面接したら、短大卒の資格なら採用しますだって。つい腰掛けのつもりなんで、はい、いいです、なんて言ったのが失敗なのよね。おかげで君のアシスタントだもんね」
山崎「(困った表情で)はあ、その・・・」
久子「いいよ、君が困ることないよ。ただ私は教師としての才能があるから血が騒ぐんだ。しかし、君がこんなプライベ ートな質問したの始めてだよ」
山崎「(困惑して)いや、その・・・」

語り「こうして二人のトレーニングが始まった」

○ 銀行事務室(9月、朝の打合せ)

  会議室。窓から新宿御苑の銀杏がキラキラ光って見える。課長、山崎次郎、同僚の田中明、大川誠、斉藤久子、山本洋子の課メンバーが神妙な態度で課長の指示を聞いている

課長「K物産とのゴルフコンペ、1週間早まって今週の日曜日に、変わったよ。なにしろ大切な取引先だから、きばってやってや(浮かれた調子で)」
山崎「エエ!再来週じゃないんですか」
課長「K物産の都合で、来週になりました(冷たい口調で)」
山崎「それはないですよ。来週は困ります」
課長「ほうー、それはなぜですか(唖然としながら)」
山崎「マラソンの試合があります。K物産とのコンペは再来週と聞いていました。だから10キロの大会に2か月前から申し込んであります」
課長「お客の都合なんだから、仕方ないでしょう。君も銀行員なんだから、そのぐらいの融通をつけるのが常識でしょう(憤然と)」
山崎「しかし・・(久子の顔を見る。平然とした表情で横を向いてる久子)やはり駄目す。一週間違うと調整がくるいます」
課長「(冷静さを完全に失う)な、何をいうか。お前は自分をダ ービ ーにでる馬と勘違いしているんじゃないか。K物産はお前の担当だ。出なさい。命令です」
山崎「(ふたたび久子を見る。平然と窓外を見ている久子)その、やはり駄目です」
課長「(机をたたいて立ち上がる)出ろ。業務命令だ」

  険悪な雰囲気にたまりかねて、同僚の田中が助け船をだす。
田中「私、私がでましょう。どうせ、日曜日は暇ですから」
課長「・・・・(田中の言葉を無視して山崎を睨みつけている)」
田中「僕はゴルフが好きですから」

  かろうじて自分を取り戻す水谷課長
課長「じゃ、田中君がそこまで言うなら・・ まあ、田中君に頼みましょう。しかし、先輩のつけを後輩が払うんじゃたまったもんじゃないね(皮肉っぽく)」
山崎「(小声で)田中君、すまない」
田中「いいですよ、暇ですから」
課長「(聞きとがめて)ふん、立てていい先輩とそうでない先輩がいるのです」
山崎「はは、どうも(頭をかきながら)」
課長「(軽蔑しきった目で山崎を睨みながら)えぇ  と、それから最後になりましたが、今日、1時に上原取締役が9月の特別運動の支援をかねて視察にこられます。取締役をかこんでの会議をしますので全員出席するように。以上」

○ A銀行事務室(12時まえ)

  久子と山崎がいる。他の課員はいない。山崎は昼のジョギングにでようとして久子に話かける。

山崎「昼のトレーニングにいってくる」
久子「手をぬくなよ(小声で)」
山崎「今日のことだけど、やはり、ゴルフには出るべきだったかな。試合はいくらでもあるんだし」
久子「君、さっき私の顔、チラチラみてたけど絶対にひよっちゃ駄目だよ。君は一見頑固にみえるけど、気のいいところがあるんだ。それが一流になれない原因だよ」
山崎「うん、まあ(やや不満げに)」
久子「それと、今日は取締役の視察があるから、おくれちゃ駄目だよ」
山崎「OK,OK,12時半には戻ってくる」

○ 事務所の裏口

  トレー ニングウェアでいきおいよく飛びだす山崎。黒塗の自動車が、急に裏口に入ってくる。自動車と接触する山崎。運転手があわてて飛び出してくる。

運転手「君、急に飛び出すなんてあぶないじゃないか。えっ、大丈夫?怪我ない?」
山崎「はは、大丈夫、なんとも無いっす」
  かけだす山崎。茫然と見ている運転手と車内の上原取締役。

○ 神宮外苑コ  ス(昼休み)

  山崎が軽い感じで走っている。時々時計を確認。後ろからえんじのユニホ-ムを着た早稲田の選手が近づいてくる。山崎と並び、さらに追い越そうとする。早稲田の学生を見る山崎。いつも競争になる学生であることが分かる。急にスピ-ドを上げる山崎。まけじとスピ-ドをます早稲田の学生。互いに歯をくいしばり懸命の力走。並走して5周するが互いに追い抜くことができない。荒い呼吸。ついに早稲田の学生が「アァ-」という悲鳴をあげ、急にスピ-ドを落とす。思わず笑みがこぼれる山崎。時計を見る。

山崎「しまった。昼休み過ぎちゃった」
  夢中で事務所に戻る山崎。

○ 会議室(1時15分)

  上原取締役が中央奥、その横に関支店長(43才)と水谷課長、神鳥課長が神妙な顔をして座っている。他に20名の職員が左右に座っている。

支店長「全員そろったかね、山崎君はまだのようだが」
課長「(当惑しながら)あっ、いえ、山崎はちょうど取引先周りをしておりますので、先に始めてください」
支店長「では、取締役、お願いします」
  立ち上がりスピ-チを始める取締役
取締役「うむ、では、えぇ-、今日は大変忙しい中、諸君に集まってもらったのは、9月の特別運動にさきだって・・・」

  会議室にあわてて飛び込んでくる山崎。顔がほてり、汗がひたたり落ちている。荒い息。シャツは汗でビショビショ。
課長「(当惑しながら)山崎君、早くここに座りなさい」
  朦朧としながら課長の横にすわる山崎

取締役「君、さっき自動車にぶつかった人じゃないか。身体、大丈夫?」
山崎「はは、勿論、大丈夫です」
取締役「さっきは、ランニングスタイルだったけど、いままで走っていたの?」
  水谷課長が咳ばらいをする。
山崎「すいません。すぐに帰ってくるつもりが、早稲田の学生と競争になり、つい夢中になって」
  にがりきった顔の水谷課長、にやにやしている神鳥課長
取締役「実は君は取引先に行っていることになっているんだけどね」

  笑い出す神鳥課長。憮然とする水谷課長。にがりきった支店長。怪訝な顔の山崎。

○ 10キロミニマラソン(昼)

  皇居の外苑を二周するミニマラソン。参加人員は300名ほど。快調に走る山崎。ストップウオッチを片手に山崎をみている久子。終始トップグル-プにいる。久子の余裕の笑み。警視庁前で山崎がスタ-トし、一気に他の選手を引き離す。トップでゴ-ルイン。久子とVサインをかわす。

○ A銀行事務室(翌週の月曜日の朝)

語り「僕は前日の10キロで31分をきったので、ほとんど、頂天になってしまった。

山崎「いや、今でも信じられないんだ。34分を切る自信はあったけど・・・・ところが31分を切ったんだもんなー。もうすこしで第一線級のランナーだよ・・・・・、もうー、嬉しくて、嬉しくて(感動的に)
久子「君、よくやったよ。すこしフォーム改造すればもっと速くなるよ。でも事務室であまりはしゃぐのは、賛成しないな」
  そこに水谷課長がやってきて思い切り皮肉をいう。

課長「山崎君、君には全く興味はないでしょうが、昨日K物産とのコンペがありましてね。田中君は実によくやってくれました。おかげでK物産の常務、大喜び。なんと5千万の投資信託を取り組んでくれることになりました。この実績は当然、田中君のものです。融資も5億の申込み。まあ、君には荷重でしょうから、私が直接稟議をかきましょうか。あっ、そう、そう君は マラソンのことしか頭にないんでしたね」
山崎「・・・・・・」
  背を向けて去る水谷課長。久子の顔を見る山崎
久子「ねー、言ったでしょ(いたずらっぽく )」

                              (明日に続く)

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(28.9.10) 三反園鹿児島県知事の愚かないちゃもん政治 「何でもいいから原発を停止しろ!!」

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 何か最近の知事の知能レベルは急速に低下しているのではないかと危惧している。
先日は小池百合子東京都知事が自身の権力を見せつけるだけの理由で築地市場の豊洲への11月移転を延期させたばかりだが、今度は三反園鹿児島県知事が九州電力にいちゃもんをつけている。
あんたのところの川内原発1・2号機は原子力規制委員会の新基準に合格して稼働しているから危険だ。すぐに停止しなさい

 もともと知事に原子力発電所を停止させる権限はないから、こうした申し出自体が本来はあり得ないのだが、そんなことはお構いなしだ。
熊本地震が起こって県民の原子力発電所に対する危惧は高まっている。すぐに停止しなさい
しかしこの原発は原子力規制委員会の新基準をパスして最も厳しい安全基準のもとに稼働しています。したがって知事の申し出と言われても、何ら停止権限のない人から言われて、はい止めますというわけにはいきません
うるさい、俺は知事だぞ。その言うことが聞けないというのか!!

 最近の知事はやくざにも劣る知性の持ち主なのだろうか。    
九州電力としたら迷惑なことだ。規則に従って稼働しているのにその規則を曲げろというのだからほとんどいちゃもんのたぐいだ。
もし知事が規則そのものが問題だとするなら、それは原子力規制委員会に異議申し建てをすべきだし、規制委員会の稼働許可の判断が間違いだというのなら、これも規制委員会に言うべき筋合いのものだ。
しかし知事はそうはせず「あんたは交通規則を守っている。だから問題だ」と言っているに等しいやくざの因縁のような申し立てを九電に二回にわたって行っている。

 三反園鹿児島県知事は16年7月の選挙で原発反対を公約して知事になったのだから、原発に反対であることはわかる。しかし知事なのだからその反対は合法的にすべきで、やくざの脅しではないはずだ。
小池知事は権力をかさに着て築地の移転時期を延長させたが、三田園鹿児島県知事もそのたぐいだ。
しかしレベルは最低で沖縄県の翁長知事がもっぱら法廷闘争という合法的手段で辺野古の移転に反対しているのに対し、三反園鹿児島県知事は脅し専門だ。

 これほどの低レベルの知事がいること自体が問題だが他の解釈もでき、選挙で原発反対派の支持を受けて当選したので、その恩返しをしているとも解釈できる。
ただし沖縄の翁長知事は本気で辺野古の移設を反対しているのに対し、三反園鹿児島県知事はジェスチャー原発反対論者だから、単なるパフォーマンスとして九電を脅しているだけかもしれない。

 しかしいづれにしてもやくざの因縁と全く同レベルの脅しを継続するこの知事は人間として最悪レベルの人物で、こうした人物が知事に選ばれることは実に嘆かわしい。

 

 

 

 

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(28.9.9) 病気療養中のため二日に1回の割で過去のシナリオ等を掲載しています。 「友よ風に向かって走れ(その2)」

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友よ風に向かって走れ(その2)

  このシナリオシナリオ1からの続きです。シナリオ1を読んでいない人は1から読み始めてください。

○ A銀行事務室(午後4時)

  山崎が事務所に帰ってくる。水谷課長が真っ赤な顔をして待ち構えている。他の課員(男2人、女2人)はじっと息をひそめて様子をうかがっている。

課長「山崎君、こ、ここにきなさい(興奮して声にならない)」
山崎「はい、なんでしょうか」
課長「バ、バカか、おまえは」
山崎「なんでしょうか(平然を装う)」
課長「なんでしょうかは、な、ないだろう。河村商店から電話があったんです、電話が!(一呼吸おき、肩をいからせながら)10億すぐ解約したいと言ってきました! 10億ですよ。お前の無礼さが我慢ならないので、もう取引しないと、いってきました!(ひと息おいて)えー、何いったんだ(かなきり声で)」

山崎「べつになにも(平然と)」
課長「べつにだと。犬でも飯をくうと言ったというじゃないか。それが銀行員のいう言葉か。私がすぐに河村商店にいって頭をさげてきたからいいようなものを、君はいったい幾つになったんだ」
山崎「はい、27才です(明るく)」
課長「(呆れて)君は歳を言うとき、すこし恥ずかしがったほうがいいんじゃないか。いいですか、銀行は客がすべてです。何を考えているんだか、28にもなって」
山崎「27才です」
課長「そんなことを言っているんじゃない。もういい。頭が痛くなる(顔をそむける)」
  席にもどる山崎

語り「今日はさすがに反省した。ちょっとやりすぎたかな」

  第2課の神鳥課長(41)が水谷課長にそっと近づき、小声でささやく。
神鳥課長「(皮肉をこめて)おたくのランナー 、またヘマしたの、君も大変なんじゃない。支店長も心配してましたよ」
  憮然とした表情で神鳥課長を無視する水谷課長。山崎は自分の席に座って伝票を整理しはじめる。しばらくして同じ課に属する同僚の斉藤久子(25才)が、水谷課長が席を立ったのを見計らって山崎にちかずき、声をかける。

久子「相変わらずね、あんた。要領がいまいちだね」
  無視する山崎。
久子「ほう、今日の君は貝か?どうやら河村社長と課長のダブルパンチで唖になったようだね」

語り「誰とも口をききたくなかった。十分傷ついてたんだ・・・それにこのひとはとびっきり口がわるいので、こんなときもっとも不適で・・・」

山崎「(しぶしぶ)何か用ですか」
久子「用がなくて君に口きくとおもう。どうも、君、わざと課長を挑発してるんじゃない(からかうように)」
山崎「まさか。僕はそんな悪じゃないですよ」
久子「そうかなあー。ポーカーフェイスの胸の内は嵐か?まあいいわ」
山崎「用はそれだけですか(めんどくさそうに)」
久子「いいえ。用あり。今日私に付き合いなさい。6時。S喫茶店よ。いいわね」
山崎「良くないです。トレーニングがあります」
久子「いいこと、今まで私の誘いを断った男性はいないの」
山崎「それは斉藤さんが強引だからですよ」
久子「いいえ、私にえもいえぬ魅力があるから。いいわね」

  山崎、あっけにとられる。
山崎「(むっとしながら)それより、この書類、ファイリングしてください。こっちの書類はコピーとって」
久子「頭にきて、雑用をいいつけましたね。そんなこっちゃ出世しないよ」
山崎「おおきな御世話です」

語り「今日は最悪の日だ」

○ S喫茶店(午後6時1分前)

  通りに面したガラスを通して、夕日が射 し込んでいる。黄色い光線につつまれた 喫茶店。逆光に浮かんだ久子。すでにコーヒーが2つ用意してある。山崎がいかにも気がすすまない素振りでドアーを開ける。探す山崎。山崎はトレーニングウエアー。久子を見つけて席の前に立つ。

久子「遅れたわよ、1分」
山崎「1分なんて許容範囲ですよ」
久子「あなた、銀行員でしょ。遅れは遅れ、私が河村社長だったらどうするの」
山崎「用が有ったらさっさと言ってください。用が無ければトレーニングにいきます(ぶっきらばうに)」
久子「ヤネー、立ってないで座って。ね、話はそれから」
  山崎、しぶしぶ座る。

久子「あなた、私がなぜ呼んだかわかる」
山崎「・・・・・・・」
久子「あなた、いい素質してるよ。見てたんだ。神宮外苑。いいスピードだね。でもまだだめ。もっとトレーニングしなくちゃ・・・・・ 一流にはなれないよ」
山崎「なんで僕のトレーニングをみるのですか(改まった口調で)」
久子「勿論、興味があるから。要領は最低。 顔、頭は並みてとこかな。上司のおぼえ最悪。ただしスポーツにたいする情熱は一流。ランナーとしては将来性あり。面白いじぁん」
山崎「あなた、僕をからかってますね。それに、僕はあなたより年上です。もうすこし言葉遣いに気をつけてください(憤然と)」
久子「ヤダ、怒ったの。貴方が言葉遣いを気にするなんて、はじめて知った。ゴメン。でもね、本当、あなたのトレーニング、興味深々」
山崎「だから、何故?」
久子「フフーン、さては君は私の経歴をしらないな。元筑波大学女子陸上部キャプテン。5キロ、16分を切るスプリンター。おしむらくは、今は骨折して引退」
山崎「うそでしょ!」
久子「驚いたでしょ。あなたより早いのよ。あなたのラップは、5キロ、17分。わたし計ったの」
山崎「僕は市民ランナーだから、これでいいんです(憮然と答える)」
久子「アッ、君、ふたたび怒ったね。でも私、君の素質みとめたの。ただし、優秀なコーチがいるね。私がコーチになってあげよう(自信たっぷりに)」
山崎「まさか!」
久子「いや、まさかじゃないよ。君のコーチを引き受けてあげよう(さらに自信に満ちた態度で言う)」

  呆れてじっと久子の顔をみる山崎。気を取り直して
山崎「10年間、自分だけでトレーニングしてきました。だからコーチはいりません(断固として答える)」
久子「10年でその程度だから、コーチがいるの」
山崎「とにかく断ります。トレーニングがありますので失礼」

  席をたつ。久子をぐっと睨らむ。肩をいからせ喫茶店をでようとして、ふとコー ヒー代を払うか否か躊躇する。久子が席にすわったまま声をかける。

久子「私、奢るよ。あっ、それからね、君が担当させられたK物産、要注意だよ。目をはなしちゃだめよ」
  山崎はなにも聞かず店をでる。

語り「なにしろ今日は最悪の日だ」

○ 神宮外苑コース(次の日)

  夕方6時、晴れ。山崎次郎がいつものように、一周1300メートルのコースでトレーニングをしている。後ろから自転車に乗った久子がついてくる。山崎はま ったく久子を無視するが、一方久子は執拗に指示をとばす。

語り「本当にコーチをするとは思わなかった」

久子「足があがってない。胸をもっとはれ。腰が落ちてる。ちゃんと腕をふれ」
  山崎は完全に聞こえないふりをする。
久子「なんだ、その走りは。子供じゃないんだぞ。ラップが遅い、足がついてんのか」
  二人づれの通行人が笑っている。
久子「バカ、のろい。お前は亀か、うすのろ亀」

  前を走っていた高校生がおもわず吹き出す。山崎は顔を真っ赤にして急にスピードをあげる。自転車も加速される。
久子「ほれ、やりゃあできるだろう。手をぬくな、亀」

  山崎は懸命に自転車を引き離そうとするが、自転車のほうが速いので引き離せない。トップスピードで歯をくいしばる。久子、かすかに笑う。

○ 神宮外苑コース(2日目)

  夕方6時、雨。翌日も山崎のあとを久子が自転車で追いかけている。山崎は今日も挑発に乗せられて懸命に走らされている。

語り「2日目、このひとの口のわるさは・・・」

久子「雨がなんだ。フグを見ろ。おまえより速い。なんだ、ふくれるだけか。スピードだせ、フグ」
  傘をさした女学生が笑い出す。
久子「足のきれが悪い。腰が落ちてる。バシャバシャ水しぶきをあげるな。子供の水遊びじゃないんだぞ」
  歯をくいしばって自転車を引き離そうとする山崎

                                  (明日に続く)

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(28.9.8) 存在感をなくしたG20。 杭州見物だけが唯一の成果

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 今回のG20ほど何の成果もない会議は珍しい。主催国は中国で杭州で開催されたのだが、ただ世界の首脳が集まって杭州見物をしただけに終わってしまった。
もともとG20とはリーマンショックで落ち込んだ世界経済を立て直すための会議として主宰されたもので、当時はG8だけの力ではどうにもならず、中国と中国組ブラジル、オーストラリア、南アフリカ、韓国)の力を借りて危機に対処したものだった。

 実際リーマンショックから世界経済が立ち直れた最大の功労国は中国で、50兆円規模の公共投資を行いアメリカ発の危機を救ったといえる。
1929年の世界恐慌はアメリカがニューディールと称する公共投資で乗り切ったが、そのリーマンショック版が中国の公共投資だった。
しかしあれから8年、中国はすべての財源を枯渇させた結果中国経済が14年夏から大失速をはじめ、それにつれて中国組の経済も見るも無残なほどの荒廃を示している。
世界貿易は危機的なほど収縮し、先進国の経済は完全に停滞し、新興国経済は先進国以上に崩壊の瀬戸際にある。
これを中国ショックという。

 だから本来は今回のG20で「崩壊しつつある中国経済をいかに救うか」が主要テーマにならなければならなかったが、当の中国が自国の経済崩壊を認めないため何とも間の抜けた会議になってしまった。
わが国は毎年6.5%前後の経済成長をしており、インドを別にすれば世界最高のパフォーマンスとなっている。したがってわが国と世界経済は一点の曇りもない

 実際は中国組のブラジルや南アメリカは中国が資源を購入しなくなったためにマイナス成長に陥っているし、韓国は最大の貿易相手が中国だが19か月連続で輸出が前年同期を下回っている。
中国さん、そんなに景気がいいならリーマンショックの後みたいに我が国の資源や商品を購入してください
わが国は世界屈指の経済成長をしているが、省エネ技術が発達して大量の資源は必要なくなった。また商品も有り余るほど今まで購入してきたので必要ない
しかしそれでは世界経済がもちません。中国のバク買いこそが、世界経済牽引の原動力じゃありませんか
うるさい、我が国は大成長をしているから海外の輸入品は必要ないのだ!!」

 今では世界経済の癌は中国経済で、GDPの約半分を稼ぎ出している国営企業が過剰生産恐慌に陥りすべてといっていいほどゾンビ企業になっていて、中国の経済成長は今では統計官の鉛筆にすべてがかかっている。
統計官、何とか6.5%の経済成長を達成してくれ
習主席、共産党の伝統であるプロパガンダの力で6.5%の経済成長は必ず達成いたします
それでこそ栄えある中国共産党の統計官だ。毛主席も毛沢東語録で言っておられた。・・・人間とはいざとなったら数字だけ食べても生きていられる羊のようなものだ・・・・・」

 中国が癌にかかっていることを認めない以上、20か国の首脳が集まっても処方箋の下しようがない。
まあ、仕方ない。杭州見学でもして時間をつぶしますか」各国ともさじを投げた。
G20とは「融と世界経済に関する首脳会議」の略だが、もはや中国経済の失速に対処する手段は誰も持ち合わせていない。
先進各国は1%程度の経済成長がやっとで世界経済の牽引車になれない。中国経済に代わる新しい新興国はインド以外には見当たらないが、インドのGDPは中国の5分の一程度だから、インドが5つでようやく中国経済の失速を補えるような状況で、とても現在の世界経済の失速を補えるような立場にない。

もうこれはどうにもなりませんな。中国が自国の経済状況を正しく把握してゾンビ企業を淘汰するまでは、世界経済の処方箋など無駄ですな
かくしてG20は習主席がふんぞり返って握手するだけの会議に終わってしまった。

 

 

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(28.9.7) 病気療養中のため二日に1回の割で過去のシナリオ等を掲載しています。 「友よ風に向かって走れ(その1)」

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友よ風に向かって走れ(その1)

  今日(7日)からしばらくは、私が昔作成して、テレビ放送一歩手前まで行ったシナリオを分割して掲載します。シナリオの題名は「友よ、風に向かって走れ」であり、マラソン好きの人には興味を持ってもらえるかもしれません。一部表現が古くなった箇所は修正しました。

○ 神宮外苑(夏、昼休み)

  一周1300メートルのジョギングコース。太陽がきらめいている。夏真っ盛り。昼休みを利用してジョッカーが練習をしている。ジョガーの中に山崎次郎(27)がいる。相当速い。後方からえんじのユニホーム早稲田大学陸上部の選手がせまってき、抜きさろうとする。山崎もスピードを上げ抜かさせない。一周並走。

語り「ぼくは山崎次郎、27才。A銀行新宿支店の得意先係。これといった特徴はないけど、ジョギングが唯一の趣味。時間がすこしでもあれば、勿論、トレーニング。昼休みは僕の大事なトレーニング時間。天候 なんか関係なく、ここ神宮外苑でジョギングをする」

  二人の顔が歪み、息が弾む。汗が滴りおちる。学生が「アァ 」という悲鳴をだして、急にスピードを落とす。後ろを振り向く山崎次郎の頬に勝利の笑み。

語り「でも、僕の上司の水谷課長、このジョギングが面白くない。昼休みも営業時間だと課長はいうけど、まともに聞いてたら、トレーニングなんてできっこない」

  神宮外苑コースを3周し、事務所に帰るため、コースから外れる。腕時計を確認する山崎。

山崎「やったぜ、5秒短縮!」
  思わず右手を上げガッツポーズ

○ タイトル「友よ、風に向かって走れ

○ A銀行新宿支店の前(午後0時50分)

  昼休み、客がたてこんでいる。事務所の中は超繁忙。水谷課長がいそがしそうに応接している。

語り「でも、若干はジョギングしていることに気がとがめているんだ」
  裏口から見つからないようにこっそりと入いる山崎。裏口でIDカードのチェック。事情を知っている警備員が笑って見ている。

○ A銀行新宿支店の事務室内(午後1時)

語り「今日、課長はとくべつに機嫌が悪かった」
  課長の水谷(45才)が、いらいらしながら山崎をまっている。時計が1時を示したと同時に、山崎が事務室に入ってくる。髪の毛が濡れており、シャワー室から出てきたばかり。顔が赤く火照っている。水谷課長はチラッと大時計を見る。

課長「(頬を緊張させながら)お客さんから電話がありました。勿論、君にですよ。たまには昼休みに事務所にいてもらいたいものですね。ここはトレーニングジムではないんだから」
山崎「(にこやかに)勿論ここは世界的にも有名な大銀行です」
  軽蔑の眼差しの課長。メモを見る山崎。

語り「メモには、大口預金者、魚市場の中卸し、河村商店の河村社長からの伝言が残されていた。河村社長は当店きってのこわもてのお客なのだ」

山崎「アター、12時30分、すぐ来られたし、か(溜め息をつく)」
課長「アターなどとは、まともな銀行員の使う言葉じゃないでしょ(聞きとがめる)」
山崎「(課長を無視して)これは、まあ、・・・行っても無駄だなあ」
課長「なにが無駄なのですか。お客様から来いといわれれば、地のはてまでもいく、それが銀行員です。君はランニングする時間はあっても仕事をする時間は無いんですか(言葉は丁寧だが、声は怒りに震えている)」
山崎「(課長に向かって)あっ、いえ、あの社長、いつも用件は言わないですぐに来いとよびつけるんです。あ  あ(溜め息)。(課長を無視して)遅れると用はない、帰れだし・・・・今日はと・・・・30分遅れか。こりゃだめだ!」

課長「(興奮した口調で)そ、そんなことは、行ってみなければ分からないでしょう。だから、昼休みは待機だといつもいってるでしょ! ・・・君はどうやら仕事というものを理解してないようですね」
山崎「業務時間中はベストを尽くす。それが仕事だと思っています(冷静に)」
課長「ほう、そうですか。では大口たたくだけでなく実績で示してほしいものですね。今月の君の預金獲得目標は1億です。忘れないように、いいですね(皮肉っぽく )」
山崎「1億、分かってます(平然と)」

  書類カバンをかかえ、得意先まわりにでかける山崎。軽蔑した目で見送る課長。

課長「何が分かってるんだか。あれで大卒かね(独り言)」

語り「ジョギングのこととなると、いつもこうなるんだ」

○ 河村商店に行く途中の道路

  交差点の近く。自転車を飛ばして河村商店に向かっている山崎。額から汗。身障者が車椅子の車輪を歩道の溝にはめて当惑している。通り過ぎる山崎。しばらくいって振り返る。誰も助けようとしない。時計を確認する山崎。

山崎「なんだよ、誰も助けないのかよ。日本はどうなっちゃってんだ」
  車椅子の車輪を溝からはずす山崎。
身障者「あの、大変申し訳ないのですが、私このビルに用があるのです。階段の段差がきついので後ろから車椅子を持ち上げるようにして押してくれませんか」
 ビルを見上げる山崎。再び時計を見る。

山崎「ちょっと急いでるんだけど」
身障者「お願いします。手伝ってくれる人、なかなかいないんです」
  身障者の顔をじっと見る山崎。当惑している身障者。

山崎「(決心して)分かった。いいですよ。押します」
  階段を登らせる山崎。階段の上でふかぶかとお礼を言う身障者。あわてて階段をかけ下り、自転車に飛び乗る山崎。
山崎「まじい、かなり遅れたぞ」

○ 河村商店の事務所(午後2時)

  魚市場。狭い2階建ての事務所が並んでいる。河村商店の古い大きな看板。中が丸見え。真ん中にとびきり大きな机と背もたれの高い豪華な椅子がある。河村社長があたりを威圧するように座っている
  山崎がすぐにこないので、おかんむり。回りの店員は、おどおどした様子。飛び込んでくる山崎。

社長「なんや。なぜすぐこんのや、アホンタレ!(怒鳴る)」
山崎「ちょっと外に出ていましたので(できるだけ冷静さを装う)」
社長「あほか。携帯電話ちゅうもんがあるやろ。外でも、ちゃーんと連絡はとれるはずや。おおかた飯でもくろうて、休んでたんやろ、アホー!(机をたたく)」

語り「いつもこうなんだ。この人は自分以外の人が食事をすることが信じられないらしい。今日、僕は意地をみせた」

山崎「犬でも飯をたべます。御用件をおっしゃつて下さい(慇懃に)」
社長「なんや、なんや、その言いぐさは。わいをおちょくってるんか。それがお客にむかって言う言葉か。アホー、もうええ。なんの用もあらへん。かえれ!(完全に怒る)」
山崎「お客様から来いといわれてきたのです。用件をおっしゃってください(平然と)」
社長「なんやて!もういちど、いうてみい。わいにたてつくんか! アホ-、用がないといったら、なんの用もないんや、帰れ、馬鹿!」
山崎「(ぶっきらばうに)分かりました。また宜しくお願いします」
  さっさと出ていく山崎。
社長「気色悪いやっちゃ。商売のいの字も知らんのとちゃうか!」

                                (明日に続く)

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(28.9.6) 子供の教育コーチが最後の仕事   山ちゃん 頑張る

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 私の本当の適性が教育者のそれだったとわかっても、70歳になって気づくのでは後の祭りだ。
大学生のころにそのことに気が付いていれば私は中学か高校の教員になっていたのだろうが、当時は大学の教員以外になるのは嫌だった。
やはり教員になるなら学者として大成したい。できればケインズやサムエルソンを凌駕したいものだ」と思っていたが、私が銀行員になったのはあるとき大学の事務所でたまたまた教員の給与表を見てしまったからだ。

 今から50年前のことだが当時教授の給与が12万円程度、助教授で8万円程度、そして助手で5万円程度だった。私はこの給与表を見て信じられない思いがしたものだ(ただし金額の記憶は少しあいまいになっている)。
教授になってもこの程度の給与しか得られないのか・・・・・・
私は少なくともこの2~3倍程度はもらっていると勝手に思っていたのでその少なさに愕然とした。
教授になるには何年かかるかわからない。助手などは下積みの演歌歌手のようなものだ。そこまで苦労して得る給与が、私の父親の給与とほとんど同じではないか・・・・」
父はある建築会社の外務員をしていたが、常に社会的敗北者だったもののそれでも教授程度の給与は得ていた。
こんなに低給与では教員になるのはやめたほうがよさそうだ・・・・・・・・

 しかしその結果、私は銀行員を36年間したがさしたる功績もなく可もなく不可もない平凡な人生をおくってしまった。時々こんな人生をおくっていいのだろうかと呻吟し国連の職員になろうとしたりシナリオライターを目指したりしたが、いづれも成功せずある金融機関の最年長の職員として退職した。
いやはやつまらない人生だった。今後は自分のしたいことだけして生きよう。人との上下関係はこりごりだ・・・・

 60歳で退職後、私が住んでいるおゆみ野にある四季の道の清掃をしたり、ベンチに防腐剤を塗ったり、朽ちたベンチの板を取り替えたりしていたが、その中で一番しっくりしているボランティアは子供に勉強を教えることだった
私には複雑な物事をやさしくして教えることができるという才能があり、現役時代も「山崎さんの説明を聞くとすぐわかる。あんたの説明はそのまま文章にしてもいいほど明晰だ」とよくいわれたものだ。

 今我が家には中学生3名、高校生1名が通っているが、私が教えると成績向上が著しく自分でも驚くほどだ。特に高校一年生の子供はある高校をやっとのことで入学したのだが、半年間数学と英語と化学と生物の指導をしたところ学年で300番中50番になってしまい、特に化学と生物などはクラスでトップになってしまった。
これがこの高校をやっとのことで入学した子供の成績かい!!!」
この子は実にまじめにコツコツと勉強をする子だが、それにしても驚くべき程の成績向上だ。  

 今一番真剣に対応している案件は高校受験を控えているある子供の指導だ。この子は中学入学時はとても成績が良かったのだが、幼児期からクラッシクバレーを習っていて中学生になったとたんバレー漬けになってしまった。
その結果学年が上がるにしたがって成績が低下していたが、今年の夏休みから本格的に勉強に取り組みだした。
わたし、A高に入りたいのです
A高は千葉県でもトップクラスの高校で、現在のこの子の学力ではとても及ばない。
ここを受験するなら徹底的な特訓が必要だ。それでも受かるかどうかわからないだろう。ついてこれるかい

 現在特訓につく特訓を行っている。幸いまじめについてくるので私も真剣に対応しているが、本音を言えば眼病を患いながらの指導はかなりきつい。
おそらくこれが私の最後の社会に対するご奉公になるような予感がする。
だが、頑張るのだ。何としてもこの子をA高に入れさせてやろう。俺は教育コーチとしては優秀じゃないか!!!」

 人生の最後になって教育者というよりは、教育コーチとして目覚めてしまった。来年この子をA高に入学させることができれば、自分で自分をほめることにしようと思っている。

 

 

 

 

 

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(28.9.5) 病気療養中のため二日に1回の割で過去のシナリオ等を掲載しています。 「陸ガメ王 亀ゴン その2」

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病気療養中のため過去の作品を掲載しております。これは19年の文章です。

吸血鬼 亀ゴン その2

 先日、「陸ガメ王亀ゴン」という、シートン動物記の「狼王ロボ」を凌駕する作品を作ったのだが、意外と亀ゴンから不評をかった。

 亀ゴンから言わせると、「陸ガメ王は狼王と違い、車寅次郎にそっくりで、放送大学の優等生としては到底認めがたい作品だ」と言うのだ。

どのようなイメージならばいいのかい
威厳があり、人がひれ伏す怖さが必要だ。車寅次郎は絶対に駄目だ

 仕方がない。亀ゴンのために第2作を作ることにした。
威厳と怖さの象徴のような「吸血鬼 亀ゴン」に登場してもらうことにした。

吸血鬼 亀ゴン

 トランシルヴァニアのドラキュラ伯爵にとって、由々しき問題が発生していた。ドラキュラ伯爵は処女の生血を吸うことで、その若さを保っていたのだが、過疎化が進み、トランシルヴァニアの村々から処女がいなくなってしまった。

 残ったのは老人ばかりになり、ドラキュラ伯爵は老婆の生血を吸うたびに、老いさらばいてしまい、すっかり生血を吸うことがいやになった。
もう、ばあちゃんの生血はいやだ。これからは菜食主義者になる

 ドラキュラ伯爵は有機農法をはじめ、城のあちこちに菜園を造り、新鮮なトマトや野菜を食べて幸せな日々をおくっていたが、このことにいたく憤慨している集団がいた。
ドラキュラ組合である。
このままでは、トランシルヴァニアから恐怖と威厳が消える。何とか手をうたねば

 数度の慎重な協議を重ねた結果、亀ゴンをトランシルヴァニアの地に送ることにした。
 なにしろ亀ゴンは「陸ガメ王 亀ゴン」であほ扱いされてしまったために、「威厳と恐怖」の再評価を得ようと起死回生のチャンスを狙っていたからである。

 「威厳と恐怖をトランシルヴァニアの地に与えよ
 亀ゴンはドラキュラ組合の最後の切り札だった。

 亀ゴンが颯爽とトランシルヴァニアの地に向かったのは言うまでもない。さっそく「威厳と恐怖」を示すために処女を探したが、あいにく人間の処女は皆無だった。

仕方ない、こうなれば亀の処女の生血を吸おう
トランシルヴァニアの亀社会は恐怖のどん底に落ちた。すべての処女亀が、亀ゴンの餌食になり、吸血亀に変わってしまったからである。

 亀ゴンは得意の絶頂にあった。
見よ、亀社会は振るえおののいている

 しかし、ドラキュラ組合には不満が鬱積していた。
亀社会の恐怖とは別に、人間社会は菜食主義者のドラキュラ伯爵の下で、平穏で幸福な日々を過ごしていたからである。
 そこで、ドラキュラ組合から亀ゴンに第2の指令が発せられた。

人間の中で、亀という字を名前に使用しているものの生血を吸え
 再び、人間社会には恐怖の只中に追い込まれた。亀ゴンが指令を忠実に実行したからである。
 恐怖に駆られた、亀雄亀太郎亀子は競って市役所に駆け込み、名前の変更処理を依頼した。

早く、名前を亀子から花子に変えて」悲鳴と怒号が飛び交った。
 しかし不幸は重なるものだ。市役所のコンピュータは名寄せが十分に行われていなかったため、5000万件の未登録の名前があった。
 このため、名前の変更処理ができなかったのだ。

 その間、亀雄や亀太郎や亀子は亀ゴンの餌食になり、亀の吸血鬼のオンパレードになってしまった。

 こうして、再び人間社会は恐怖の只中に追い込まれ、ドラキュラ組合の期待どおり、亀ゴンは威厳を回復したと言う。

 どうだろうか。これで亀ゴンの「威厳と恐怖」が保たれたと思うのだが

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(28.9.4) 行くも地獄退くも地獄 韓国経済の実態 東洋のギリシャになりつつある韓国経済

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 世界経済が急速に収縮
しつつある。15年度の世界貿易額は輸出額ベースで12.7%縮小したが、今年に入ってもこの傾向は続いている。
今後とも輸出が拡大する要因がなく、毎年1割の水準で世界貿易は縮小していきそうだ。
グローバリズムの波に乗って輸出が拡大していた時代は14年夏の中国経済の急ストップで終焉してしまった。 
今ではローカリズムが世界を席巻し貿易という言葉がむなしく聞こえるほどだ。 

 この影響を最も深刻に受けている国の一つが韓国で、韓国の輸出依存度はGDPの約5割と言われているが(日本の依存度は約1割)、この輸出が19か月連続で縮小している。
韓国にとって輸出は生命線だが、最大の貿易相手(約25%)の中国経済の失速で対中貿易にひどい影響がでており、サムスン以外の企業はほとんどが赤字経営に陥ってしまった。
特にひどいのが造船や海運で、貿易が縮小すれば船を建造することもないし、また海運業は運ぶ荷物がなくなってしまう。

 韓国の大手海運会社は世界第8位の韓進海運と15位の現代商船だが、赤字経営が続いていたためいづれも銀行管理に置かれていて、このたび韓進海運が法定管理を申請して正式に倒産した。日本でいえば会社更生法の申請を行ったことになる。
金融団はこれ以上韓進海運の面倒を見切れないので、倒産させて会社整理を行うのだという。

 韓国の海運業界は20世紀後半に日本の海運業界が凋落した後を受けて世界で存在感を増していたが、ここにきて韓国経済の凋落で運ぶ荷物がなくなってしまった。
もうだめだ。海運業界を支えても将来性はない。貿易は年々縮小するだけだ」金融団がさじを投げたのだが、これに対して韓国国内で喧々諤々の議論が出ている。
デンマークや、ドイツやフランスや中国が国家資金を導入して支えているのに、我が国はやすやすと倒産させるのか。これでは我が国の商船隊は全滅ではないか

 世界の商船業界はパイが縮小する中で、M&Aでの生き残りをかけており、世界的にデンマークのマークス、スイスのMSC,フランスのCMA-CGMといったビックスリーに集約されつつある。
問題はそうしたM&Aが吹くすさぶ中で、韓国の韓進海運や現代商船は赤字額が大きいため相手にもされず、このままいけば韓国海運業界そのものが消滅しそうになっている。
これが貿易立国韓国の実態か!!!」毎日のように韓国メディアではため息ばかりだ。
さらに問題なのは商船業界だけでなく造船業界も赤字体質が寝づいてしまい、現代重工業や大宇造船など今にも倒産しそうな状況だ。

 韓国メディアは「このままいくと日本の停滞の二十年に入ってしまう」と大騒ぎしているが、実態は中国経済がピークアウトした14年夏から停滞の二十年に突入しており、すでに2年が経過して状況はますます悪化している。
最大の理由は韓国が貿易立国であることで、国内消費の割合は日本が約6割なのに対し韓国は約5割と国内市場が小さい。
海外はさっぱりだが、国内市場も大したことがなく一体どうすりゃいいんだ・・・」泣き言ばかりだ。

 中国ではGDPの5割を占める国営企業がほとんどゾンビ企業になっているが、韓国はサムスンを除くとこれもほとんどゾンビ企業になっており、親亀がこけたら子亀がこける構造になっている。
私、本当に習さんのお妾さんになるつもりだったのに、最近はお手当もさっぱりだし旦那をオバマおじさんや安倍おじさんに乗り換えようかしら・・・
パククネ氏が今まで安倍おじさんの悪口ばかり言っていたのに最近は秋波を送るようになった。

 だがいくら秋波を送っても韓国の実態は変わらない。もはや輸出立国で生きるすべもなくそれに代替する国内産業はない。
中国とともに日本蔑視政策をとって意気軒高だったが、中国の凋落に合わせて自身も凋落し21世紀経済のお荷物に成り下がってきた。
残ったのは景気のいいときに借りまくった過剰な借金だけでヨーロッパのお荷物ギリシャにそっくりになっている。

 

 

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(28.9.3) 病気療養中のため二日に1回の割で過去のシナリオ等を掲載しています。 「陸ガメ王 亀ゴン その1」

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病気療養中のため過去の作品を掲載しております。これは19年の文章です。

陸ガメ王 亀ゴン その1   

  我が家に陸ガメ、亀ゴンが来てからほぼ3ヶ月になろうとしている。最初はどのように扱うかまったく見当がつかず、レタスばかり与えていたが、どうやら植物なら何でも食べることが分かった。
 また、庭に放していると芝生やら雑草やらを食べまくっており、やめることをしない。人間のような満腹感を感ずる神経はないらしく、食べ過ぎるとウンチとして出している。

 私が「亀ゴーン」と呼ぶと、振り向いて寄ってくるし、頭をさすると静かに首を伸ばすところは、まったく犬と同じだ。
 毎日、亀ゴンを観察し、陸ガメについての知見も増えてきたので、シートンのように動物記がかけるのではないかと思い、挑戦してみた。
狼王 ロボ」に対抗して「陸ガメ王 亀ゴン」と題した。きっとすばらしい動物記になるに違いない。自分でもワクワクする。

陸ガメ王 亀ゴン

 ここ、ワイオミングのおゆみ野の森には「亀ゴン」と言う陸ガメが生息していた。おゆみ野の森には四季の道と言う大変美しい遊歩道があったが、遊歩道に生える雑草を食べつくして、美しい芝生に変えてしまうと言う恐ろしい生き物がいた。亀ゴンである。

 市の当局者は、毎年四季の道の雑草の除去に多額の予算を計上していた。しかし亀ゴンのおかげで予算消化ができないという、役人にとってもっとも恐ろしい状況に追い詰められていた。
大変だ、なんとかして亀ゴンを捕獲しよう。予算が余まると人員整理が始まる

 こうして、亀ゴンの首に市当局から破格の懸賞金がかけられた。
WANTED 亀ゴンを捕獲したものには、かっぱえびせん、二袋を与える
  この懸賞金につられ、全国から名うての賞金稼ぎが集まり、四季の道にはありとあらゆるわながしかけられた。

 しかし私は安心していたのである。
 亀ゴンは狼王ロボと同じように狡猾で頭がよく、放送大学の聴講生でもあったので、やすやすとわなを見破ると思っていた。
だが、私の期待とは裏腹に、亀ゴンはすべてのわなにかかってしまうのだ。

 おかげで私は毎朝早く起きては、賞金稼ぎが亀ゴンを見つける前に、わなから助け出さなければならなかった。
 狼王ロボはわなを見つけると軽蔑の印に自分のウンチをわなの上に落としたが、亀ゴンは同じく軽蔑のしるしとして、自分の甲羅にウンチをつけていた。
 このため私は毎日亀ゴンの甲羅をたわしで洗わなければならなかった。

亀ゴンはきっと頭が良すぎて、簡単なわなには引っかかるのだろう。アインシュタインに小学校の算数の問題を解かせるようなものだ」
 私はそのことを確認するために、シートンが狼王ロボに仕掛けた鉄壁のわなをまねてみた。
 前と横にわなが仕掛けられているため、一度入ると後ずさり以外にこのわなから逃れられない、あの鉄壁のわなである。

 私は、狼王ロボと同じように亀ゴンもあとづさりするものと思っていた。なにしろアインシュタインなのだ。が、信じられないことに前に進んであっさりとわなにかかってしまった。
お前は、車 寅次郎か」思わず声を荒げてしまった。

 こうして、亀ゴンがわなにかかっている間、四季の道の雑草は伸び放題になり、ようやく役人も安堵の胸をおろしたのである。

 しかし、手はあるものだ。狼王ロボがメス狼の自由奔放な振る舞いを許し、それが結局命取りになったように、亀ゴンにはあの毒舌のコリー犬をつけてやった。
 毎日散歩の途中で会う、あのコリー犬に亀ゴンが夢中だったからである。

 コリー犬は毎日、亀ゴンの後ろから散歩に同行した。そして亀ゴンが少しでもわなに近づきそうになると
あんたは『蚤の心臓』のくせに、大胆なふりをするから、わなにかかるのよ。結局パーなのね
 例の毒舌で思いっきり亀ゴンを罵倒した。

 愛する女性から罵倒されて、黙っていては男が廃る。
以来、亀ゴンは信じられないような注意深さでわなを避けるようになった。

 こうしてワイオミングの四季の道は、雑草が一本もない美しい芝生に再び変わったという。

                                     (おしまい)

シートン動物記を陵駕したと思うが、どうだろうか

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(28.9.2) 東京都知事はいつまでたってもアホばかり  小池新知事のいちゃもん政治

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 「いやはやこれが小池新東京都知事の最初の仕事かい」あきれ返ってしまった。  
小池新東京都知事がこの11月7日に予定されていた築地市場から豊洲市場への移転を延期させた件である。
小池都知事によると豊洲への移転は、土壌汚染問題が完全に解決されていないこと、費用が5900億円と当初予定した金額の約3倍に膨れ上がっていること、その情報公開が十分になされていないことを理由に延期したのだという。

 小池知事としたら知事が変わったことでなんとか新鮮味を出したいのだろうが、選んだ築地案件は選択として最悪だった。
すでに問題をクリアーしたとしてようやくのことで11月7日に移転するようになったのに、それが取りやめになると、今まで業者が手当てしてきた冷蔵庫やごみ処理施設や内装工事がすべて無駄になってしまう。
業者の支出は約200億円で、この損害を都が賠償するのかという問題がある。
さらに移転のための運送会社の手配や従業員の新規雇用やあるいは馘首についても、11月7日を目標に業者は進めてきているので、こちらに対する損害賠償も発生する。

 小池都知事は「費用が3倍に膨れ上がったのにかかわらず、業者の一部が不満を表明しているにはなぜか」と疑問を投げかけたが、だれもが完全に賛成するようなプロジェクトなどあるはずはないし、もし不満を表明する業者が少ないとすればそれは金で説得した結果だ。
だからさらにまだ不満を持っている業者の説得をすることにするとさらなる費用の増大が必要でいくら金があっても足らなくなる。

 こうしたプロジェクトは当初予算を大幅に上回るのはいつものことで、豊洲市場は東京ガスの跡地だったが基準の4万倍のベンゼンが07年に検出されその後14年まで土壌改良事業を約900億円かけて実施している。こうした予期せぬ問題が費用を膨らませたり、不満業者をなだめるために要望を聞いたりした結果が、当初の約3倍の費用の実態だから、今更検証しても致し方ない点がある。
それなら小池さん豊洲への移転を取りやめて、5900億円をどぶに捨てますか?」と聞かれたら何と答えるつもりなのだろうか。

 それに安全性の検証として14年以来7回にわたって水質検査をしてきたが結果は基準値を下回ってきた。確かに検査はあと2回、9月と11月に行われる予定でその結果は来年の1月に発表されるという。
だから移転はその結果を見てからでもよいのだが、それを11月7日にしたのは東京都側の都合で、業者としたらもっと遅くでもよかった。
築地跡地にオリンピック道路を開通させなければならない。その期限が11月だ。どうか11月移転に協力してほしい
水質調査の結果を待ってからの移転のほうがいいのではないですか
それではオリンピック道路の建設に間に合わない。すでに7回の検査ではOKだ。どうか協力してほしい
業者としたら無理に無理を重ねて11月移転に協力してきたのに、今度は移転延期だという。

 確かに不要なプロジェクトはあり見直しが必要なことはあるがそれも場合による。見直し時間が十分にあり、またかかった費用も大したことがなければ見直せるが、今回のようにすでに5900億円の巨費が費やされ、しかもあと2か月後には業者が移転する手はずを整えている時に、小池氏の一声で延期されては移転を推進してきた協会が収まらない。
ようガス、それなら一日700万円の豊洲の維持費と業者が既に支払った200億円、それに運送会社等に対するキャンセル料、すべて東京都に支払っていただきます。それに協会に対する違約として損害賠償をばっちり請求させてもらいます

 開始寸前のプロジェクトを止めるのは、その事業をやめる以外にはしてはならない。止めるための費用や労力があまりに大きすぎて影響が甚大だからだ。
今回の小池知事の延期声明は、2014年に韓国の大韓航空機で起きたナッツ・リターンとそっくりだ。
離陸直前の大韓航空機をたまたま搭乗していた大韓航空機の副社長(社長の娘)が、サービス係のナッツの配り方が悪い(実際はマニュアル通りだった)といちゃもんを付けて、搭乗ゲートまで引き返させた事件である。

 物事にはすでに引き返せないタイミングというものがある。今回の豊洲移転がそうで豊洲移転を全面撤回する以外の理由で移転延期を述べることは不可能なタイミングだった。
今回の延期措置は飛行機が飛ぶ前にナッツの配り方が悪いと大騒ぎしている副社長と同じで、小池知事はただ自分の権力を見せつけたいだけだ。

 いやはや東京都知事はいつまでたってもアホばかりがなって、見ているとうんざりしてしまう。

 

 

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(28.9.1) 病気療養中のため二日に1回の割で過去のシナリオを掲載しています。 「シナリオ 忠助 その4」

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 病気療養中のため過去の作品を掲載しております。

忠助 シナリオその4

8月26日から4日間はシナリオ週間になっております。このシナリオはシナリオ3http://yamazakijirounew.cocolog-nifty.com/blog/2016/08/28830-1-0477.html
からの続きですので、まだ読まれていない方は、そちらから読むようにしてください。

15.大山剣ガ峰からの下降路
  
語り 「こうして忠助は、大山剣ガ峰からの下降をはじめたのです」

  音響 忠助のテーマソング
  音響 梟の声、狼のさけびごえ

忠助 「しかし、夜中の大山は不気味だね。はやく降りて、温泉でいっぺいやりたいよ。疲れたけど、もう少しで大犬神神社に到着するはずだよ。ありゃー、なんだありゃー。かがり火と松明の大群じゃねいか」

16.大神山神社の結界

  音響 松明の燃え盛る音
忠助 「なんだい、どうしたんだい。異様な雰囲気だね。なんで山伏が完全武装して待ち構えてるんだい。ひいふうみいよ、いや50名はいますよ」

  音響 不気味な経をよむ声
忠助 「こりゃ、いけねえや。どうも、すん なり通してくれそうもありませんよ」

  音響 忠助の足音。緊迫感をもりあげる効果音
山伏 「あいや、またれよ、そこもと途中で上半身は熊、下半身は人間のなりをした熊男に遭遇しなかったか?」
忠助 「いや、拙者、いっこうに存ぜぬが。熊がどうにかしたのでござるか」

山伏 「いや、先程遠眼鏡で稜線を探索していたところ、わが眷族の修験者二名が熊男におそわれ、あわれ、谷底へと墜落、生死不明の状況でござる。しかし、熊男に会われなかったことは何より。されば、きをつけていかれよ」

山伏 「頭領、別段怪しげな人間ではないようです」
忠助 「(独り言)やれやれ、もう少しでつかまるとこだった」

17.橋本周の奥座敷

  音響 小鳥の囀り。竹藪にふくそよ風
語り 「かくして無事に津和野に帰りついた忠助が、周、菊の前で伯耄大山の荒行の結果を報告している

 「忠助、よくぞ無事に戻った。大義であった。して、首尾はいかがじゃ?」
忠助 「旦那様、お喜びくだせい。伯耄大山の荒行、みごと終えてめいりやした」

周 「途中で身元が割れるようなことはなかったであろうな?」
忠助 「大山寺の関所も、大神山神社の関所もなんなく、くぐり抜けやした」

 「さようか、それを聞いて安心した。疲れたであろう。ゆるりと休め、もう下がってよいぞ」
忠助 「あの、実は、ヒサに祝言のこと、すぐにつげていのですが」

 「(ギョとして)ヒサか、そうじゃったのう、ヒサか。しかしヒサはこの屋敷にもうおらぬ。おらぬのじゃ」
忠助 「(不信げに)じゃ、病気でもして、国に帰ってるんでやすか?」

周 「(さらにどぎまぎして)いや、いや、そうではないのじゃ。よわったのう、菊、なんとか答えてくれぬか」
  音響 不吉な効果音

 「忠助、実はヒサはな、当藩の藩主、出羽守様が当家にお忍びでこられたおり、いたくお気に入りになり、そのまま、側女にされてしまわれたのじゃ。いや、私も忠助という許嫁がいるので、そればかりはともうしたのですが、おお殿様はあのように気短なおかた、どうすることもできなかったのじゃ。忠助、許してくりゃれ」
忠助 「(大声で)そりゃ、ねえすよ。伯耄大山の荒行、みごと成就したあかつきには、ヒサと夫婦になっていいって、約束したじゃねえすか。旦那様は反対してくれなかったんでやすか」

 「いや、それがな、忠助。運の悪いことにわしは伯耄大山に荒業にいっていることになっておろう。悔しいではないか、忠助、わしが留守であることを幸いに、なんと、何とおお殿様は当家にお忍びでこられたのじゃ」
忠助 「で、旦那様はどうしておられたのでやすか」

 「うむ、押入れにかくれて様子をうかがっておった」
 「忠助、聞いてくりゃれ、わらわが殿様より無理難題をいわれ、手を握られて飲めぬ酒をのまされているあいだ、旦那様は平気でおしいれに隠れておられたのですよ」

 「そ、それは、伯耄大山に荒業にいっていることになっているので致し方なく」
 「ところが、女中のヒサが酒肴を運んできた途端、おお殿様の態度ががらりとかわり、わらわのことなど全く無視、ヒサをどうしても側女にと、それはつよいお申し出。するとなんと旦那様が押入れからでてまいって」

 「そうじゃ、忠助、わしは断固反対したのじゃ。ヒサの代わりに、菊をと、なんどもたのんじゃのじゃ。菊ならばいかようにもと泣いてたのんだのじゃ」
 「まったく、わらわの時は冷静そのものであるのに、ことヒサのことになると我をわすれて飛び出してくるとは、呆れてものもも うせませぬ」

 「それでな、忠助。わしが影武者をたてたこと、おお殿にばれてしまったのじゃ」
忠助 「それでどうなっちまったんで」

周 「うむ、忠助、許してくれい。影武者の件を内緒にする条件としてヒサをおお殿の側女にさしだすことになってしまったのじゃ。おお、かわいそうなヒサ(泣き出す)」
 「ふん、わらわのことで泣いたことなどないくせに」

18.津和野、二本松城

  音響 松風
語り 「津和野、二本松城の堀端で強い決心をしている忠助がおりました」

忠助 「ヒサちゃん、おいらどうしても我慢ならねい。助けにいくからまってろよ」

  音響 五右衛門のテーマソング
五右衛門 「おい、にいちゃん、こんなところでなにうろうろしてるんだい。おめえ、ひょっとしたら、この城にもぐりこみていじゃないかい」
忠助 「側女にされたヒサをとりもどすんだ。どうしても城にもぐりこむんだ」

五右衛門 「あんた、ど素人だね。いくら力んでもはいるにゃ技術がいるんだよ」
忠助 「ところで、あんた誰だい」

五右衛門 「よーく、きいてくださった。とわれて名乗るもおこがましいが、姓は石川、名は五右衛門、ひとよんで夜盗の五右衛門とはっします」
忠助 「すると、兄さんがあの有名な怪盗かい。なら、兄さん、なんとかヒサを助ける算段を考えてくれねえか」
五右衛門 「そうよなあ、こうした場合は故事にならって、城に火をつけ、どさくさにまぎれて、そのヒサちゃんていのを助けるとうのはどうだい」

忠助 「しかし、放火は御法度だよ」
五右衛門 「保険にははいっているんだろ」

忠助 「旦那様の話しだとロイドの保険にはいっているいってた」
五右衛門 「なら、かまわねいじゃねいか。おいらが火をつける。おめいさんは(火事だ)といって城内を混乱させ、ヒサを助ける。いいな」

忠助 「わかった。じゃ、手筈を整えるまで一日待ってくれ、決行は明日の夜、12時」
五右衛門 「おうよ」

19.津和野、二本松城、本丸

語り
 「翌日の二本松城、本丸」

出羽守 「これ、ヒサ、そのようにいつまでも泣いていたのでは身体にさわるではないか 。忠助と離したのは余が悪かった。しかし、ヒサ、余も男じゃ。ヒサのような美しいおなごをみて、心が動かぬほうがおかしい。のうヒサ、忠助には良いおなごをあてがってやる。家の奥などどうじゃ」
ヒサ 「悲しみはここに連れてこられたことだけではございません。今日は満月。この日、私を月の使いが来て月の世界につれもどされるのです。ですから、おお殿様ともお別れしなければなりません」

出羽守 「なに月の使いとな、許せぬ、ヒサをつれていくとは許せぬ。これ三太夫、三太夫はおらぬか」
三太夫 「三太夫めにございます」

出羽守 「今宵、にっくき月の使いがヒサを月の国につれもどそうとやってくる。先手を打つのじゃ。城内に月見団子をくまなくばらまいておけ。つきの使者が団子を食べている間に射殺すのじゃ。うはははははは」

語り 「そして夜、12時」

  音響 半鐘の音。消防車のサイレン
忠助 「火事だー、火事だー、おのおのおであいめされい、火事だー」
出羽守 「なんと、火事とな、三太夫、三太夫はおらぬか」

三太夫 「三太夫めにございます」
出羽守 「三太夫、火事は何処じゃ」

三太夫 「ここ、本丸でございます」
出羽守 「なに、本丸とな、しかし、ここは何ともないではないか」

三太夫 「外からみますと赤々ともえております」
出羽守 「なんと、面妖な。しかし、躊躇はなるまい、人間バーベキューはなんとしてもいやじゃ」

三太夫 「おヒサの方様はいかがいたしたしましょうや
出羽守 
「馬鹿、馬鹿、お前は余とヒサとどちらが大事だとおもっているのか、すぐに逃 げるぞ、すぐにじゃ」

  音響 バタバタと逃げる音
  音響 忠助のテーマソング

語り 「このようにして、バテレンから譲り受けた幻灯機を使った,火事のトリックにお殿様はまんまとひっかかったのでございます」

忠助 「ヒサちゃん、いたら返事して」
ヒサ 「忠助さん、ここよ、ここ」

忠助 「へへへ、やっと会えたね。手紙見てくれたんだね」
ヒサ 「昨日、橋本の奥方様から、急に使いがきて、中に忠助さんからの手紙がはいってたんで、びっくりしちゃった」

忠助 「奥方様はこんどの仕打ちを怒っていたから協力してくれたんだ」
ヒサ 「バテレンの幻灯機って、本当うにすごいのね」

忠助 「FSXと言うんだ。ジョージルーカスから教わったんだ」
ヒサ 「そして、私は月の使いに連れていかれることになるのね」
忠助 「おいらがその月の使いさ」

  音響 ローマの恋人のテーマソング
                                         終わり 

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