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(28.9.9) 病気療養中のため二日に1回の割で過去のシナリオ等を掲載しています。 「友よ風に向かって走れ(その2)」

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友よ風に向かって走れ(その2)

  このシナリオシナリオ1からの続きです。シナリオ1を読んでいない人は1から読み始めてください。

○ A銀行事務室(午後4時)

  山崎が事務所に帰ってくる。水谷課長が真っ赤な顔をして待ち構えている。他の課員(男2人、女2人)はじっと息をひそめて様子をうかがっている。

課長「山崎君、こ、ここにきなさい(興奮して声にならない)」
山崎「はい、なんでしょうか」
課長「バ、バカか、おまえは」
山崎「なんでしょうか(平然を装う)」
課長「なんでしょうかは、な、ないだろう。河村商店から電話があったんです、電話が!(一呼吸おき、肩をいからせながら)10億すぐ解約したいと言ってきました! 10億ですよ。お前の無礼さが我慢ならないので、もう取引しないと、いってきました!(ひと息おいて)えー、何いったんだ(かなきり声で)」

山崎「べつになにも(平然と)」
課長「べつにだと。犬でも飯をくうと言ったというじゃないか。それが銀行員のいう言葉か。私がすぐに河村商店にいって頭をさげてきたからいいようなものを、君はいったい幾つになったんだ」
山崎「はい、27才です(明るく)」
課長「(呆れて)君は歳を言うとき、すこし恥ずかしがったほうがいいんじゃないか。いいですか、銀行は客がすべてです。何を考えているんだか、28にもなって」
山崎「27才です」
課長「そんなことを言っているんじゃない。もういい。頭が痛くなる(顔をそむける)」
  席にもどる山崎

語り「今日はさすがに反省した。ちょっとやりすぎたかな」

  第2課の神鳥課長(41)が水谷課長にそっと近づき、小声でささやく。
神鳥課長「(皮肉をこめて)おたくのランナー 、またヘマしたの、君も大変なんじゃない。支店長も心配してましたよ」
  憮然とした表情で神鳥課長を無視する水谷課長。山崎は自分の席に座って伝票を整理しはじめる。しばらくして同じ課に属する同僚の斉藤久子(25才)が、水谷課長が席を立ったのを見計らって山崎にちかずき、声をかける。

久子「相変わらずね、あんた。要領がいまいちだね」
  無視する山崎。
久子「ほう、今日の君は貝か?どうやら河村社長と課長のダブルパンチで唖になったようだね」

語り「誰とも口をききたくなかった。十分傷ついてたんだ・・・それにこのひとはとびっきり口がわるいので、こんなときもっとも不適で・・・」

山崎「(しぶしぶ)何か用ですか」
久子「用がなくて君に口きくとおもう。どうも、君、わざと課長を挑発してるんじゃない(からかうように)」
山崎「まさか。僕はそんな悪じゃないですよ」
久子「そうかなあー。ポーカーフェイスの胸の内は嵐か?まあいいわ」
山崎「用はそれだけですか(めんどくさそうに)」
久子「いいえ。用あり。今日私に付き合いなさい。6時。S喫茶店よ。いいわね」
山崎「良くないです。トレーニングがあります」
久子「いいこと、今まで私の誘いを断った男性はいないの」
山崎「それは斉藤さんが強引だからですよ」
久子「いいえ、私にえもいえぬ魅力があるから。いいわね」

  山崎、あっけにとられる。
山崎「(むっとしながら)それより、この書類、ファイリングしてください。こっちの書類はコピーとって」
久子「頭にきて、雑用をいいつけましたね。そんなこっちゃ出世しないよ」
山崎「おおきな御世話です」

語り「今日は最悪の日だ」

○ S喫茶店(午後6時1分前)

  通りに面したガラスを通して、夕日が射 し込んでいる。黄色い光線につつまれた 喫茶店。逆光に浮かんだ久子。すでにコーヒーが2つ用意してある。山崎がいかにも気がすすまない素振りでドアーを開ける。探す山崎。山崎はトレーニングウエアー。久子を見つけて席の前に立つ。

久子「遅れたわよ、1分」
山崎「1分なんて許容範囲ですよ」
久子「あなた、銀行員でしょ。遅れは遅れ、私が河村社長だったらどうするの」
山崎「用が有ったらさっさと言ってください。用が無ければトレーニングにいきます(ぶっきらばうに)」
久子「ヤネー、立ってないで座って。ね、話はそれから」
  山崎、しぶしぶ座る。

久子「あなた、私がなぜ呼んだかわかる」
山崎「・・・・・・・」
久子「あなた、いい素質してるよ。見てたんだ。神宮外苑。いいスピードだね。でもまだだめ。もっとトレーニングしなくちゃ・・・・・ 一流にはなれないよ」
山崎「なんで僕のトレーニングをみるのですか(改まった口調で)」
久子「勿論、興味があるから。要領は最低。 顔、頭は並みてとこかな。上司のおぼえ最悪。ただしスポーツにたいする情熱は一流。ランナーとしては将来性あり。面白いじぁん」
山崎「あなた、僕をからかってますね。それに、僕はあなたより年上です。もうすこし言葉遣いに気をつけてください(憤然と)」
久子「ヤダ、怒ったの。貴方が言葉遣いを気にするなんて、はじめて知った。ゴメン。でもね、本当、あなたのトレーニング、興味深々」
山崎「だから、何故?」
久子「フフーン、さては君は私の経歴をしらないな。元筑波大学女子陸上部キャプテン。5キロ、16分を切るスプリンター。おしむらくは、今は骨折して引退」
山崎「うそでしょ!」
久子「驚いたでしょ。あなたより早いのよ。あなたのラップは、5キロ、17分。わたし計ったの」
山崎「僕は市民ランナーだから、これでいいんです(憮然と答える)」
久子「アッ、君、ふたたび怒ったね。でも私、君の素質みとめたの。ただし、優秀なコーチがいるね。私がコーチになってあげよう(自信たっぷりに)」
山崎「まさか!」
久子「いや、まさかじゃないよ。君のコーチを引き受けてあげよう(さらに自信に満ちた態度で言う)」

  呆れてじっと久子の顔をみる山崎。気を取り直して
山崎「10年間、自分だけでトレーニングしてきました。だからコーチはいりません(断固として答える)」
久子「10年でその程度だから、コーチがいるの」
山崎「とにかく断ります。トレーニングがありますので失礼」

  席をたつ。久子をぐっと睨らむ。肩をいからせ喫茶店をでようとして、ふとコー ヒー代を払うか否か躊躇する。久子が席にすわったまま声をかける。

久子「私、奢るよ。あっ、それからね、君が担当させられたK物産、要注意だよ。目をはなしちゃだめよ」
  山崎はなにも聞かず店をでる。

語り「なにしろ今日は最悪の日だ」

○ 神宮外苑コース(次の日)

  夕方6時、晴れ。山崎次郎がいつものように、一周1300メートルのコースでトレーニングをしている。後ろから自転車に乗った久子がついてくる。山崎はま ったく久子を無視するが、一方久子は執拗に指示をとばす。

語り「本当にコーチをするとは思わなかった」

久子「足があがってない。胸をもっとはれ。腰が落ちてる。ちゃんと腕をふれ」
  山崎は完全に聞こえないふりをする。
久子「なんだ、その走りは。子供じゃないんだぞ。ラップが遅い、足がついてんのか」
  二人づれの通行人が笑っている。
久子「バカ、のろい。お前は亀か、うすのろ亀」

  前を走っていた高校生がおもわず吹き出す。山崎は顔を真っ赤にして急にスピードをあげる。自転車も加速される。
久子「ほれ、やりゃあできるだろう。手をぬくな、亀」

  山崎は懸命に自転車を引き離そうとするが、自転車のほうが速いので引き離せない。トップスピードで歯をくいしばる。久子、かすかに笑う。

○ 神宮外苑コース(2日目)

  夕方6時、雨。翌日も山崎のあとを久子が自転車で追いかけている。山崎は今日も挑発に乗せられて懸命に走らされている。

語り「2日目、このひとの口のわるさは・・・」

久子「雨がなんだ。フグを見ろ。おまえより速い。なんだ、ふくれるだけか。スピードだせ、フグ」
  傘をさした女学生が笑い出す。
久子「足のきれが悪い。腰が落ちてる。バシャバシャ水しぶきをあげるな。子供の水遊びじゃないんだぞ」
  歯をくいしばって自転車を引き離そうとする山崎

                                  (明日に続く)

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