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(28.8.20) 病気療養中のため二日に1回の割で過去のシナリオを掲載しています。 「シナリオ ぼくが生きた時 その4」

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  本日(14日)から6日間はシナリオシリーズです。このシナリオは私がシナリオライターになろうとして努力していたころの作品で、半分以上は自叙伝です。

なお病気療養中のため過去の作品を掲載しております。

ぼくが生きた時 その4

(シナリオシリーズのその4です。その1からの続きですので、その1、その2、その3を読まれていない方は「その1」、「その2」その3」リンクが張ってあります>からお読みください

○ 自宅(数日後の真夜中)

語り「そして、ある夜」
和子「次郎、きなさい、起きなさい、すぐに起きるの(興奮した声)」

  灯りがついており、令子と則夫が隅で泣いている。興奮している父母。諦めきった顔のイネ。

和子「次郎、父さんはね、あたしにでていけっていうんだよ」
一郎「出ていけなんていってない。あなたがこんな貧乏所帯にいるのがいやなら、出ていってもいいといったんだ」
和子「なによ、でていくさき、ないの分かってて、そういうこと言う」

一郎「や、山口に、いったらいい(つっかえながら)」
和子「じゃ、子供はどうするの、次郎は!令子は! 則夫は!(ヒステリックに)」
一郎「出ていくものがそんな心配しなくていい!(強く)」

  大声で泣き出す令子と則夫。下を向く次郎。

和子「なら、子供に聞いてみる。次郎、おまえ、どうする? 母さんといく? 父さんといる?(超興奮状態で)」

  下を向き、答えない次郎。次郎の胸をつ かみ、揺する和子。

和子「答えなさい、次郎!」
イネ「やめなさい。和子!(強くたしなめる)子供にそんなこと言って、答えられる訳ないでしょ!」

  (長い沈黙)
イネ「(決心したように)山口には、おばあちゃんがいきます。一人でも、減れば、少しは助かるでしょ。だから、和子、そんなこと子供にいうのはおやめ!」

  (父母が驚いて、イネの顔をみる)
次郎「ばあちゃん、山口にいっちゃうの?ぼく、ぼく,ヤダ(涙ごえ)」

  
イネ「次郎、大人の世界では、どうしょうもないこと、あるんだよ。お前も、大人になったら分かるから、だから、おばあちゃんが山口にいっても我慢するの(言い含めるように)」
次郎「ヤダ(目に涙をためる)」

  次郎の頭を静かにさするイネ。沈黙。破れた障子。割れた硝子窓。

○ 台所(1カ月後)

  イネと次郎。イネが次郎の肩にてをかけ諭すように話かけている
      
語り
「しかし、すぐに祖母は、山口に行かなかった。おそらく、大人の社会には難しい手続きがあり、それに数カ月要したのだろうと思う。山口に行く前日、祖母は僕に言った」

イネ「次郎、今日は、おばあちゃんのいうこと、よく聞くの。そして、絶対にわすれちゃ、だめだよ」
次郎「うん」

イネ「母さん、今、死のうとしている。次郎をつれて、死のうとしている。だから、次郎、母さんがどっかにいこうと言っても、絶対についていっちゃいけないよ。それになにか、へんなもの食べろといっても、絶対にたべちゃいけない。食べたふりして、吐き出すんだよ」

次郎「うん、ばあちゃん、そうする」
イネ「次郎、お前はほんとうにいいこだ。ばあちゃん嬉しい。(大きく息をして)でも次郎、本当は、ばあちゃん、次郎にとってもわるいことしたと、思ってる」

  (じっとイネの言葉に耳を傾けている次郎)

イネ「和子がこんな我慢なしに育ったの、みんなばあちゃんの責任だ。地主の子だといって甘やかしほうだい、甘やかしたから・・・ばあちゃん、昔、農地開放でたんぼ取られたとき、本当に悲しかった。でも、それよりもっと悲しかったのは、次郎、お前が和子に叩かれて、泣いているときだった
 ・・・・・・・」

  
次郎「ばあちゃん、ぼく、もう泣かないからだから、だいじょうぶだよ」

  次郎を強くだきしめるイネ。次郎の顔を見つめながら。 
          
イネ「よくお聞き、次郎。ばあちゃん、ず-っと次郎のこと見てきた。次郎はとっても心の優しい子だ。だけどね、次郎。男の子は心が優しいだけじゃ生きていけないよ」

  うなずく次郎。

イネ「次郎は小さい頃、いつも近所の子に仲間外れにされて、泣いていた。学校でも、ガキ大将にいつも泣かされてるだろ。運動会のとき、ステテコはいてって、次郎、泣いてたじゃないか。ばあちゃん見てたんだ」

次郎「ぼく、泣きむしだから・・・・」
イネ「次郎、いいかい、泣く子はいつも泣かされるんだよ。だから、男の子はけっして泣いちゃいけない」
次郎「ぼく、喧嘩強くないから・・・」

イネ「次郎、人間は生きるために喧嘩しなくちゃ、いけない時,あるの。ばあちゃん山口に行ったら、もう、次郎を助けてあげられない(嗚咽)。だから次郎、お前は一人で強く生きるの。学校のガキ大将とも母さんともたたかって、負けちゃいけないの」

  

次郎「ばあちゃん、ぼく、約束する。絶対負けない」

  ふたたび次郎を強くだきしめるイネ

語り「それが祖母の最後の言葉になった。祖母は山口に帰ると体調を崩し、そのまま帰らぬ人となったという。しかしあとで、僕は祖母が自殺したのだと聞いた」

○ モンタージュの連続

  食事時、ご飯茶碗を一郎に投げつける和子。体にくっついたご飯粒を黙ってとる一郎

  6畳間。令子の髪の毛をもって、引きずり回す和子。泣き叫んでいる令子。茫然と見ている次郎と則夫

  包丁を持って次郎を刺そうとする和子。座蒲団で防いでいる次郎。和子の足を思いっきり蹴飛ばす次郎。もんどりうって倒れる和子

○ 校庭(放課後)

  がき大将のアキオのまわりに集まっている子供達。いつものかくれんぼをするところ
               
アキオ「おい、次郎、オメイ、また鬼だ。ヤレヨ」
次郎「(ちから強く)ヤダ、しない」
アキオ「(胸をつかんで)ナンダよ、次郎、オメイ、そんなこと言えるのかよ。昨日の最後の鬼だろ」

次郎「(手を払いのけて)鬼はしないときめたんだ」
アキオ「(もう一度胸をつかんで)泣きをみていのかよ」

  タコが後ろから次郎にちかずき、次郎の足を蹴飛ばす。振り返りざまタコの横顔を張り倒す次郎。張り倒された頬をおさえ、びっくりして泣き出すタコ。アキオの顔色が変わり、猛然と次郎に飛びかかる。次郎とアキオのとっくみあい。次郎の上着が破ける。周りであっけにとられて見ている子供達。次郎がアキオを引き倒す。下でもがくアキオ。

アキオ
「(もがきながら)タコ、ヒロ 次郎にかかれ」

次郎に襲いかかるタコとヒロ。タコをあしげりにする次郎。飛ぶタコ。もうだれも二人にちかづかない。ついに泣き出すアキオ。唖然として見ている子供達。



明日に続く)

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