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(28.8.16) 病気療養中のため二日に1回の割で過去のシナリオを掲載しています。 「シナリオ ぼくが生きた時 その2」

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  本日から6日間はシナリオシリーズです。このシナリオは私がシナリオライターになろうとして努力していたころの作品で、半分以上は自叙伝です。
なお病気療養中のため過去の作品を掲載しております。

ぼくが生きた時 その2

(シナリオシリーズのその2です。その1からの続きですので、その1を読まれていない方は「その1」リンクが張っております>からお読みください

○ 家(秋、夜中)

語り「僕が小学校6年になるまで、父の存在を意識したことはなかった。父は年の半分を東北の秋田や盛岡に行商にでており、帰ってくるときには、東北特有の味のない乾いたサラのようなせんべいを買ってきた」

 6畳間、親子5人が寝ている。父母の話し声(小声)。

和子「で、裏書きをしたの?」
一郎「うむ」
和子「だまされるんじぁない?」
一郎「うむ」
和子「前にも一度不渡りだしたんでしょ」
一郎「うむ」
和子「お父さんは人がいいから、酒のまされて、だまされるんじゃない」
一郎「いや、大丈夫だ。あそこはいざとなったら、財閥がついている」
和子「財閥って、A商店? 高利貸しじゃない」
一郎「うむ」
和子「で、裏書きするといくらくれるって?」
一郎「二割か三割、いや、三割五分かな、500万だから、えぇーと、200万位になる(急にはっきりと)」
和子「・・・・・・・・」
一郎「商売のことは私にまかせておけばいい(強く)」 
             
  
和子「なら、お父さんにまかせるけど、危険なことはしないで下さい。いま倒産が多いんだから(不詳不精)」

  間

○ 夜中(数日後)

語り
「そして、数日後」

 父母の争う声。
和子「だからいったでしょ(おしころした声)」

  間
和子「私があれほど止めろといったのに!」

  
和子「だまされて、お金どうするの(声が大きくなる)」

  
和子「手形、落ちないんでしょ、いくら足りないの?」

  
一郎「うむ」
和子「幾らなの(金切り声)」
一郎「子供がおきるじゃないか」

  
一郎「500万だ」
和子「どうするの」

  
和子「どうするの(強く)」
一郎「あてがある。A商店に頼んでみる」
和子「高利貸しじゃない!」
一郎「こおいう時は、高利貸しが一番たよりになる」
和子「担保は?」

  
和子「担保はなんなの?(大きな声)」
一郎「この家だ」
和子「だめよ。絶対だめ(叫び声)

  和子の泣き声

語り「この日から、毎日父と母のいいあらそいが始まった」

○ 自宅、3畳の間(数日後、午後)

  来客、債権者がきている。応対している一郎。台所の陰で聞いている和子、イネ

来客「私もこまるんですよ。斉藤さん、あなたを信用したから貸したんです。たがいにながい付き合いでしょ。だから貸したんだ。あの金がないと、私も、手形、おとせないんです。返してくれるんでしょうね(顔を覗き込むように)えっ、斉藤さん」

  
来客「どうなんですか(いらいらしながら)」
一郎「いゃ、盛岡のX商店から、今月入金の当てがありますので、それがはいったら・・・必ず、必ずお返ししますので・・・(ぼそぼそと)」
来客「幾らですか(たたみかけるように)」

  
来客「ええ、いくらなんですか(強く)」
一郎「200万、いや、400万です」
来客「それを真先に、私(強く)に返してくれるんでしょうね?」
一郎「えぇ(弱く)」

  
来客「長いつきあいだから、こんなこと言いたくないが、いざとなったらこの家、処分してもらいますよ」
  

○ 自宅、台所(同時刻)

  学校から帰ってきた次郎。債権者の言葉にきき耳を立てている和子とイネ。次郎が給食費の袋を取り出す

次郎「かあちゃん、先生がねぇ、今日、給食費、持ってきていないひと、早く持ってきてくださいって」

  それどころではないという顔をする和子

次郎「ねぇ、かあちゃん、先生がねぇ、まだもってきていない人、僕だけだっていってたよ(少し強く)」
和子「いま、母さん、いそがしいんだから、あとにしなさい(イライラと)」

次郎「だって、先生が(強く)」
和子「馬鹿(左頬をおもいきりたたく。襖にたたきつけられる次郎)」
イネ「止めなさい、和子!(叫ぶ)」

  泣き出す次郎。鼻血。手拭いで出血を止めるイネ

和子「泣くの止めなさい。いま、お客がきてるんだから、泣くんじゃない(ヒステリックに)」

  シャクリあげる次郎。

○ 自宅、3畳の間(同時刻)

  母子のやりとりをきいて、いたたまれず下をむいている一郎。同じくバツのわるそうな借金取り

来客「ま、今日はこれで帰りますが、かならず耳をそろえて返してください。私だって好きでこんなこ としてるんじゃないんだ」
  
  頭をさげたままの一郎。ほっとした表情の和子、イネ。シャクリあげる次郎。

和子「高利貸しのくせに、くやしいー(おしころしたように)」

○ 自宅(翌日、夕方)

  6畳の間、壁ぎわに大きな電気蓄音機。耳をスピーカーに当てるようにして、ラジオ放送をきいている次郎。一郎が次郎 の側にやって来る。

語り「翌日のことだった」
一郎「次郎、ちょっと父さんのいうこと、きいてくれるか?」
次郎「うん(顔を一郎の方に向ける)」

一郎「実をいうと、父さん、商売で失敗してそれで、今度、ここに、父さんがお金、借りている人が集まるんだ」

  (じっと話を聞いている次郎)。
一郎「それで、この家、借金のかたに取られるかもしれない」

  
一郎「今、次郎が聞いている電蓄も取られるかもしれない」
次郎「電蓄も?(おもわず涙ぐむ次郎)」

  
一郎「もし、そうなっても、次郎、泣くんじゃないぞ。男なんだから」
次郎「うん(涙がこぼれる)」
一郎「いいこだから我慢するんだ」

次郎「うん、ぼく、少年探偵団がきけなくても我慢する(さらに涙がこぼれ落ちる)」
一郎「もし、家がなくなったら、父さん、ドミニカにみんなで移民しようと思っている。ドミニカって知ってるか?」
次郎「(首をふる)ううん」

一郎「いい国だ。家も畑もただでくれるんだ。父さん、小さい頃、百姓してた。おまえも百姓するか?」
次郎「うん、する」
一郎「だから、家がなくなっても、泣くんじゃないぞ」
次郎「(頷く)うん」

○ 自宅、6畳の間、債権者会議(午後)

  床の間を背にした10名の債権者。その前で一郎が頭を畳にこすりつけるように平身低頭している。お茶をだす、和子とイネ。和子の身体が小刻みに震える。頭を畳にこすりよせたままの一郎。外から隙間ごしに中をのぞいている次郎

語り「数日後、父のいう債権者会議が開かれた」

  切れぎれに聞こえてくる言葉

債権者A「斉藤さん、そうはいってもね、ここまでくれば・・・・・」
債権者B「私達だってこまっているんですよ。金が余っている訳じゃないんだから・」
債権者A「このさい、きっちり精算してもらったほうが・・・・・・」

一郎「お願いします。もうすこし、もうすこし待ってください。必ずおかえしします。あてはあります。盛岡のX商店からちかぢか送金があるはずです」
債権者A「そんなこといってもねえ。X商店だって倒産してるんですよ・・・・・」

  父と母の頭を深々とさげる姿。
  

債権者B「まあ、いつまで頭をさげててもはじまらないから、じゃ、こおしましょう。斉藤さん、借用証書、かいてください。みなさん、長期弁済で手をうとうじゃないですか。まあ、斉藤さんともながい付き合いだから。どうですか」

  間
債権者A「まあ、仕方ないか。家を売ってもこんなボロ屋じゃねえ。それに借地でしょ。あとは、汚らしい電蓄一台か(軽蔑したように)」

  全員の目が電蓄に注がれる。軽い軽蔑した笑い。一心に電蓄を見つめている次郎

○ 自宅(秋、朝)

語り「その日は、小学校の運動会だった」

  運動会を知らせる花火。横断幕。白ズボンの代わりに一郎のステテコをとりだす和子。それを見ている次郎。

和子「次郎、お前、これをはいていきなさい」
次郎「これぇー、これとうちゃんのステテコじゃない? ヤダよ」
和子「ステテコじゃ、ありません。白ズボンです」

次郎「こんなに薄いよ、ステテコだよ」
和子「ステテコじゃ、ありません(強く)」

  ステテコを手でつまみあげる次郎。生地が透き通っており、向こうが見える

次郎「でも、みんな、ステテコだというよ」
和子「母さんが、ステテコじゃないといったら、ステテコじゃない(強く)」
次郎「でも・・・・・」

和子「男の子でしょ。しっかりしなさい(ヒステリックに)」

  黙ってステテコをはく次郎。唇をかみしめている。

○ 運動会(朝)

  次郎の周りに集まっているクラスの子供達。次郎の白ズボンについて言い合っている。ガキ大将のアキオが次郎のステテコをつまみながら詰問する。

アキオ「次郎、オメエのズボン、ステテコじゃないか?」
次郎「ちがうもん、白ズボンだもん」
アキオ「じぁ、なんでこんなに薄いんだよう!」

次郎「薄くないもん(強く)」
アキオ「チンポがすけてみえるじゃないか、ステテコにきまってらあ」
次郎「見えないもん(強く)」

子供達「(はやす)チンポがみえる。チンポがみえる」
次郎「見えないもん(唇をかみながら)」
アキオ「オメエ、運動会は白ズホンって先生がいってたの聞いてネエのか。タコ、先生に次郎が白ズボン はいてネエっていってこい」

  顔が真っ赤になり、思わずアキオに飛びかかる。

次郎「白ズボンだっていったろう(大声で)」

  とっくみあいの喧嘩。回りの子供がみんなアキオに加勢する。裂けるステテコ。担任の立川先生(25才)が騒ぎに気付いて近づく

立川先生「お前達、なにしてるんだ!」

  喧嘩を止める子供達。

アキオ「先生、運動会では白ズボンだよね」
立川先生「そうだ」
アキオ「ほれみろ、次郎、先生が白ズボンだといってるぞ」

次郎「白ズボンだもん」
アキオ「先生、次郎のはいてるのステテコだよね」
子供達「ステテコだ。ステテコだ(大合唱)」

  じっとステテコを見る立川先生。助けを求めるような次郎の目。

立川先生「・・・・・・・・」
アキオ「(強く)ねえ、先生、ステテコだろう!」
立川先生「(曖昧に)ステテコみたいだな?」

アキオ「ほれ見ろ、ステテコじゃないか。次郎は嘘つきだ」
子供達「(はやす)嘘つき次郎、嘘つき次郎」

下を向き唇をかみ締める次郎

(明日に続く

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